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スイスでは14年前に医療機関がヘロインを出せるようにしたところ
中毒患者による犯罪が6割も減ったとのこと。

そこで、政府はヘロイン中毒者を犯罪者として取り締まるのではなくて
患者として医療機関でヘロインを与えながら治療しようと考えた。
ただし、そうなると国民全員が経費を負担する健康保険の対象となるため
直接民主主義の国民投票で意思を確認したところ、
1400万ポンドを要する、この政府案に賛同した人が69%という結果に。

もともとスイスは欧州の他国に比べてヘロインに対して寛容であり、
国内23箇所のヘロインセンターで看護師の監督の下にヘロインを打っているのだけれど、
公園で堂々と打っている姿が目撃されたり
エイズや肝炎の増加で国民から問題視する声が上がっていた。

センターの医師によれば
センターに通い始めて2,3年で脱ヘロインのプログラムに移行できる人が3分の1、
残り3分の1は安価なメタドン治療に切り替えていける。

この医師はスイスではヘロインを医療化したのに
中毒患者には醜い病気だというイメージが付きまとって
それが新たな中毒者が治療から漏れる原因となっている、と。

しかし、右派の政治家からは予防と法による取締りにもっと予算を割くべきだという意見、
薬物に反対する親の組織からは
ヘロインは毒物である、中毒を治すために毒を与えるのか、との批判も。

欧米諸国は概ね批判的だが
デンマーク議会は同様のプログラムに予算をつけた。

ただし、スイス政府はマリファナの合法化については、
合法化すれば他国からマリファナ目当ての連中がやってきて
ドラッグ・ツーリズムを招く、として慎重姿勢。


この問題については
Roger Boyesという人が同じくTimesで好意的に論評しており、
そのタイトルは「スイス人がまた我々の先を行った - 今度は薬物更正で」。


スイスと言えば当ブログでも何度も取り上げてきた
自殺幇助クリニック Dignitas に世界中から幇助自殺希望者が訪れている国、

Boyes氏のタイトルの「また」とは
自殺幇助で既に「先を行っている」という意味なのでしょう。


(自殺幇助関連エントリーは「尊厳死」の書庫に)
2008.12.02 / Top↑