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“Ashley療法”および成長抑制療法の一般化について
Ashley父やDiekemaやFostらは「親の愛」vs「政治利用のため邪魔立てする障害者運動」という
対立の構図で議論を単純化し、世論を誘導しようとしているけれど、実際には
重症児の親がすべて「愛情から成長抑制をやりたい」といっているわけではなく、
多くの重症児の親がブログで批判を展開している。

中でも、当ブログでも何度か紹介したClair Royさんが去年、
もともとのブログの他に成長抑制反対に焦点化して立ち上げたブログ
No More Ashley X’s:Say NO to Growth Attenuationは
批判的な立場に立つ重症児の親たちが集う場となっている。

そのClairさんのずっと前からのブログ友Erikaさんが、この度、
自身のブログで初めて長い成長抑制批判のエントリーを書いた。

A long post in which I don’t discuss mucus but talk about Izzy and growth attenuation
The flight of our Hummingbird, January 5, 2011


特に印象的だった後半の一部を、以下に。

Ashleyの両親が娘の体にこんなに思い切った決断をするに至った
懸念や不安は理解できる。けれど、気持ちはわかるにしても、
自分が我が娘に同じ決断をすることなんて想像もできない。考えただけでゾッとする。

Izzyの背がどこまで伸びるのかを考えると、ちょっと不安にはなるけれど、
同時に大人として芽吹いていく彼女の美しさを目のあたりにすることは、
私を誇りと喜びで満たしてもくれる。

細長い身体や、桃色がかった乳白色の肌や、きらきらとした青い目を見ると、
ああ、父親のPhilそのものだ、と私は思う。
Izzyを見ると、娘が父親の一部を受け継ぎ、母親の一部を受け継ぎつつ、
彼女はIzzyという一人の人なのだと思う。

私の娘だけれど、私の所有物ではない。

私は恐らく生きている限り、
娘に代わって意思決定をし続けるだろうけれど、
私の意思決定はいつも娘を尊重し、
自分の身体に対する娘の権利を尊重するものであり続けるだろう。

成長抑制に対する私の反対は、
基本的な人権の侵害に対する知的レベルの反対であると同時に、
もっと深く本能的なレベルで間違っていると感じてもいる。

私が決して娘に成長抑制をやらないのは、
経管栄養に完全依存している娘は使うことがないからといって、
歯を抜いてしまわないのと同じだし、
絶対に娘の子宮を摘出しないのは、
歩けるようにはならないからといって脚を切ってしまわないのと同じ。

娘の髪を短く刈り込んだほうが私自身の毎日が楽になるからといって、
その愛らしくカールした髪を切り落そうとは思わないように、
娘の乳房を摘出することも決してない。

成長抑制が
介護に付き物の汚物(エントリーの前半で触れられている)をなくしてくれるわけでも、
娘のけいれん発作や身体機能を改善してくれるわけでもない。、
いったい娘にとってどういう利益になるというのだろう。

重症障害のある女児の性的成熟を阻害することが
直接的にQOLの向上に結び付くとは私には思えない。

本人のQOLのためというよりも、むしろ
身体的にも知的にも遅れのある人に第二次性徴が起こることを
不釣り合いだと感じる人たちの不快感を軽減するもの。

Ashleyの両親の決断にも、この不快感が関係したのでは?
重症障害のある子どもの親としての役割は喜んで引き受けたけれども、
障害のある成人の親にはなりたくなかったのでは? 

ピロウ・エンジェルたちには乳房も生理もない。

我が子の障害を心から受け入れることはたやすくはないけれど、
私は娘の体に手を加えるよりは、私自身の頭や心を変容させていくことを選ぶ。
(ゴチックはspitzibara)




女性へと芽吹いていく時の我が娘の美しさについては、
09年にClairさんが書いた優れたエントリーがあり、
不思議な透明感のあったその時期のミュウの美しさについて
私自身の体験も一緒に、以下のエントリーに書いています。

「一筆ずつ描かれていく絵のように子は成長する」成長抑制批判(2009/7/23)

また、Erikaさんが指摘している
障害児の二次性徴に対して周囲が感じる不快感の軽減なのでは、という点については
Ashleyの父親の発言のみならず、FostやDvorsky、Hugesらの発言についても、
以下の2つのエントリーで07年に指摘しており、
私もErikaさんにまったく同感。

「グロテスク」論は成り立たないが……(2007/8/15)
巨乳がイヤだっただけ?(2007/10/3)

「じゃぁ、歩けるようにならないからと言って脚を切断するのか」という批判に対して
Diekemaらは去年のAJOBの論文で、脚を切断するのは誰から見てもグロテスクだから
そんなことは論外だと突っぱねており、歯を抜くことや髪を刈り込むことについても
彼らは同じ論法で反論するのだろうと思われますが、

上記07年8月のエントリーで指摘したように
「中身と外見のギャップがグロテスクだから」という理由で成長抑制した結果、
外見は年齢相応に老いていくのに身長だけは人為的に低いままに留められた人では
今度は年齢相応の外見と身長の新たなギャップが生じて
彼らが言うところの「中身とのギャップ」は解消されないばかりか
むしろ大きくしてしまうことの矛盾がそこにはあるように思います。

結局のところ、こういうショービニスティックなオッサン感覚を背景に
こねくり回される「本人の最善の利益」論は、
一見もっともらしい「理性的な反応」であるかのような体裁の陰で
実のところコテコテ・無反省の「感覚的な反応」に過ぎないのではないか、
というのが私自身の考えです。


ちなみに、
重症障害のある人だけが人為的にそうしたギャップを作られることで
重症障害のスティグマが新たに作られ、道徳上の害が生じる、との批判は
Quellette論文他から出ています。
2011.01.11 / Top↑
Task Force on Euthanasia and Assisted Suicideが、2011年1月をもって名称変更。新しい名称は、Patients Rights Council。安楽死とPASだけにとどまらず、栄養と水分の停止、無益な治療論や代理決定など、終末期全般を関心事とし運動してきたことを踏まえて。
http://www.internationaltaskforce.org/

モンタナ州で、高齢患者への家族からの虐待ケースをいっぱい見てきた内科医が、金銭動機の虐待が非常に多いので、自殺幇助が合法化されたら金目当ての家族に自殺希望へと追い込まれる高齢者が出ることは間違いないと、Greg Hinkle議員の自殺幇助禁止法案を支持。
http://billingsgazette.com/news/opinion/mailbag/article_be1090f3-3ce5-507b-85af-04868715a927.html

緊縮財政で社会保障を軒並みカットしている英国の連立政権は、DFID(the Department for International Development)の予算だけは、特にマラリアと母子保健へのイニシアチブを中心に、これまでの年額78億ポンドから115億ポンドに増額するそうな。Lancetに。:マラリアと母子保健とくれば、ゲイツ財団のグローバル・ヘルスにおける最重要テーマ。Lancet誌は同財団の仲良しパートナー。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2960002-0/fulltext?elsca1=TL-070110&elsca2=email&elsca3=segment

イリノイ州、財政立て直しのため所得税を75%アップ。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/01/07/AR2011010705834.html?wpisrc=nl_cuzhead

ガン患者の介護者の4割がウツ病に。:日本では、介護者の権利章典が介護の領域よりもガン医療の領域の方で早く広まったみたいだった。
http://www.nursingtimes.net/nursing-practice/clinical-specialisms/mental-health/cancer-patient-carer-depression-risk/5023719.article

アリゾナ州Tucsonの22歳男性による銃乱射事件で、ターゲットはGabrielle Giffords議員だったのでは、と。18人が死傷。死亡はアリゾナ州の連邦裁判所の主任判事。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/01/08/AR2011010802422.html?wpisrc=nl_cuzhead
http://www.nytimes.com/2011/01/09/us/09judge.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23

豪のGillard総理大臣の選挙公約の一つは高齢者ケア改革。2011が、その改革の年になるか?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/213062.php
2011.01.11 / Top↑