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補遺でずっと追いかけているカナダのFarewell Foundationの集団訴訟を、裁判所が却下。ものすごい数のニュースが出ていて、それなりに衝撃を伴って流れている様子なのだけど、ただ「匿名の原告を含む集団訴訟はできない」という理由で、「もう1つの訴訟と合流してはどうか」と提案された、というもの。ちょっと興味深いのは、合流先の訴訟が求めているのは医師による自殺幇助の合法化、Farewell Foundationの求めていたのは仲間同士の自殺幇助の合法化だという違いがあること。
http://www.thestar.com/news/canada/article/1040977--b-c-right-to-die-group-has-case-tossed-competing-lawsuit-still-underway
http://www.vancouversun.com/news/Supreme+Court+throws+lawsuit+launched+right+group/5269257/story.html
http://www.ctvbc.ctv.ca/servlet/an/local/CTVNews/20110817/bc_assisted_suicide_farewell_lawsuit_110817/20110817/?hub=BritishColumbiaHome

NY市が障害者の虐待への積極的な対応に乗り出す。
http://www.nytimes.com/2011/08/18/nyregion/ny-moves-to-crack-down-on-abuse-of-developmentally-disabled.html?src=recg

カナダのナイアガラ地区で、ナーシング・ホームでネグレクトや虐待が頻発しているので、解決策の一環としてビデオカメラの設置を提案する声。入所者の保護のためにも、虐待を疑われる職員の保護のためにも。
http://www.610cktb.com/news/local/Story.aspx?ID=1523917

いろいろあった妊娠と、早産で生まれた子どもの状態などが影響しているのか、理屈抜きに可愛くてならないっ……みたいな母性的な愛情の高まりを感じない、新米お母さんの記事。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/aug/18/baby-pregnancy-premature-birth?CMP=EMCGT_190811&

英国で6歳児向けのダイエット本。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/the-womens-blog-with-jane-martinson/2011/aug/17/diet-book-for-girls?CMP=EMCGT_180811&

米国老化研究所の研究で、肥満のマウスの寿命を44%アップする薬SRT-1720の開発に成功。肝脂肪を減少させ、インシュリンへの感度を上げる。現在、人で実験が進んでいるところ。病気予防に活用できると期待されるが、肥満するような生活を改善せず薬で対処できるということには道徳的な懸念も。
http://www.nytimes.com/2011/08/19/science/19fat.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23

英国の失業率が急増。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/aug/17/unemployment-rises-sharply-figures?CMP=EMCGT_180811&

経済に疎いので、昨日の「株式市場のメルトダウン」って、知らなかった……。:これを書いている5分前に地元銀行の営業さんが来て、玄関先で「ウチは大丈夫です。○○市が倒れない限りだいじょうぶだと思います」って力強く言った。○○市が倒れない保証もない時代だよねって、そういう話してたつもりだったんだけど。だってギリシャって「倒れた」んだよね?
http://www.guardian.co.uk/business/2011/aug/19/world-markets-turmoil-live-blog?CMP=EMCGT_190811&
2011.08.19 / Top↑
英国で厄介な訴訟が起きたなぁ……と思っていたら、
米国ニュー・メキシコ州でも、なんともゲンナリな事件が起こっていた。

夫のArmondさん、92歳、妻のDorothyさん、90歳の
Rudolph夫妻は、それぞれ、いくつもの慢性病を持ち、そろそろ認知症気味でもあって、
一緒にAssisted Living施設(ナーシング・ホームよりも自立度の高い人向け)で暮らしてきたが、

いろんな病気と付き合いながら、このまま弱っていって人の世話になるのは耐え難い、
自分で死ぬ権利があると考えるに至って、夫婦そろって断食に入った。

今年1月のことらしい。

ところが断食3日目に施設の職員に自分たちの考えていることを話してしまったために、
慌てふためいた施設側は911に入所者の自殺企図として通報。
夫婦はその翌日には施設から退所させられ、民間住宅に移されてしまう。

夫婦はその住宅で計画を続行し、
1週間後に夫が、その翌日に妻が亡くなったという。

「終末期についての本人の意思を施設の運営者みたいな他者の意思が超えるなんて
そんなの、非人道的だ」、施設で暮らす高齢者は自分の終末期の権利が侵されるなんて
ちっとも知らないまま暮らしている、と

息子のRudolphさんは C&Cと一緒に
Peace at Life’s Endキャンペーンに乗り出す、とのこと。

施設側はコメントを拒んでいるが、
もしも夫婦の言う通りにさせた場合に
施設側にはネグレクトを問われる可能性があったので
「法的な懸念もあって退所という手段に出たのだろう、
夫婦のどちらにも経管栄養を正当化できるような病気がなかったことも
施設側としては苦しい判断になったのだろう」と専門家。

Elderly Couple Who Refused Nourishment Evicted From Retirement Home
International Business Times, August 18, 2011


いや、しかし……自分の施設で餓死自殺されても困るといって、
食べず飲まずで死のうとしているのが分かっている人を民間住宅に連れて行って、
「ここなら誰の責任にもならないから、どうぞ」って、そんな……。

でもって、そんなの酷い話だから、そういう目に遭う人がなくなるように、
誰でも年をとって死にたい人には、死んでもいい権利を認めて
さぁ、やっぱり安楽死の合法化を……って、そんな……。

んでもって、こういうことが起こると、必ずそこにはC&Cがいる……ときて、

もう、いったい、何をどう考えたらいいのか、ワケが分からなくなってきた。
ただ、もう、わちゃくちゃでござりますがな……って感じがして。


それにしても、実際に連れ出したのは一体だれなんだろう?

911は通報を受けて、どのように対応したんだろう?
まさか、911が夫婦の自殺企図を知りながら民間住宅へ運んじゃいけないのでは?
かといって、施設にだって夫婦を力づくで民間住宅へ移す権限があるとも思えないけど?
その民間住宅って、誰が見つけてきた、どういう性格の住宅?
息子はこの一連の事件の展開にどういう役回りだったのか?

「どうしても食べないというならウチには置いておけません。出て行って下さい」
「わかりました。出て行きます」

そういうやりとりがあれば、退所も民間住宅への引っ越しも
一応は本人意思ということにはなるのだろうし、
たぶん施設側はちゃんと書類も揃えているのだろうけど、
でも、これって、そういう問題なの?

なんだか不思議なことだらけの事件――。

じわ~っと不気味に感じられてくるのは、
「死の自己決定権」が長々と議論されることで、多くの人の頭の中で、
一定の年齢だとか一定の障害像の人の場合には「死は自己決定権」……という考えが
暗黙の了解として既に広がってきているんじゃないかなぁ……ということ。

どうしても死にたいと言うなら
あなたのような年齢と状態では、まぁ、理解できないわけでもなく
そりゃ、死ぬのは本人の勝手です。どーぞ、どーぞ。

ただ、それはあくまでも自己責任で、他人に迷惑をかけずにやってね。

そういう空気――。
2011.08.19 / Top↑
英国で、また大きな自殺幇助合法化訴訟が起きた。

脳卒中で全身マヒ状態に陥った男性(46)が
死ぬ権利を主張し、提訴。

仮名でMartinと称する男性は、3年前に脳幹出血で倒れた。
動かせるのは目とわずかに頭のみ。

コミュニケーションはNimbus3という意思疎通機器が
文字を見つめるMartinさんの視線によって
ゆっくりと単語を形成し読み上げ、文章にしていく。

脳卒中の6カ月後からずっと本人は死にたいと望んでいるが、
自分では自殺することもDignitasに赴くこともできない。

妻のFelicityさん(仮名)は
夫の気持ちは理解できるし、もしも死ぬのなら傍にいたいとは言うものの、
夫を愛しているし、自分は人として誰かの自殺に手を貸すことはできない、と。

そこで、訴訟によって死ぬ権利を訴え、
人を雇ってDignitasへ連れて行ってもらう、もしくは
英国内で栄養と水分を拒む決断をし
医師にその苦痛を取り除くケアをしてもらうことの
いずれかを可能に、と望んでいる。

英国のこれまでの自殺幇助合法化議論の流れでは
Debbie Purdy訴訟に次いで大きな節目となりそうな裁判であるため

非常に多くの記事が出てきている。

中には以下のGuardianのように、
早々と「この訴訟で英国でも自殺幇助が合法化されることも」などと
先走ったタイトルを打っているものも。

Guardianは、この事件を機に
DPPのガイドラインの非常に偏った個所だけを紹介する記事を書いたり、
さっそくに記者を送って本人にインタビューさせるなど、
BBCなみの合法化ロビーになったのかというくらい
なにやら力が入っている。

Assisted suicide could be ‘legalised’ in groundbreaking case
The Guardian, August 18, 2011

Martinさんへの取材ビデオはこちら ↓
Assisted suicide: why I want the right to die - video
The Guardian, August 18, 2011

09年のDPPのガイドラインについて、
「美しい夫婦愛」の写真つきでPurdyさんと一緒に取り上げているのが、こちらの記事 ↓
The law on assisted suicide
The Guardian, August 18, 2011


その、もはや合法化ロビーであることを多くの人が疑うことのないBBCは
Martinさんの弁護士の解釈を用いるという非常に微妙な表現で、
現在のDPPのガイドラインは家族の手助けを得られない人への「差別」だと書き、

たったそれだけのことで
「自殺幇助ガイドラインめぐる“平等”を求める男性の闘い」とタイトルを打つ。

一応、最後に障害者アドボケイトScopeの
これが認められたら現在の弱者への法的保護が弱まってしまうとの
懸念のコメントを引用してはいるけれども、

それを否定して見せるかのように、締めくくりはMartinさんが
Guardianの取材時に一文字一文字目で見つめることで語った以下の言葉。

「(批判する人たちは)自分のような暮らしをしてみればいい。
何も分かっていないくせに。
こんな人生は生きるに値しないんだ」

Man’s fight for ‘equality’ over assisted suicide guidelines
BBC, August 18, 2011


もともと英国の現状については
「自殺幇助がDignitasへ行ける財力のある人だけの特権になっており
差別だ」という議論は、ずいぶん前からありました。

合法化ロビーの次のステップの論法は、
「ガイドラインでは幇助してくれる人を自力で見つけられる人しか
自殺幇助を受けることができない。これは自力で探せない人に対する差別である。
この差別を解消するためには、ガイドラインみたいな小手先ではなく
やはり合法化に踏み切るしかない」のようですね。


【ガイドライン関連エントリー】
DPPの自殺幇助に関する起訴判断のガイドラインを読む 1(2010/3/8)
DPPの自殺幇助に関する起訴判断のガイドラインを読む 2(2010/3/8)
英国の自殺幇助ガイドライン後、初の判断は不起訴(2010/3/26)
英国DPP、家族による自殺幇助すでに20件も不起訴に(2010/12/15)
警察が「捜査しない」と判断する英国の「自殺幇助ガイドライン」の“すべり坂”(2011/7/15)

【これまでのまとめエントリー】
2009年を振り返る: 英国の自殺幇助合法化議論(2009/12/26)
2010年のまとめ: 安楽死・自殺幇助関連のデータ・資料(2010/12/27)

【Purdyさん関連エントリー】
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
法曹関係者らの自殺幇助ガイダンス批判にDebbie Purdyさんが反論(2009/11/17)
Debbie Purdyさんが本を出版(2010/3/22) 
2011.08.19 / Top↑
フランスの安楽死事件で、Nicolas Bonnemaison医師に対する支持の声が医師の間に広がっている。
http://www.thelocal.fr/856/20110816/

この四半期のゲイツ財団のポートフォリオ。1位はバフェット氏から提供されたBerkshire Hathaway、3位、4位は例によってマックにコーク。それから5位が見るたびに象牙海岸の悲劇を思わせるWaste Management。
http://www.gurufocus.com/news/142698/bill--melinda-gates-foundation-reports-q2-portfolio

世界銀行のFood Price Watchから報告書。8月15日付。食糧が記録的な価格高騰ぶりを見せ、最も貧しい国々を直撃している。
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/NEWS/0,,contentMDK:22982095~pagePK:34370~piPK:34424~theSitePK:4607,00.html

USAid、日本政府、クウェート政府からソマリアへの支援食糧の一部が盗まれ、売りに出されていたらしい。UNは、大した量じゃない、と問題視しない構え?
http://www.guardian.co.uk/global-development/2011/aug/16/somalia-food-aid-thefts-rejected?CMP=EMCGT_170811&

みやきち日記というブログの4月の記事。「人間って不安だと、他者をコントロールしたくなるものなのね」
http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20110405/p1

上記関連で、「世の中がどんどん虐待的な親のような場所になっていく」ということを去年のある時期から今年のどこかまで、しきりに書いていたような気がします。例えば以下のエントリーなど。
ACからEva Kittayそして「障害児の介護者でもある親」における問題の連環(2010/12/1)
「現代思想2月号 特集 うつ病新論」を読む 1: 社会の病理と精神医療の変容(2011/2/23)
2011年3月21日の補遺(「八日目の蝉」関連の項目)

15分でもいいから毎日運動すると寿命が伸びますよ。:一方では「長生きの努力をせよ」と尻を叩かれ、もう一方では「長生きせず、適当なところで自ら望んで死ね」と言われ……。
http://guardianmail.co.uk/go.asp?/bGUA005/x5VJ4G4/qYCE3G4

うつ病の母親を持った子どもは脳がその他の子どもとは違う。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/232762.php
2011.08.19 / Top↑