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オレゴン州のCompassion & Choiceの幹部が、モンタナ州で看護学生などを相手に死の自己決定権について、モンタナ最高裁の事実上の合法化判決となったバクスター訴訟について、講演している。具体的な幇助の方法まで語り、尊厳と人生の全体性を守る方法なんだと説いたらしい。:げっ。医療職の職能団体、こういうのはなんとかしてほしい。
http://billingsgazette.com/news/local/article_6491e2b0-e04b-11df-b168-001cc4c03286.html?oCampaign=hottopics

ホルモン・クリームを使っている女性のペットに異変が起きている。雌では性器の腫れ、出血、問題行動。雄では胸のふくらみと抜け毛。飼い主との接触でクリームのホルモンを体内に取り込むため?
http://well.blogs.nytimes.com/2010/10/25/when-hormone-creams-expose-others-to-risks/?th&emc=th

ムシで、遺伝子によって生殖可能期間をコントロールできることが分かったので、いずれ人間でも生殖可能な期間を延ばすことができるようになる?:科学者って、一体なにをやりたいのだろう、と時々思う。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/205654.php

イタリア南部のリゾート地で、市長の音頭で市議会がミニスカートに罰金を科す条例を作ろうとしている。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/oct/25/miniskirts-ban-in-italian-resort?CMP=EMCGT_261010&

米国政府、学校での同性愛関連のイジメ問題でキャンペーンに乗り出す。あらゆる種類の差別に対して啓発。:確かにヘイト・スピーチもヘイト・クライムも増えている感じがする。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/26/AR2010102600021.html?wpisrc=nl_cuzhead

豪のHoward前首相がテレビ番組に出演中、靴を投げつけられた。かろうじてかわしたらしい。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/shoes-thrown-at-howard-during-qa-appearance/1978886.aspx?src=enews
2010.10.26 / Top↑
このところシンクタンクの報告書が相次いでいます。
こちらも議会に向けて報告されたもの。

オレゴン型の尊厳死法によって医師による自殺幇助を合法化した場合、
英国では毎年1000人が死ぬだろうと試算。

ターミナルな病状の人に限るというセーフガードは
拡大解釈で実施する医師が出てくるから用を成さない、

Oregonでは対象者要件を適当に勘案してくれる医師を求めて
ドクター・ショッピングが起こっており、その結果、
ただのうつ状態の人にまで自殺幇助が行われている。

件数も98年の24件から昨年の95件と4倍になっており、
1万人の死亡者あたりでいえば19.3人にあたる。

同様の法律で合法化すれば
イングランドとウェールズで毎年948人、スコットランドで104人、
合計で英国での幇助自殺件数は1052件に上るだろう、と。

久々にFinlay議員の名前を見たと思ったら
この報告書は緩和ケア医である同議員が
Carlile議員など医師や法曹関係者らを募って立ち上げたシンクタンク
Living and Dying Wellによるものだった。

(去年ニュースに頻繁に登場していた際には、Finlay議員は
良い死に方を考える超党派の議員グループを率いていたので、
そこからさらにシンクタンクの立ち上げへと運動を展開したのかもしれません)

Suicide law in UK ‘would lead to 1000 deaths a year’
The Daily Maill, October 25, 2010


【Baroness Finlay(Baroness は女性議員の称号と思われます)関連エントリー】

英国医師会、自殺幇助に関する法改正支持動議を否決(2009/7/2)
BMJの副編が「生きたい障害者が死にたい病人のジャマするな」(2009/9/6)
Campbellさん率いる障害者団体連合が自殺幇助ガイドラインを批判(2009/12/22)
Warnock, Finlay, Purdy他が自殺幇助で円卓討論(2010/1/31)


【米国の尊厳死法のセーフガード関連エントリー】
Oregon尊厳死法による自殺者増加(2008/3/21)
オレゴンの自殺幇助4人に1人はウツ病や不安症の可能性(2008/10/11)
オレゴンの自殺幇助ほぼ全員がホスピス・ケアを受けていた、という怪(2009/3/20)
OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与、たった20人の医師がせっせと処方(2010/3/11)
OR州の尊厳死法は「陰謀と操作」と医師団体から批判(2010/3/26)
オレゴン州の尊厳死法、セーフガードは機能せず(2010/8/17)

WA州とOR州における尊厳死法の実態(2009/7/6)
WA州とOR州の2009年尊厳死法データ(2010/3/5)
2010.10.26 / Top↑
2006年10月号の「介護保険情報」で、連載「世界の介護と医療の情報を読む」に
ハリケーン・カトリーナでの高齢者の”避難死”とその周辺について書きました。

メモリアル病院での“安楽死”事件について書いたついでに、以下に。


ハリケーン・カトリーナ 被害から1年


移送バス待ち、車いす死

こんなに虚弱な母親を動かすのは酷だ。避難はするまい──。

寝たきりで胃ろうの91歳の母親を前に、息子はそう判断した。ハリケーンが刻々と近づく去年、8月28日のことだ。ニューオーリンズ市からは避難命令が出ていたが、親子は自宅でハリケーンをしのいだ。しかし、市の堤防が決壊。水が玄関ドアに達した30日、2人は警察によって無理やり避難させられる。ところが行けと指示されたコンベンションセンターにたどり着いても、避難民があふれるセンターには食料も水も医薬品もなかった。

外で移送のバスを待つように言われた親子は、炎天下でバスを待った。2時間で来るはずのバスは、その後24時間近く来なかった。やがて母親は車いすに座ったまま息絶える。

ゆさぶり、胸を押しては、生き返らせようと必死に母親を呼び続けた息子は、バスが何台も来た後も4日間遺体に寄り沿い、そばを離れようとしなかった。遺体を覆ってあげるようにと誰かがポンチョをくれた。とうとう銃を突きつけられて離れろと命じられた時、母親の名前と自分の携帯電話の番号を書いた紙を遺体のポケットにしのばせた。それでも、その後母親の遺体が運ばれた先を見つけるのに2カ月かかったという。

 建物の外で車いすにぐったりと座ったまま亡くなった老母の姿は、当時全世界に報道されてハリケーン被害の象徴となった。

が、1年近く経ったこの日、市と州を訴えた息子は言う。「母はハリケーンの象徴などではない。怠慢の象徴なのです」(AP/8月17日)
 
ハリケーンより過酷な避難

当時、多くの高齢者・病人・障害者は他の州の施設に移るため、ルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港に集められた。9月2日の様子をニューヨークタイムズが生々しく伝えている。

「兵士から水をもらう人がいる。ストレッチャーに横たわり痙攣している人もいる。黙って唇を噛み泡を吹いている精神病患者。患者がひっきりなしに運び込まれてくるドアから逆にさまよい出ようとする人。死んでいく人たち。デルタ航空のカウンターのそばでは、車いすの遺体に青い毛布がかけてあった」(05年9月3日)。この記事の中でも、空港までの搬送途上で亡くなった人がいたことが既に触れられていた。

ヒューストン・クロニクル紙には、テキサス州とルイジアナ州を中心に高齢者の避難状況・被害状況をまとめた記事がある(05年10月10日、11月28日)。

それによると、両州の400のナーシングホームから3万人以上がバス、貨物飛行機、ヘリコプターで州外の施設に運ばれたが、水・食料・医薬品の不足、付き添い職員の不足、エアコンのない長時間の輸送、長時間の座位の負担など、避難そのものの過酷さから体調を崩したり命を落とした高齢者も少なくなかった。テキサス州のナーシングホーム入所者の収容先は少なくとも10州に散らばっているが、この段階では誰がどこに収容されたのか、まだ半数も把握されていない。

同紙の独自の調査によると、避難計画がなかったナーシングホームが多数で、あっても不十分な内容のまま放置されていた。また全体としてナーシングホームの避難を統括指揮する動きがなかったことも、避難の混乱に拍車をかけたとしている。

記事では「避難死evacuation death」という言葉を使い、「シェルターで、路上で、州外で起こったナーシングホームの外での避難死については、報告されない可能性がある」と書いている。
 
保健・福祉省の調査報告

こうした避難による高齢者被害を裏付ける報告書を、先ごろ保健・福祉省総査察官がまとめた。メキシコ湾岸5州で連邦政府と州政府の規定を満たす避難計画を整備していた20ナーシングホームを調査したところ、ナーシングホームから避難した高齢者の方が、避難しなかった人よりも苦しんだという結果が出た。「高齢者にとって避難は肉体的にも精神的にもストレスが大きく、結果として避難が必ずしも最善の行動ではない」と20のホーム全ての責任者が声をそろえたそうだ。

報告によると、避難で最も苦労したのはハリケーンの上陸前に入所者を避難させた施設であり、最も深刻な問題は搬送だった。契約していたバスは来ず、あちこちから借り集めた車両にはエアコンがなかったり、途中で故障した。予定外に長時間となった搬送で食料と水は不足し、薬や酸素、排泄介助用品は持って出ていなかった。付き添う職員も充分ではない中、入所者には脱水、血圧の上昇、尿路感染などが起こった。

報告書は、メディケア・メディケイドの給付を受けるナーシングホームはただ避難計画があるというだけではなく、25の重要事項について内容を細かく整備しておく必要があると述べ、またナーシングホームに州や各地域の災害対策部局と密接な連携をとるよう勧告している(The New York Times 8月18日)。

自衛手段を講じる施設

ナーシングホームを含むニューオーリンズの医療機関の現状については、ロイター通信が報告している(8月30日)。それによると、いまだに3分の2が閉鎖状態にあるが、再開した施設ではバックアップの自家発電を増やしたり、新たに井戸を掘るなど自助努力を行う一方で、他の施設に避難者の受け入れを依頼したり、入所者・患者を空輸する必要に備えてヘリや飛行機を契約するといった手段を講じているようだ。

しかし、どこの施設でも去年の記憶は生々しい。入所者の重症化も進む。「連邦政府は早めに避難しろというが、州からは動かない方がいいと言われる」と、現場の思いは複雑だ。

費用補償問題の指摘も

一方、Medical News TODAY というサイトは、今年2月4日の記事で、ニューオーリンズの8割のナーシングホームが入所者の避難に積極的でなかった理由は、万が一ハリケーンが逸れた場合に避難費用の払い戻しが受けられない恐れがあったためだと指摘。同時に、無保険者を含む被害者・避難者を受け入れ、治療・ケアしたものの、費用補償のメドがはっきりしない病院の困惑を報じている。

また、一見すると直接の関係はなさそうだけれども、一緒に読むとちょっと気になる記事がSENIOR JOURNAL.COM(9月5日)にある。去年の保険会社の調査で民間のナーシングホームの入所費が前年より5・7%上がり、1日平均200ドル以上となった。このままではメディケア・メディケイドへの負担が大きいので、個々人で介護保険に加入するよう国民に働きかけるべく、議会が誘導策を考え始めたという。

この記事を読んだ後、もう一度ハリケーン関係の記事を読み返すと、保健・福祉省の調査報告書、トーンがどこか「他人事」めいてはいないか……。そして、その後さらにMedical News TODAYの記事に戻ると、やっぱり思う。だいじょうぶかいな……。

「医療費も介護費用も個人の自己責任。災害時は施設の自己責任」のままでは、冒頭の車いす死を「行政の怠慢の象徴」と言われても、そりゃ、仕方ないというものじゃなかろうか。

「介護保険情報」2006年10月号 p.94-95




なお、当時、メモリアル病院の安楽死事件と並んでニュースになっていたのが、
ナーシング・ホームの職員が寝たきりの高齢者を多数、置き去りにして溺死させたという事件でした。
経営者夫婦に有罪判決(たぶん過失致死?)が出たと記憶しています。
2010.10.26 / Top↑