米国の胚性ES細胞研究への公費助成問題で、Norman Fostがコメントしている。コメントは大したものではないのだけど、Fostは胚性ES細胞について最初のガイドラインを書いた米国科学アカデミーの委員会のメンバーだったということは特筆事項。
http://www.chron.com/disp/story.mpl/ap/top/all/7194173.html
英国の訪問介護ヘルパーの報酬が時間給ではなく、一回の訪問ごとの報酬支払制のうえに移動時間が無報酬のため、最低賃金にも達していない実態。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200719.php
感染症予防と治療のために現在開発中の薬とワクチン、約400種類。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200689.php
KOLとは、Key Opinion Leader。70年代に行われた実験で、素晴らしい経歴と権威あるステータスの数々に彩られたDr. Foxなる架空の人物に白衣を着せ、イメージだけいかめしい用語を多用して中身のないトークによって偽りの情報を真実であると主張する講演をさせたところ、医療職ばかりの聴衆の9割が感動し、その内容を信じたという。その後、製薬会社はDr.Foxのような役割の医師をマーケティングに利用しており、彼らはKOLと呼ばれる。なぜKOLを買って出る医師がそんなに多いのか、というのは、やっぱりエゴが満足されるから、という分析。:このエゴが蠢き始めると、当初は純粋に人のために始め、それによって一定の業績を作った人がその後、目的や方向を履き違えてしまうというのは、障害者支援の世界でKOLになった人たちにも見られる傾向だから、人間なら誰もがもっている弱さなんだろうと、ずっと思っている。そこに、人を操ろうとする権力や企業はつけこむ。
http://chronicle.com/article/The-Secret-Lives-of-Big/124335/
この10年ほど、米国では祖父母のいずれかと暮らしている子どもが増えていて、特に07年から08年の不況で急増した。去年は1割。むろん白人家庭よりも黒人やヒスパニックの家庭の方が多い。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200713.php
新学期のスタートを前に、カリフォルニア州の保健局が保護者らにワクチン接種を呼びかけている。記事の最後にワクチンに関する誤情報として、いろいろ並んでいる。複数ワクチンの接種が危険だというのは誤情報で、安全が確認されたから認可されているのだと解説されているのだけど、でもそれは3種混合みたいに同時に打つ場合の話で、今みたいに次々に新しいワクチンが開発されリストに加えられていくという意味での複数ワクチンのリスクについては、確認のしようがないんじゃないのかなぁ……というのが、前からずっと私の素朴な疑問。それに、「認可されている以上は安全」こそ危うい神話だというのは、FDAと製薬会社が既に証明してみせているのでは?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200748.php
豪の首都特別区で、警察トップがツイッターで最新交通情報を流し始めたとか。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/top-cop-takes-to-tweeting/1939275.aspx?src=enews
キャンベラ病院で医師不足から研修医が全く休暇を取れない状況が続き、辞める医師が続出している。5年間で400人も。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/doctors-quitting-over-shortages/1939271.aspx?src=enews
日本政府は中国政府に対して暗に「我が国の国債を買うな」と言ったんだそうな。クルーグマン先生の「日本の知恵に米国も習え」というOp-Ed。
http://www.nytimes.com/2010/09/13/opinion/13krugman.html?_r=1&th&emc=th
近視の遺伝子が分かって、将来、近視を治す薬の開発も有望に。
http://www.guardian.co.uk/technology/2010/sep/12/dna-research-short-sight-treatment?CMP=EMCGT_130910&
http://www.chron.com/disp/story.mpl/ap/top/all/7194173.html
英国の訪問介護ヘルパーの報酬が時間給ではなく、一回の訪問ごとの報酬支払制のうえに移動時間が無報酬のため、最低賃金にも達していない実態。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200719.php
感染症予防と治療のために現在開発中の薬とワクチン、約400種類。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200689.php
KOLとは、Key Opinion Leader。70年代に行われた実験で、素晴らしい経歴と権威あるステータスの数々に彩られたDr. Foxなる架空の人物に白衣を着せ、イメージだけいかめしい用語を多用して中身のないトークによって偽りの情報を真実であると主張する講演をさせたところ、医療職ばかりの聴衆の9割が感動し、その内容を信じたという。その後、製薬会社はDr.Foxのような役割の医師をマーケティングに利用しており、彼らはKOLと呼ばれる。なぜKOLを買って出る医師がそんなに多いのか、というのは、やっぱりエゴが満足されるから、という分析。:このエゴが蠢き始めると、当初は純粋に人のために始め、それによって一定の業績を作った人がその後、目的や方向を履き違えてしまうというのは、障害者支援の世界でKOLになった人たちにも見られる傾向だから、人間なら誰もがもっている弱さなんだろうと、ずっと思っている。そこに、人を操ろうとする権力や企業はつけこむ。
http://chronicle.com/article/The-Secret-Lives-of-Big/124335/
この10年ほど、米国では祖父母のいずれかと暮らしている子どもが増えていて、特に07年から08年の不況で急増した。去年は1割。むろん白人家庭よりも黒人やヒスパニックの家庭の方が多い。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200713.php
新学期のスタートを前に、カリフォルニア州の保健局が保護者らにワクチン接種を呼びかけている。記事の最後にワクチンに関する誤情報として、いろいろ並んでいる。複数ワクチンの接種が危険だというのは誤情報で、安全が確認されたから認可されているのだと解説されているのだけど、でもそれは3種混合みたいに同時に打つ場合の話で、今みたいに次々に新しいワクチンが開発されリストに加えられていくという意味での複数ワクチンのリスクについては、確認のしようがないんじゃないのかなぁ……というのが、前からずっと私の素朴な疑問。それに、「認可されている以上は安全」こそ危うい神話だというのは、FDAと製薬会社が既に証明してみせているのでは?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200748.php
豪の首都特別区で、警察トップがツイッターで最新交通情報を流し始めたとか。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/top-cop-takes-to-tweeting/1939275.aspx?src=enews
キャンベラ病院で医師不足から研修医が全く休暇を取れない状況が続き、辞める医師が続出している。5年間で400人も。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/doctors-quitting-over-shortages/1939271.aspx?src=enews
日本政府は中国政府に対して暗に「我が国の国債を買うな」と言ったんだそうな。クルーグマン先生の「日本の知恵に米国も習え」というOp-Ed。
http://www.nytimes.com/2010/09/13/opinion/13krugman.html?_r=1&th&emc=th
近視の遺伝子が分かって、将来、近視を治す薬の開発も有望に。
http://www.guardian.co.uk/technology/2010/sep/12/dna-research-short-sight-treatment?CMP=EMCGT_130910&
2010.09.13 / Top↑
9月10日、Oregon州の保健局の報告書で、
同州の自殺率は全国平均よりも35%も高いことが判明。
同州の自殺者は2000年以降増加しており、10万人に15,2人の割合。
全国平均は11,3人。
Rising suicide rates in Oregon surpass the national average
MSNBC, September 10, 2010
しかし、
尊厳死法で医師による幇助を受けて自殺した場合には自殺者としてカウントされないため、
実際には、Oregonの自殺者総数はこれよりも上回っており、
この統計は偽りだ、と、Wesley Smithが指摘している。
その上で、州の報告書が対策として
メンタルヘルス強化によるウツ病キャンペーンを検討したり、
自殺念慮のある家族がいる場合には家に銃を置くななどと書いていることに触れ、
「毒物の処方だってやめたらどうか」と皮肉っている。
Clueless Oregon Health Officials Lament High Suicide Rate- While State Permits Suicide Facilitation
Secondhand Smoke, September 10, 2010
それでも、そんなオレゴン州のホスピスが
尊厳死法に積極的に参加していないと批判する論文が
Hastings Center Reportの今月号に掲載されている。
Oregon州のホスピスを対象にした
尊厳死法の実施方針に関するアンケート調査の結果を報告するもの。
調査したのはOregon州立大学の研究者ら。
2009年にホスピス・プログラムが医師による自殺幇助にどれほど参加したかを知るべく、
56のホスピス・プログラムから方針、ガイドライン、職員研修内容の提出を受け、
その内容を調べたところ、
全く尊厳死法に参加していないホスピスが25%。
27%では、
患者から同法に関する質問が出た場合には主治医に回して
医師以外のケア・スタッフは患者の命を意図的に終わらせることに関与しない。
また、すべてのホスピスが
死をもたらす致死量の薬を患者が手に入れたり飲んだりする手伝いを
スタッフに禁じている。
わずかに2、3のプログラムのみが、
患者が自分で飲む際に、職員がその場にいてもいいと認めている。
すなわち、多くのホスピスで
「尊厳死法を利用して医師による自殺幇助(PAS)を受ける患者の権利」を支援するのは
情報提供までとのスタンスをとっており、
尊厳死法に「中立」の立場をとっている模様。
論文は、ホスピスの消極的な姿勢の理由を、
尊厳死法は医師の関与だけを認めているため、
その他のスタッフの関与が違法になるとの懸念と、
ホスピスの理念に反すると感じていることの2点と分析した上で、
しかし、ホスピスは患者のニーズが満たされる場所であるべきで、
したがってPASもホスピスで適切に行われるべきであり、
このような消極姿勢には法的にも道徳的にも問題がある、と結論づけている。
アブストラクトの結論は以下。
Hospice and Physician-Assisted Death: Collaboration, Compliance, and Complicity
Courtney S. Campbell and Jessica C. Cox
The Hastings Center Report, 2010 September-October
Oregon hospices are uneasy dealing with physician-assisted suicide
The LA Times, September 10, 2010
Oregon州の尊厳死法を利用して自殺した人については、去年、
ほぼ全員がホスピス・ケアを受けていたという情報があり、
C&Cはそれを尊厳死法が緩和ケア充実につながった証左であり、
また同法が安全に機能している証だと解釈しているのですが、
Wesley Smithは、ホスピスの理念に反する自殺幇助が
ホスピスでそれほど多く行われているとしたら、それは
C&Cがホスピスに人を送り込んで患者を誘導しているとしか思えないと指摘していました。
その後、Smithの指摘を裏付けるように、
OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与していたという情報が出てきています。
また、この時には同時に、
致死薬の処方の大半は一部の限られた医師20人によって書かれたものだということも判明しています。
そういうことを踏まえて、この論文を考えると、
C&Cはホスピスに潜入しつつも、それ以上に協力的な医師を増やすことがかなわず、
苦戦しているということなのでしょうか。
患者は誘導できても、思うようにPASに結び付けられないから、
もっとホスピスは積極的に自殺幇助を行え、と言っている?
しかし、気になるのは、
医師以外のスタッフの関与をそそのかしているかのような論調。
5月に明らかになったベルギーの実態調査でも
法律的に認められているのは医師の幇助であるにもかかわらず、
看護師が患者を死なせる行為に関与していることが明らかになり、
あちこちの国の議論で問題視されているところです。
また、自殺幇助の件数が毎年1割ずつ増えている
オランダでは緩和ケアの崩壊が懸念されています。
オレゴンのホスピスの厳正な法律遵守、ホスピス理念の固持こそ、
尊厳死法のセーフガードとして、本来あるべき姿なのでは?
ホスピスは患者のニーズを満たすところだと著者らは言うけれど、
ホスピスは、患者がPASを受けて死にたいと考えなくてもいいようにケアするところ、
ニーズが満たされていないからこそPASで死にたいと患者は考えるのだ……というのが
まっとうなホスピスの考え方なのでは?
オレゴンのC&CがPASを合法化しただけでは気が済まず、
緩和ケアなど要らないからターミナルな人はホスピスでさっさと死なせましょう……と
言っているのだとしたら、
それは、ホスピスを
オランダで提案されている、安楽死クリニックのような場所にしようと
提案しているのに等しい――。
同州の自殺率は全国平均よりも35%も高いことが判明。
同州の自殺者は2000年以降増加しており、10万人に15,2人の割合。
全国平均は11,3人。
Rising suicide rates in Oregon surpass the national average
MSNBC, September 10, 2010
しかし、
尊厳死法で医師による幇助を受けて自殺した場合には自殺者としてカウントされないため、
実際には、Oregonの自殺者総数はこれよりも上回っており、
この統計は偽りだ、と、Wesley Smithが指摘している。
その上で、州の報告書が対策として
メンタルヘルス強化によるウツ病キャンペーンを検討したり、
自殺念慮のある家族がいる場合には家に銃を置くななどと書いていることに触れ、
「毒物の処方だってやめたらどうか」と皮肉っている。
Clueless Oregon Health Officials Lament High Suicide Rate- While State Permits Suicide Facilitation
Secondhand Smoke, September 10, 2010
それでも、そんなオレゴン州のホスピスが
尊厳死法に積極的に参加していないと批判する論文が
Hastings Center Reportの今月号に掲載されている。
Oregon州のホスピスを対象にした
尊厳死法の実施方針に関するアンケート調査の結果を報告するもの。
調査したのはOregon州立大学の研究者ら。
2009年にホスピス・プログラムが医師による自殺幇助にどれほど参加したかを知るべく、
56のホスピス・プログラムから方針、ガイドライン、職員研修内容の提出を受け、
その内容を調べたところ、
全く尊厳死法に参加していないホスピスが25%。
27%では、
患者から同法に関する質問が出た場合には主治医に回して
医師以外のケア・スタッフは患者の命を意図的に終わらせることに関与しない。
また、すべてのホスピスが
死をもたらす致死量の薬を患者が手に入れたり飲んだりする手伝いを
スタッフに禁じている。
わずかに2、3のプログラムのみが、
患者が自分で飲む際に、職員がその場にいてもいいと認めている。
すなわち、多くのホスピスで
「尊厳死法を利用して医師による自殺幇助(PAS)を受ける患者の権利」を支援するのは
情報提供までとのスタンスをとっており、
尊厳死法に「中立」の立場をとっている模様。
論文は、ホスピスの消極的な姿勢の理由を、
尊厳死法は医師の関与だけを認めているため、
その他のスタッフの関与が違法になるとの懸念と、
ホスピスの理念に反すると感じていることの2点と分析した上で、
しかし、ホスピスは患者のニーズが満たされる場所であるべきで、
したがってPASもホスピスで適切に行われるべきであり、
このような消極姿勢には法的にも道徳的にも問題がある、と結論づけている。
アブストラクトの結論は以下。
This limited role indicates that questions of legal compliance and moral complicity inhibit hospice collaboration with patients seeking physician-assisted death.
ホスピスがこのように限定的な役割しか担っていないとあれば
法律遵守の問題が生じる。
また、患者が医師による自殺幇助を希望してもホスピスが協力しないことには
道徳上の問題もある。
Hospice and Physician-Assisted Death: Collaboration, Compliance, and Complicity
Courtney S. Campbell and Jessica C. Cox
The Hastings Center Report, 2010 September-October
Oregon hospices are uneasy dealing with physician-assisted suicide
The LA Times, September 10, 2010
Oregon州の尊厳死法を利用して自殺した人については、去年、
ほぼ全員がホスピス・ケアを受けていたという情報があり、
C&Cはそれを尊厳死法が緩和ケア充実につながった証左であり、
また同法が安全に機能している証だと解釈しているのですが、
Wesley Smithは、ホスピスの理念に反する自殺幇助が
ホスピスでそれほど多く行われているとしたら、それは
C&Cがホスピスに人を送り込んで患者を誘導しているとしか思えないと指摘していました。
その後、Smithの指摘を裏付けるように、
OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与していたという情報が出てきています。
また、この時には同時に、
致死薬の処方の大半は一部の限られた医師20人によって書かれたものだということも判明しています。
そういうことを踏まえて、この論文を考えると、
C&Cはホスピスに潜入しつつも、それ以上に協力的な医師を増やすことがかなわず、
苦戦しているということなのでしょうか。
患者は誘導できても、思うようにPASに結び付けられないから、
もっとホスピスは積極的に自殺幇助を行え、と言っている?
しかし、気になるのは、
医師以外のスタッフの関与をそそのかしているかのような論調。
5月に明らかになったベルギーの実態調査でも
法律的に認められているのは医師の幇助であるにもかかわらず、
看護師が患者を死なせる行為に関与していることが明らかになり、
あちこちの国の議論で問題視されているところです。
また、自殺幇助の件数が毎年1割ずつ増えている
オランダでは緩和ケアの崩壊が懸念されています。
オレゴンのホスピスの厳正な法律遵守、ホスピス理念の固持こそ、
尊厳死法のセーフガードとして、本来あるべき姿なのでは?
ホスピスは患者のニーズを満たすところだと著者らは言うけれど、
ホスピスは、患者がPASを受けて死にたいと考えなくてもいいようにケアするところ、
ニーズが満たされていないからこそPASで死にたいと患者は考えるのだ……というのが
まっとうなホスピスの考え方なのでは?
オレゴンのC&CがPASを合法化しただけでは気が済まず、
緩和ケアなど要らないからターミナルな人はホスピスでさっさと死なせましょう……と
言っているのだとしたら、
それは、ホスピスを
オランダで提案されている、安楽死クリニックのような場所にしようと
提案しているのに等しい――。
2010.09.13 / Top↑
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