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まだ続いているオーストラリアの介護者週間の記事。「老親の介護をしている人たちは疲れ、孤立し、忘れられている」
http://www.abc.net.au/unleashed/40290.html

オーストラリア首都特別区が、介護者憲章を準備するとして、介護者らから意見募集。「介護者」には、孫の面倒を見ている祖父母も含まれるらしい。
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/10/21/3044102.htm

豪政府、介護者戦略のための介護者からの意見募集のため、保健省からディスカッション・ペーパーが出ている。
http://www.fahcsia.gov.au/about/news/2010/Pages/TowardsaNationalCarerStrategy_18oct2010.aspx
http://national.carersaustralia.com.au/?/national/article/view/1977

米。介護施設での抑制は社会問題となり激減したものの、それに伴ってアラームが多用されるようになった。身体抑制こそしていないものの、アラームを取り付けられることにより精神的な抑制がかかっている事実に、そろそろ目を向けるべきでは、とMcKnightの介護ニュース。
http://www.mcknights.com/whats-the-buzz-the-unpleasant-sound-of-alarms-in-long-term-care-facilities/article/181358/

認知症ケアにどれだけゼニがかかるか、Lancetの論文。もとはアルツハイマー病協会の発表の数字。
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422%2810%2970257-X/fulltext?elsca1=TLN-181010&elsca2=email&elsca3=segment

アルツハイマー病の定義に神経学のあたりから見直しの声が出ているらしい。
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422%2810%2970223-4/abstract?elsca1=TLN-181010&elsca2=email&elsca3=segment

ProPublicaがまたやってくれました。ビッグファーマのプロモ要員に駆り出されている医師らのいかがわしさ。:ここの調査報道は、もうほとんど絶滅危惧種のジャーナリズムの中で健闘している。
http://www.propublica.org/article/dollars-to-doctors-physician-disciplinary-records
http://www.propublica.org/article/how-the-drug-companies-say-they-screen-their-speaker-docs

IT使った遠隔医療(テレ・メディスン)への期待と懸念。
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422%2810%2970261-1/fulltext?elsca1=TLN-181010&elsca2=email&elsca3=segment

英国60年ぶりの大幅予算カット。当然、福祉の諸手当も。
http://www.nytimes.com/2010/10/21/world/europe/21britain.html?_r=1&th&emc=th


12日にFellさんのコメントで教えてもらった「寄生獣」の最初の3巻を読んでみた。amazonを覗いてみたら、これ、英訳もされているんですね。

寄生獣というのは、人間の脳に寄生して全身を支配し、他の人間を捕食する生物のこと。この話、面白い。これをFellさんが直感的にピーター・シンガーに「読んでくれればいいのに」と思ったというのは、けっこう象徴的かも。これまでで特に面白いと思った個所を以下にメモ。

・物語は、地球上の誰かがふと思うことから始まる。「人間の数が半分になったら、いくつの村が焼かれずにすむだろうか……」「生物(みんな)の未来を守らねば………………」と。(そう、「みんなの未来を守るために人間を殺さなければ」と、生物みんなのために考えてくれる人が最近多くなりましたからね)

・寄生獣ミギ―と新一の会話:「わたしの『仲間』たちはただ食ってるだけだろう……。生物なら当然の行為じゃないか。シンイチにとっては同類に食われるのがそんなにイヤなことなのか?」「当たりめえだろ! 人の命ってのは尊いんだよ!」「わからん……尊いのは自分の命だけだ……。わたしはわたしの命以外を大事に考えたことはない」

・寄生獣ミギ―の言葉:シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物はやはり人間だと思うぞ……人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているが、わたしの『仲間』たちが食うのは、ほんの1~2種類だ……質素なものさ。

・初めて出会った「仲間」との殺し合いに勝った際に、ミギ―が仲間と出会ったことよりも勝ったことにだけ意味を見いだし、その理由を自分の方が知識量で勝っていたからだと分析する(ミギ―はものすごい勉強家)のを聞いた新一の言葉:その時ゾッとしたんだ……情(じょう)のかけらもない、何て言うか……まるで昆虫と話しているような……

・ある寄生獣の言葉:フフフ……我々が管理するこの肉体なら140年は生きられるだろう……。(TH二ストさんたちは150歳まで生きられると言っていますしね。そういえば脳に寄生すると、その人間の肉体としての能力を寄生獣は総合的にエンハンスするんですよ。この話、ほんと良く出来てる)

・きわめて知性の高い寄生獣の言葉:…………人間ていうのは、どうしてこう合理性に欠けるのか…………。(そう。「合理性」というのは極めて重要なキーワード。合理的でないことは、ある種の人たちにとっては、単に無意味な感情論ですから)

・寄生した女性を訪ねてきた母親に、顔を見た瞬間に自分の娘でないことに気付かれて、その母親を殺した寄生獣が、なぜ見破られたのかを不思議に思っていう言葉:なぜ見やぶられたのだ……それもかなりの短時間に……(中略)わからん……この中年女に特別な能力があったとも思えん。(それを普通「愛」と呼ぶのですが、ある種の人にとっては、あ、ちがった寄生獣にとっては、「合理」と「能力」以外のものは無価値なので、理解できないのですね)

・で、3巻までの中で私が一番印象的だったのは、ミギ―のかけらが全身に散らばって、だんだん変っていく新一が、車にはねられた瀕死の子犬を公園で抱いていてやるところ。でも心臓が止まった瞬間にすっと興味をなくし、無造作につまみ上げてごみ箱に投げ捨てるシーン。かわいそうだと恋人の女の子に責められて「かわいそうったって……死んでるんだぜ?」「だって……だからって……」「もう死んだんだよ……死んだイヌはイヌじゃない。イヌの形をした肉だ」(もう死んだから、死んだ人は人じゃない、とは、なかなか思えないのが人の情というものなんだけど、情は合理的でないですから、死んだらもう肉だとか資源だと捉えるのが正しい合理性というものですよね)

2010.10.21 / Top↑
9月17日の補遺で
Guardian紙に Global Development というコーナーが新設され、
そのコーナーがGates財団とのパートナーシップによるものだということについて
「小さな国家並みのお金を動かすことのできる一民間団体が
WHOと組み、Lancetと組み、いくつもの研究機関を私物化し、
またはその資金源となりパートナーとなり、またGuardianと組み……。
この状況に問題を感じる人がどうしてこんなに少ないんだろう?」と書いた。

9月24日の補遺では、
Bill Gatesと Warren Buffetが新興富裕層を事前に誘うべく中国に赴くというニュースに、
「世界中の超富裕層が手を結んでいくのは、
本当にみんなで拍手を送るようなことなんだろうか」と書いた。

そしたら、なんと、以下のブログ記事によると、

Bill Gates and Media Control
A New World Order Out or Chaos (News Page), October 17, 210


ゲイツ財団はGuardianだけではなくABCテレビとも、
グローバル・ヘルス関連プロジェクトでパートナーシップを組んだのだそうな。

つまり、これらプロジェクトを介してゲイツ財団から大手メディアにゼニが渡る、ということ。

ABCのプロジェクトは1年ものの企画で、
ABC側が450ドル、ゲイツ財団は150万ドルを出すとのこと。

Guardianは以前にも地球温暖化で独自にキャンペーンを張ったことがあって、
今回、国連のミレニアム開発目標(MDG)の達成に向けたキャンペーンとして、
似たような企画と見えなくもないけど、

これまでのキャンペーンでスポンサーがついたことはなかったし、
ニュースのセクションに位置づけられたこともなかった。
今回は堂々とニュース・セクションの中に置かれている。
これでは、ジャーナリズムとしてのキャンペーンなのか、
アドボカシーとしてのキャンペーンなのか区別がつかないだろう、と。

上記ブログは、どうやらコテコテの陰謀説のサイトのようだから
その点はちょっと要注意ではあるけれど、このポストに書かれていることは納得できる。

というか、この人がここで書いていることは、
当ブログがここ数年追いかけてきた情報にそのまま重なるし、
この人の懸念も当ブログが書いてきたことそのものだ。

もっとも、IHMEすなわちゲイツ財団がLancetと既に提携関係にあることには
この著者は、まだ気づいていない模様。

気付かないまま、Lancetの財団に関する発言のアヤシサを指摘している。
また、医療関係の情報筋として権威あるKaiser Family Foundationでも
既にゲイツ財団に関連した報道には偏向が見られることも指摘している。

Kaiser自体がもともと医療分野に大きな利権を持った財団だと私は思うので、
その辺りで偏向していないことを期待するのは最初から違うんじゃないかとは思う。

その証拠に5月に行われた母子保健に関するシンポは
LancetとIHMEが共催し、Kaiser Family Foundation にて開催。

その際、
批判を封じるために手の込んだ演出をしたIHMEのやり方があまりに汚かったので
このシンポには非難がゴウゴウだったとか。

The Economist誌からそのシンポに出席した記者は
同誌の記事で以下のように書いているとのこと。

As the old saying among bureaucrats goes, he who controls the numbers commands the power. With luck, that control is passing to people who are getting the numbers right.

官僚の間で昔から言われているように、数字を支配するものが権力を握る。願わくば、その支配が数字の捉え方を間違えることのない人間たちに渡らんことを。



このブログ記事の著者は、
当ブログと同じように、IHMEの資金源がゲイツ財団であることを指摘し、
その数字による支配・権力がなんのことはないゲイツ財団の手に渡っていく可能性を警告。

以下のように結論している。

Increasingly, the measurement and coverage of global health are funded by the Gates Foundation in a closing loop while, correspondingly, the capacity for objective assessment is shrinking.

グローバル・ヘルスに関する数値化にも報道にもゲイツ財団からの資金がどんどん膨らんでいる。

そうした連携の包囲網によって客観的なアセスメントが出来なくなりつつある。



GuardianがGates財団とのサイトの立ち上げについて出したプレス・リリースは以下。
The Guardian launches global development website with Gate Foundation


この中でニュース&メディア局の編集長は次のように語っている。

it is essential to have a place where some of the biggest questions facing humanity are analysed and debated, and through which we can monitor the effectiveness of the billions of pounds of aid that flows annually into the developing world.

人類が直面する最も大きな問題の一部を分析し議論するための場所が不可欠であり、そういう場所があることによって我々は毎年途上国へ流れ込んでいる巨額の援助の効率性をモニターすることができる。




つまり、今回のGuardianのグローバル・ヘルス・プロジェクトの目的は、
世界の病気や障害の「負担」を数値化し、
グローバル・ヘルス施策にコスト効率で見直し“黄金律”を作るというIHMEと
全く同じだということですね。

すなわち、

死亡率に障害も加えて医療データ見直す新基準DALYによって、
この障害のある生は障害のない生よりも○割引きで、というコスト効率で――。

「健康で5年しか生きられない」のと「重症障害者として15年生きる」では、どっちがいい?と
誰にも選べないことを、さも選べるかのように質問して、それを調査と称し
障害のある生は生きるに値しないと結論付けるためのエビデンスに
仕立て上げてしまおうと画策すること――?



【関連エントリー】
Lancet誌とIHMEのコラボとは?(2008/4/25)
Lancet誌に新プロジェクト IHMEとのコラボで(2008/7/1)
ゲイツ財団の私的研究機関が途上国への医療支援の財布を管理しようとしている?(2009/6/20)
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
「障害者は健常者の8掛け、6掛け」と生存年数割引率を決めるQALY・DALY(2009/9/8)
2010.10.21 / Top↑
米国へ行って日本の介護保険を自慢してくる人がいる。:これは、みんなで、どんどん自慢して歩けばいいと思う。それで、本当に世界に誇れるだけの日本独自の医療と介護の連携システムを作り上げようという覚悟を決めればいい。
http://www.valdosta.edu/news/releases/takamitsu.101910

そうかと思えば、APECで「日本の女性は家庭で働くのを喜びとしている」「それが日本の文化」と恥さらしな女性差別発言をする政務官もいる。10月3日のニュースなんだけど、知らなかった。それに対して、また「自立した女性の集会だけに」という経産省の官僚のコメントにも同じ差別意識があるような気がするし、「女性たちの批判」だけが集中するということも、こういうニュースがあまり大きく報道されなくなってきているのも気になるし。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101003k0000m010097000c.html?link_id=RAH05

トンコさんがアラブ首長国連邦の最高裁が、男性による妻子への暴力を一部容認したことを紹介している。記事内容に全面的に賛成。トンコさんの問題意識は女性差別だけにとどまっていないけど、とりあえず上記ニュースと一緒に知ったので、張り倒して「しつけ」てやりたい男の顔が何人か頭に浮かんだ。
http://blogs.yahoo.co.jp/tonko_hard/50969824.html

オーストラリアの介護者週間:このところ結構、報道が出てくることに驚く。認知度が高くなったのかも。
http://www.begadistrictnews.com.au/news/local/news/general/national-carers-week/1972169.aspx
http://www.fairfieldchampion.com.au/news/local/news/general/its-a-time-to-think-of-carers/1973037.aspx

……と思ったら、オーストラリア政府は9月末に全国介護者戦略の枠組みを発表していた。法案提出するらしい。動いているなぁ。
http://www.health.gov.au/nationalcarerstrategy

更年期後のホルモン補充療法に乳がんリスクがあることは2002年だかに指摘されて、翌日には米国で同療法を受ける人が半減したという話があったけど、今度はそのリスクが確認されただけでなく、乳がんで死ぬ確率もあがることが分かったそうな。:Ashley事件の「成長抑制療法」って、そのホルモン補充療法で使われるうちの1つ、エストロゲンの大量投与でやるんですけどね。まぁ、子宮も乳房も先に摘出しておけばリスクもなくなるという理屈くらい平気で垂れそうな人たちだから提唱しているわけなんだけど、フツーの常識的な人間である我々としては、よ~く考えてみてくださいね。発がん性があるんですよ。あと血栓症のリスクも。要するに、ぶっちゃけ身体に悪い。そういうものを幼い我が子に使いたいと思います、普通? しかも大量投与で?  
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/19/AR2010101905232.html?wpisrc=nl_cuzhead

妊娠中に魚の脂のDHAサプリを飲むと、生まれてくる子どもの頭が良くなるって、誰が言ったんだ? そんなのウソだったって。:だから、フツーにしてりゃいいんじゃない? もともと。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/205167.php

IVF前の包括的遺伝子スクリーニングの実験に参加した女性による初めての出産。ドイツで6月に双子の女児。9月にイタリアで男児。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/204885.php

年金改革を巡ってフランス全土でデモ。というかほとんど暴動状態?
http://www.guardian.co.uk/world/2010/oct/19/france-pension-protests-nicolas-sarkozy?CMP=EMCGT_201010&

サッチャー元英国首相、85歳の誕生日前にインフルエンザをこじらせて入院。:私はこの人が首相になった直後、日本のメディアが「サッチャー首相は家で夕食を作っているかどうか」を問題にしていたのが忘れられない。一国の首相の激務を考えたら、そんなの作らなくたって別にいいじゃん。一国の首相じゃなくたって、作らなくなって別に、もともと、そんなのどうでもいいことなんだけど。
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/oct/19/lady-thatcher-hospital-flu-infection?CMP=EMCGT_201010&

これまでセラピストと本人の1対1が基本だった拒食症の治療に、両親が参加する新しい方向性。
http://www.nytimes.com/2010/10/19/health/research/19anorexia.html?_r=1&th&emc=th
2010.10.21 / Top↑