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Rajo Deviさんが結婚したのは50年前。現在70歳。
生殖補助医療で11月28日に女児を出産。

最高齢出産の記録更新。

誰の卵子、精子によるものかは今のところ不明。

治療を担当した医師によると
母子共に健康だとのこと。

7月にも、やはり70歳のインド女性がIVFで双子を出産したとのこと。
2006年には66歳のスペイン人女性がやはり双子を出産しています。
(このスペイン女性は写真いりの記事が私も記憶にあります)

今回の担当医Bishnoi医師は
「不妊はもはやタブーでも呪いでもありません。
 科学的に治療できるのですから」


いや、しかし……。

Woman, 70, gives birth after IVF
The Canberra Times, December 9, 2008
2008.12.09 / Top↑
前のエントリーを書いて思い出した話題ですが、

去年11月、NYブルックリンで
精神障害のある18歳の黒人少年Khiel Coppinが
取り囲まれた警官から20発もの銃弾を受けて死亡するという
痛ましい事件が起きました。

当時、精神科で処方されていた抗精神病薬を飲まなくなって不安定になっていた少年は
母親と揉めて極度の興奮状態に陥り手がつけられない状態。
母親が911に通報した際のテープにも背後でわめいている声が入っています。
駆けつけた警官らは、玄関先でシャツの下に隠し持った銃を向けてきたので撃った、と。

しかし、倒れた少年が手にしていたのは黒いヘアブラシでした――。

Man, 18, Is Fatally Shot by Police in Brooklyn
The NY Times, November 13, 2007



ブルックリン、黒人少年……とあって、
警察の対応に人種差別があったのではないかと問題になったのはもちろんながら、
もう1つこの事件で注目されたのがNY市の機動危機チームの存在。

Khielの母親は911に通報する前に
近郊のInterfaith 医療センターから機動危機チームを呼んでいたのでした。
たまたまチームの危機対応カウンセラーが尋ねてきた時に本人が不在だったのだけれど、
もしも会えていたら彼は死なずに済んだかも……。

この事件をきっかけにNY市の機動危機チームを取り上げた以下のNYTimesの記事によると、



現在23のチームがあり、
警察と病院が連携して活動。
費用は全額、市の保険精神衛生局が負担。
メンバーは心理学者、精神科医、看護師、ソーシャルワーカー、中毒の専門家、ピアカウンセラーなど。

患者の地域生活を支援し、病院から地域へ、との理念で作られたもの。
電話を受けるとチームは家に行ってストレス反応を評価し、
必要な場合は外来受診が可能となるまでサポートする。
各種サービスや施設への紹介も投薬も可能。
フォローアップも行う。
強制入院が必要な場合には機動危機チームの判断で
警察の協力を仰ぐこともできる。


NY 市の危機介入チーム一覧はこちら

Kheil Copper事件で呼ばれていたInterfaith 医療センターの情報はこちら
Behavioral Health Services → Emergency Services の中に
Mobile Crisis Team and Emergency Servicesについて説明があります。

精神科医とその他精神医療の専門家が毎日朝9時から夜10時まで
地域の患者と家族に対応。
精神科のERは別立てで毎日24時間対応。

米国とカナダの機動危機チームの実態をまとめた論文がこちらに。
Mobile crisis teams partner police with mental health workers
Anita Dubey,
Cross Currents; Spring 2006; CBCA Reference pg. 14

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以上は去年Coppin事件を機に調べてみたもので、
当時、同種のチームをインターネットで検索してみたのですが、
地域によって名称も整備状況や形態も様々、整備途上という印象でした。

警察のコールセンターが中心になって病院に繋いでいるところも
精神医療の危機介入が警察や行政の危機管理体制の一環と位置づけられているところもあって
強制入院の権限を持つ機動危機チームが
過剰な公安的危機管理に傾斜する可能性も気にならないではなかったのですが、

日本でも累犯障害者の問題や
障害者自立支援法で精神障害者の退院促進の方針が打ち出されていることを思えば、
地域での危機に対応するための各種専門職の協働体制作りと共に
危機的な状態に陥ってしまった本人と家族への支援、
さらに、そこまで追い詰められないような早期介入の支援システムが必要なのでは?

早めに細かく有効にお金を使うことで
先行きの大きな出費を抑制できる工夫の余地がまだまだあるのに、
そういう工夫も努力も検討せずに
ただ漠然と「社会的コスト」をまるで呪文のように繰り返しては
人間を切り捨てることによって全ての出費をカットしてしまおうとする声には
十分に警戒しておきたいと思う。

一旦「社会的コスト」を云々することに加担すれば
それは社会保障そのものを否定し、あらゆることが個々人の自己責任とされる社会への
滑り坂に脚を踏み出すことではないのか……という気がするから。
2008.12.09 / Top↑
先日来、
Nebraska州の“安全な隠れ家”法が問題行動のある子どもたちと親への支援不足を炙り出して
話題になっていますが、

早期介入で青少年の犯罪抑止効果を上げているFlorida州の取り組みについて
NY Timesに記事が。



Florida州では
州内28箇所のシェルターで子どもを14日間預かり
親にはレスパイトを、子どもには怒りのマネジメントの講義などを提供するほか、
親と子それぞれにカウンセリングを受けさせる早期介入が功を奏している、という報告。

シェルターの運営はNPO活動の統括グループ Network of Youth and Family Services。
民間の様々な活動を支援・統括しつつ、支援の隙間を埋める活動をしてきた。
運営資金は州の少年司法局から。

刑事犯罪に問われている青少年を対象にすることは法律上出来ないので、
犯罪に手を染めるまで行かないが荒れて家庭や学校の手に負えない子どもたちに対応する。
ちょうどNE州の“安全な隠れ家”法で親に棄てられた子どもたちに重なる。

荒れる子どもたちが収監されたり施設に収容される事態に行き着く前に
早期に介入して支援する方が最終的には安上がりだという考え方の変化が
全米で少しずつ広がり始めており、Floridaを筆頭に同様の取り組みは
Arizona, Connecticut, Illinois そして New York 州でも。

しかし、この取り組みだけでも予算不足で先行き不透明であることに加えて
実際の問題はFL州の青少年向け精神医療の不足の方なのに、
精神科では初期アセスメントだけでも400ドルもするものだから
危機介入で対応し安価なカウンセリングで済ませていると
長期的な効果に疑問を呈する専門家も。

確かに、14日間のクーリング期間で対応できる親子がいる反面、
その間に、もっと根深い問題(親のアル中や子どもの精神疾患)が見えてきて、
もっと密度の濃い対応が必要となるケースもある。
そういう場合のシェルターの活動は
「ニーズを把握する間、傷口からの出血に
とりあえずバンドエイドで止血をしている」ようなものだとNetwork関係者。


そういえば、以前に、
医療と警察が連携して当たる危機介入機動チームについて
ちょっとだけ調べてみたことがありますが、
米国とカナダでは徐々に整備されつつある様子。

(これについては次回エントリーで、もうちょっと詳しく)

ここでもまた危機介入よりも早期介入で医療に繋ぐ方が効果的だとの認識が進み
司法と医療と福祉の協働で早期介入体制が整備されていけば
それが一番安上がりなのかも。

もっと広く障害児・者や高齢者と家族の支援にも
たぶん同じことが言えるはずなのだけど。


【NE州の“安全な隠れ家”法関連エントリー】

2008.12.09 / Top↑