日本人男性がインド女性に代理出産で生んでもらった子どもが
出国できなくなっている問題が話題になっていますが、
出国できなくなっている問題が話題になっていますが、
しばらく前にGuardianがインドの生殖医療ツーリズムの詳細を報じていたので。
冒頭で紹介されるのはドイツ人女性Ekaterina Aleksandroyaさん(42)。
経営コンサルタントとして世界中を飛び回っている彼女は
独身女性にもIVFを認めるリベラルな国だと考えて2004年に英国に移住。
3年間大変な費用をかけて妊娠を目指したものの、失敗。
経営コンサルタントとして世界中を飛び回っている彼女は
独身女性にもIVFを認めるリベラルな国だと考えて2004年に英国に移住。
3年間大変な費用をかけて妊娠を目指したものの、失敗。
そこであれこれ調べた末に思い切って昨年末にインドに行ってチャレンジし
今年9月に念願の母親になる。
今年9月に念願の母親になる。
もちろんおなかの子どもと遺伝上のつながりは皆無。
精子はオンラインでカタログから選んだデンマーク人男性のもの。
購入すれば直接インドのクリニックに送ってくれた。
送料込みで800ポンド。
卵子はインド女性のもので詳細は不明。
女性には500ポンドが支払われたという。
精子はオンラインでカタログから選んだデンマーク人男性のもの。
購入すれば直接インドのクリニックに送ってくれた。
送料込みで800ポンド。
卵子はインド女性のもので詳細は不明。
女性には500ポンドが支払われたという。
そもそもインドは体外受精では先進国なのだそうで
1978年に英国で世界初の試験管ベビー、ルイーズ・ブラウンちゃんが生まれたが
実はその67日後に世界で2人目の試験管ベビーが生まれたのはインドだったという。
1978年に英国で世界初の試験管ベビー、ルイーズ・ブラウンちゃんが生まれたが
実はその67日後に世界で2人目の試験管ベビーが生まれたのはインドだったという。
英国はルイーズ・ブラウンの誕生後、30年間をかけて
倫理問題と技術使用に関して法とシステムを整備してきた。
ハイリスクの多胎児を防ぐために子宮に戻す受精卵の数にも制限がある。
卵子は常に不足していて高価だ。
倫理問題と技術使用に関して法とシステムを整備してきた。
ハイリスクの多胎児を防ぐために子宮に戻す受精卵の数にも制限がある。
卵子は常に不足していて高価だ。
それに対してインドは生殖補助医療を縛る法律がなく、
形だけのガイドラインはあっても実態は市場主義。つまり、野放し。
形だけのガイドラインはあっても実態は市場主義。つまり、野放し。
患者の年齢も人種も肌の色も問題にならない。
英国のように生まれた子どもが18になったら遺伝上の親を知る権利があるなどと
面倒くさいことも言わず、ドナーのプライバシーは守られる。
それに何より、同じ医療が英国よりもはるかに安価に受けられる。
英国のように生まれた子どもが18になったら遺伝上の親を知る権利があるなどと
面倒くさいことも言わず、ドナーのプライバシーは守られる。
それに何より、同じ医療が英国よりもはるかに安価に受けられる。
インドの生殖医療専門医の一人Aniruddha Malpani医師は
「金を払う人に決定権がある」だけのこと、それが患者の権利だ、と。
「金を払う人に決定権がある」だけのこと、それが患者の権利だ、と。
また、自分の患者は「生殖難民」であり、
求めている医療を受けられないのはdisempowered(エンパワーの反対)されているのだ、
一夜の関係で子どもを産む女性に父親のことなど誰も尋ねないのに
どうして精子のドナー情報を明かす必要があるものか、とも。
求めている医療を受けられないのはdisempowered(エンパワーの反対)されているのだ、
一夜の関係で子どもを産む女性に父親のことなど誰も尋ねないのに
どうして精子のドナー情報を明かす必要があるものか、とも。
しかし、インドで英米よりもはるかにやすく卵子が買えるのは
貧しくて教育を受けていない女性がリスクの説明もないまま体よく搾取されているからで、
彼女たちには効率よい卵子の採取のために通常の何倍ものホルモンが投与されている恐れも。
貧しくて教育を受けていない女性がリスクの説明もないまま体よく搾取されているからで、
彼女たちには効率よい卵子の採取のために通常の何倍ものホルモンが投与されている恐れも。
――――――
前にちょっとインドの医療ツーリズムを調べてみたことがあるのですが、
医療ツーリズムが2012年には23億ドル産業に成長すると見込む政府が
民間医療サービスへの助成にも力を入れていることもあり、大繁盛。
民間医療サービスへの助成にも力を入れていることもあり、大繁盛。
インドの他にもタイ、シンガポール、フィリピン、マレーシア、トルコ、ドイツ、
ハンガリー、ラトビア、コスタリカ、キューバ、レバノン……などが参入。
国によって得意分野があるようだけど、
治療費は欧米の3分の1から10分の1。
それでも人件費が安いから手厚い医療と看護が受けられる。
ハンガリー、ラトビア、コスタリカ、キューバ、レバノン……などが参入。
国によって得意分野があるようだけど、
治療費は欧米の3分の1から10分の1。
それでも人件費が安いから手厚い医療と看護が受けられる。
なにしろ「お客様」として大事にしてもらえるのだから、
医師も看護師も足りない崩壊医療、効率医療、高飛車医療が当たり前になっている患者から
「こんなに甘やかしてもらったのは人生で初めて」という感想が出てくるのも
そりゃ、当たり前というものでしょう。
医師も看護師も足りない崩壊医療、効率医療、高飛車医療が当たり前になっている患者から
「こんなに甘やかしてもらったのは人生で初めて」という感想が出てくるのも
そりゃ、当たり前というものでしょう。
もっとも、アフターケアや医療過誤の際の対応など、
不安材料が全くないわけではないし、
そもそも、それぞれ自国の医療が崩壊しているのが問題で、
華やかな医療ツーリズムが云々される陰で、
海外で暢気に病気治療なんかしていられない人たちこそ
自国の医療でも阻害されているはずなのであり。
不安材料が全くないわけではないし、
そもそも、それぞれ自国の医療が崩壊しているのが問題で、
華やかな医療ツーリズムが云々される陰で、
海外で暢気に病気治療なんかしていられない人たちこそ
自国の医療でも阻害されているはずなのであり。
それは格差が拡大する一方のインドだって同じことで、
基本的な医療を受けることも出来ずに、ただの下痢で死んでいく人は
年間60万人とも言われる。
基本的な医療を受けることも出来ずに、ただの下痢で死んでいく人は
年間60万人とも言われる。
国からの補助金に守られた米国の農作物との国際競争が激化する一方の農村部では
インドの農夫たちの自殺が相次いでいて、
2003年には17000人以上の農夫が自殺。
その後も続いている。
先日のWTOの決裂のニュースの時、この話を思い出して
これからも続くんだろうなぁ、と思った。
インドの農夫たちの自殺が相次いでいて、
2003年には17000人以上の農夫が自殺。
その後も続いている。
先日のWTOの決裂のニュースの時、この話を思い出して
これからも続くんだろうなぁ、と思った。
なんだか、あっちを向いてもこっちを向いても、
起こっていることは同じパターンばっかりだ。
起こっていることは同じパターンばっかりだ。
2008.08.12 / Top↑
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