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7歳のSouth Dakotaの少女 Samantha Shawさん。

耳が突き出ていることがイジメの原因になることを心配して
母親が外耳の形を整える手術をさせたという。

ABCのGood Morning Americaに母親が出て、
イジメの予防手段として手術をした、と語った。

「だって子どもは意地悪ですよ。
子どもってそういうものなんだから」

執刀医もABCに対して
「術後の耳はきれいですよ!」

Bullying Pushes 7-year Old To Opt For Plastic Surgery On Her Ears
MNT, April 16, 2011


こちらの記事にABCニュースの映像がありました ↓

Mom approves 7-year-old for plastic surgery to pi back ears to avoid schoolyard bullying
Daily News, April 14, 2011


この映像によると、たしかにSamanthaの耳は左右の形が多少違っているのだけど、
いわゆる「ダンボ耳」の有名人ならいくらでもいる、とここに出てくる
オバマ大統領やウィル・スミスなに比べれば、ごく小さい。

なによりも、これが重大なところなんだけれど、
Samanthaがこれまで実際にイジメにあったという事実はないのです。

それを記者から指摘されて母親が言うには、まだ小さい時にSamanthaの前で
「あらまぁ、あの子の耳はどうしたのかしら。みっともないわね」と言った人がいたから
今後、この子をイジメる子どもが必ず出てくる、と。

なるほど、そういう文脈での「子どもは意地悪なものだから」なんですね。

子どもの身体について他人が無責任に口にすることを
いちいち親がそういうふうに受け止めて騒いで、いったいどーするんだ?


このビデオの中で、私がおぞましいと感じるのは、
(聞き取り能力は低いし一度見ただけなので、細部は違っているかもしれませんが)

① Samanthaの耳について
「こういう障害を持っている子どもは一定の割合いる」と
「障害」という言葉が使われていること。

じゃぁ、
団子っ鼻も、脚が短いのも、目が小さいのも、そばかすも、赤毛も、
みんな、み~んな「障害」なんですか?

② それから、執刀したニューヨークの整形外科医が
それでイジメが避けられるなら手術をすればいいと平然と語っていること。

③ さらに、この話題の最後に
取材した女性記者が否定的なトーンで語っているのを受けて
男性キャスターが「でも一番大切なのは、Samantha自身が喜んでいることですね。
ハッピーな笑顔ですからね。良かったですね」と締めくくっていること。


あんたらね、この母親も、医師も、キャスターも、みんな、おかしいよっ。

そもそも、仮に「耳がヘンだ」と言っていじめる子どもがいるとしたら
そういう子は、耳が変じゃなければ別のことを理由にするだけなんだから、
こんなの、全然、イジメの予防にも何にもならない。

それに、誰よりもSamanthaの耳を「変だ」と思っていたのは
この場合、あなたですよね、おかあさん?

母親であるあなた自身が、娘の耳にコンプレックスを持っていただけじゃないんですか?
母親の中にあるコンプレックスは当然、娘にコンプレックスを植え付けるでしょうよ。
だから娘は手術を望んでいるフリをしたり、整形した後の耳を喜んだりしたでしょうよ。


こういう親は、娘が成長して、そろそろ親から自立していこうとする頃に、
またぞろ何か娘がコンプレックスを感じるように仕向けていくんじゃないかな。
そうして、また「娘を守るために」親の愛という名の支配によって
娘の身体に向けてコントロールの手段を行使しようとするんじゃないのかな。


これ、ある意味、“Ashley療法”の別ヴァージョン、
それも、より深く病んだヴァージョンかもしれない。

米国社会は病んでいる、と思う。
しかも、どんどん重症になっていく――。



2011.04.16 / Top↑
ゲイツ財団が何をやっているのか、について
「慈善ってな、いろんな衣をまとってやってくるんだよ」というタイトルのチョー面白い記事がある。

07年のAshley事件からゲイツ財団の動きを追いかけてきて(詳細は「ゲイツ財団とWA・IHME」の書庫に)
私は、ここに書かれていることは真実だと思う。

Philanthropy can come in various garbs
By K.P. Prabhakaran Nair
Express, April 10, 2011


この記事を読むに当たっては、ちょっとばかり予備知識が必要になるかもしれないので、
当ブログが拾って来たところから以下に簡単にまとめてみる。

まず、ゲイツ夫妻は去年5月にインドを訪問した。そして
ビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書を交わしたり
なんとBiharでも特に貧しい村を“養子”にした。

そして今年も、ゲイツ夫妻は先月インドを訪問。
それについては3月23日の補遺、
25日の補遺、28日の補遺、29日の補遺で
あれこれの話題を拾っているけど、今回も重点訪問地はBihar州だった模様。

ゲイツ氏が行ったからには出てくるのは、もちろんワクチン推進の話で、
23日にBiharなど5州にPentvalent5価ワクチン導入に1億1000万ドルを約束。
もちろんPentvalentの製造販売元はゲイツ氏が株主であるMerk社。

で、上記リンクの記事によると、ワクチンのほかにも
Bihar州でゲイツ氏がブチ上げた大きな新企画がもう一つあったらしい。

それは the Borlaug Institute for South Asia なる組織の立ち上げ。

Borlangとは、1940年代から60年代にかけて行われた
農作物の品種改良運動(グリーン・レボリューション)を主導した農学者で
ノーベル平和賞を受賞したNorman Borlangのこと。

グリーン・レボリューションについては
こちらの日本語の解説が非常に的を突いていて、
Borlang博士は品種改良で貧困国の農業を改良しようとしたのだろうけれど、
そこに多国籍企業がわらわらと寄ってたかって暴利をむさぼったものだから、
結局は途上国の土壌を荒廃させ、貧富の格差を招いて失敗した。

グリーン・レボリューションによる化学物質の多用は
現地で癌患者の多発を招いたそうな。植物の多様性も失われたそうな。

上記記事の著者Nair氏によると(Wikipediaによっても)
メキシコで品種改良が成功した後それをフィリピンに持っていったのは
ロックフェラー財団だったそうな。

ロックフェラーが50年前にやったことを
今度はゲイツ財団がインドでやろうとしている、とNair氏は言う。

もちろん50年間に科学とテクノは進歩したのだから、
今度の品種改良は遺伝子組み換え技術(GM)で作ったタネを使う。

どうやらゲイツ財団は既にアフリカでGM農業改革をやってきているらしい。

アフリカのグリーン・レボリューション同盟(AGRA)に2億6400万ドルを出しているし、
ゲイツ財団がケニアに提供している資金の8割はバイオテク研究に使われており、
08年にはその中の2~3割がGMタネの推進と開発に注ぎ込まれている。

だから、それを今度はアジアに広げていこうという腹積もりなのだろう。

なるほど、もう推進体制はガッチリ固められているのだな、と思われることに
米国の国際開発支援を担当するUSAID(US Aid for International Development)のトップは
インド生まれのアメリカ人で、なんと、元ゲイツ財団の職員だそうな。

08年にインドの首相が渡米して友好協定に調印した際には
農業改革キャンペーン”Knowledge Initiative in Agriculture”が関与しており、
そのトップは、前大統領のBushジュニア。

またインドの農業研究カウンシルの前のトップが
今やフィリピンのマニラで国際コメ研究所の所長に雇われている。
そこの方針や予算は米国主導の国際農業研究顧問グループ(CGIAR)が握っている。

つまり、
ゲイツ財団と米政府とでアジアの農業を好きなようにできる
政治的な環境整備がちゃ~んと出来ちゃっている、ということですね。

もちろん両者とも、ただの善意のわけないでしょー。

Nair氏の記事は後半では
ワクチン問題を中心にゲイツ財団とWHOの関係についても
当ブログが書いてきたことにぴったりと重なる鋭い指摘をしている。

ゲイツ財団がカネを通じて
国際機関や医療系の研究所に影響力を行使していることによって、
科学者から多様な意見が出なくなり、国際機関の方針決定のプロセスにも影響して
意思決定プロセスが閉鎖的なものとなって透明性を失っている、と。

今年1月、
平等な医療を訴える草の根団体 the People’s Health MomentがWHOに提出した要望書で、
イノベーションや知的財産権、国連のミレニアム・ゴールと同時に、
WHOの、ゲイツ財団を中心とした私的な財源への依存体質が問題視されているそうだ。

そうした依存がひいてはWHOの
薬物、診断技術その他のテクノロジーによる簡単解決への傾斜を招き、
健康に対する社会要因への対応資金は大きく削られることとなった
そして、ワクチン推進への巨大な勢力とも結びついていると、Hair氏は指摘する。

(これは、WHOだけに限ったことではないですね。
世界中をものすごい勢いで席巻していく「科学とテクノで簡単解決文化」そのもの。
同財団のゼニは世界中の科学研究機関にまるで体内を巡る血液のように浸透しているのだから。
社会的要因の軽視は Ashley事件にも、IHME の推進する DALY にも如実に表れています)

なにしろ、100億ドルを出して
「ワクチンの10年」を仕掛けているのはゲイツ財団。

しかし、ここでもゲイツ財団とビッグ・ファーマには妙な動きがあって、

ゲイツ財団が作らせ支援しているthe Advance Market Commitment(AMC)なる組織が
買い上げ、慈善と称して様々な国に届けているワクチンは
グラクソとかファイザーなどビッグ・ファーマの製品で、しかも
欧米市場で売れまくって既にコストが回収できたワクチンなのだという。
慈善の名目で、インドなどの政府は自己負担分を体よく吐きださせられているだけだ、と。

本当にインドのために慈善でやるのなら、
どうしてインド国内でワクチンが製造できるようにさせないのか、と。

(この点は、ゲイツ氏もこの前の訪印で開発や研究者を支援するとは言っていたけど、
仮にインドで開発されようと、ゲイツ財団のひも付きであることには変わらないし、
インドで研究者が育ったら、息のかかった先進国の研究機関に引き抜いていくんだろうし。

それに「ワクチンの10年」て、次々にテンポよく新手を繰り出していくことにウマミがあるわけだから、
新興国の開発技術が先進国のビッグ・ファーマに及ぶわけもないのは分かり切っているし、
むしろ開発技術よりも、その途上の実験場と、開発後のマーケットがほしいのがホンネ。
だからNair氏がいうようにインド国内で製造させたとしても、
問題の本質はもっと根深いところにある、と私は思うな)


ほらね――。

だから、やっぱ、私が睨んだ通り ↓


巨大ファーマがかつてのゼネコンなのだとしたら・・・・・・(2009/9/29)

リスクの“リ”の字もなく“黄金時代”に沸くワクチン開発記事(2009/11/19)
「これからはワクチンが儲かりまっせぇ」の陰には、やっぱりゲイツ財団が……(2009/11/20)
「次世代ワクチン・カンファ」の露骨(2010/5/28)
「必要を作り出すプロセスがショーバイのキモ」時代と「次世代ワクチン・カンファ」(2010/5/29)
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)

ゲイツ財団のメディア・コントロール(2010/10/21)
シアトルこども病院・ワシントン大学とゲイツ財団の密接な関係:グローバルな功利主義・優生主義医療の動き(2011/2/9)
ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)
ゲイツ財団はやっぱりビッグ・ファーマの株主さん(2011/3/28)
2011.04.16 / Top↑
今週日曜日17日夜10:00~11:30、NHK教育のETV特集で「カズオ・イシグロをさがして」。番組内容「イギリスを代表する作家カズオ・イシグロが10年ぶりに来日。単独インタビューで謎めいた素顔に迫る。映画が公開中の小説「わたしを離さないで」が問う命のありようとは」
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2011-04-17&ch=31&eid=31992

【「わたしを離さないで」関連エントリー】
カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」メモ(2011/1/13)
映画「わたしを離さないで」論評2本(カナダ・オーストラリア)(2011/4/8)
Harris「臓器不足排除が最優先」の売買容認論は「わたしを離さないで」にあと一歩(2011/4/8)
「わたしを離さないで」の世界は移植医療に代わる技術開発で回避できるか……という問いを考えてみた(2011/4/11)


09年にいくつかのエントリーで追いかけたカナダのKaylee事件を当時報道していた日本語ニュースを見つけた。「ケイリーちゃん、奇跡の生存」「ケイリーちゃんは奇跡的に自己呼吸を続けたため、移植は中止となった」とさ。:奇跡じゃねぇよ。医師らが障害児への偏見から判断を誤っていただけだよ。
http://www.bitslounge.com/a08_news/canada/c_090417_08.html

【Kaylee事件関連エントリー】
心臓病の子の父に「うちの子の心臓を上げる」と約束してヒーローになった重症児の父、呼吸器はずしても生きるわが子に困惑
Kaylee事件について障害者人権アドボケイトからプレスリリース
What Sorts ブログのKaylee事件エントリー
Kaylee事件から日本の「心臓が足りないぞ」分数を考えた(2009/4/15)
What SortsブログのKaylee事件エントリー(2009/4/15)
「Kaylee事件」と「当事者性」それから「Peter Singer」(2010/11/3)


新生児へのワクチン開発も新たなトレンドらしい。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/222390.php

米国から死刑に使用する薬3種の注文が来ているのだけど、英国政府は輸出を禁止。:この話題、ずっと気になって補遺で追いかけている。これ、一体どういう話なんだろう???
http://www.guardian.co.uk/business/2011/apr/14/britain-bans-export-us-execution-drugs?CMP=EMCGT_150411&

糖尿病の人の血糖値を測るパッチ状の人工すい臓が小規模な研究で有望で、自宅療養での応用も?
http://www.guardian.co.uk/society/2011/apr/14/diabetics-artificial-pancreas-home-trial?CMP=EMCGT_150411&

トゥレット症候群のチック症状に薬物療法でなくても認知行動療法が有効だという調査結果。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/222402.php

世界最長寿の男性114歳で死亡。長寿の秘訣は1日2食だったとか。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/apr/15/world-oldest-man-dies-at-114?CMP=EMCGT_150411&

オーストラリア首都圏で淋病が急増。:ゴキブリが退治できないほど繁殖したレストランの話もあったけど、それはさすがに関係ないか。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/gonorrhea-outbreak-hits-act/2135055.aspx?src=enews

英国のパブでゲイのカップルがキスしていたところ、いかがわしい行為だとして追い出された。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/apr/14/gay-claim-ejected-pub-kissing?CMP=EMCGT_150411&

7年前にGoogleがGmailを始めた時、Bill Gatesはそのカラクリがさっぱり飲みこめなかったとか。:それが一体どうだというのか私にはよく分からないけど、やたらあちこちで話題になっている。
http://techland.time.com/2011/04/14/utterly-clueless-bill-gates-didnt-get-gmail/
2011.04.16 / Top↑
この記事のよると、スイスには
このブログでも取り上げてきたDignitas とExitの他にも
自殺幇助組織が3つあり、その5つでもって
年間350人が自殺幇助を受けているとのこと。

外国人を受け入れているDignitasと違い
Exitはスイスに居住している希望者の幇助を
主としてそれぞれの自宅で行っているが
時には高齢者施設に出向いて幇助している。

そのExit、09年にVaud地区で
ナーシング・ホームでの自殺幇助について世論調査を行った。

そして今回、そのVaud地区の自治体から、
住民投票を行ってナーシング・ホームでの自殺幇助を立法化しようとの動きが出ている。

法案の要件は
重症かつ不治の病にかかっていて
一定期間に何度か死にたいとの望みを表明していて、
自分の状態を現実的に判断できる知的能力があり、
それまでに提案された総合的な(holistic)治療を受けてきたこと.

Vaudの社会-医療機関協会は、この法案について
行き過ぎである、施設側にも発言件があるべきだ、と反発。

とはいえ、施設側が拒否するなら入居前にそれを通知するとか、
希望が出た時に拒否するホームは他の施設を探すとかの条件を付けることは可能で
それが住民投票の論点の一つに。

あるホームのトップは
「こんなことを住民投票で決めるなんて“恥知らず”
高齢者を取り巻いているもっと大きな問題があるというのに。
これでは若い人たちに対して、歳をとったら自殺してもいいんだという
メッセージを送るようなもの」

数年前に、そのホームで自殺幇助を受けた人がいたが
毎日接していたスタッフにも入居者にもトラウマになるほど影響が大きかった、と。

Assisted suicide set to be legalised in Swiss old peoples’ homes
Mail, April 14, 2011
2011.04.16 / Top↑
かねて合法化への支持を表明している作家でアルツハイマー病患者でもある
Terry Pratchettをプレゼンターに起用した自殺幇助のドキュメンタリー番組が
この夏にBBCで放送される。

71歳の英国人ALS患者がDignitasで
毒物を混ぜた液体を自分で飲み、死ぬ様子を撮影したもの。

多方面から、
BBCは「自殺幇助合法化のチアリーダーだ」などの批判が続出している。

BBC accused of being ‘cheerleader for assisted suicide’ after filming man killing himself in Terry Pratchett documentary
Mail, April 15, 2011


つまりBBCは日本のNHKとかACと同じってこと……?



【これまでのPratchette氏の発言に関するエントリー】
作家 Terry Partchett “自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
自殺幇助ガイドラインに、MSの科学者とアルツハイマーの作家それぞれの反応(2009/9/23)
作家 Pratchette氏「自殺幇助を個別に検討・承認する委員会を」(2010/2/2)
Pratchett氏の「自殺幇助委員会」提言にアルツハイマー病協会からコメント(2010/2/3)

【BBCへの疑惑エントリー】
BBC「世論は慈悲殺を支持」の怪 (2010/2/1)
「BBCは公金を使って安楽死を推進している」と議員らが批判(2010/2/5)
自殺幇助に関する偏向報道で、BBCチェアマンに大物議員が会談申し入れ(2010/2/23)
幇助合法化を訴えて自殺した健康な夫婦の続報を新たな事件のように書くBBCの怪(2010/4/1)
2011.04.16 / Top↑