http://www.businessweek.com/news/2011-12-10/gates-chinese-ministry-partnership-to-work-on-drugs-vaccines.html
11月10日のマサチューセッツ大学医学部の研修でのRobert Truogの講演ビデオ。“When Is Enough Enough?”:見ようと思いつつ、まだ果たせていない。
http://www.umassmed.edu/Content.aspx?id=142016
カナダの自殺幇助合法化訴訟をめぐっては毎日いくつもの記事が出ているけど、これは「合法化されれば医師に“殺す権利”を認めることになる」との異論。
http://www.ewtnnews.com/catholic-news/World.php?id=4528
Margaret Somervilがカナダ王立協会の自殺幇助合法化提言報告を批判したのを受けて、執筆者の一人から「報告書の提言は他にもあって、丁寧な緩和ケアも提言しているんだぞ」との反論。
http://www.montrealgazette.com/news/What+life+report+actually+said/5848364/story.html
英国リーズ大学から全国介護者戦略のモデル事業の介護者支援報告。:これは必読。
http://www.guardian.co.uk/society/joepublic/2011/dec/12/why-need-care-for-carers?newsfeed=true
来年の英国保健省のソーシャル・ケア白書で、ケア・ホームにホテルのような顧客評価方式の導入が盛り込まれるとか。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/11/care-homes-customer-ratings-system
日本。高齢者虐待 最悪580件 男性介護者増加も一因 静岡:いつも思うのだけど、男性介護者と言えば「家事に不慣れ」と決まり文句になるのだけど、それ自体を解消すべき問題と捉えるよりも、男性だから家事に不慣れであることを当たり前の前提とする意識が鼻につく。「家事の不慣れ」なんて、簡単に解消できることだと思うのだけど。やればいいんだから。私は介護費用のコスト削減策としては、「大人なら誰でも最低限の家事・育児・介護ができる社会」が有効なんじゃないかと前から思っているのだけど。⇒http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52561890.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111210-00000014-san-l22
日本で新生児脳低体温療法が普及してきている。
http://blogs.yahoo.co.jp/nicu_sp25/11785738.html
これも日本。Kebichan55さんのブログに早期介入やACTに向かう精神科医療への懸念エントリーが続いているけど、共感。
http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/52822240.html
ナラティブ・メディスンによる全人医療について医学書院の特集記事2本。:ナラティブ・メディスンについてはミュウの幼児期に本を読んで感動して、ものすごく期待もしたんだけど、医療の全体的な方向は逆に向かっていくばかりだとも感じてきた。ミュウの施設に「コミュニケーション」をテーマに医学生が実習に来る際に、セミナーでこういう方向の語りをさせてもらった時期もあったけど、何年かやるうちに指導教官から「一生懸命に勉強している医学生が、医療への批判ばかりを聞かされるのもどうか」「いつまでも患者からの医療批判を聞かされるのはウンザリ」みたいな反発が出るようになって、風向きが変わった感じがした。研修制度が変わって、その実習もなくなったし。同じことを患者が説くと反発される。同じことを「ナラティブ・メディスン」という名前で医療職が説くと受け入れる人もいる。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02956_01
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02956_03
慢性疲労症候群の誤診で学校に行っていない子どもたちが増えている、との調査結果。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/12/chronic-fatigue-syndrome-schools
スタチンがアルツハイマー病の治療に有効?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/238988.php
遺伝子と新たな薬で記憶力増強が可能、と神経学者。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/238949.php
90年代からあり、中国政府のイスラム教徒や政治犯の粛清策と噛み合って
システム化されている、との調査報道記事。
通常は自分と家族の身の安全を考えてしゃべる人が少ないが
ヨーロッパに亡命したり移住した医師や元警察官など
2年に渡って直接関与した人にインタビューを行い、
それら目撃証言を構成したもの。
背景には、ウイグル自治区への中国の弾圧と資源搾取の歴史があることも指摘されている。
当初はウイグルのナショナリストをCIAの手先呼ばわりしていたのが
9・11以降はアルカイダのテロリストという話に変わり、
中国の経済成長に伴って米国もそれに乗っかっていることなど。
北京オリンピックの前に日本でも報道されたことは印象にあったけれど、
今回この記事で日本での報道がずいぶん偏ったものだったらしいと気付いた。
私はほとんど何も知らないので、ちょっと検索してみたところ、
とりあえず、この記事とコメントやこちらの記事など。
で、本題の政治犯からの臓器摘出システムに関する証言内容を簡単にまとめると、
① あるウイグル人の匿名医師の証言。1991年。
広州の処刑場。建物前に何台もの簡易手術室バンが集結。
その日は36人の処刑で、都合72個の腎臓と角膜を採取の予定とのことだった。
それぞれのバンに待機した外科医が15分から30分で摘出し、
病院に持ち帰って6時間以内に移植する。
銃声が聞こえた直後、バンの後ろ扉が開き、白衣の職員2人によって
まだけいれんしている男性が運び込まれてくる。その人は漢族だった。
予想通り右胸を撃たれている。
3人目には、首にひもで絞めた跡があった。
裁判の時にはモノが言えないように首を絞めて出廷させるという。
政治犯だからしゃべらせたくなかったのでは、と医師は考えた。
② ウイグル人の元警察官で、新人時代に公安部局に勤務。1994年。
政治犯への拷問、処刑、レイプを多数目撃した。
処刑に派遣された同僚から聞いた話として、
役に立たない遺体は穴に棄てられるが、使える遺体は摘出用のバンに運び込む。
バンの中から生きたまま摘出されていると思われるすさまじい絶叫を聞いた、と。
数カ月後、彼自身が死刑囚の連行の役割に。
囚人に「なんで注射したんですか」と問われ、
とっさに「銃殺の苦痛を和らげるため」と答えたが
あとで医師に聞いたら抗凝固剤だとのこと。
医師は「できれば異動させてもらえ。ここの職員はみんな地獄に落ちるぞ」と。
③ 病院の外科医。1995年。
上司から、現場での手術を経験させてやると言われ、
詳しいことは聞くなと釘を刺された上で外科手術用のチームを段取り。
バンで指示された場所に出かける。
そこには20体ほどの遺体が並べられており、
「これです。手術するのはこの人」と指示された遺体を見て、
「まさか。この人はもう死んでいますよ」と確認しつつ抗議した瞬間、
首の動脈に拍動を感じた。「いや、この人は死んでない」と訂正すると
「それなら手術して。肝臓と腎臓をとって。早く。ほら早く!」と。
バンの中で通常の手順通りにやろうとすると主任外科医から
「麻酔はなし」「生命維持もなし」と怒鳴られた。
「どうせ意識はないんだから切っても痛みはないんだ」。
しかしメスを入れた瞬間、男性は大きくのけぞって暴れた。
血管をクランプする手間も惜しんで摘出すると、
引き取りに来ている家族のために一番外の腹壁だけを縫合。
自分は殺人者だと感じて、遺体の顔を見ることができなかったという。
翌日、主任外科医に呼ばれ「昨日は何もない平穏な一日だったな」と念押しされた。
処刑前になると、平服の職員が死刑囚を説得して
臓器を国に提供するとの書類にサインさせていたという。
豪華な最後の食事が提供され、抗凝固剤が打たれた。
④ ウイグル自治区のグルジャで起きた97年の中国による大規模弾圧の直後に
グルジャの病院で働いていた看護師。
抗議デモに参加したウイグル人の負傷者の治療をすることは禁じられ、
腕に包帯を巻いただけで15年の禁固刑を受けた医師もいた。
病院内スタッフにも中国人とウイグル人の分断が起きた。
ウイグル人夫婦に子どもが生まれると抗生剤と偽って薬殺していた。
抗議行動で逮捕され暴行を受けて腎臓に損傷を負った青年の家族は
息子の釈放に多額の金銭を払い、さらに移植用腎臓に約4700ドルかかると言われた。
その代わり同い年のウイグル人男性の腎臓をやると言われたが、
それは抗議行動をしていたウイグル人男性のものだった。
⑤ ウイグル人の当時新米医師。ウイグルの病院にて。1997年。
上司から政府の高級官僚が5人、内臓疾患で入院すると聞かされ、
同地区の刑務所の政治犯棟へ行き、採血して血液型一覧を作成するよう命じられる。
その時にはワケが分からなかったが、同じウイグル人なので
採決の意図を疑われないためだったのでは、と今は振り返って推測する。
彼が作った血液型一覧から血液型が一致する囚人を選んで
さらに臓器の適合をチェック。合致した囚人は右胸を撃って殺し、5人の官僚に移植。
数カ月後に同じ指示が出た時に、
政治犯から臓器摘出をするのはいつものことで、
儲けが大きな輸出として伸びていると聞かされる。
主導しているのは軍の病院だとも。
この記事の著者は北京オリンピック前の法論功弾圧で
300万人の法論功学習者が矯正施設へ送られ、
ざっと65000人のウイグル人の臓器が
心臓がまだ打っている状態で摘出されたと推測している。
著者からインタビューを受けた一人は、
英国下院が主催した中国の人権問題セミナーで手を上げ、
自身が殺人に関与したことを告白したが、
英国政治家の誰もそれをとりあげなかったという。
……in a world eager not to offend China, no state wants his confession.
世界中が中国に迎合する時代、彼の告白など、どの国にとっても迷惑でしかない。
The Xinjiang Procedure
Beijing’s ‘New Frontier’ is ground zero for the organ harvesting of political prisoners.
Ethan Gutmann,
The weekly Standard, December 5, 2011
【関連エントリー】
A・Caplanが、死刑囚の臓器に依存する中国の移植医療ボイコットを呼びかけ(前)(2011/10/12)
A・Caplanが、死刑囚の臓器に依存する中国の移植医療ボイコットを呼びかけ(後)(2011/10/12)
「囚人を臓器ドナーに」は実施面からも倫理面からもダメ、とCaplan論文(2011/10/14)
そのことを全く失念したまま図書館へ行き、まったく別の本を探していたら、
棚のずいぶん下の方から誰かに呼ばれている感じがした。
で、なんとなく呼ばれるままに目をやったら、
そこにいたのが、この本だった。
「あらま、あんたってば、そんなところにいたの……」と驚き、
これはただの偶然ではあるまいと、さっそく借りて帰ったら、
やっぱり、なんとも素敵な本だった。
粘土でにゃにゅにょ 土が命のかたまりになった!
田中敬三著 岩波ジュニア新書
滋賀県の第二びわこ学園で
1979年から定年退職する2003年まで粘土室の主任を務めた田中敬三氏が、
びわこ学園の「園生さん」たち(と著者は当時の呼び方のまま書いている)が
粘土の世界で見せる素晴らしい笑顔や表情や変化をつづったもの。
それは例えば著者が以下のように総括する世界。
園生さんが好む硬さに粘土を練っておくのが私の仕事、また私は園生さんが好む「おもちゃ」の提供者にすぎません。造形という点からすれば、指導できない指導です。
園生さん一人ひとりに個性があって、表現方法にも個性があり、粘土でのあそび方や作品にもそれぞれの顔が出てくる。粘土は、その一人ひとりにうまく対処してくれたのです。
にゅるにゅる、ねちゃねちゃ、ぬるぬる、むにゅー。
「園生さんの粘土の世界は「な行」の世界やなぁ」
「だったら、「にゅにゅにょ」というのはどうや」
粘土活動の初めての記録冊子をつくる際、タイトルを考えていたら職員からそんなアイデアが出されました。粘土の世界は、「にゃにゅにょ」の世界。一人ひとりにあわせ、自在に変化する何ともおもしろい世界です。
(p.141-142)
それぞれに重い障害を持つ「園生さん」たち一人ひとりが、
どのようにして粘土と出会っていったか、
粘土とどのようにやりとりしながら、どんな作品を作り、
どんな表情を見せたか、丁寧につづられる文章を読み進んでいくと、
著者は作業療法士ではないけれど、
それでも生まれついての作業療法士だったんじゃないかなぁ、という気がしてくる。
なにしろ、この人は粘土室の初期から、
こんなことをさらりとやってしまう人なのだ。
……自発的に粘土にふれられない重度の障がいがある人には、反発力のある固い粘土はやはり受け入れがたいものでした。そこで私はクリームのようなキメの細かい粘土を用意しました。職員がこのつるつるの粘土で園生さんの手をなでます。これだと、重度の障がいをもつ園生さんも、手をひっこめることなく、心なしかうっとりして見えます。
次にこの粘土でお互いの手と手をくっつけ、引き離そうとしてみます。しかし、間に空気がなくすっかり密着してしまっていて、離そうにも離れません。このときの粘土は「接着剤」です。
手と手をくっつける時に空気が入っていれば、これを押すと、お互いの手の間から「オナラ」が出ます。プッという音、振動、空気の動く感触。重い障がいを持っている人でも、この思わぬ刺激をしっかり受け止めているようです。
(p.63,67)
そのため、目の見えない人も音や感触で粘土遊びに熱中する。
自閉傾向があり、服を何枚も頭からかぶって中から自分で締め上げて、
脱がそうとすると自傷行為に至る泰代さんの場合には、著者はまず
ひも状に伸ばした粘土を一本、頭の上に置く。そして、また一本。
本人が次を期待し始めるのを見ながら、次々に頭の上に載せていく。
「重さが心の安定をもたらしてくれるのだろうか」という著者の観察に、
私はかつて訳したことのある感覚統合のテキストの一節を思い出した。(ちなみにこれ)
75ページに粘土のひもを何本も頭から垂らした泰代さんの写真がある。
服から出した顔はくつろぎ、うっすらと微笑んでいる。目には、そこはかとなくチャメまで漂う。
この本には、こうした素晴らしい表情や笑顔の写真が沢山おりこまれている。
一人ひとりの体臭まで立ち上ってきそうなほど生き生きした写真ばかりだ。
撮影者は著者自身。
田中氏はその後、粘土室にもみ殻や麦や大豆をもちこんで、
感覚遊びをさらに発展させていく。これもまた、まさに作業療法の世界――。
以前、OTさんの世界を仕事でちょっと覗かせてもらった時に感じたのだけれど、
作業療法というのは医療の中では最も患者にも患者の生活にも近いところにいて、
いわゆる「専門家」の世界に懐疑だらけの「重症障害児の母親」をやってきた私には
ずいぶん魅力的な領域に思えたものの、
作業療法の世界の人たちを見ていると、
もともとOT的な感性なのか資質なのかを持っている人が
教育や研修によって身につけた知識やノウハウや技術を通じて
自分の感性や資質を開花させた時にものすごい力を発揮するOTに化ける反面、
基本的なOT的感性なのか資質なのかを全く欠いた人が
教育や研修によって知識やノウハウや技術を身につけると、
知識やノウハウや技術に縛られてPTみたいなOTにしかならない……のかな、と思ったことがある。
それはどこかで、学校の先生とか医療職とか支援全般とか、
人と関わり人とかやり取りを通じて相手に働きかけていく仕事に就く人に
共通して言えることのような気がしないでもないのだけど、
そして、それはバイバイのエントリーのコメントで
yaguchiさんが書いてくださった「人と人とが相互作用するダイナミズム」に
通じていくとも思うのだけど、
そういうことも含めて、田中敬三という人は生まれながらの作業療法士、
それも感覚統合的な感性や資質をたっぷり持った人なんじゃないかなぁ……と思う。
ウンチを触って遊ぶ人と一緒に粘土でつくったウンチで遊んでみたり、
紙をちぎるのが好きな人には粘土の紙をいくつもちぎってもらって
その積み重ねが「作品」になったり、
著者は一人ひとりの「その人」をしっかり「見る」こと「感じる」ことから
その人と粘土のやりとりのヒントを見つけ、そこから、その人の感覚や遊びを広げていく。
あくまでも自分は媒体となって――。
中でも「わっ、すごいっ」と思わされた一人が
硬直型の寝たきりで、自由に動かせるのは左足だけ……といった英史さん。
彼は寝たまま左足裏の感覚だけで粘土を少しずつ長く伸ばすことを根気よく模索し、
ついに3メートルにも及ぶ粘土の巨大なヘビを作ることに成功する。
また田中氏が、いくつもできた彼の3メートルの作品を焼くために、
独自に窯を研究・工夫し、信楽まで出掛けて窯を解体する作業をしてはレンガを集めて
2年もかけて窯を作ってしまうと来る。
なかなか、ここまでできるものじゃない。
こんなことは研修や努力でできることでもない。
さらに、こういう人が職員にいたからといって、
重心施設の一角に「粘土室」を作って専従の職員に据える……などという
思い切った人の使い方ができる施設が、そもそも、なかなかあるものじゃない。
(さらにこの先は、そんな現場の裁量が許されない時代になっていくんだろうなぁ、悲しいなぁ……)
びわこ学園といえば、
「重い障害を生きるということ」の高谷清氏が園長を勤めた施設。
この本に描かれているびわこ学園は、高谷氏の前任者の時代のようだけれど、
高谷氏の新書で重症児・者について読む人たちに、ぜひこの本を合わせ読んでもらって、
この本にたくさん掲載されている写真で
「園生さん」たちが粘土と取り組む姿と表情を一人でも多くの人に見てもらって
こんなにも生き生きとした姿を見せる人たちのことを
初めて見た人の多くが恐らくは「何も分からない」「何もできない」人たちだと
何の疑いもなく思いこんでしまうのだという事実について、
そして「こういう人が生きていて幸せなのか」「生きているのはかわいそうではないか」と
勝手に思いを巡らせてしまうのだという事実について、
改めて考えてみてもらえたら、と思う。
【関連エントリー】
高谷清著「重い障害を生きるということ」メモ 1
また、ミュウを始め、私が直接知っている重症児者の姿を
ありのままに描いてみようとする試みのエントリーは
「A事件・重症障害児を語る方に」の書庫にあります。
この書庫のエントリーを読んでくださる方の中には
ミュウの障害はそれほど重くないようにイメージされる方も、
ミュウよりもっと重症の人だっている、とそちらを問題にされる方もあるかもしれませんが、
ミュウは、
初めて見る人の多くが「何も分からない子」と思いこまれるであろう、
寝たきり全介助、言葉を持たない24歳です。
知らない人が見たら「何も分からない」「何もできない」と思われてしまう、
(もしかしたら医師の中にだってそう考えている人がいるかもしれない)ミュウが、
実際は、こういう人として日々を暮らしているのだということの意味を考えていただければ。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9874
http://www.weeklystandard.com/articles/xinjiang-procedure_610145.html?nopager=1
MA州の自殺幇助合法化住民投票に関して、Second Thoughtsという反対運動のグループから障害者運動の活動家らが州下院で証言を行い、住民投票に反対。
http://www.digitaljournal.com/pr/518359
http://www.wwlp.com/dpp/news/politics/state_politics/Doctor-prescribed-suicide-draws-ire
そのMA州の男性Bruce Brodiganが父親の自殺幇助で起訴されたコネチカット州の裁判で、検察側が「愛情からやったことで、地域での奉仕作業も既に終えている」として起訴を取り下げ。裁判官もそれを受け入れて、みんなで「めでたし」にしたみたい。:ずるずる。
http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-assisted-suicide-20111209,0,1824799.story
ノース・カロライナ州の1933-1977年の優生施策の推定7600人への補償問題。人数ではヴァージニアやカリフォルニアの方が多いが、ソーシャルワーカーにまで選別の権限を与えたのはNC州のみ。犠牲者の多くは貧困層やマイノリティの若い女性や知的障害者。
http://www.nytimes.com/2011/12/10/us/redress-weighed-for-forced-sterilizations-in-north-carolina.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23
【関連エントリー】
NC州で、かつての強制不妊事業の犠牲者への補償に向け知事命令(2011/3/21)
NC州の強制不妊事業の犠牲者への補償調査委員会から中間報告(2011/8/15)
またまた韓国から「2015年までにヒトクローンつくる」と。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9870
代理母ツーリズムでアイルランドの複数の夫婦に生まれた15人の子どもが、国籍も取れずアイルランドのパスポートも取れない状態に陥っている。
http://www.irishtimes.com/newspaper/frontpage/2011/1119/1224307824130.html
製薬会社資金による研究の透明性の問題。Lancetに。認可取り消しになったグラクソの糖尿病治療薬Avandiaなどを例に。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961859-X/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=segment
ファイザーのリピトール問題から学び、製薬会社はブロックバスターで一発ボロ儲けモデルから脱却せよ、とLancetの論文。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961858-8/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=segment
【関連エントリー】
ジェネリック薬を売らせないビッグ・ファーマの「あの手この手」が医療費に上乗せされていく(2011/11/15)
インターネット上のポルノ映像の広がりで、女性の間で性器の美容整形手術が流行しているとか。それに対して「ありのままでいいじゃん」というキャンペーンも。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/the-womens-blog-with-jane-martinson/2011/dec/08/muff-march-designer-vagina-surgery
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/feb/27/labiaplasty-surgery-labia-vagina-pornography?intcmp=239
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/oct/14/designer-vagina-surgery?intcmp=239
NYT。IT企業は女性役員の数が最も少ない業種。
Where Are the Women Executives in Silicon Valley?: Technology companies have the lowest percentages of women board members and highest-paid executives among the biggest public companies in California, according to a new study.
クリスマス・シーズンに、介護者をケアする気持ちを。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/238913.php
――――――――――
以下のブログを教えていただき、
ちょっとコーフンしながら沢山のエントリーを読んで回った。
ブログ主は、「生存権」ではなく、その発展形として「健康権」を、主張をしている医師。
「静かな日 医療構造改革に抗して 野田浩夫」
http://nodahiroo.air-nifty.com/sizukanahi/
健康権については、もうちょっといろいろ読んでみないと、とは思いつつ例えば以下 ↓
山岡淳一郎「医療のこともっと知ってほしい」岩波ジュニア新書2009・・・健康権との関わり(2011年7月18日)
http://nodahiroo.air-nifty.com/sizukanahi/2011/07/2009-c678.html
生存権、正義論、健康権の関係・・・川本隆史「NHK白熱教室JAPAN」を見ながら(2011年7月26日)
http://nodahiroo.air-nifty.com/sizukanahi/2011/07/post-3762.html
当ブログでも言及した高谷医師のパーソン論論文を契機に書かれているものを始め、
脳死臓器移植と終末期医療について書かれていることがたいそう面白くて ↓
パーソン論と脳死臓器移植―雑誌「月刊保団連」2011年7月号 高谷清論文に触発されて(2011年7月14日)
http://nodahiroo.air-nifty.com/sizukanahi/2011/07/2011-a1ef.html
会田薫子「延命医療と臨床現場 人工呼吸器と胃瘻の医療倫理学」東京大学出版会2011 ノート・・・消極的安楽死は議論せよ、ただしそのことが積極的安楽死に道を開いてはいけない(2011年10月11日)
http://nodahiroo.air-nifty.com/sizukanahi/2011/10/2011-9756.html
高谷清「重い障害を生きるということ」岩波新書 2011・・・医療従事者は、自らの運動のモデルを重症心身障害者福祉運動に求めるべきである(2011年11月21日)
http://nodahiroo.air-nifty.com/sizukanahi/2011/11/2011-172c.html
火曜日の夜、(同室の)Aさんの希望でいつも”NHK歌謡ステージ”を見ているのですが、今週、特に気に入ったようで、”キャーキャー”と、にじ部屋が引っくり返るような大騒ぎだったとのこと。ちなみに出演歌手は「小林旭」だったそうですが……。ミュウさん、渋いですねぇ。
この話は、薬をもらいに詰め所に寄った際に、父親が看護師さんからも直接聞いたので、
よほど園内で噂になるほど本当に「部屋が引っくり返るような大騒ぎ」だったようで……。
さらに昨夜は、夕方のNEWS番組で”キャーキャー”と叫ばれていたミュウさん。何が面白いのかさっぱり分からず??と思っていたら、Bさん(身障の女性)が”橋下徹が出とったんよー”と教えてくれました。大阪市長も好みなのかな?
小林旭は、まぁ、よい。許す。が……、ちょっと待て。なんだとぉ、はし……?
おかーさんは、あんたを、そんな子に育てた覚えはないよっ。
ゲイツ財団肝いり“HIV感染予防ゼリー”は「新たなタスキギ実験」?(2011/6/24)
このニュースで「素晴らしい予防効果」で表象されていた臨床実験CAPRISA004では
39%の予防効果があるとされていた tenofovir 含有ゼリー、
その後、
HIV臨床治験ネットワーク the Microbicide Trial NetworkによるVIOCEという治験でも
ジンバブエ、南アフリカ、ウガンダの15か所で
5029人のHIV陰性で性行為がある女性を対象に
ゼリーと錠剤について同時に実験が行われていたところ、
The National Institute of Allergy and Infectious Disease (NIAID)の
独立の監査委員会 Prevention Trials Data and Safety Monitoring Board (DSMB)が
定期チェックとして調べた09年9月9日から11年9月30日までのデータによって
tenofovir ゼリーには予防効果がないことが判明。
感染率はそれぞれ6%と6.1%で、
プラシーボ・ゼリーを渡されたグループとの間に差がないため。
DSNBはVOICEに対して治験を取りやめ、
できるだけ早くゼリーの使用をやめるように参加者に通知するよう勧告。
ここで、ちょっと不可解な記述があって引っかかるのは、
ネットワークは全ての参加者に計画変更を通知しているとはいうものの、
ゼリーの安全性に大きな問題があるわけではないため、
本物のゼリー・グループの被験者には12月か1月の受診時まで
使い続けてもらうのだそうな。
FDAはtenofovirの認可を検討する前に
VOICEのデータを検証すると言っている。
別の治験も進行中で、こちらは2年以内に結果が報告される予定とか。
ちなみに、冒頭にリンクした記事で書いたように、
今年6月にCAPRISA004 実験について出ていた指摘は、
「39%の予防率」というのは、実は「61%は予防できない」ということであり、
途上国の女性たちを実験のために感染リスクに晒しているのは
新たなタスキギ実験だ、との指摘でした。
ある方から「治療としての位置づけが十分でなく効果が過剰に言われているのでは」などの
コメントをいただきました。
睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」 続報(2011/12/7)
この方からは、いつも専門的な情報のみならず良い刺激をもらっているのですが
今回のコメントからも、あれこれ考えるヒントをいただいて、
混とんとしている自分の頭の整理が多少できたような気がするので、
いただいたコメントへのお返事として書いたことを、
とりあえず今の段階で整理できたことのメモとして以下に。
ご返信ありがとうございます。
この薬の「治療としての位置づけ」について、ですが、06年には南アの医師らが会社を立ち上げて治験をやってくれるパートナーを探している段階だったので、今年に入って米国の大学や研究所で初めての大規模実験が始まったというのは、そこまでやっと進んできたということなんだろうと思います。06年のパートナー探しでもZolpidemの新しいマーケットの可能性を訴えていましたし、そこに何らかの食い付きがあって投資資金が投じられたから起こったことだろうとも推測します。植物状態や最小意識状態の改善に向けて睡眠薬の新たなマーケットが、まさかブロックバスターに化けるわけではないから、この治験に資金を集めるのは難しいのでは、と私は思っていたので、まずはここまで進んできたことを歓迎したいと思っています。まだ、位置づけられるためのプロセスがやっと始まろうとしている、という段階ではないでしょうか。
次に、この研究の「医療の動向における位置づけ」というか「意義」について、私は意識障害の治療の可能性そのものよりも、まずは”無益な治療”判断による一方的な治療停止がどんどん慣行化していく中で、無益性判断の根拠とされている「不可逆性」を否定することに最も大きな意味があるのでは、と考えます。
おっしゃるように、新たな治療法が紹介される時に過大評価や過剰な先取り期待を煽る報道がされることは日々繰り返されていますが、その多くは「科学とテクノの簡単解決文化」とその背景の利権とが方向づけていく最先端・予防と弱者切り捨て優生/資源化路線に沿ったもののように思います。この研究でも、続けていくにはコストが問題となると研究者が懸念していますが、同じく「命を救う治療」であっても、「命を救う」が多額のコストを費やすことの免罪符としてまかり通っていく(または世論の目くらましとして有効に働く)分野と、「命を救う」だけではコストが正当化されにくい分野とが歴然とあるということでしょう。私はこの研究はむしろ後者に属するように感じているので、なんとか前進してほしいと願うものです。
この記事の中でも言及されているOwenらの研究は、植物状態とされた人の脳画像によって「Yesだったら、テニスをしているところを想像して」という指示を出し、運動野にテニスをしている時に近い反応が見られることなどを通じて、植物状態とされた人の意識の有無やコミュニケーションを探ろうとするものです。これについて初めてエントリーにした時に私も「むしろ、こうしてコミュニケーションが可能になれば、それは安楽死誘導に使われていくのではないか」という懸念を持ちました。また、そういう方向に使い道が開けそうだということになれば、「自己決定と選択と尊厳」を謳って、むしろ研究資金が集まるのだろうな、とも懸念します。
昨日、米国で1週間前に銃乱射事件の犠牲になった1歳の子どもについて、「脳に活動が見られないから」という理由で治療は無益だとして、こども病院が両親に人工呼吸器取り外しを言い渡した、という報道がありました。たった一週間です。まだちゃんと読んでいませんが「脳に活動が見られない。もう天国に行っている」という言い方からすると、ちゃんとした脳死判定があったという印象ではありません。
現場でこういうことが慣行化されていく時代だからこそ、このような事例や研究をもとに、治療としての効果云々という次元ではなく、もっと本質的な倫理問題の議論がされるべきなんじゃないかと思うのです。研究資金の流れに沿った議論をする生命倫理学者の方の発言ばかりが目立って、それに抗う議論を出してくる学者の方が非常に少ないと思えるだけに、強く、そう思います。
最後の「研究資金の流れに沿った」という個所はちょっとわかりにくい表現になってしまいましたが、
「科学とテクノの簡単解決文化」とその利権の目指す方向に沿った、という意味です。
なお、Owenらの研究については、
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
さらに11月11日の補遺で以下
脳スキャンで植物状態の人の意識状態を確認しコミュニケートできる可能性。前からこの研究をやっているケンブリッジのAdrian Owen教授ら。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/nov/10/brain-scanner-hope-patients-vegetative?CMP=EMCNEWEML1355
ロンドンオリンピックの聖火リレー・ランナーの一人に決まった。
Saraさんは両親の介護をしている。
特にMSの母親の介護が中心。
12歳の時にYouTubeに動画を投稿してヤング・ケアラーの問題を訴えて以来
そうした発言を続けてきており、
首相とヤング・ケアラーの面談にも招かれ、施策提言を行ったことがある。
Saraさんが走るのは5月24日。
Olympic torch to be carried by Shrewbury carer
BBC, December 8, 2011
英国内17万5000人とも言われる(70万人というデータも)ヤング・ケアラーですが
昨今の社会保障費削減のあおりで彼らへの支援もカットされつつあります。
この話題を機に、問題意識が高まりますように。
なお、Saraさんがキャメロン首相と面談したのは
去年11月にBBCが行った若年介護者キャンペーンの一環。
それについては、以下の連載で簡単にまとめました。Saraさんにも言及あり ↓
英国BBCが若年介護者特集
「介護保険情報」2011年1月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」
この時に読んだ記事によると、
Saraさんは7歳の時からMSの母親の介護と家事をになっており、
4年前からは関節炎の父親にも介護が必要となったとのこと。
「私のような子どもはどうしたら大学に進学できるのですか」と
キャメロン首相に率直な質問をぶつけています。
この記事の最後に、私は以下のように書きました。
連立政権が社会保障全体の予算削減方針を打ち出している中、こうした介護者支援施策が今後どのように展開されていくのか気になるところだ。医療や福祉が 患者や高齢者や障害者のところで切り捨てられていけば、必然的に、その周辺にいる子どもたちに負担がのしかかっていくだろう。
それを思う時、同じような経済苦境下の日本で若年・子ども介護者の存在が今なお可視化されていないことが案じられる。
なお、話がさかのぼりますが
spitzibaraが07年に初めて若年介護者について知って書いた連載記事はこちら ↓
英国介護者週間
「介護保険情報」2007年8月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」
この記事の最後に私は以下のように書きました。
若年介護者については、近年の英国の動きを受けて米国でも米国介護連合NACが 2003年に初の若年介護者全国調査を実施。05年にまとめられた詳細な報告によると、米国でも8歳から18歳の若年介護者が130万人程度おり、未支援 のまま重い介護負担に苦しんでいると見られる。NACの報告書は、英・豪・NZなど若年介護者支援先進国の施策に学び、早急に支援を整備すべきだと締めく くっている。
日本で「若年介護者」という言葉すら聞かないのは、わが国には介護者役割を担う子どもが存在しないからなのだろうか……?
07年に書いた最後の2行、
今もう一度ここで声を大に繰り返したいので、ゴチックにしてみました。
また、その他、これまでに同誌の連載で介護者支援関連で書いたものは
去年、介護者支援シリーズにとりまとめました ↓
英国の介護者支援
英国のNHS検証草案と新・全国介護者戦略
米国 家族介護者月間
障害のある子どもを殺す母たち
NHSの介護者支援サイト Carers Direct
【その他、最近の関連エントリー】
「障害児とその親」支援と「障害者と介護者」支援がシームレスでない、という指摘(英)(2011/9/9)
英国のチャリティが介護者実態調査、「往診で介護者の健康チェック、介護ノウハウ研究と支援用具、それからレスパイトを(2011/9/16)
BBCの元プロデューサーで末期がんだったGeraldine McClellandさん(61)が昨日、スイスのディグニタスで幇助自殺。「なんでわざわざスイスまで来ないといけないのか。自分の国で死ねないのは英国の政治家が臆病ものばかりだから。英国もスイスと同じ制度にすべき」と、怒りの抗議文が、死の数時間後に公開された。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2071410/Our-cowardly-MPs-BBC-woman-died-Dignitas.html
カナダの自殺幇助合法化裁判でも、去年ディグニタスで死んだ末期がんの女性 Kathleen Carterさんのケースが「モデル・ケース」として紹介され、高いカネを払い時間と身体的な負担を侵して外国まで行かなくとも死ねるように、と弁論に。
http://www.theglobeandmail.com/life/health/end-of-life/good-death-in-swiss-clinic-held-up-as-model/article2263912/
上記、Carterさんの事件については ⇒ Dignitasで自殺した15人目のカナダ人は「脊柱管狭窄症でターミナル」の怪(2010/2/9)
カナダ王立委員会の出した自殺幇助合法化提言に、「報告書はバランスを欠いている」との批判。
http://www.montrealgazette.com/health/Assisted+suicide+panel+failed+present+balanced+arguments/5826773/story.html
オレゴンの医師から「オレゴンの尊厳死法の過ちを繰り返すな」という声。:7月にも別の医師から同じ声が上がっていた ⇒ OR州の医師「PAS合法化は間違い」(2011/7/4)
http://www.theprovince.com/news/Oregon+mistake/5817153/story.html
【関連エントリー】
C&Cが移植医と一緒に「尊厳死法に参加しましょう」と医師らに呼びかけ(2009/4/16)
WA州とOR州の2009年尊厳死法データ(2010/3/5)
OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与、たった20人の医師がせっせと処方(2010/3/11)
オレゴン州の尊厳死法、セーフガードは機能せず(2010/8/17)
PAS合法化後、オレゴン州では自殺率がアップ(2011/1/12)
「抗がん剤も放射線もダメだけど自殺幇助はOK」というOR州メディケアのガイドライン(2011/1/17)
OR州の2010年のPAS報告書 自殺者また増加(2011/1/28)
【その他の話題】
米国オークランドで新たな“無益な治療”争議。11月28日に起きたラッパーによる銃乱射事件の被害者の一人 Hiram Lawrence Jr. (1)の両親に、オークランドこども病院の医師らがHiramの脳には活動が一切見られず「天国に行ってしまっている」ので、人工呼吸器を停止する、と通知。両親は弁護士を雇って、セカンドオピニオンをとるまで停止を阻止する構え。:事件のとばっちりを受ける形で1歳の我が子がそういう状態になったら、親はそう簡単に心の整理がつくわけじゃないと思う。わずか1週間というのは、余りにも非情なのでは?
http://www.nbcbayarea.com/news/local/Docs-Want-to-Take-Rap-Shooting-Victim-Off-Life-Support-Family-135201918.html
12月6日は英国の介護者啓発デイだったらしい。介護者にアドバイスや情報が発信される日。:日本の「介護の日」はプロの介護職を念頭に置いているので、「(無償で様々なケアを担う)ケアラーの日」が別に設定されたらいいのに、と思う。
http://kensington.londoninformer.co.uk/2011/12/carers-advice-day.html
「アルツハイマー病の人の介護ヒント集」:これは読んでエントリーにしたい。
http://www.dailyrx.com/feature-article/alzheimers-disease-long-term-care-giving-tips-16248.html
ビル・ゲイツ、中国政府と安全で効率の良い新しい原発の開発へ。:ゲイツ財団は何年も前からエイズ予防支援などで中国政府にずいぶんと食いこんでいる。”慈善”名目でカネと人材を送りこむことを通じて各国政府や大手企業の中にまずは十分に浸透し、その上でこういう動きに持っていけば、それはすごく巧妙な投資戦略かもしれない。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203501304577084450143654704.html
SSRIが自閉症スペクトラムの成人の反復行動の軽減に有効かも、という話が出てきている。:SSRI
のブームも一段落と見えるところに、気になるニュース。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/antidepressant-drugs-may-help-adults-who-have-an-autism-spectrum-disorder/2011/11/30/gIQAEqvNWO_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
緊急避妊薬、モーニング・アフター・ピルに規制緩和の動きがあったのだけど、これまで通り薬局で買えるのは17歳以上のみ、ということに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/238831.php
米国の企業が不況により、自社社員の医療保険の内容を給料ランク別に差別化しようとし始めている。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/employers-consider-cutting-health-insurance-premiums-for-lower-paid-workers/2011/11/30/gIQA19GCWO_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
日本語ニュース。中国で人身売買関与の608人逮捕、子ども178人を保護。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111207-00000061-reut-int
日本の捕鯨船3隻が下関港を出港。以下の日本のニュースをいくつか読んでみた中には言及がないし、英文記事も最初の方しか読んでいないのだけれど、Guardianによるとグリーンピースなどから「震災復興費の中から捕鯨船警戒に費用を使っている」と批判が出ているらしい。読売新聞が書いている「第3次補正予算に安全対策費などとして約23億円」のことかもしれない。:それにしても読売以外のニュースは海上保安官の捕鯨船への同乗についてのみ書かれて護衛船の同行には触れず、「など3隻」の中に護衛船が含まれる書き方なのかどうか、なんだか、なぁ……。調査捕鯨に関するニュースでは、英語圏の報道とのギャップにいつも??
http://www.guardian.co.uk/world/2011/dec/07/japan-whaling-fleet-tsunami-earthquake-funds?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%
調査捕鯨船団が出港、民間の護衛船も初同行。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111206-00000779-yom-soci
<調査捕鯨>回以上保安官が同乗し、目視採集船など出港――山口・下関 (毎日)
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20111206dde041040076000c.html?link_id=k_kanren_news_body
調査捕鯨、海上保安官同乗へ=妨害活動に備え、最大規模 (時事通信)
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-111205X536.html?link_id=k_kanren_news_body
世界中で報告されていることについて2006年の記事を
8月に以下のエントリーで紹介しましたが、
睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)
その続報がNYTにありました。
A Drug That Wakes the Near Dead
NYT, December 1, 2011
この記事でも、上記06年の記事にあった「覚醒」の第一例
南アフリカのLouis Viljoenさんについて書かれており、
Viljoenさんはその後、zolpidemの効果が持続する時間がどんどん長くなって、
最後には飲む必要がなくなったとのこと。
ただし、この記事の中核となっているのは
米国テネシー州メンフィスのChris Coxさんの新しいケース。
08年10月に鎮痛剤の過剰摂取から意識不明となり
15分以上の心停止だったことから脳損傷が避けられなかったものの
救急スタッフは呼吸器をつけ、最善を尽くして救命した。当時26歳。
両親は医師から
その夜の内にきっと心臓まひが頻発して死ぬから呼吸器を外すように言われたが拒否。
次にDNR(蘇生無用)指定を勧められたが、それも拒否した。
結局、心臓まひは起きず、クリスは4日後に意識を取り戻す。
3年後の現在、話すことはできないし、寝たきりで身体は拘縮し
胃ろう依存で、よく肺炎も起こしているが、
両親がリサーチの末に辿り着いた睡眠薬Ambien(zolpidemに同じ)によって
認知は改善してきている、と両親。
目をパチパチしたらYES。指をクネクネしたらNO。
親指を立ててみせて、と言われたら親指を立てる。
担当医も、クリスが植物状態を脱して最少意識状態との境界レベルにあると認める。
これまで、酸欠による植物状態は3カ月続くと固定し
外傷による植物状態も1年で固定すると考えられてきたが、
ここ10年、その定説を覆すデータが出てきている。
例えば
① 2003年にアーカンソーのTerry Wallisさんが19年間の最少意識状態から覚醒したが
脳画像では、生き残ったニューロンが死んだニューロンを迂回して新たに繋がり合い、
彼の脳は自ら修正を行っていたことが明らかになった。
② 2007年にはWeill Ciornell 医大のNicholas Schiff医師らがNature誌に論文を発表し、
損傷を受けて何年も経った患者が「脳ペースメーカー」とも言えるDBSで
話したり食べたりするまでに回復した事例を報告した。
③ 今月のLancetで英国の神経学者Adrian Owenが発表したところでは
植物状態とされて身体は一切動かない患者の脳が簡単な指示に反応していることが
明らかになった。
(この話題については当ブログでも11月11日の補遺で拾っている。
Owenらの研究については他にも以下のエントリーがある。
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
Zolpidemの認知障害の治療薬として初めての大規模治験が
Moss Rehabilitation Research Instituteとペンシルベニア大学で
今年始まったところだ。
この10年の事例では、
効果のある人と、全くない人とがあり、
効果のある人でも、使っているうちに効かなくなる人と、
長く使っても効果が薄れない人、どんどん改善して飲まなくてもよくなる人があり、
何がそれを分けている要因なのかは不明。
Weill Cornel 医大の医師で、間もなく
“Rights Come to Mind: Brain Injury, Ethics and the Struggle for Consciousness”
という本を上梓するJoseph J. Fins医師は
「いったん最少意識状態まで回復したら、次はどこまでいくかは予測不能。
完全な意識を回復する患者もいれば、そこに留まったままの人もいる。
結果を知るためには、時間をかけて様子を見るしかない」
ペンシルベニア大のSoojin Park 医師は
長期予後が不透明な中でチューブだらけで感染症を立て続けに起こしている姿を見れば
家族もラクにしてやりたいと思うのは自然だし、医師が最悪を念頭に
家族に治療停止を提案することも少なくない、と語り、しかし、それは
「さっさと解決してすっきりしたいがために、
どっちとも分からないことを全部すっ飛ばしているだけ。
早いうちから一律にもう駄目だと決めてしまうのは間違い。
今のように時間が経過した後の回復の可能性がデータで出てきているなら、なおさらだ」
ただ、家族にとっては延々と諦めずに戦い続けるのか
それでも結果は分からないとなると苦しいし、
合併症と闘いながら丁寧な意識状態のアセスメントを繰り返すことには
コストの問題もあり、難しい、とMossの治験ディレクター。
「植物状態」の4割は誤診だとのデータもある、とこの記事でも言及されており、
それは実は上記のOwenらのデータで、当ブログでも08年に拾っていますが ↓
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
私自身はAshley事件を通じて
重症障害者の意識状態に対する医療職の偏見の根深さを痛感してきたし、
実際にミュウやその他の重症児・者の認知や知的レベルについても
親や直接処遇職員に比べて実は何も知らないと言ってもいいほど医師が無知であることは
様々に見聞してきた。
この記事の中にも象徴的なエピソードが出てくる。その概要は以下。
「植物状態」や「最少意識状態」を間違いなく診断できると思いこんでいる医師に、
また親が「ウチの子は分かっている」という言葉に疑いを差し挟むすべての人に、
じっくりと読んでもらいたい、と思う。
Chris Coxさんは目を覚まして2週間後には目で物を追うようになり、
1カ月後には簡単な指示に従うようにもなった。
そこで友人が見舞いに来た時に
ベッドの両脇に2、3人ずつ並んで、
「ジムを見て」「今度はボブを見て」と指示すると
クリスさんは正確にその友人を目視してみせた。
そこで母親が医師にその話をして改めてMRIを撮ってほしいと求めたところ
医師は「そんなのは脳幹の反射に過ぎない。
名前の通りの人を目視したところを友人や家族が目撃したのは
クリスの現状を否認したい気持ちのなせる技に過ぎず、
実際の回復のエビデンスではない」と突っぱねた。
この医師は、一日おきにクリスの病室に立ち寄るが、
ドアのところからクリスの名前を大声で呼び、反応があるかどうかを見ては去っていく。
一度も部屋に入ってきて間近にクリスを見たことはなかった。
そこである時、母親が腕をつかむようにして部屋に引きずり込み、
ベッドサイドまで連れてきた。
そして、「瞬きして」と息子に語りかけた。
息子は瞬きをして見せた。
次に医師にドアまで歩くように言い、
息子には医師の動きを目で追うようにと指示した。
息子は言われた通りに医師の動きを目で追った。
さらに親指を上げてみて、という指示に
クリスの親指がわずかながら、もぞもぞと持ちあげられると
医師は驚いて口をあんぐりとさせた。
そしてやっと
クリスが植物状態ではなく最少意識状態だということを理解した、という。
私としては
瞬きと指の動きでYESとNOを表現できるということは
質問の内容を理解できているということだと思うし、
友人をそれぞれ認識できているということを考えても
クリスさんは感覚レベルをはるかに超えた「意識」を有しているのだけれど
それを表出することができないでいる可能性があるのではないか、
そういう人を快不快の感覚レベルの「最少意識状態」とすることは
それって本当のところ、どうなのよ? という気がしますが。
他にも、もともとのアセスメントに同様の問題があったと思われるケースはあります ↓
自己で視力を失った聴覚障害者が「指示に反応しない」からリハビリの対象外……というアセスメントの不思議(2011/2/6)
「生きるに値しないから死なせて」家族の訴えを、介護士らの証言で裁判所が却下(2011/10/4)
その他「植物状態」や「脳死」からの回復例についてはこちらの文末にリンク一覧があります ↓
またも“脳死”からの回復事例(豪)(2011/5/13)
その他、関連エントリーとして ↓
「わかる」の証明不能は「わからない」ではない(2007/9/5)
重症障害児・者のコミュニケーションについて、整理すべきだと思うこと(2011/11/21)
http://www.hawaiifreepress.com/ArticlesMain/tabid/56/articleType/ArticleView/articleId/5587/Hawaii-Physicians-Rally-Against-Assisted-Suicide.aspx
英国で今度は70歳のジストニアの女性が医師による自殺幇助を求めている。ターミナルではないが苦痛が耐え難いとの訴え。:報道するのは、やっぱりBBC。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-sussex-16036362
本人にも家族にも知らせずに病院が勝手にDNR(蘇生無用)指定をカルテに書きこんでトラブルになるケースが増えている問題で、ケアの質コミッションが介入し始めているらしい。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/05/nhs-hospitals-warned-resuscitate-orders?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
【関連エントリー】
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
「本人にも家族にも知らせず“蘇生無用”」はやめて一律のガイドライン作れ、と英国で訴訟(2011/9/15)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)
90歳、100歳で股関節置換手術やがん手術を受ける患者が増えている米国で、年齢制限すべきでは、という問題が論じられ始めている。:だから、ほら結局、トランスヒューマ二ストたちが描いている「不老不死の近未来ユートピア」ってのはスーパー・リッチだけの特権だったってことだよね。
http://articles.chicagotribune.com/2011-11-30/health/ct-x-surgery-for-old-20111130_1_life-expectancy-health-care-health-insurance
Circumvention Tourismという言葉を作った人がいるのか、もともとそういう表現があったのか。中絶、自殺幇助、生殖補助医療、女性器切除、幹細胞治療……などなど。自分の国では違法だったり高価だったりして受けられない医療を、ヨソの国に出かけてやってしまうこと。どういう訳語がいいのか、たちまち私の頭に浮かんだのは「かいくぐりツーリズム」。:そして、「かいくぐり」でやってきた人に効果があったことを根拠に、「ウチの国でも治験を始めます」と意気揚々と宣言する病院が出てくる。「かいくぐり」を受け入れている国でだって「まだ安全性は確立していない。気をつけろ」と警告が出ていたりもするのに。みんな最先端医療での国際競争を横目でにらんで、やりたくてウズウズしているものだから。
http://prawfsblawg.blogs.com/prawfsblawg/2011/12/circumvention-tourism-traveling-for-abortion-assisted-suicide-reproductive-technology-female-genital.html
研究者がNHSの患者データにアクセスできれば、医薬品開発の研究は進む、という声が上がっている。:人権よりも国際競争力。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/04/nhs-patients-records-private-companies?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
新たに開発されたダウン症の遺伝子診断。侵襲度が低いので歓迎されている、とか。
http://commonhealth.wbur.org/2011/12/dna-down-syndrome-test/
OECDから先進国の格差拡大に関する報告書。日本では最貧困層10%の平均収入が激減している。格差は大半の国で拡大。
http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2011/dec/05/oecd-ineqaulity-report-uk-us?intcmp=239
英国では格差拡大が特にひどい。トップ10%の富裕層の収入が最貧困層10%の収入の12倍で、1985年の格差の8倍にも。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/05/income-inequality-growing-faster-uk?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
オーストラリアではトップ1%の所得が国民の総所得に占める割合が1950年代以降で最高に。
http://www.canberratimes.com.au/news/national/national/general/australias-rich-getting-wealthier/2382564.aspx?src=enews
オハイオ州が100キロ超えの肥満男児の母親に2年近くも指導をしたにもかかわらず十分な配慮をしないとして、親権をはく奪して男児を施設に入れた件で、お馴染みNorman Fostがコメントしている。「施設入所で肥満が治るわけではないが、軽減はされるかも。目的は肥満解消。男児の睡眠時無呼吸は肥満が引き起こしている可能性があり、たちまちの危険もある。150ポンドを目標に減量できれば無呼吸も治るかもしれない」。論争に。:メディカル・コントロールは進む。Fostは以下にリンクしたように、児童虐待をやりそうな親を抽出して指導・監督しろと説いている。
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5h9hc-fN3ZADq_XpUW2IVHKhHx5_Q?docId=2d81466654b3434bbba08435a66fe4ab
【関連エントリー】
「ハイリスクの親」を特定することから始まる児童虐待防止プログラム:Norman Fostが語る「メディカル・コントロールの時代」(2011/2/21)
2011年8月29日の補遺
ここしばらく米国で論争になっている問題で、命にかかわるほどの肥満児については州が介入し親から引き離して治療することの是非。支持論者 としてNorman Fostが「少数のいのちに関わるほどの肥満児では州の介入が命を救うことになる」、反対論は法学者から「そういうケースで州が介入 することが結果を出すとは証明されていない。親元に置いたまま親を指導することは可能」。Norman Fostは結局メディカル・コントロール論者なのでは、と思う。
http://www.latimes.com/health/la-he-childhood-obesity-custody-20110829,0,3696579.story
NYT。在宅療養で医師に往診してもらう患者の方が入院患者よりも幸福度も健康度も高い。:そりゃ、でも、そういうことが可能な環境にいる人の話。最近この手の調査報告が頻出しているで、入院せずに自宅でがんばれという制度誘導がメディケアでもメディケイドでも、そのうちに出てくるんじゃないかと予測している。そういう制度を使って医療を受ける人には、自宅でゆっくり療養できる環境にない人たちも多いのではないかと思うのだけど。それに介護してくれる人がいないと、そんなのできないっすよ。
Bring Health Care Home: Patients who are treated at home by a doctor are happier and healthier.
着々と署名集めが進んでいる米国マサチューセッツ州で、
23000人を超える会員を擁する同州医師会が代議員による投票を行い
1996年以来の医師会の方針を堅持し、自殺幇助合法化反対のスタンスに留まることを確認。
178 vs 56 だったとのこと。
同医師会会長 Lynda Young 医師は
「医師による自殺幇助は、癒す者として医療提供者としての医師の役割と矛盾すると
我が医師会の医師らは明確に宣言しました。
われわれは同時に、
終末期ケアにおける患者の尊厳の重要さと医師の決定的に重要な役割を確認するものです」
MA州で自殺幇助合法化に向けて行われている大規模キャンペーンのサイトは
こちらの Dignity 2012 ⇒ http://www.dignity2012.org/
Dignity 2012のスポークスマンは「(この法律で可能になるのは)は
ターミナルな患者が医師に致死薬の処方を求められるようになること。
それは従来考えられていた意味での自殺ではありません。自分で薬を飲むのだから」
「これは従来の意味での自殺ではないのです。
対象になるのはもともと死にかけている人たちで、
絶望したりうつ状態だから自殺したいという人たちではありません。
多くはできればまだ何年も生きたいと願っているけれど、
病気によって殺されようとしている人たちなのです。
Dignity 2012 の投票で問われるのは、誰もが終末期に
尊厳とコントロールを得られるように、という問題なのです」
「それに我々が住民投票で提案しているのは、
道徳上、倫理上の理由で致死薬の処方はしないことを選びたければ
医師にはその選択が認められています。
医師や病院に何かを強要するものではありません」
Major Battle Over Assisted Suicide Brewing In Mass.
CommonHealth, December 5, 2011
Massachusetts Medical Society Opposes Assisted Suicide
LifeNews.Com, December 5, 2011
すでに病気で死にかけている人が自分で致死薬を飲んで死ぬのは、いわゆる“自殺”ではない……
これは、またまた“新説”が登場しました。要注意――。
なお、これまでのMA州の動きについては
以下の補遺で逐次拾ってきました ↓
2011年8月21日の補遺
マサチューセッツ州で来年にも尊厳死法を巡る住民投票の可能性。:ここは州独自の施策として、いち早く皆保険に取り組んでいたところ。
http://www.patriotledger.com/news/state_news/x1510868140/Massachusetts-voters-facing-right-to-die-showdown
2011年9月10日の補遺
米国マサチューセッツ州で来年に自殺幇助合法化の住民投票を実現させようとする運動が申請していた署名向けアンケートの23の質問の文言に、検察局からOKが出た。:いよいよWA州で行われたような合法化に向けたすさまじい運動が本格化するのでしょう。そして、州民皆保険を実現し、医療施策に力と予算を入れてきたMA州が転べば、次は多分CA州が後に続く……ような気がする。
http://news.bostonherald.com/news/politics/view/20110907ag_approves_eligibility_of_23_questions_for_drive_to_2012_ballot/srvc=home&position=recent
http://www.lifenews.com/2011/09/07/massachusetts-ballot-prop-promoting-assisted-suicide-gets-ok/
2011年9月20日の補遺
カトリックの枢機卿がマサチューセッツ州での自殺幇助合法化の住民投票に向けた署名活動を批判。
http://www.boston.com/news/local/massachusetts/articles/2011/09/19/cardinal_urges_opposition_to_assisted_suicide_ballot_petition/
2011年11月19日の補遺
自殺幇助合法化をめぐる住民投票に向け、署名活動が進むマサチューセッツ州で、ショッピング・モールなどで「ターミナルな人への思いやりを」などと曖昧な文言での署名活動が行われているらしい。
http://www.thebostonpilot.com/article.asp?ID=14014
これ書いて、ふっと頭に浮かんだんだけど、
そういえば、WA州にワシントン大学があるように
MA州にはハーバード大学とマサチューセッツ総合病院がありますね。
いずれも「科学とテクノで簡単解決」文化の牙城……。
【追記】
ハワイでも医師らがPAS反対集会を開いている。:ハワイでもここ数年、合法化ロビーの暗躍しきり。
http://www.hawaiifreepress.com/ArticlesMain/tabid/56/articleType/ArticleView/articleId/5587/Hawaii-Physicians-Rally-Against-Assisted-Suicide.aspx
詰め所であれこれの報告をした後でデイルームに行き、
座位保持装置に座らせ、「おかあさんといっしょ」のCDをかけてやり、
次は何回寝たら迎えに来るからね、と指を折ってカウントしてから
おでこにキスして別れる……というのが、
長い年月の間に自然にできた段取りになっている。
その長い年月のスタートのところでは
親も子もいろんな愁嘆場を何年も繰り返したけれど
いつからかミュウは別れ際に大きく腕を振り上げて
自分からバイバイしてみせるようになった。
といっても、それは見るからに“ヤケクソ”であって、
いっそ自分からバイバイして自分の気持ちをぶった切ってしまおうとでもするかのように、
顔をひきつらせて、なんだか暴力的な力任せの腕の振り方をする。
そして時には、ぶった切り損ねた気持ちの破片に逆襲されたみたいに
腕を振り上げたまま、顔が崩れるや、わっと泣き出してしまうこともある。
短くて5日、長くてもせいぜい2週間程度の別れとはいえ、
今なお子にとっても親にとっても切ない思いを強いられる場面ではある。
ところが、昨日ミュウを療育園に送っていった夫が
いつもの段取りを経て帰ろうとすると、
ミュウは、いつもよりもちょっと余裕で腕をあげたのだという。
バイバイする時には小さく笑顔まで見せたらしい。
すかさずデイルームにいた若手のスタッフが気付き、
「あーっ。ミュウさんが笑いながらバイバイしてる~」と声を上げた。
「え? あ、ほんとだ。すご~い」
「わぁ、ミュウさんが、お父さんに笑顔で手を振ってる!」と
他のスタッフもデイルームのあちこちから驚き、大いにウケてくれた。
ミュウは腕を振り上げたままギャラリーをぐるりと見渡すと、
いっそうノリノリで大きな笑顔になった。
そして得意満面の笑顔のまま
父親に向かって高々と腕を振り、余裕のバイバイをしたそうである。
帰宅した父親からその話を聞いた母親は、そういえば、と思いだした。
そういえば先週、「エロかっこいい」みたいにあなたを表現すると……という
診断マーカーにミュウの名前を入力してみたらばさ、出てきた答えは、
なんと、おとーさん、「エロおめでたい」だったんだよ。ぶはははっ。
昔からコイツは、ギャラリーが多いと張り切るヤツだったもんねー。
両手にスプーンと皿を持ち自分で食べる練習に熱中していた幼児期には
客が来てその前で食べてみせる場面があると俄然張り切ったものだった。
一口食べるたびに「どーお、今の?」とばかりに目をきらめかせ、
テーブルの客人を一人一人順番に眺めては目で称賛を強要する。
得意そうな顔でみんなから「わぁ、すごい」「えらいねー」と一通り賛辞をせしめ終えると、
おもむろにスプーンを握り直して次の一口に取り掛かる。
そして、また「どーだぁ?」と見栄を切る。
付き合わされる方は邪魔くさいことこの上ないが
ミュウが自分でご飯を食べられるようになったのは
イチイチ手を叩き賛辞を惜しまなかったギャラリーたちの
辛抱と努力のたまものだったと言っても過言ではない。
ギャラリーがいると、
そしてその人数が多ければ多いほど、
張り切るヤツだったよね、こいつは、昔から。
そうそう、そこんところ、ちっとも変わってない。
やっぱり「エロおめでたい」は言えてるねー。
夫婦で大笑いしながら、
初めてにこやかに親に手を振ってみせたというミュウに、
やっぱりコイツもまた一つ大人になったんだなぁ……と、しみじみ思う。
「自分で食べる技」の最初のギャラリーは2人の親だった。
その次のギャラリーは祖父母や親戚ご一同様だった。
そして、いつのまにか、
ミュウが認められたい人、ほめてもらって嬉しい人、
褒めてもらったから張り切っちゃおう! と思わせてくれる人が
ミュウの周りにはこんなにも沢山いてくれる――。
「エロおめでたい」はハッピーでないとやってられないしね。
あんた、また一つ大人になったね、ミュウ。
米国退職者協会AARPは9月8日、米国の州ごとの高齢者と身体障害者に関する介護サービスと支援の“成績表”、“Raising Expectations: A State Scorecard on Long-Term Services and Supports for Older Adults, People with Physical Disabilities, and Family Caregivers”を発表した。①費用面での利用しやすさとアクセス、②ナーシング・ホームかアシスティド・リビングか在宅かの選択と事業者の選択、③生活の質とケアの質、④家族介護者への支援の4点について、全25の指標に基づいてデータを点数評価し、その詳細と共に全州をランクづけしたもの。総合点のトップ3はミネソタ、ワシントン、オレゴン。最下位にはミシシッピ、アラバマ、ウェスト・ヴァージニアなど南部の州が並ぶ。
AARPでは、「下位の州が上位の州の実践から学ぶ機会にと意図した調査だが、上位の州にも改善すべき点はあるので、この情報を元に関係者には改善に向けた意識を持ってもらいたい」。さすがに点数化・ランキングされたとなると各州とも地元メディアが敏感に反応し、自州の成績の要因を考察する記事が相次いだ。実際、報告書で明らかになったバラつき幅はショッキングである。
例えば、メディケイドの給付資格基準は州ごとに決めることになっているが、この指標でのトップ5州では平均して要介護の低・中所得者の63%に給付されているのに対して、最下位の州では20%にしか給付が認められていない(全米の平均は37%)。また障害者の生活に関する満足度の指標では、トップ5州で91%が満足と回答しているのに対して、最下位の州では81%。この指標で1位のノースダコタ州では、満足と回答した障害者の内57%が仕事についているのに対して、最下位の州で仕事についている障害者は5人に1人。ナーシング・ホーム長期入所者のうち辱そうのある人の割合でも、全米の平均12%に対して、7%から16%の開きがあった。
報告書は、総合ランキングで上位の州には以下の3点の施策方針が打ち出されていることが共通している、と分析している。
① 介護サービスと支援を必要とする、より多くの人にアクセスと選択が可能となるよう、またナーシング・ホーム以外の選択肢を提供できるよう、メディケイド事業で工夫。
② 必要とする人がサービスに繋がりやすいよう、効果的なワン・ストップ体制で情報とサービスへのアクセス改善。
③ 燃え尽きを予防するべく、介護者への支援とサービスの提供のみならず法的な保護措置をとって介護者ニーズに対応。
介護者支援施策を打ち出している州は、その他の指標全般においても高得点となる傾向があるとの分析は、たいへん興味深い。
報告書の試算によると、全州がミネソタ州並みの実践をすれば、12万人以上の入院が避けられ、130億ドルの医療費削減効果が見込まれる。ナーシング・ホーム入所にかかる費用負担はどの州でも中流家庭の支払い能力をはるかに上回っているため、地域で利用可能な範囲のサービスを整備していくことが必要だと説く報告書には、州ごとに具体的な改善策の提言と共に、それによって避けられる入院件数の試算まで添えられている。実に懇切な“ご指導”つき成績表なのである。
ただ、報告書の結論を読んでいると、そこはかとなく違和感を覚えるのは、こうした米国型競争原理が本当に公平なのだろうか……という点だ。曰く、高齢者にも障害者にも選択する権利がある。ニーズに応じた最も制約の少ない環境で暮らす権利は法的にも確認されている。上位の州の実践を見れば、介護サービス充実はコスト・パフォーマンスがよいことが一目瞭然。住む州によって介護の選択範囲や質が変わってはならない。だから各州はもっと頑張るべきだ――。
しかし、ランキングの下位に並んでいるのは低所得層も高齢者、障害者人口も多い“貧しい”州である。一方ニューヨーク・タイムズの当該記事は、物価も人件費も高い都市部のジレンマに触れている。報告書で指摘された不備の責をすべて州に帰すことが果たして公平な競争原理といえるのだろうか……。
報告書の結論(要約版)はその冒頭で、バラつきの要因として、米国にユニバーサルな介護サービス制度がないことを挙げているのだが、その後は個々の「選択」を保障する重要性を繰り返し説く一方で、「だからユニバーサルな介護提供制度を」とは一度も提案せず、各州の尻を叩き続けて終わってしまう。医療制度改革を巡って、格差の広がりを背景に自己責任論と個人の選択重視で真っ二つの米国世論に、AARPも配慮せざるを得ないのだろうか。
「介護保険情報」2011年11月号 連載「世界の介護と医療の情報を読む」(p.66)
なお、文中のゴチックは、このエントリーで付け加えたものです。
http://www.nytimes.com/2011/12/04/magazine/can-ambien-wake-minimally-conscious.html
カナダのALS患者Gloria Taylorさんの裁判で、Taylorさんの弁護士が「自殺幇助を合法化しなければ、闇の自殺幇助が横行するだけ」と弁論。
http://fullcomment.nationalpost.com/2011/12/02/lorne-gunter-let-me-kill-myself-or-ill-kill-myself/
FENが「GA州法の自殺幇助関連規定は言論の自由を侵す」と訴訟(2010/12/11)の訴訟で、障害当事者らが証言していたらしい。NYDのエントリーに詳細。
http://notdeadyetnewscommentary.blogspot.com/2011/11/georgia-disability-activists-at-supreme.html
大動脈破裂から脳死になった65歳の男性の呼吸器取り外しをめぐって、病院と家族が対立したケースで、病院は「この状態で水分を提供することは違法行為になる」とウソを。
http://www.forbes.com/sites/carolynrosenblatt/2011/12/01/dont-pull-the-plug-a-familys-battle-with-the-hospital/
台湾で新しくできた法律により、人体組織のサンプルは提供者の書面による同意が必要となり、それに伴って何百万という組織サンプルが廃棄されることに。しかし大手の研究機関Academia Sinicaは、そんなことをしたら研究ができなくなると反発している。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9862
近年、米国の白人が大統領特赦で釈放される確率は黒人の4倍になっている、とProPublicaの調査。
http://www.propublica.org/article/shades-of-mercy-presidential-forgiveness-heavily-favors-whites
高齢者のお相手をするロボットの研究開発。Companion for older peopleだって。こういう感覚も高齢者差別の一形態と言えるのでは? なんで高齢者に限って、その相手はロボットなの?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/238617.php
世界的不況で英国の世帯の4分の一が燃料貧困。「燃料貧困」とリヴァプール市の取り組みについては「寒い家」対策はエネルギー節減、温暖化改善、健康格差も改善……BMJに報告された調査(2011/5/19)に。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/dec/01/fuel-poverty-affects-quarter-households?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
米国ケンタッキー州のバプティストの教会が、異人種間の結婚を認めず、そういう夫婦には葬儀以外の協会の行事への参加まで禁止。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/dec/01/kentucky-church-interracial-marriage-ban?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
新潮社、「新潮新書」全作品電子書籍化へ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111203-00000001-it_ebook-sci
http://www.theglobeandmail.com/life/health/end-of-life/supreme-court-asked-to-hear-end-of-life-case/article2254394/
【Rasouli裁判関連エントリー】
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
2011年8月12日の補遺(Rasouli訴訟、最高裁へ)
カナダで死の自己決定権を求めて訴訟を起こしたALS患者のTaylorさんが証言をするわけではないが、どういう人間が起こした訴訟か裁判官に知ってほしいと法廷に。「死にたいわけじゃない。毎日精一杯生きたいと思っている。ただ、苦しみながら尊厳のない死に方をしたくないだけ」と。
http://www.washingtonpost.com/world/americas/canada-woman-pursues-doctor-assisted-suicide-with-plea-before-court/2011/11/30/gIQAInDwEO_story.html
http://www.ctvbc.ctv.ca/servlet/an/local/CTVNews/20111130/bc_gloria_taylor_assisted_suicide_111130/20111130/?hub=BritishColumbiaHome
米国のHIV感染者の内、延命効果のある治療をちゃんと受けることができているのは、わずか28%のみ。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/only-28-percent-of-americans-with-hiv-are-getting-optimal-care/2011/11/29/gIQA1h4I9N_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
ProPublicaが「ウォール・ストリートはとっくに占拠されている」ただし「縁故資本主義で」と2本の記事。:全然読めていないけど、その縁故って例の「0.1%」の密接なつながりも含めて?
http://www.propublica.org/thetrade/item/on-wall-street-some-insiders-express-quiet-outrage
http://www.propublica.org/article/crony-capitalism-hank-paulsons-extraordinary-meeting
英国の公共セクターのストライキ。学校も半日で終わり。救急車スタッフもストライキ。「生死にかかわるケースにはまだ対応しています」と赤字の看板。9分のビデオがあるんだけど、聞きとり能力が低くてちゃんと理解できない。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/nov/30/public-sectors-strike-protest-rookies?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
英国、イランの外交官らを国外追放。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/nov/30/britain-expels-iranian-diplomats-tehran?CMP=EMCNEWEML1355%%__AdditionalEmailAttribute1%%
NYT.フロリダ州が、米国生まれの市民権を持った学生でも、両親が合法移民だと証明できなければ授業料を値上げすることに。
Sins of the Parents: Florida is charging citizens born in the United States higher college tuition if they can’t prove their parents are legal residents.