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どんな子どもでも例外なく良いところがあり、
指導方法によっては誰でも伸びる……という教育理論で
特に学習障害の権威として
Boston子ども病院、Harvard大学病院、さらに
North Carolina大学発達学習研究臨床センターで要職を歴任し
著書はベストセラー、独自理論を学校や教師に指導するNPOも立ち上げて大人気という
高名な小児科医 Dr. Melvin D. Levinが、かつての患者らから
子ども時代に診察室で性的な虐待を受けたとして訴えられている。

この長文のニュース、読めば読むほど唖然としてしまう。

長年にわたって実は苦情も出ていた、病院長への訴えもあった、
裁判になったケースまであったというのに、
病院は親や患者に事情聴取すらせず放置していたということらしく、

これが権威に弱い医学界の隠蔽体質というものか……?

Star Pediatrician Fights Accusations of Sex Abuse
The New York Times, August 6, 2008


今回訴訟を起こしたのは1967年から1985年の間にLevin医師の患者として
診察時に性的虐待を受けた男性5人。

成績不振から学習障害を疑った親に連れて行かれた子どもたちが
親を退出させたり親を入れずに診察室でLevin医師から裸になるように命じられ、
性器を弄ばれた、または夢精があるかと聞かれた、などというもの。

現在68歳で既に現役を引退しているものの
NPOでがっぽり稼いでいるLevin医師は強く否定しているが、

なんと、過去にも、この医師の行くところ、
常に性的虐待の苦情や訴訟が付きまとっていたらしい。
今回の被害者の1人が過去の患者にインタビューを重ねたところ、
かつての男性患者43人が同様の被害に遭ったと認めたとのこと。

病院へ苦情が寄せられたり、
Levin医師が病院を移動する際に院長に手紙を書いて、
次の職場に伝えた方が良いと警告した母親もいたが、
いずれも病院が患者の子どもや親に事情聴取をした形跡はなく、

裁判になったというウワサを聞いた同僚もあったが
立証されずに終わったため、病院が調査することもなかった。

訴訟に加わった男性の1人は
今回のニュースを見て被害者が自分だけではなかったのだと知り、
こんなに長い間放置されてきたことへの怒りから被害を名乗り出たのだという。

それにしても、つくづく嫌らしいなぁ……と感じるのは、
こうした被害者らの声に対して、医師らがLevin医師を庇い立てする声。

曰く、
「子どもの発達を調べるために性器をチェックするのは通常の大事な診察行為であり、
子どもの受け止めや記憶の方に問題があるのだろう」

「Levin先生は平均的な医師より慎重な、より伝統的な診察をされる方だから」

(しかし、性器のチェックは最初の診察1度でよいはずで、
被害者らは複数回診察されているとの反論も。)

また曰く、
「被害内容が同じパターンだから、報道を聞いて話を模倣する者が混じっているのだろう」

一番すごいのが元同僚だという医師いわく、
「Levin医師は何千人という患者を診ており、ほとんどの患者はloyal and gratefulなままである」。

子どもの弱い立場に付け込む小児科医から性的な虐待を受けても、
患者は“忠誠心”を持ち、診ていただく“感謝”から
黙って泣き寝入りするべきだとでもいいのでしょうか。

小児科医は子どもを守る仕事ではないのか?
その職務に対してあなたたちこそloyalであるべきなのでは? 

            ―――――

実はここにもまたDiekema医師が顔を出し、
米国小児科学会生命倫理委員会の委員長としてコメントしているのですが、
2箇所で引用されていて、

「一人の小児科医が現役で仕事をしている間にこうした苦情を受ける平均的な件数は
そういう苦情は証明されない限り表沙汰にならないのが通例なので分かりにくいです。
 しかし、私の経験では3件やそれ以上というのは平均を超えていますね」

「私から見ると、最も気になるのは
子どもたちが親のいないところで診察されていることです。
この点、われわれが通常推奨していることから外れています。
特に、それまでにも苦情があったとすれば」

なんだかAshley事件で名が売れて、
すっかり小児科生命倫理の顔になられたようですが、

「性的虐待があったという苦情も証明されなければ表ざたにならないのが通例」という認識には
なるほど、やはりそういう隠蔽体質についてはご存知でしたか……という感じ。

そして、このニュースに見られるように、
小児科医として患者を守る責務遂行よりも権威に弱い体質もね。

Ashley事件を振り返ると、
この人、こんなしたり顔で他人のことを云々する資格があるのかいな……と思う。



ちなみにLevin医師と彼のNPOについては
以下の論文で言及されていました。

学校ケースメソッドの理論
安藤輝次(奈良教育大学)
2008.08.08 / Top↑
6日に以下の掲示板(英語)で
「知的障害のある子どもに成長抑制は最善の選択か?」とのトピックが立てられました。


8日午前0時半の段階で書き込みは5本。

これまでの論争でも出てきた典型的な意見ばかりですが、
この問題への興味関心はまだ続いていますね。
2008.08.08 / Top↑