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11月12、13日に開催されたシカゴ大学での臨床医療倫理カンファで、Norman Fostが「新生児スクリーニングの将来」と題したプレゼン。グローバル・ヘルスが大きなテーマのカンファらしいことからしても、Fostが説く「将来」とは、Gates財団が力を入れるGAPPのパートナーの1つであるMarch of Dimesのスクリーニング理念の優生思想につながる内容であろうと想像される。:Peter Singerの名前があって、ぎょっとしたのだけど、カナダ、トロント大学の生命倫理センターの所長さんがPeter Singerという名前のお医者さんだった。
http://www.molecularstation.com/science-news/2010/11/annual-medical-ethics-conference-focuses-on-health-disparities/

12月3日は英国のCarers UKが定めた「介護者の権利の日」。
http://www.wolverhampton.gov.uk/council/news/2010/november/151110a.htm

米国の保険会社大手のMetLifeがこれ以上の介護保険の販売停止を決めた。保険料が上がり過ぎ、その割に保障が小さく、商品としての魅力がなくなったために、要するに商売として成り立たないということみたい。:だから、社会保障は競争原理では成り立たないということなのでは? 日本の介護保険でも、いつのまにか“Pay as you go”なんて、いかにも胡散臭いスローガンが使いまわされ始めているけど……?
http://www.businessweek.com/news/2010-11-11/metlife-halts-sale-of-new-long-term-care-insurance.html

USATodayが「この不況化で始まるブーマー世代の高齢化」特集。
http://www.usatoday.com/news/nation/2010-11-14-baby-boomers-turn-65_N.htm?csp=DailyBriefing

英国政府が打ち出した生活保護の打ち切り路線に対応する施策として、なんと障害者や障害児の母親など長時間勤務ができにくい人向けに、4時間くらいの短時間勤務の形態を普及させよう、と。:これ、派遣切りより過酷かも。
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/nov/14/welfare-reform-working-slivers-of-time?CMP=EMCGT_151110&

インドで死んでいる年間150万人の子どもたちの死因は下痢とか肺炎など、母子医療やワクチンで予防可能な原因によるものだ、との調査結果。いや、ワクチンでなくとも、政府が医療ツーリズムに投入している予算のいくらかを自国民の普通の医療に振り向ける方が先なんじゃないでしょうか?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/207609.php

ブッシュ前大統領が出版した回想録に、あちこちの他人の著書から取ってきたエピソードがあると指摘されている。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/nov/14/george-bush-accused-borrowing-memoirs?CMP=EMCGT_151110&
2010.11.15 / Top↑
自殺幇助合法化の“すべり坂”のエビデンス云々という議論については
10月20日のエントリーでちょっと触れましたが、

2007年にJournal of Medical Ethicsに、オレゴンとオランダの実態調査を分析した結果、
“弱者”に特に悪影響が出るというエビデンスはない、と結論する論文があったようです。

アブストラクトは以下から読めます。

Legal physician-assisted dying in Oregon and the Netherlands: evidence concerning the impact on patients in “vulnerable” groups
Margaret P Battin, Agnes Van der Heide, Linda Ganzini, Gerrit va der Wal, Gregje D Onwuteaka-Philipsen
Journal of Medical Ehitcs, 2007


この度、同じジャーナルに、英国のFinlay上院議員らが
上記Battinらの論文の分析手法を検証し、その結論に疑義を呈する論文を発表しています。

また、Battinらの論文以降に出てきた研究によっても
むしろOregonではウツ状態の患者がチェックから漏れた可能性があると指摘。

Legal physician-assisted suicide in Oregon and The Netherlands: evidence concerning the impact on patients in vulnerable groups – another perspective on Oregon’s data
IG Finlay, R George,
Journal of Medical Ethics, November 11, 2010

アブストラクトは以下。

Battin et al examined data on deaths from physician-assisted suicide (PAS) in Oregon and on PAS and voluntary euthanasia (VE) in The Netherlands. This paper reviews the methodology used in their examination and questions the conclusions drawn from it―namely, that there is for the most part ‘no evidence of heightened risk’ to vulnerable people from the legalisation of PAS or VE. This critique focuses on the evidence about PAS in Oregon. It suggests that vulnerability to PAS cannot be categorised simply by reference to race, gender or other socioeconomic status and that the impetus to seek PAS derives from factors, including emotional state, reactions to loss, personality type and situation and possibly to PAS contagion, all factors that apply across the social spectrum. It also argues, on the basis of official reports from the Oregon Health Department on the working of the Oregon Death with Dignity Act since 2008, that, contrary to the conclusions drawn by Battin et al, the highest resort to PAS in Oregon is among the elderly and, on the basis of research published since Battin et al reported, that there is reason to believe that some terminally ill patients in Oregon are taking their own lives with lethal drugs supplied by doctors despite having had depression at the time when they were assessed and cleared for PAS.



ついでに、この論文の周辺を検索していたら出てきたのが以下の論文。こちら全文が読めます。

Physician-Assisted Dying
Robert E. Enck,
American Journal of Hospice and Palliative Medicine, 2010 27:441

先日カナダ医師会雑誌に掲載されたベルギーの実態調査の要点について
まとめてある他、上記Battinらの論文についても言及しています。


そういえば、先日、某シンポの若手研究者のプレゼンで、
このベルギーの報告書から1つのデータだけが引っ張られて、
ベルギーでは“すべり坂”が起こっていないエビデンスとされていた。
ネットで見る限り、この報告書はむしろ“すべり坂”が起きているエビデンスだと
捉えている人が多い印象だったので、ちょっと、びっくりした。


【Baroness Finlay(Baroness は女性議員の称号と思われます)関連エントリー】
英国医師会、自殺幇助に関する法改正支持動議を否決(2009/7/2)
BMJの副編が「生きたい障害者が死にたい病人のジャマするな」(2009/9/6)
Campbellさん率いる障害者団体連合が自殺幇助ガイドラインを批判(2009/12/22)
Warnock, Finlay, Purdy他が自殺幇助で円卓討論(2010/1/31)
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61950037.html「PAS合法化なら年1000人が死ぬことに」と、英シンクタンクが報告書 ](2010/10/26)
2010.11.15 / Top↑
Dr. Nitschkeの自殺幇助テレビCMの放送が、NZで承認されたそうな。:ったく……。
http://www.lifesitenews.com/ldn/2010/nov/10111205.html

第2次大戦後、米国はナチスの犯罪者をかくまっていたとの秘密文書?
http://www.nytimes.com/2010/11/14/us/14nazis.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=a2

07年に米国人口の1%に当たるスーパーリッチの収入は、米国国民の収入総額の23.5%を占めていた(1976年には9%だった)という。毎年、広がる格差の中、先日の中間選挙の敗北で、Obama大統領はさらなる譲歩を迫られている。手前勝手な振る舞いをするスーパーリッチを止めることができるのは一体だれか?:かつて天安門事件の際に戦車の前に活動家が立ちはだかったシーンそのままに、戦車がリムジンに置きかえられたイラストが面白い。
http://www.nytimes.com/2010/11/14/opinion/14rich.html?nl=todaysheadlines&emc=a212

NYの静かな通りで、自転車の4歳児と5歳児が、歩行器を使って歩いていた87歳の女性をはねて、救急車で病院に運ばれ治療を要する怪我を負わせた。女性は3カ月後に事故とは無関係な原因で死亡したが、遺族が子どもたちと、その場にいた子どもたちの母親2人を訴えた。州最高裁は、4歳という年齢は被告とするに可能と判断。the NY Law Journalは子どもたちの実名を掲載した。その後の報道にも実名が使われ、中には女性が事故で死んだかのように書いたものもあるらしい。:子どもたちの実名報道がどうのこうの以前に、自転車に乗れるようになった子どもたちが、体の不自由な人が歩いていたら配慮しなければならないという意識をもっていなかったこと、そんな当たり前のことすら親に教えられていないことに唖然。
http://www.nytimes.com/2010/11/14/opinion/14pubed.html?nl=todaysheadlines&emc=a212

我が子がいじめられることを案じる親は多くとも、我が子がいじめる方に回っていることを案じる親は少ない。もしも我が子がいじめっ子だとわかったら? まずは落ち着いて、パニックせず、家で、地域で、大人がやっていることのマネをしているのでは? と我が身を省みましょう。子どもの言い訳を許さず、敬意をもって他者を遇するとはどういうことか、繰り返し教えましょう。:敬意をもって他者を遇する……ということができない大人が増えているのは確か。自分が相手にどのように遇されるか、ということしか頭にない感じの人が。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/207791.php
2010.11.15 / Top↑