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前々回のエントリーゲイツ氏、今度は世界の外交施策にも口を出すつもり?で紹介したように、

Gates財団はこれまでに
外交問題評議会(2003)とJohns Hopkins 大学(2006)、Washington大(2007)に
巨額の資金援助を行って医療・外交関連の研究助成プログラムや研究所を創設してきていますが、

上記エントリーで同じく取り上げた論文末尾の参考文献の中に
それらとはまた別の、Gates財団出資のグローバル・ヘルス関連プログラムを見つけました。


Gates財団が2003年に4億5000万ドルを投じて作った研究助成プログラムで
米国国立衛生研究所やカナダの衛生研究所とも連携しているようです。
特に貧困国の保健医療問題の解決に向け、
ワクチン開発、害虫駆除、栄養改善など14の課題を設定して
それらの改善に意欲的な研究に助成するもの。

2007年10月には
さらに1億ドルを投じて、そのプログラムを拡大・刷新。

その際のプレスリリースはこちら (October 9, 2007)

そして、このGrand Challenges in Global Healthの中に
ワシントン大学IHMEの所長であるChristopher Murrayが筆頭研究者を務めるプロジェクトもあります。


こちらは貧困国の人々の保健医療に関するデータを収集し
科学的エビデンスに基づいて標準化できる分析方法を見つけ出すのが目的。

このプロジェクトでは
インドで2箇所、フィリピンとタンザニアで1箇所ずつ
データ収集のためのフィールドスタディに向けて計画が進行中だとのこと。
当たり前のことですが、それぞれ現地の研究機関が協力しています。

       ――――――――――

1つずつのプロジェクトがおかしいと思うわけじゃない。
きっと、いずれも大きな意味のある研究なのだろうとは思う。

ただ、こうして世界中の研究機関にGates財団のお金がどれほど流れているのだろうと、
想像すらつかないなりに思いを巡らせてみた時に、どうしても考えてしまうのは、

Johns Hopkins 大学のGlobal Health and Foreign Policy Initiativeのサイトに書かれていた
ゲイツ財団からの寛大な資金提供をいただいたお陰で」という文言──。

あれと同じような文言が世界中のどれほど多くの
科学・医療その他の研究機関のHPに書かれているのだろう。

そういうHPを持つ研究機関では、
本当に研究機関としての独立性が守れるものなんだろうか。

財団とはいえ一組の夫婦の持つ莫大な資金が、夫婦の価値観をその上に乗せて
世界中の科学・医学・政治研究を動かしていくということは、
仮にそれが善意からであったとしても、危ういことではないんだろうか。

Ashleyの父親が思いついた“Ashley療法”を
トランスヒューマニスティックな価値観を持つと思われる彼自身は
徹頭徹尾、本当にAshley本人のためだと信じ込んでいるように。

そして病院がshley父の求めを拒まなかったのは、もしかしたら
彼がMicrosoftの役員であるために働いた政治的配慮だったかもしれないように。
2008.08.28 / Top↑