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6週間で5人の売春婦を殺した連続殺人犯が
5年前に窃盗で捕まった際に採取されたDNAのデータによって判明・逮捕、
21日に有罪となったことによって
国民DNAデータベースを賞賛する声が相次ぎ、
それに伴って対象が全国民に拡大される懸念の声も出て、
ここ数年の論争が再燃しているとの英国のニュース。

Strangler conviction triggers DNA debate
The Times, February 22, 2008

管轄する内務省の国民DNAデータベースに関するサイトはこちら

このサイトの説明によると
1995年に始まった英国の国民DNAデータベースは世界で最大規模。
データベースに加えられるDNAのサンプルは
犯罪現場で採取したものと収監された個人のもののみで
2005年末に340万人分。
今のところ国民全員に強制する計画はない、と書かれていますが、

犯罪解決を迅速にするために、
いっそ国民全体のDNA情報を、
という声が出ているのも事実で、
ここ数年大きな論争になっているのですね。

英国大使館の日本語サイト内にある、
全国民のDNAをデータベース化すべきとの「遺伝子の天才」の主張はこちら

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科学と新興テクノロジーの進歩によって
個人レベルで「不可能が可能になったこと」は多く、
トランスヒューマニストはそうしたことをもって
「個人の選択権が飛躍的に拡大する素晴らしい未来」を描いて見せるわけですが、

しかし、
それは同時に、
個人の集まりである国民を支配する側に可能になったことは
おそらくは個人レベルで可能になったこととは比較にならないほど多いだろうし、

しかも、その全てが国民に知らされるという保証もない……ということなのでは?
2008.02.27 / Top↑
……とタイトル通りの名言を吐いたのは
the University of Texas Medical Branch’s Institute for Medical HumanitiesのHoward Brody医師。

アメリカ医師会新聞電子版の今年1月28日付け記事
Willing, but waiting: Hospital ethics committees
の中での発言です。

それほど米国の病院の倫理委員会なるものは
形式も活動内容も効果のほども検証されてもおらず、
案外にお粗末だということなのですね。

病院内の倫理相談サービスは形としては整っているものの
その内実はというと一定の基準もなく活動内容はバラバラだとの全国調査の結果が
the America Journal of Bioethicsの2007年2月号で報告されたばかり。

ここでは
多くの医師らが臨床現場で倫理のジレンマに直面しつつも
なぜ倫理相談を受けようとしないのか、
という点について
様々な倫理学者の見解をもとに考える、
という趣旨の記事です。

Ashley事件でお馴染みの顔ぶれとしは、
The University of Pennsylvania’s Center of BioethicsのArthur L. Caplan
倫理委が病院の危機管理と連携していたりすると
病院弁護士が出てくることになるので医師は気が進まないのでは、
と分析し、

次いで、かのDr.Diekemaが登場して、
医師らはなぜ倫理委に相談したがらないのかという点について
「医師のプライドのせい」だとの見方を示しています。

例えば自分は心臓外科医だと専門領域を言う場合には
誰でもできることじゃないのだけど、
生命倫理というと誰でもできて誰でもやっていることだから
それが自分には分からないから相談するというのは
医師のプライドが許さないのではないかというのですね。

なるほど。
小児科の生命倫理を専門にしているDiekema医師らしい推察かもしれません。

Ashley事件を振り返ると、
その小児科の生命倫理の専門家としての彼自身のプライドは
いったいどこに行っていたのだろうと
疑問を持たざるをえないのですが、

今からでも遅くないから
論文や倫理委のウソやゴマカシを糊塗することに血道をあげるのではなく、
子どもを守るために存在する小児科生命倫理の専門家としてのプライドを
もう一度取り戻して欲しいものです。

もともとは
子ども病院生命倫理カンファレンスの講演で
親の思うようにしてあげるのはスタンダードな医療の範囲でのみ
と訴えた信念の持ち主なのだろうから。
2008.02.27 / Top↑