Mental Capacity Act 2005で、2007年に英国に保護裁判所というものができた。The Court of Protection.自分で諸々の処理ができない人の世話をする人を任命する。審理は非公開。目が見えなくて自閉症と知的障害のある30歳のピアニストの男性に、これまでOfficial Solicitorが任命されていたのだけれど、今後は離婚している両親と姉に、という決定が昨日、出た。非公開の審理過程が議論に。この人の場合はピアニストとあって、音楽活動の利益つまり本人の資産が相当ある。:MCAが出た時から気になっていたことではあるけど、ここにもまた、終末期医療の中止とか自殺幇助の議論と繋がる危うさがある。介護の問題、代理決定、権利擁護の問題では家族の利益は必ずしも本人の利益と一致しないことを、もっと現実問題として考えに入れるべきだといつも思う。
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/law/article7125910.ece
慢性疲労症候群の原因は心理的なものではなく、ウイルスだという説が出てきている。写真は、去年、母親による慈悲殺が美談になったME患者、Lynn Gilderdaleさん。その写真の下にはHer mother helped her to dieという表現が使われて、それでもって慈悲殺を肯定している。これもまた、メディアによる世論操作の一つ。Guardianが意識的にやっているのかどうかは知れないけど。
http://www.guardian.co.uk/society/2010/may/13/me-chronic-fatigue-syndrome
昨日出ていた8歳の女児レイプの裁判で、女児がレイプを否定。:一体なんなの、この裁判は? 昨日は警察での証言テープが流されただけだったけど、今日は現場に連れて行った後、別の場所で質問に答えさせて、その様子がビデオで法廷に流されている。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/crime/article7125357.ece
英国の連立政権の予算削減案で、ミドルクラスの子ども手当てが対象に。
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/may/13/spending-cuts-child-benefits-deficit
世界のエイズ感染者が毎年100万人単位で増えている一方、世界不況で先進国からの資金援助が鈍っている。
http://www.nytimes.com/2010/05/14/opinion/14fri2.html?th&emc=th
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/law/article7125910.ece
慢性疲労症候群の原因は心理的なものではなく、ウイルスだという説が出てきている。写真は、去年、母親による慈悲殺が美談になったME患者、Lynn Gilderdaleさん。その写真の下にはHer mother helped her to dieという表現が使われて、それでもって慈悲殺を肯定している。これもまた、メディアによる世論操作の一つ。Guardianが意識的にやっているのかどうかは知れないけど。
http://www.guardian.co.uk/society/2010/may/13/me-chronic-fatigue-syndrome
昨日出ていた8歳の女児レイプの裁判で、女児がレイプを否定。:一体なんなの、この裁判は? 昨日は警察での証言テープが流されただけだったけど、今日は現場に連れて行った後、別の場所で質問に答えさせて、その様子がビデオで法廷に流されている。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/crime/article7125357.ece
英国の連立政権の予算削減案で、ミドルクラスの子ども手当てが対象に。
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/may/13/spending-cuts-child-benefits-deficit
世界のエイズ感染者が毎年100万人単位で増えている一方、世界不況で先進国からの資金援助が鈍っている。
http://www.nytimes.com/2010/05/14/opinion/14fri2.html?th&emc=th
2010.05.15 / Top↑
英国で10歳と11歳の男児2人が9歳の女の子をレイプした事件の裁判開始。少年らは否認。:英国の子どもたちの荒廃ぶりには、ほんと、目を覆う。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/crime/article7124170.ece
薬局で唾液採集キットを買って、唾をとって送ったら結果がネット上で見られるという遺伝子検査。26の病気のリスクが分かるという売り文句。米国で。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/188544.php
ちょっと前に避妊薬ピルの50周年の関連記事が沢山あった。その中の1。これぞ「個人のエンパワメント」だった、と語る“ウッドストック世代”の女性。:今から20年以上前、英国人の同年齢の友人に、「ピル、知らないの? 英国では女の子が15歳になったら母親が婦人科に連れて行って処方してもらうのが当たり前よ」と呆れられて、こっちこそ、ぶったまげたことを思い出した。
http://www.politicsdaily.com/2010/05/07/the-birth-control-pills-50th-anniversary-three-generations-of/
若い子たちにセックスをしないように教育する必要を言う声の高まりを受け、処女性重視への回帰を批判するフェミニストのWPオピニオン。:一方で、妊娠しても中絶してしまえばいいと、中絶を避妊オプションと捉える子どもたちの意識の変化も指摘されていたような気がするけど、ここはモラルに加えて、病気予防のため(医療費削減のため?)子どもたちに不用意にセックスさせたくない、という話?
http://www.washingtonpost.com/wp-srv/special/opinions/outlook/spring-cleaning/virginity.html
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/crime/article7124170.ece
薬局で唾液採集キットを買って、唾をとって送ったら結果がネット上で見られるという遺伝子検査。26の病気のリスクが分かるという売り文句。米国で。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/188544.php
ちょっと前に避妊薬ピルの50周年の関連記事が沢山あった。その中の1。これぞ「個人のエンパワメント」だった、と語る“ウッドストック世代”の女性。:今から20年以上前、英国人の同年齢の友人に、「ピル、知らないの? 英国では女の子が15歳になったら母親が婦人科に連れて行って処方してもらうのが当たり前よ」と呆れられて、こっちこそ、ぶったまげたことを思い出した。
http://www.politicsdaily.com/2010/05/07/the-birth-control-pills-50th-anniversary-three-generations-of/
若い子たちにセックスをしないように教育する必要を言う声の高まりを受け、処女性重視への回帰を批判するフェミニストのWPオピニオン。:一方で、妊娠しても中絶してしまえばいいと、中絶を避妊オプションと捉える子どもたちの意識の変化も指摘されていたような気がするけど、ここはモラルに加えて、病気予防のため(医療費削減のため?)子どもたちに不用意にセックスさせたくない、という話?
http://www.washingtonpost.com/wp-srv/special/opinions/outlook/spring-cleaning/virginity.html
2010.05.13 / Top↑
当ブログでも何度か取り上げてきたHPVワクチンについては、
Gardasilの販売元Merck社の強引な売り込みロビーがひんしゅくを買い、
却って米国の親のワクチン不信を一層深めて、接種率の伸び悩みにつながったことを
手痛い教訓事例として米国メディアが何度も取り上げており、
昨年、FDAが男児対象にGardasilを認可したことについても、
女児への接種で読みが外れたMerck社が男児をターゲットに挽回を狙っているという読みも
頻繁に目にはしていたのですが、
6日付のChicago Tribuneが、
「ワクチン嫌いの親、今度は男児狙いに警戒強める」とのタイトルで
この問題を取り上げていました。
Vaccine-wary parents guarded over new pitch to boys
The Chicago Tribune, May 6, 2010
この記事によると、
2009年のMichigan大学の調査で、
親の8人に1人に、推奨されているワクチンを拒否した経験があり、
最も多くの人が拒否していたのはHPVワクチン。
調査に参加した人の56%もが子どもに接種させない決断をしている。
そうした状況に対して、
Merck社の男性HPV顧問委員会のメンバーである感染症の専門医は
13歳から17歳の女児のうち、推奨される3回をフルに接種したのは
20%にも満たない、と明かし、
「女性全員に接種できていれば、男児に接種しなくたって済んだんだ」と。
ただし、FDAは9歳から26歳の男性向けに認可はしたものの、
男児の推奨接種スケジュールに加えることまではしていない。
女児の場合、子宮頸がんのリスクを下げるとされているが、
男児の場合にはHPVは性器イボと、ごく稀な癌の原因となるとされるのみで、
(ただし、この記事の読者コメントにもあるし、他の記事にもありますが、
女児で子宮頸がんの原因となるHPVのタイプは200種類だかあって、
ワクチンが有効なのは、そのうちの4タイプについてのみ)
特に男児への有効性については、まだエビデンスが足りない、とする医師や、
そもそも、子どもの時に感染したものが20年から40年も経ってから
癌の発症にどのように関わるのか、データが十分ではない、との声も。
また2009年8月の 米国医師会雑誌の社説は
Gardasilの治験結果が十分に検討されないうちに、
既に医師らへの情報提供キャンペーンがスタートしていたなど、
あまりに素早く市場に出されたのではないか、と懸念。
著者のDr. Charlotte Haugは、HPVワクチンの長期的な効果に疑問を呈し、
HPVに感染したとしても、多くの場合、定期健診で癌は防げると語って、
女性はワクチンのリスクと子宮がんの可能性とを秤にかけて検討するよう、提言している。
【関連エントリー・日本】
「HPVワクチン」検索結果の怪(2008/9/2)
朝日のワクチン記事にも「米国では」の印籠(2009/8/8)
【HPVワクチン関連エントリー・海外】
CDCが11,12歳に髄膜炎、百日咳、子宮がんのワクチン接種を呼びかけ(2008/9/2)
英国でHPVワクチン義務化、親の反発必至(2008/9/5)
今度は乳がん予防のワクチンだと(2008/9/15)
ノーベル賞選考過程にHPVワクチン特許持つアストラゼネカ関与の疑惑(2008/12/18)
CA州で女児4人に1人がHPVワクチンを接種(2009/2/21)
HPVワクチン普及目的で保健当局が学校に女児の個人情報を要求(NZ)(2009/4/3)
3医学会がHPVワクチン製造元の資金で学会員にワクチンを推奨(2009/8/19)
2009年8月21日の補遺(Washington DCの学校で事実上義務化との情報あり)
HPVワクチン接種後に13歳女児が死亡(英)(2009/9/29)
2009年12月24日の補遺(CDC前センター長がMerck社のワクチン部門責任者として天下り)
CDC前センター長はHPVワクチン売ってるMerck社のワクチン部門トップに天下り(2010/3/9)
Gardasilの販売元Merck社の強引な売り込みロビーがひんしゅくを買い、
却って米国の親のワクチン不信を一層深めて、接種率の伸び悩みにつながったことを
手痛い教訓事例として米国メディアが何度も取り上げており、
昨年、FDAが男児対象にGardasilを認可したことについても、
女児への接種で読みが外れたMerck社が男児をターゲットに挽回を狙っているという読みも
頻繁に目にはしていたのですが、
6日付のChicago Tribuneが、
「ワクチン嫌いの親、今度は男児狙いに警戒強める」とのタイトルで
この問題を取り上げていました。
Vaccine-wary parents guarded over new pitch to boys
The Chicago Tribune, May 6, 2010
この記事によると、
2009年のMichigan大学の調査で、
親の8人に1人に、推奨されているワクチンを拒否した経験があり、
最も多くの人が拒否していたのはHPVワクチン。
調査に参加した人の56%もが子どもに接種させない決断をしている。
そうした状況に対して、
Merck社の男性HPV顧問委員会のメンバーである感染症の専門医は
13歳から17歳の女児のうち、推奨される3回をフルに接種したのは
20%にも満たない、と明かし、
「女性全員に接種できていれば、男児に接種しなくたって済んだんだ」と。
ただし、FDAは9歳から26歳の男性向けに認可はしたものの、
男児の推奨接種スケジュールに加えることまではしていない。
女児の場合、子宮頸がんのリスクを下げるとされているが、
男児の場合にはHPVは性器イボと、ごく稀な癌の原因となるとされるのみで、
(ただし、この記事の読者コメントにもあるし、他の記事にもありますが、
女児で子宮頸がんの原因となるHPVのタイプは200種類だかあって、
ワクチンが有効なのは、そのうちの4タイプについてのみ)
特に男児への有効性については、まだエビデンスが足りない、とする医師や、
そもそも、子どもの時に感染したものが20年から40年も経ってから
癌の発症にどのように関わるのか、データが十分ではない、との声も。
また2009年8月の 米国医師会雑誌の社説は
Gardasilの治験結果が十分に検討されないうちに、
既に医師らへの情報提供キャンペーンがスタートしていたなど、
あまりに素早く市場に出されたのではないか、と懸念。
著者のDr. Charlotte Haugは、HPVワクチンの長期的な効果に疑問を呈し、
HPVに感染したとしても、多くの場合、定期健診で癌は防げると語って、
女性はワクチンのリスクと子宮がんの可能性とを秤にかけて検討するよう、提言している。
【関連エントリー・日本】
「HPVワクチン」検索結果の怪(2008/9/2)
朝日のワクチン記事にも「米国では」の印籠(2009/8/8)
【HPVワクチン関連エントリー・海外】
CDCが11,12歳に髄膜炎、百日咳、子宮がんのワクチン接種を呼びかけ(2008/9/2)
英国でHPVワクチン義務化、親の反発必至(2008/9/5)
今度は乳がん予防のワクチンだと(2008/9/15)
ノーベル賞選考過程にHPVワクチン特許持つアストラゼネカ関与の疑惑(2008/12/18)
CA州で女児4人に1人がHPVワクチンを接種(2009/2/21)
HPVワクチン普及目的で保健当局が学校に女児の個人情報を要求(NZ)(2009/4/3)
3医学会がHPVワクチン製造元の資金で学会員にワクチンを推奨(2009/8/19)
2009年8月21日の補遺(Washington DCの学校で事実上義務化との情報あり)
HPVワクチン接種後に13歳女児が死亡(英)(2009/9/29)
2009年12月24日の補遺(CDC前センター長がMerck社のワクチン部門責任者として天下り)
CDC前センター長はHPVワクチン売ってるMerck社のワクチン部門トップに天下り(2010/3/9)
2010.05.13 / Top↑
自殺幇助合法化訴訟が進行中のConnecticut州で、10日、末期がんの73歳の夫がアルツハイマー病の70歳の妻を殺して自殺。裁判への影響を期待する声。警戒する声。
http://www.nhregister.com/articles/2010/05/12/news/metro/aa1_north_haven_euthanasia051210.txt
国際骨粗鬆症財団から、高齢者全体的にビタミンDの摂取量が不足しているというエビデンスがある、ビタミンDサプリを飲みましょう、とステートメント。:昨日、治療薬が実は骨折原因を作っていたみたいな話も出てたけど。ビタミンDサプリって、米国小児科学会も子どもに飲ませましょうって、推奨していたっけな。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/188358.php
NY州が連邦政府からの巨額の助成金がもらえる競争に勝ち残ろうと、教師を100点満点で評価するシステムを導入。100点のうち、25点は生徒の成績をカウント。その他は地域ごとの基準で。校長や同僚の評価、授業計画の出来などによって。:医療も教育もこういう成果主義の方向にどんどん行って、日本にも波及してくるんだろうなぁ。なんか、違うと思うんだけど。
http://www.nytimes.com/2010/05/12/opinion/12wed3.html?th&emc=th
法王から、児童虐待の件に関する直接的な言及。「教会内部の罪」。
http://www.nytimes.com/2010/05/12/world/europe/12pope.html?th&emc=th
中国でまた幼稚園に乱入、9人刺殺。:このところ続いている。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/12/man-kills-eight-china-nursery
http://www.nhregister.com/articles/2010/05/12/news/metro/aa1_north_haven_euthanasia051210.txt
国際骨粗鬆症財団から、高齢者全体的にビタミンDの摂取量が不足しているというエビデンスがある、ビタミンDサプリを飲みましょう、とステートメント。:昨日、治療薬が実は骨折原因を作っていたみたいな話も出てたけど。ビタミンDサプリって、米国小児科学会も子どもに飲ませましょうって、推奨していたっけな。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/188358.php
NY州が連邦政府からの巨額の助成金がもらえる競争に勝ち残ろうと、教師を100点満点で評価するシステムを導入。100点のうち、25点は生徒の成績をカウント。その他は地域ごとの基準で。校長や同僚の評価、授業計画の出来などによって。:医療も教育もこういう成果主義の方向にどんどん行って、日本にも波及してくるんだろうなぁ。なんか、違うと思うんだけど。
http://www.nytimes.com/2010/05/12/opinion/12wed3.html?th&emc=th
法王から、児童虐待の件に関する直接的な言及。「教会内部の罪」。
http://www.nytimes.com/2010/05/12/world/europe/12pope.html?th&emc=th
中国でまた幼稚園に乱入、9人刺殺。:このところ続いている。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/12/man-kills-eight-china-nursery
2010.05.12 / Top↑
North Carolina大学のチームが
睾丸に超音波を照射すると6ヶ月間精子ができなくなるとみられることから、
確実で、低コストで、長期的に使えて、しかも手術のように不可逆ではない
男性向けの避妊術として確立すべく、
ゲイツ財団のGrand Challenge Exploration Grant、10万ドルを受け
今後、本格的な治験に乗り出すことに。
スポーツ医療や理学療法の施設にある治療機器を使えば
途上国から第1世界まで、世界中の夫婦で使えるから、と。
[http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8674380.stm Scientists to test ultrasound as a male contraceptive]
BBC, May 11, 2010
う~ん……な~んか、この記事、“まんま”には受け取れない……。
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59520001.html 知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない]のエントリーの
⑤のところに書いていますが、
途上国の母子保健施策として避妊や中絶を含めた支援キャンペーンが
G8などで議論となっている最中で、
もちろん、これはグローバルヘルスの重要課題。
Gates財団がこの動きをリードしていないはずがありません。
そして、途上国の母子保健施策に「家族計画」を含めることについて
米国内の世論も真っ二つだという話も出てきているのですが、
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/51192798.html ペルーの先住民族への強制不妊も「家族計画」として]行われました。
つい8日に拾った[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60389142.html ウズベキスタンの強制不妊]も
貧困・人口対策として行われているようです。
なんだか……なぁ……。
BBCの記事にある「低コスト」というところもそうなのだけど、
わざわざ「途上国」に触れていることにしても、
特に「可逆的で」とわざわざ書いてあるところも、
手術のように不可逆な侵襲ではない、という言外の意味であって、
どうも、途上国での貧困・健康問題への対策として「家族計画」の導入が
狙われているんじゃないんだろうか……。
強制不妊を手術でやってしまうとコストもかさむし、
当然ながら、その身体への侵襲が人権問題となることを意識して、
批判をかわせる方法が模索されている……なんてことは、ないのだろうか。
そして、貧困対策だけでなく、さらに知的障害者への適用も……ということは?
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60201637.html Ashley事件、Angela事件と]続いている重症児の成長抑制・子宮摘出も、
起きたのは、ゲイツ財団と縁のある場所みたいなのだけど……。
睾丸に超音波を照射すると6ヶ月間精子ができなくなるとみられることから、
確実で、低コストで、長期的に使えて、しかも手術のように不可逆ではない
男性向けの避妊術として確立すべく、
ゲイツ財団のGrand Challenge Exploration Grant、10万ドルを受け
今後、本格的な治験に乗り出すことに。
スポーツ医療や理学療法の施設にある治療機器を使えば
途上国から第1世界まで、世界中の夫婦で使えるから、と。
[http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8674380.stm Scientists to test ultrasound as a male contraceptive]
BBC, May 11, 2010
う~ん……な~んか、この記事、“まんま”には受け取れない……。
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59520001.html 知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない]のエントリーの
⑤のところに書いていますが、
途上国の母子保健施策として避妊や中絶を含めた支援キャンペーンが
G8などで議論となっている最中で、
もちろん、これはグローバルヘルスの重要課題。
Gates財団がこの動きをリードしていないはずがありません。
そして、途上国の母子保健施策に「家族計画」を含めることについて
米国内の世論も真っ二つだという話も出てきているのですが、
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/51192798.html ペルーの先住民族への強制不妊も「家族計画」として]行われました。
つい8日に拾った[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60389142.html ウズベキスタンの強制不妊]も
貧困・人口対策として行われているようです。
なんだか……なぁ……。
BBCの記事にある「低コスト」というところもそうなのだけど、
わざわざ「途上国」に触れていることにしても、
特に「可逆的で」とわざわざ書いてあるところも、
手術のように不可逆な侵襲ではない、という言外の意味であって、
どうも、途上国での貧困・健康問題への対策として「家族計画」の導入が
狙われているんじゃないんだろうか……。
強制不妊を手術でやってしまうとコストもかさむし、
当然ながら、その身体への侵襲が人権問題となることを意識して、
批判をかわせる方法が模索されている……なんてことは、ないのだろうか。
そして、貧困対策だけでなく、さらに知的障害者への適用も……ということは?
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60201637.html Ashley事件、Angela事件と]続いている重症児の成長抑制・子宮摘出も、
起きたのは、ゲイツ財団と縁のある場所みたいなのだけど……。
2010.05.12 / Top↑
元教師の女性Lim Kim Keowさん(56)は
2008年にふくらはぎに癌が見つかり、闘病を続けてきたが
現在では全身に転移して、医師から余命数週間と言われている。
助からないのなら無意味な延命治療はやめてもらうよう
事前指示書を書き、既に治療の一切を拒んでいる。
痛みは現在コントロールできているが、
この先、自分ですべてをコントロールできるという状態でなくなったら
自殺幇助を求めることもできなくなってしまうので、
その前に子どもたちに見守られ夫の腕の中で死にたいのだと言う。
先月、Hong Lim公園のスピーカーズコーナーで
シンガポール初のターミナルな患者の自殺幇助希望の声を挙げる予定だったのだけれど、
そこまで行く体力がなく、断念した。
そこで新聞社に手紙を書き、インタビューを希望したが
病院側が病状を理由に許可せず、これも実現しなかった。
で、電話でのインタビューに
「こんな状態の私を介護するのは、負担が重すぎます。
たとえ家族が介護してくれると言っても、私自身が
そんなことをしてもらうのは嫌だし、嬉しくない」
「排便するためにトイレに行くこともできません。
自分では出せないので看護師さんに掻き出してもらうんです。
そんなの、人間として、どんな尊厳が残っているというんですか」
「若いころ、マヒのある人とか車いすの人を見て、
自分があんなになったら生きていたくないと思っていました。
何もかも人に頼らなければならないなんて、死ぬよりひどいです」
2008年に安楽死と医師による自殺幇助合法化を説いた
シンガポールの神経科学研究所所長のDr. Lee Wei Lingにも
協力を求める手紙を書いた。
保健相はKeowさんの願いを知って、自殺幇助は違法行為だとのみ。
しかしKeowさんは、訴え続ければ大統領が介入してくれると信じているそうだ。
[http://health.asiaone.com/Health/News/Story/A1Story20100505-214446.html “I want to die now”]
ASIAONE, May 7, 2010
同じ新聞、同じ日の関連記事
http://health.asiaone.com/Health/News/Story/A1Story20100505-214447.html
ついに、アジアでも、Debbie Purdyさん――。
これから、各国で続々と出てくるのでしょうか。
記事には、病院のベッドでパジャマ姿だけど妙に力強いガッツポーズをしている
見るからに“普通のオバサン”の写真があって、
やっぱり、Purdyさんよりも、
このアジアのオバサンであるKeowさんには
ぐっと親近感というかリアリティを感じるものだから、
そのアジアのオバサンが繰り返す「家族の負担になることの心苦しさ」は
直接的に我が身に沿ってくる。
そこで頭に浮かんだ、とても卑近な話。
日ごろ、「女が寝込むって、ほんと、情けないよねぇ」と
妻・母・主婦である女たちは、しみじみ語り合っている。
妻・母・主婦である女が病気で寝込むと、ひどい家族は
寝ている病人に向かって「ご飯まだ?」と平気で要求するらしい。
私の友人の一人は、手術を受け、やっと退院して帰った日に、
起きて動いていると辛いから寝ていたら、
夕方、夫が部屋を覗いてくれたと思うや、
この「ご飯まだ?」をやられたそうな。
もうちょっとマシな家族は「気にしないで寝てて」と言って、
夫が子どもたちを外に食事に連れて行ってくれたりするらしい。
友人の一人は風邪で寝込んだ時にそんな夫に
「いいところがあるな」と惚れ直していたら、
手ぶらで帰ってきた家族は友人のベッドをみんなで囲んで
誰が何を食べたかという話を聞かせてくれたという。
やれ誰が食べたものは美味しかったの、誰のはまずかったのと楽しそうな家族を前に、
友人は情けなさを押し隠し、「私のは――?」という言葉を飲み込んだそうな。
そんな家族に、いきなり
うどんくらい作って持って来い、
ポカリスウェットを枕元に置いておけ、
汗ふき用のタオルと着替えのパジャマを手の届くところに出しておけ、
寝る前には、たまご酒を作って持ってこい、なんて言える……?
ヤツらが寝込んだ時には、彼女が当たり前のようにしてやってきたことなんだけど。
まぁ、そこまで要求するのは酷だとしても、
たとえば「お鮨が食べたいから買ってきて」と頼めるためには
せめて病気の時くらい無理してご飯を作らず寝てていいんだと感じさせてもらえる家族でないと……。
でも、介護される側になるということは、
実際には、うどんやポカリをはるかに上回るであろう配慮と実際のケアを、
無言で、しかし否応なしの強引さで、しかも一日こっきりじゃなく、毎日毎日延々と
要求し続ける人になることでもあって、
そもそも夫や子どもが妻・母のケアを受ける事態には、
ケアを“要求している”という捉え方そのものがあまりなさそうなのに、
妻・母が要介護状態になることには、やはり“役割逆転”が意識されているからこそ
ケアを受ける側になることを想像するだけで、そういう感覚が生じてくるように思われ。
もちろん、それだけの単純な話ではないとは思うし、
本人と家族のキャラや、関係性によっても違うのは当たり前だけれど、
本来なら「愛を与える人」であり続けるべきなのに
「日々、現実的な負担という形の愛を要求し続ける人」となるくらいなら、
夫の腕に抱かれて死んでいくという形で一回こっきり「究極的に愛される人」になることを
選ぼうとする女性……と、Keowさんがイメージされてしまって、
'''家族の負担になるくらいなら自殺幇助を受けて死にたいという女性のパートナーたちは'''
'''そういう話を前に、どうしてニコニコしていられるのか'''、と
いつか[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59855099.html 英国の女性ジャーナリストが書いていた疑問]を思い出した。
まず、妻・母が体調を崩して寝込んだ時に、
小さな子どもや障害のある子どもがいても、その子どものケアを安心して誰かにバトンタッチできる、
そして、この際インスタントでもいいし、誰でもいいから、家族の誰かが、温かいうどんを
寝ている病人の枕元にもってきてくれるような家族や社会の意識と、あり方の変革……というところから、
この問題、考え直すことはできないのかなぁ……。
それは、つまり、
前に書いた[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52561890.html 大人なら誰でも基本的な家事・育児・介護ができる社会]ということなのだけど。
一見、ものすごく迂遠な方法に思えるけど、
でも本当は案外こういうところが本質的な問題だったりもするんじゃないのかなぁ……。
2008年にふくらはぎに癌が見つかり、闘病を続けてきたが
現在では全身に転移して、医師から余命数週間と言われている。
助からないのなら無意味な延命治療はやめてもらうよう
事前指示書を書き、既に治療の一切を拒んでいる。
痛みは現在コントロールできているが、
この先、自分ですべてをコントロールできるという状態でなくなったら
自殺幇助を求めることもできなくなってしまうので、
その前に子どもたちに見守られ夫の腕の中で死にたいのだと言う。
先月、Hong Lim公園のスピーカーズコーナーで
シンガポール初のターミナルな患者の自殺幇助希望の声を挙げる予定だったのだけれど、
そこまで行く体力がなく、断念した。
そこで新聞社に手紙を書き、インタビューを希望したが
病院側が病状を理由に許可せず、これも実現しなかった。
で、電話でのインタビューに
「こんな状態の私を介護するのは、負担が重すぎます。
たとえ家族が介護してくれると言っても、私自身が
そんなことをしてもらうのは嫌だし、嬉しくない」
「排便するためにトイレに行くこともできません。
自分では出せないので看護師さんに掻き出してもらうんです。
そんなの、人間として、どんな尊厳が残っているというんですか」
「若いころ、マヒのある人とか車いすの人を見て、
自分があんなになったら生きていたくないと思っていました。
何もかも人に頼らなければならないなんて、死ぬよりひどいです」
2008年に安楽死と医師による自殺幇助合法化を説いた
シンガポールの神経科学研究所所長のDr. Lee Wei Lingにも
協力を求める手紙を書いた。
保健相はKeowさんの願いを知って、自殺幇助は違法行為だとのみ。
しかしKeowさんは、訴え続ければ大統領が介入してくれると信じているそうだ。
[http://health.asiaone.com/Health/News/Story/A1Story20100505-214446.html “I want to die now”]
ASIAONE, May 7, 2010
同じ新聞、同じ日の関連記事
http://health.asiaone.com/Health/News/Story/A1Story20100505-214447.html
ついに、アジアでも、Debbie Purdyさん――。
これから、各国で続々と出てくるのでしょうか。
記事には、病院のベッドでパジャマ姿だけど妙に力強いガッツポーズをしている
見るからに“普通のオバサン”の写真があって、
やっぱり、Purdyさんよりも、
このアジアのオバサンであるKeowさんには
ぐっと親近感というかリアリティを感じるものだから、
そのアジアのオバサンが繰り返す「家族の負担になることの心苦しさ」は
直接的に我が身に沿ってくる。
そこで頭に浮かんだ、とても卑近な話。
日ごろ、「女が寝込むって、ほんと、情けないよねぇ」と
妻・母・主婦である女たちは、しみじみ語り合っている。
妻・母・主婦である女が病気で寝込むと、ひどい家族は
寝ている病人に向かって「ご飯まだ?」と平気で要求するらしい。
私の友人の一人は、手術を受け、やっと退院して帰った日に、
起きて動いていると辛いから寝ていたら、
夕方、夫が部屋を覗いてくれたと思うや、
この「ご飯まだ?」をやられたそうな。
もうちょっとマシな家族は「気にしないで寝てて」と言って、
夫が子どもたちを外に食事に連れて行ってくれたりするらしい。
友人の一人は風邪で寝込んだ時にそんな夫に
「いいところがあるな」と惚れ直していたら、
手ぶらで帰ってきた家族は友人のベッドをみんなで囲んで
誰が何を食べたかという話を聞かせてくれたという。
やれ誰が食べたものは美味しかったの、誰のはまずかったのと楽しそうな家族を前に、
友人は情けなさを押し隠し、「私のは――?」という言葉を飲み込んだそうな。
そんな家族に、いきなり
うどんくらい作って持って来い、
ポカリスウェットを枕元に置いておけ、
汗ふき用のタオルと着替えのパジャマを手の届くところに出しておけ、
寝る前には、たまご酒を作って持ってこい、なんて言える……?
ヤツらが寝込んだ時には、彼女が当たり前のようにしてやってきたことなんだけど。
まぁ、そこまで要求するのは酷だとしても、
たとえば「お鮨が食べたいから買ってきて」と頼めるためには
せめて病気の時くらい無理してご飯を作らず寝てていいんだと感じさせてもらえる家族でないと……。
でも、介護される側になるということは、
実際には、うどんやポカリをはるかに上回るであろう配慮と実際のケアを、
無言で、しかし否応なしの強引さで、しかも一日こっきりじゃなく、毎日毎日延々と
要求し続ける人になることでもあって、
そもそも夫や子どもが妻・母のケアを受ける事態には、
ケアを“要求している”という捉え方そのものがあまりなさそうなのに、
妻・母が要介護状態になることには、やはり“役割逆転”が意識されているからこそ
ケアを受ける側になることを想像するだけで、そういう感覚が生じてくるように思われ。
もちろん、それだけの単純な話ではないとは思うし、
本人と家族のキャラや、関係性によっても違うのは当たり前だけれど、
本来なら「愛を与える人」であり続けるべきなのに
「日々、現実的な負担という形の愛を要求し続ける人」となるくらいなら、
夫の腕に抱かれて死んでいくという形で一回こっきり「究極的に愛される人」になることを
選ぼうとする女性……と、Keowさんがイメージされてしまって、
'''家族の負担になるくらいなら自殺幇助を受けて死にたいという女性のパートナーたちは'''
'''そういう話を前に、どうしてニコニコしていられるのか'''、と
いつか[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59855099.html 英国の女性ジャーナリストが書いていた疑問]を思い出した。
まず、妻・母が体調を崩して寝込んだ時に、
小さな子どもや障害のある子どもがいても、その子どものケアを安心して誰かにバトンタッチできる、
そして、この際インスタントでもいいし、誰でもいいから、家族の誰かが、温かいうどんを
寝ている病人の枕元にもってきてくれるような家族や社会の意識と、あり方の変革……というところから、
この問題、考え直すことはできないのかなぁ……。
それは、つまり、
前に書いた[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52561890.html 大人なら誰でも基本的な家事・育児・介護ができる社会]ということなのだけど。
一見、ものすごく迂遠な方法に思えるけど、
でも本当は案外こういうところが本質的な問題だったりもするんじゃないのかなぁ……。
2010.05.12 / Top↑
聴覚障害の検査が全ての新生児で生後一か月以内に可能となった。早期発見、早期支援。
http://www.nytimes.com/2010/05/11/health/11klass.html?th&emc=th
骨粗鬆症の治療薬に、実は骨折を引き起こす原因となっていた疑いが浮上。:去年、[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55335835.html WHOと製薬会社の癒着疑惑が]取りざたされていた。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/10/AR2010051003224.html?wpisrc=nl_cuzhead
米国の卵子売買の実態。[http://www.thehastingscenter.org/Publications/HCR/Detail.aspx?id=4549 Hastings Center Reportの論文]が疑問を投げかけたとのこと。
http://www.nytimes.com/2010/05/11/health/11eggs.html?th&emc=th
Obama大統領の医療改革で、個人の思想信条に反する医療行為を拒むことができる医療者の権利と、患者の自己選択権とのバランスという、ずっと引きずれてきた議論が再燃している。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/10/AR2010051003235.html?wpisrc=nl_cuzhead
http://www.nytimes.com/2010/05/11/health/11klass.html?th&emc=th
骨粗鬆症の治療薬に、実は骨折を引き起こす原因となっていた疑いが浮上。:去年、[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55335835.html WHOと製薬会社の癒着疑惑が]取りざたされていた。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/10/AR2010051003224.html?wpisrc=nl_cuzhead
米国の卵子売買の実態。[http://www.thehastingscenter.org/Publications/HCR/Detail.aspx?id=4549 Hastings Center Reportの論文]が疑問を投げかけたとのこと。
http://www.nytimes.com/2010/05/11/health/11eggs.html?th&emc=th
Obama大統領の医療改革で、個人の思想信条に反する医療行為を拒むことができる医療者の権利と、患者の自己選択権とのバランスという、ずっと引きずれてきた議論が再燃している。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/10/AR2010051003235.html?wpisrc=nl_cuzhead
2010.05.11 / Top↑
幼児期に打った髄膜炎ワクチンはどうやら十代前半には効果が切れるようだから、追加ワクチンが必要です。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8668182.stm
強引な売り込みロビー活動でひんしゅくを買い、もともと不信の強い米国の親たちのワクチン不信を深めることになったメルク社の'''HPVワクチン、ガーダシルが去年、9歳から26歳の男性対象に認可されたことが、またしても米国の親たちのワクチンへの警戒度をアップさせている'''。
http://www.chicagotribune.com/health/ct-met-hpv-vaccine-boys-20100506,0,7399839.story
世界不況の影響で米国など先進国からの支援金が減額され、ウガンダなどエイズ患者の増加に歯止めがかからないアフリカ諸国で、治療を受けられない人が増えている。
http://www.nytimes.com/2010/05/10/world/africa/10aids.html?th&emc=th
以下は、アップし忘れていた5月6日の補遺
生まれて間もない乳児の脳の発達には母乳だけでは栄養が足りないし、授乳中の母親も栄養不足になりがちだから、授乳している母親はDHAのサプリを飲みましょう。:じゃぁ、母乳がいいと言われて育った世代の我々みんな、脳の発達が十分じゃないんだね。きっと。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187365.php
急速な経済成長と社会変化を受け、中国で梅毒が急増。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8664168.stm
てんかん発作のある子どもたち自身は親が思っているよりも自分のQOLを高いと感じている。:障害児・者も病児も、案外そういうものかもしれない。親だから子どもの感じ方が分かるというものでもないし。重症障害者を見て「ああなってまで生きていたくない」と感じるからといって、実際にそうなった時に本当にそう感じるかどうかは、また別問題だし。この調査結果は二重に示唆的。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187517.php
Washington Post がNewsweek誌を売却へ。
http://www.guardian.co.uk/media/2010/may/05/newsweek-sale-washington-post
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8668182.stm
強引な売り込みロビー活動でひんしゅくを買い、もともと不信の強い米国の親たちのワクチン不信を深めることになったメルク社の'''HPVワクチン、ガーダシルが去年、9歳から26歳の男性対象に認可されたことが、またしても米国の親たちのワクチンへの警戒度をアップさせている'''。
http://www.chicagotribune.com/health/ct-met-hpv-vaccine-boys-20100506,0,7399839.story
世界不況の影響で米国など先進国からの支援金が減額され、ウガンダなどエイズ患者の増加に歯止めがかからないアフリカ諸国で、治療を受けられない人が増えている。
http://www.nytimes.com/2010/05/10/world/africa/10aids.html?th&emc=th
以下は、アップし忘れていた5月6日の補遺
生まれて間もない乳児の脳の発達には母乳だけでは栄養が足りないし、授乳中の母親も栄養不足になりがちだから、授乳している母親はDHAのサプリを飲みましょう。:じゃぁ、母乳がいいと言われて育った世代の我々みんな、脳の発達が十分じゃないんだね。きっと。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187365.php
急速な経済成長と社会変化を受け、中国で梅毒が急増。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8664168.stm
てんかん発作のある子どもたち自身は親が思っているよりも自分のQOLを高いと感じている。:障害児・者も病児も、案外そういうものかもしれない。親だから子どもの感じ方が分かるというものでもないし。重症障害者を見て「ああなってまで生きていたくない」と感じるからといって、実際にそうなった時に本当にそう感じるかどうかは、また別問題だし。この調査結果は二重に示唆的。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187517.php
Washington Post がNewsweek誌を売却へ。
http://www.guardian.co.uk/media/2010/may/05/newsweek-sale-washington-post
2010.05.11 / Top↑
7日刊行の大統領がんパネルの200ページに及ぶ報告書について、
前もって手に入れたNYTのコラムニストKristof氏が書いているOp-Ed記事。
[http://www.nytimes.com/2010/05/06/opinion/06kristof.html New Alarm Bells About Chemicals and Cancer]
The NY Times, May 6, 2010
環境ホルモンBPAなどの化学物質は発がん性があって
やっぱり身体に悪いから、ちゃんと規制しなければならん……と
要は長いこと世間で言われてきたことを
公式に結論しているだけの報告書みたいなのだけれど、
Kristof氏の文章のトーンからすると、
これを大統領がんパネルみたいなところが公式に言い切ったというのは
なぜだか、相当に画期的な出来事であるらしい。
たしかに
「{{{米国で使われている8万種類の化学物質のうち、}}}
{{{安全性について検査されているものはほんの数百に過ぎないのだ」}}}なんて事実を
こんなふうに暴いてくださることが有り難くないわけではないけど、
しかし、それはずっと前からご存じだったはずですよね……という疑問が
どうしても頭に浮かんでしまうし、
安全性が検査されているという数百の物質にしたところで、
所詮は単体での検査しかできないのだし、
すでに複合汚染されている私たちや私たちの環境において、
それらの、どの組み合わせが、どの程度まで安全かなんて、
検査不可能なんじゃないんですか……という疑問も浮かぶ。
報告書がさらに続けて
{{{「発がん性があると分かっているものや疑いのあるものも」}}}
{{{多くが全く規制されず野放しになっている」}}}と厳しく指弾してくれるのは、
それはもちろん、してくれないよりも、ずっと、ありがたい。
だけど、環境ホルモンの危険性については、
私はもう思い出せないくらい昔から言われているような気がするのだけど、
その間、発がん物質の危険な野放し状態については
今回のがんパネルの著名医師2人はもちろん、
その他の影響力のある専門家の方々は
誰もご存じではなかったとでも……?
もっとも、
この記事に報告されている内容で、最も衝撃的なのは
{{{新生児の臍帯血の中から300を超える汚染物質が検出されている}}}という事実。
{{{それは胎児期にすでに化学物質に汚染されている証拠なので、これが}}}
{{{子どもに様々なガンが増えていることにも関係しているのではないか、}}}
{{{もっと法整備をして、ちゃんと規制して、}}}
{{{なによりも、みんな、もっと化学物質はヤバいという意識を持ちましょう}}}、と報告書。
具体的には
{{{:
・妊娠中や小さい子どもには食べ物に気をつけて。
オモチャや生活雑貨の素材にも気をつけて。
・化学物質にさらされる仕事をしている人は
家に帰ったら靴を脱いで。
仕事できた衣服は、他のものと一緒に洗濯しないよう。
・飲み水はろ過して。
・水を入れるのはガラスかステンレス製の容器に。
プラスチックを使う時はBPAもphthalatesも入らぬものを。
レンジでチンする時はセラミックかガラス容器で。
・殺虫剤も化学肥料も成長ホルモンも使われていない食べ物を。
しっかり火が通ったお肉は避けて。
・家のラドンのレベルを測りましょう
ラドンには発がん性があります。
}}}
―――――
今さら「みんな、もっと化学物質はヤバいという意識を持って」って……。
その「みんな」ってな、科学者さんたちの頭越しに、
我々、無知な一般人に向けておっしゃっているんですかい?
そちゃ、ちっとばかり、筋ってもんが違ってやしませんかい?
{{{「そもそも有害だというエビデンスがないからといって」}}}
{{{それが安全な証拠だと考えてきたことそのものが間違っているのだ」}}}という下りには、
思わず失笑してしまった。
それこそ、「ある」研究からの情報しか出てこないから
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/45878047.html 「ない」研究は「ない」ことが見えないだけという科学のカラクリ]であって、
そのために、
なぜ、ある研究だけは「ある」けど、他の研究は「ない」のか、という
実は一番重要なキモのところが一般大衆からは見えにくくされているわけで、
でも、ある化学物質に「有害だというエビデンスがない」とは
「依然として有害である可能性も残っている」に過ぎないことくらい、
私みたいな素人でも分かるのだから、まさかホンモノの科学者が知らないはずもなく、
それならば、
例えば、重症障害者の意識が「あると証明できない」ことは
決して「ないと証明された」こととイクオールではなく、
「依然どちらの可能性もある」と考えるのが真に科学的な思考というものだろうに、
なぜか医療職の方々がこの点になると突然に科学的・論理的な思考の停止をきたして
「意識があるとのエビデンスがないから意識はない」ことにしてしまうのと
同じカラクリがそこには働いているのでは?
つまり、その方が、単に都合がいいというだけで?
本当は、危害を及ぼすリスクを避けるためには、どちらも、
人の意識は「“ない”とのエビデンスが出るまでは“ある”と推定しておこう」
化学物質は「“無害”とのエビデンスがでるまでは“有害”の可能性は捨てきれない」
とするのが論理的にも倫理的にも正しいスタンスだと私は思うし、
本当は専門家だって、それくらい、とっくに承知なのだけれど、
それでは死なせたい患者を片付けることができないし
売りたいモノを売ることができなくて都合が悪いから、
“専門家”がこぞって、論理的な思考ができないフリをしているのでは?
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/48042294.html クローン牛肉の安全性]の話だって、
遺伝子操作だって同じことのような気がする。
有害だというエビデンスはないから安全なのだという科学者の方々の”宣言”で安心して
みんなで散々クローン肉を食べ続けて何十年も経ち、
もう汚染が複合的に進んで調査の方法もなくなった頃になってから
この報告書みたいに「やっぱり、ヤバいぞ」と指摘されたって、
それが何になるというのだろう。
本当は、
ラドンだ、プラスチックだ、セラミックだ、
やれ洗濯の仕方だ、肉の焼き方だという話じゃないよね、これは。
もっと構造的なところの問題だと私は思うのだけど。
前もって手に入れたNYTのコラムニストKristof氏が書いているOp-Ed記事。
[http://www.nytimes.com/2010/05/06/opinion/06kristof.html New Alarm Bells About Chemicals and Cancer]
The NY Times, May 6, 2010
環境ホルモンBPAなどの化学物質は発がん性があって
やっぱり身体に悪いから、ちゃんと規制しなければならん……と
要は長いこと世間で言われてきたことを
公式に結論しているだけの報告書みたいなのだけれど、
Kristof氏の文章のトーンからすると、
これを大統領がんパネルみたいなところが公式に言い切ったというのは
なぜだか、相当に画期的な出来事であるらしい。
たしかに
「{{{米国で使われている8万種類の化学物質のうち、}}}
{{{安全性について検査されているものはほんの数百に過ぎないのだ」}}}なんて事実を
こんなふうに暴いてくださることが有り難くないわけではないけど、
しかし、それはずっと前からご存じだったはずですよね……という疑問が
どうしても頭に浮かんでしまうし、
安全性が検査されているという数百の物質にしたところで、
所詮は単体での検査しかできないのだし、
すでに複合汚染されている私たちや私たちの環境において、
それらの、どの組み合わせが、どの程度まで安全かなんて、
検査不可能なんじゃないんですか……という疑問も浮かぶ。
報告書がさらに続けて
{{{「発がん性があると分かっているものや疑いのあるものも」}}}
{{{多くが全く規制されず野放しになっている」}}}と厳しく指弾してくれるのは、
それはもちろん、してくれないよりも、ずっと、ありがたい。
だけど、環境ホルモンの危険性については、
私はもう思い出せないくらい昔から言われているような気がするのだけど、
その間、発がん物質の危険な野放し状態については
今回のがんパネルの著名医師2人はもちろん、
その他の影響力のある専門家の方々は
誰もご存じではなかったとでも……?
もっとも、
この記事に報告されている内容で、最も衝撃的なのは
{{{新生児の臍帯血の中から300を超える汚染物質が検出されている}}}という事実。
{{{それは胎児期にすでに化学物質に汚染されている証拠なので、これが}}}
{{{子どもに様々なガンが増えていることにも関係しているのではないか、}}}
{{{もっと法整備をして、ちゃんと規制して、}}}
{{{なによりも、みんな、もっと化学物質はヤバいという意識を持ちましょう}}}、と報告書。
具体的には
{{{:
・妊娠中や小さい子どもには食べ物に気をつけて。
オモチャや生活雑貨の素材にも気をつけて。
・化学物質にさらされる仕事をしている人は
家に帰ったら靴を脱いで。
仕事できた衣服は、他のものと一緒に洗濯しないよう。
・飲み水はろ過して。
・水を入れるのはガラスかステンレス製の容器に。
プラスチックを使う時はBPAもphthalatesも入らぬものを。
レンジでチンする時はセラミックかガラス容器で。
・殺虫剤も化学肥料も成長ホルモンも使われていない食べ物を。
しっかり火が通ったお肉は避けて。
・家のラドンのレベルを測りましょう
ラドンには発がん性があります。
}}}
―――――
今さら「みんな、もっと化学物質はヤバいという意識を持って」って……。
その「みんな」ってな、科学者さんたちの頭越しに、
我々、無知な一般人に向けておっしゃっているんですかい?
そちゃ、ちっとばかり、筋ってもんが違ってやしませんかい?
{{{「そもそも有害だというエビデンスがないからといって」}}}
{{{それが安全な証拠だと考えてきたことそのものが間違っているのだ」}}}という下りには、
思わず失笑してしまった。
それこそ、「ある」研究からの情報しか出てこないから
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/45878047.html 「ない」研究は「ない」ことが見えないだけという科学のカラクリ]であって、
そのために、
なぜ、ある研究だけは「ある」けど、他の研究は「ない」のか、という
実は一番重要なキモのところが一般大衆からは見えにくくされているわけで、
でも、ある化学物質に「有害だというエビデンスがない」とは
「依然として有害である可能性も残っている」に過ぎないことくらい、
私みたいな素人でも分かるのだから、まさかホンモノの科学者が知らないはずもなく、
それならば、
例えば、重症障害者の意識が「あると証明できない」ことは
決して「ないと証明された」こととイクオールではなく、
「依然どちらの可能性もある」と考えるのが真に科学的な思考というものだろうに、
なぜか医療職の方々がこの点になると突然に科学的・論理的な思考の停止をきたして
「意識があるとのエビデンスがないから意識はない」ことにしてしまうのと
同じカラクリがそこには働いているのでは?
つまり、その方が、単に都合がいいというだけで?
本当は、危害を及ぼすリスクを避けるためには、どちらも、
人の意識は「“ない”とのエビデンスが出るまでは“ある”と推定しておこう」
化学物質は「“無害”とのエビデンスがでるまでは“有害”の可能性は捨てきれない」
とするのが論理的にも倫理的にも正しいスタンスだと私は思うし、
本当は専門家だって、それくらい、とっくに承知なのだけれど、
それでは死なせたい患者を片付けることができないし
売りたいモノを売ることができなくて都合が悪いから、
“専門家”がこぞって、論理的な思考ができないフリをしているのでは?
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/48042294.html クローン牛肉の安全性]の話だって、
遺伝子操作だって同じことのような気がする。
有害だというエビデンスはないから安全なのだという科学者の方々の”宣言”で安心して
みんなで散々クローン肉を食べ続けて何十年も経ち、
もう汚染が複合的に進んで調査の方法もなくなった頃になってから
この報告書みたいに「やっぱり、ヤバいぞ」と指摘されたって、
それが何になるというのだろう。
本当は、
ラドンだ、プラスチックだ、セラミックだ、
やれ洗濯の仕方だ、肉の焼き方だという話じゃないよね、これは。
もっと構造的なところの問題だと私は思うのだけど。
2010.05.10 / Top↑
昨日のエントリーで
Julian Savulescuが臓器提供安楽死(ODE)を主張していることについて書きましたが、
Smithが引用していたSavulescuの論文の一節について
その後つらつらと考えていたら、気になってきたことがあります。
我々はどうしても頭の中に一定の思い込みがあって
それがSavulescuみたいな人とも共有されているという前提で読んでしまうので、
彼の主張を、つい、
「消極的安楽死や医師による自殺幇助における“死の自己決定権”と
臓器提供における本人と家族の自己決定権とが双方認められているなら
臓器提供という方法による自殺幇助は論理的に可能だ」
というふうに読んでしまうのですが、
果たして、本当にそうなのか……。
よく読み返してみると、少なくとも引用されている個所では
「心臓死後提供よりも本人と家族の臓器提供の意思を確実に実現できる」という部分以外で
特に自己決定が持ち出されているわけではないのです。
引用部分の冒頭で彼が書いているのは
{{{:
It is permissible to withdraw life support from a patient with extremely poor prognosis, in the knowledge that this will certainly lead to their death, even if it would be possible to keep them alive for some time. It is permissible to remove their organs after they have died.
}}}
延命可能な患者であっても、予後が非常に悪ければ延命中止が認められている――。
これは、本当に、本人意思による消極的安楽死だけを言っているのでしょうか。
今の米国では、テキサス、カリフォルニアなど、
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/47623269.html 当ブログが知る限り少なくとも3つの州に「無益な治療」法]があって
「延命可能な患者であっても、予後が非常に悪ければ延命中止」を決定する権利が
病院に認められています。
その場合、本人や家族の意思に逆らうことになっても、
医師が治療を無益だと判断したら病院に決定する権利がある、とするのが無益な治療論であり、
その決定権を法的に認めたものが無益な治療法で、
ここ数年で多くの訴訟が起きていて、
去年10月までの米国とカナダの「無益な治療」事件一覧は[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56284691.html こちら]。
その後、米国ではBetancourt事件(米)、英国で[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56664792.html Baby RB事件]、カナダで[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59324284.html Isaia事件]がありました。
これらの多くにおいて、「無益な治療」の「無益」とは
「救命可能性が低い」という意味で「無益」なのではなく
「救命してもQOLが低すぎる」という意味となりつつあります。
英米カナダの医療現場では
重症障害がある人が自ら死の自己決定権を行使しない、またはできないとなれば
医師や病院の方で「あなたの治療は、もはや無益」と決めて死んでもらおう、と
言い始めているということでしょう。
つまり、重症障害者の「自己決定権」は、
事実上、「死ぬ」という一方向にしか認められていないことになる……。
しかも、医師・病院サイドと家族サイドの間に意見の不一致がなく、
不一致があったとしても家族に訴訟を起こす財力がなければ表面化しません。
2005年に栄養と水分停止によって餓死させられたTerry Shiavoさんの弟さんが
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54142490.html いまや栄養と水分は無益な治療]と言っているように、
無益な治療論による強制的延命停止は、ほとんど慣行化しているとみられています。
また、一方、移植医療の方では、
去年、[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53495527.html 森岡正博氏が朝日新聞で]書かれたように、
すでに移植のために人為的に心臓死を起こさせるプロトコルが現実となっている――。
当ブログで拾ってきただけでも、
2007年には障害者の救命より臓器保存を優先したNavarro事件、
2009年には心臓提供を前提に重症障害児の呼吸器が外されたKaylee事件など、
一応は家族の同意をとってはいますが、それ以前に病院や医師の文化において、
臓器提供が既に無益な治療論と結びついている事実を示唆しているでしょう。
例えばTerry Shiavoさんのような状況下に置かれた人が
たまたまドナーカードを持っていたとしたら……??
さらに、もしも、この先、“臓器不足”解消のため、
みなし同意制度が導入されたとしたら……?
Savulescuが説く「臓器提供安楽死」の先に、
しかも、案外に、ごく近いところに見えているのは、
「“無益な治療”論による強制的延命中止後の臓器摘出」なのでは――?
Julian Savulescuが臓器提供安楽死(ODE)を主張していることについて書きましたが、
Smithが引用していたSavulescuの論文の一節について
その後つらつらと考えていたら、気になってきたことがあります。
我々はどうしても頭の中に一定の思い込みがあって
それがSavulescuみたいな人とも共有されているという前提で読んでしまうので、
彼の主張を、つい、
「消極的安楽死や医師による自殺幇助における“死の自己決定権”と
臓器提供における本人と家族の自己決定権とが双方認められているなら
臓器提供という方法による自殺幇助は論理的に可能だ」
というふうに読んでしまうのですが、
果たして、本当にそうなのか……。
よく読み返してみると、少なくとも引用されている個所では
「心臓死後提供よりも本人と家族の臓器提供の意思を確実に実現できる」という部分以外で
特に自己決定が持ち出されているわけではないのです。
引用部分の冒頭で彼が書いているのは
{{{:
It is permissible to withdraw life support from a patient with extremely poor prognosis, in the knowledge that this will certainly lead to their death, even if it would be possible to keep them alive for some time. It is permissible to remove their organs after they have died.
}}}
延命可能な患者であっても、予後が非常に悪ければ延命中止が認められている――。
これは、本当に、本人意思による消極的安楽死だけを言っているのでしょうか。
今の米国では、テキサス、カリフォルニアなど、
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/47623269.html 当ブログが知る限り少なくとも3つの州に「無益な治療」法]があって
「延命可能な患者であっても、予後が非常に悪ければ延命中止」を決定する権利が
病院に認められています。
その場合、本人や家族の意思に逆らうことになっても、
医師が治療を無益だと判断したら病院に決定する権利がある、とするのが無益な治療論であり、
その決定権を法的に認めたものが無益な治療法で、
ここ数年で多くの訴訟が起きていて、
去年10月までの米国とカナダの「無益な治療」事件一覧は[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56284691.html こちら]。
その後、米国ではBetancourt事件(米)、英国で[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56664792.html Baby RB事件]、カナダで[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59324284.html Isaia事件]がありました。
これらの多くにおいて、「無益な治療」の「無益」とは
「救命可能性が低い」という意味で「無益」なのではなく
「救命してもQOLが低すぎる」という意味となりつつあります。
英米カナダの医療現場では
重症障害がある人が自ら死の自己決定権を行使しない、またはできないとなれば
医師や病院の方で「あなたの治療は、もはや無益」と決めて死んでもらおう、と
言い始めているということでしょう。
つまり、重症障害者の「自己決定権」は、
事実上、「死ぬ」という一方向にしか認められていないことになる……。
しかも、医師・病院サイドと家族サイドの間に意見の不一致がなく、
不一致があったとしても家族に訴訟を起こす財力がなければ表面化しません。
2005年に栄養と水分停止によって餓死させられたTerry Shiavoさんの弟さんが
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54142490.html いまや栄養と水分は無益な治療]と言っているように、
無益な治療論による強制的延命停止は、ほとんど慣行化しているとみられています。
また、一方、移植医療の方では、
去年、[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53495527.html 森岡正博氏が朝日新聞で]書かれたように、
すでに移植のために人為的に心臓死を起こさせるプロトコルが現実となっている――。
当ブログで拾ってきただけでも、
2007年には障害者の救命より臓器保存を優先したNavarro事件、
2009年には心臓提供を前提に重症障害児の呼吸器が外されたKaylee事件など、
一応は家族の同意をとってはいますが、それ以前に病院や医師の文化において、
臓器提供が既に無益な治療論と結びついている事実を示唆しているでしょう。
例えばTerry Shiavoさんのような状況下に置かれた人が
たまたまドナーカードを持っていたとしたら……??
さらに、もしも、この先、“臓器不足”解消のため、
みなし同意制度が導入されたとしたら……?
Savulescuが説く「臓器提供安楽死」の先に、
しかも、案外に、ごく近いところに見えているのは、
「“無益な治療”論による強制的延命中止後の臓器摘出」なのでは――?
2010.05.09 / Top↑
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60405334.html 昨日のエントリー]でSavulescuの「臓器提供安楽死(ODE)」の主張を紹介しましたが、
彼の論文の記述を受け、Wesley Smithが、その後すぐに
ベルギーで行われたという安楽死後の臓器提供ケースに言及された文献を
見つけて、続報ポストを書いています。
2008年の Transplantation誌に掲載された編集長宛ての手紙で報告されており、
手紙のタイトルは「医師による自殺幇助後の臓器提供」。
ロックトイン症候群の女性の本人意思で安楽死が行われ、
その後、臓器提供が行われたとのこと。こちらも本人の意思によるもの。
安楽死は手術室の隣の部屋で通常の病院ベッドで行われ、
その間は移植医は部屋には入らず、
3人の中立の医師らが10分間心臓が動かないことを確認して死亡宣告。
その後、女性の遺体が手術台に移され、移植医によって肝臓と腎臓が摘出されて
通常の死後提供のヨーロッパ臓器移植配給ルールにのっとって
3人のレシピエントに移植された。
この手紙の著者である医師の結論部分は以下。
{{{:
まず始めに安楽死、次に死後に臓器提供という、
それぞれ別個の2つの要望があった、この症例は、
安楽死後の臓器摘出も検討されてよいし、
安楽死が法的に認められている国々では
それは倫理的にも法的にも実用面からも許されてよいことを示している。
このやり方によって移植可能な臓器の数は増えるだろうし、また
患者の命を終わらせることが臓器移植を必要とする誰かを助けることになると考えられれば
ドナーと家族にとっても慰めとなるだろう。
}}}
Smithは、まず、
ロックトインの患者さんたちの多くは時間をかけて障害に適応し、
やがて生きていてよかったと感じるようになることを指摘。
その他、Smithが批判している点は、
・こんなふうに安楽死・自殺幇助と臓器提供が結びついてしまったら
障害者や病者が負担(当人にとっても家族や社会にとっても)とみなされるだけでなく
搾取の対象ともみなされることになる。
・絶望の中にあるターミナルな患者や障害者、または単に絶望している人たちが
臓器提供のために自殺幇助を望むことだけが
自分の命を意味あるものにする手段だと思い込みかねない。
・障害を負って生きるよりも死んだ方がよいという考えを
医師や配偶者や権威ある医学雑誌がせっせと固めていけば
生きている患者はみんな、殺せば臓器が採れる天然資源とみなされてしまう。
・患者の安楽死希望と臓器提供希望とは別物だという意見もあるかもしれないが、
この2つをドッキングさせてしまう社会では
人の命を救うためというのは簡単に死ぬ動機になってしまう。
[http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2010/05/08/belgian-doctors-euthanized-disabled-patient-and-harvested-her-organs/ Belgian Doctors Euthanized Disabled Patient and Harvested Her Organs]
Secondhand Smoke
Wesley Smith, May 8, 2010
彼の論文の記述を受け、Wesley Smithが、その後すぐに
ベルギーで行われたという安楽死後の臓器提供ケースに言及された文献を
見つけて、続報ポストを書いています。
2008年の Transplantation誌に掲載された編集長宛ての手紙で報告されており、
手紙のタイトルは「医師による自殺幇助後の臓器提供」。
ロックトイン症候群の女性の本人意思で安楽死が行われ、
その後、臓器提供が行われたとのこと。こちらも本人の意思によるもの。
安楽死は手術室の隣の部屋で通常の病院ベッドで行われ、
その間は移植医は部屋には入らず、
3人の中立の医師らが10分間心臓が動かないことを確認して死亡宣告。
その後、女性の遺体が手術台に移され、移植医によって肝臓と腎臓が摘出されて
通常の死後提供のヨーロッパ臓器移植配給ルールにのっとって
3人のレシピエントに移植された。
この手紙の著者である医師の結論部分は以下。
{{{:
まず始めに安楽死、次に死後に臓器提供という、
それぞれ別個の2つの要望があった、この症例は、
安楽死後の臓器摘出も検討されてよいし、
安楽死が法的に認められている国々では
それは倫理的にも法的にも実用面からも許されてよいことを示している。
このやり方によって移植可能な臓器の数は増えるだろうし、また
患者の命を終わらせることが臓器移植を必要とする誰かを助けることになると考えられれば
ドナーと家族にとっても慰めとなるだろう。
}}}
Smithは、まず、
ロックトインの患者さんたちの多くは時間をかけて障害に適応し、
やがて生きていてよかったと感じるようになることを指摘。
その他、Smithが批判している点は、
・こんなふうに安楽死・自殺幇助と臓器提供が結びついてしまったら
障害者や病者が負担(当人にとっても家族や社会にとっても)とみなされるだけでなく
搾取の対象ともみなされることになる。
・絶望の中にあるターミナルな患者や障害者、または単に絶望している人たちが
臓器提供のために自殺幇助を望むことだけが
自分の命を意味あるものにする手段だと思い込みかねない。
・障害を負って生きるよりも死んだ方がよいという考えを
医師や配偶者や権威ある医学雑誌がせっせと固めていけば
生きている患者はみんな、殺せば臓器が採れる天然資源とみなされてしまう。
・患者の安楽死希望と臓器提供希望とは別物だという意見もあるかもしれないが、
この2つをドッキングさせてしまう社会では
人の命を救うためというのは簡単に死ぬ動機になってしまう。
[http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2010/05/08/belgian-doctors-euthanized-disabled-patient-and-harvested-her-organs/ Belgian Doctors Euthanized Disabled Patient and Harvested Her Organs]
Secondhand Smoke
Wesley Smith, May 8, 2010
2010.05.09 / Top↑
当ブログでも何度か取り上げてきたトンデモ倫理学者Julian Savulescu (Oxford大)が
Bioethics誌に 「臓器提供安楽死を許すべきか」と題した論文を書き、
臓器提供安楽死(Organ Donation Euthanasia:ODE)を提唱しています。
(Savulescuに関するエントリーは文末にリンク)
彼の言うODEとは、
臓器を摘出する方法による安楽死のこと。
つまり、
生きている人から心臓も肺も臓器諸々を摘出することで死んでもらう安楽死。
以下、お馴染み、Wesley Smithのブログ記事から。
現在の心臓死後提供DCDよりも
ODEの方がはるかに合理的だというのが彼の主張で、
Smithが抜き出している論文個所からすると、その理由とは
{{{:
・延命が可能な患者からの生命維持治療中止は認められていて、
その一方で患者の死後の臓器提起出も認められているなら
わざわざ延命停止後に死ぬのを待って摘出する理由はない。
・それよりも患者に十分な麻酔を行なって心臓と肺を含む臓器を摘出すれば、
心臓摘出後には、おのずと脳死がやってくる。
・通常の生命維持治療中止では麻酔を十分に行わないことが多いので、
この方法の方が患者の苦痛が少ない。
・患者の選別さえ慎重に行えば、
この方法で死ななくてもいい患者が死ぬことは起こらない。
・この方法だと臓器の血流が良好な状態を維持したまま摘出できるため、
移植に使える臓器が採りやすい。
・現在のDCDでは患者が死ぬまでに時間がかかり過ぎて
移植に使えるものが不足している心臓や肺も
この方法なら供給される。
・本人と家族の臓器提供意思をより確実に生かすことができる。
}}}
さらに、Savulescuは、
{{{どうせ間もなく死ぬ患者で本人が同意していたとしても、}}}
{{{生きている患者から臓器をとるのがまずいと言うなら、}}}
{{{ドナーを安楽死させて、心臓死を待って摘出すればよい、}}}と説き、
{{{それは安楽死が認められている国では論理的には可能であり、}}}
{{{ベルギーでは一人の患者で行われたとされている}}}、と書いているのです。
Smithは、このベルギーの事例について
当該論文を探して、いずれブログで取り上げる、と。
最後に、SmithはPeter Singerの例を引いて
{{{どうも、倫理学者というものは、過激で功利的な発言をすればするほど、}}}
{{{有名大学からお呼びがかかるものらしい}}}とのセオリーを唱えています。
[http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2010/05/08/euthanizing-patients-for-organs-advocated-in-bioethics/ Euthanizing Patients for Organs Advocated in Bioethics]
Secondhand Smoke, May 8, 2010
読んで、真っ先にムカついたのは、
「ただの消極的安楽死で生命維持治療をやめるんだったら
十分な麻酔をしてもらえなくて患者は苦しいけど、
生きた状態で臓器をとってもらう安楽死なら
十分に麻酔をかけてもらえるから苦しくないよ」……って、
それは、なんちゅう大ワタケの、おためごかしなんだよっ。
そんなの、もともと、
延命中止のさいに徹底されるべき緩和ケアが出来ていないということなのだから、
本当は、緩和ケアを徹底しなきゃならんという方向に行くべき話じゃないか。
それにしても、
安楽死や自殺幇助の問題が臓器不足と繋がっていく危険性については
Smithも前から書いていたし、他の多くの人も同じことを書いていたし、
日本でも小松美彦氏や森岡正博氏や立岩真也氏など、多くの人が警鐘を鳴らしてきたし、
私自身も自殺幇助合法化議論やAshley事件を追いかけながら
そちらに向かって急傾斜していく時代の空気が皮膚感覚として感じられて、
ジリジリするような気分で案じていたのですが、
よもや、こんなに早く、
しかもBioethics誌から……とは。
もっとも、やっぱりSavulescuからか……とも。
(Norman Fostも同調してくるだろうな……という予感も)
しかも、まさか、すでにベルギーで現実になっていたとは……。
―――――――
ついでに、
Savulescuは、Peter Singerの一番弟子だということだし、
Wesley Smithも Norman Fostについてはノーマークみたいだけれど、
当ブログの情報では、SavulescuとFostは、少なくともステロイド論争では、お仲間。
Norman Fostという人物も、みんな、もうちょっとマークした方がいいと
私は前から思うのだけど……。
ちなみにA事件を調べる過程で私が拾ったFostに関する英文情報のリンク集は[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52953334.html こちら]に。
(ただし一部です)
【Savulescu関連エントリー】
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/21927609.html 不思議な“アシュリー療法”エッセイと、その著者たち 2]
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/21934905.html カフェインだって昔は違法薬物、とSavulescu]
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/31207699.html A療法擁護の2人ドーピング議論に]
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/38358928.html 最相葉月の「いのち」に、あのSavulescu](2008/5/17)
臓器移植に関するエントリーは[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/51567553.html こちら]にまとめました。
(ただし09年4月までのもののみ。その後はバラけたままになっています)
また、「介護保険情報」誌の2009年11月号に書いた
「“国際水準の移植医療”ですでに起こっていること」は[http://www.arsvi.com/2000/0911km.htm こちら]に。
Bioethics誌に 「臓器提供安楽死を許すべきか」と題した論文を書き、
臓器提供安楽死(Organ Donation Euthanasia:ODE)を提唱しています。
(Savulescuに関するエントリーは文末にリンク)
彼の言うODEとは、
臓器を摘出する方法による安楽死のこと。
つまり、
生きている人から心臓も肺も臓器諸々を摘出することで死んでもらう安楽死。
以下、お馴染み、Wesley Smithのブログ記事から。
現在の心臓死後提供DCDよりも
ODEの方がはるかに合理的だというのが彼の主張で、
Smithが抜き出している論文個所からすると、その理由とは
{{{:
・延命が可能な患者からの生命維持治療中止は認められていて、
その一方で患者の死後の臓器提起出も認められているなら
わざわざ延命停止後に死ぬのを待って摘出する理由はない。
・それよりも患者に十分な麻酔を行なって心臓と肺を含む臓器を摘出すれば、
心臓摘出後には、おのずと脳死がやってくる。
・通常の生命維持治療中止では麻酔を十分に行わないことが多いので、
この方法の方が患者の苦痛が少ない。
・患者の選別さえ慎重に行えば、
この方法で死ななくてもいい患者が死ぬことは起こらない。
・この方法だと臓器の血流が良好な状態を維持したまま摘出できるため、
移植に使える臓器が採りやすい。
・現在のDCDでは患者が死ぬまでに時間がかかり過ぎて
移植に使えるものが不足している心臓や肺も
この方法なら供給される。
・本人と家族の臓器提供意思をより確実に生かすことができる。
}}}
さらに、Savulescuは、
{{{どうせ間もなく死ぬ患者で本人が同意していたとしても、}}}
{{{生きている患者から臓器をとるのがまずいと言うなら、}}}
{{{ドナーを安楽死させて、心臓死を待って摘出すればよい、}}}と説き、
{{{それは安楽死が認められている国では論理的には可能であり、}}}
{{{ベルギーでは一人の患者で行われたとされている}}}、と書いているのです。
Smithは、このベルギーの事例について
当該論文を探して、いずれブログで取り上げる、と。
最後に、SmithはPeter Singerの例を引いて
{{{どうも、倫理学者というものは、過激で功利的な発言をすればするほど、}}}
{{{有名大学からお呼びがかかるものらしい}}}とのセオリーを唱えています。
[http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2010/05/08/euthanizing-patients-for-organs-advocated-in-bioethics/ Euthanizing Patients for Organs Advocated in Bioethics]
Secondhand Smoke, May 8, 2010
読んで、真っ先にムカついたのは、
「ただの消極的安楽死で生命維持治療をやめるんだったら
十分な麻酔をしてもらえなくて患者は苦しいけど、
生きた状態で臓器をとってもらう安楽死なら
十分に麻酔をかけてもらえるから苦しくないよ」……って、
それは、なんちゅう大ワタケの、おためごかしなんだよっ。
そんなの、もともと、
延命中止のさいに徹底されるべき緩和ケアが出来ていないということなのだから、
本当は、緩和ケアを徹底しなきゃならんという方向に行くべき話じゃないか。
それにしても、
安楽死や自殺幇助の問題が臓器不足と繋がっていく危険性については
Smithも前から書いていたし、他の多くの人も同じことを書いていたし、
日本でも小松美彦氏や森岡正博氏や立岩真也氏など、多くの人が警鐘を鳴らしてきたし、
私自身も自殺幇助合法化議論やAshley事件を追いかけながら
そちらに向かって急傾斜していく時代の空気が皮膚感覚として感じられて、
ジリジリするような気分で案じていたのですが、
よもや、こんなに早く、
しかもBioethics誌から……とは。
もっとも、やっぱりSavulescuからか……とも。
(Norman Fostも同調してくるだろうな……という予感も)
しかも、まさか、すでにベルギーで現実になっていたとは……。
―――――――
ついでに、
Savulescuは、Peter Singerの一番弟子だということだし、
Wesley Smithも Norman Fostについてはノーマークみたいだけれど、
当ブログの情報では、SavulescuとFostは、少なくともステロイド論争では、お仲間。
Norman Fostという人物も、みんな、もうちょっとマークした方がいいと
私は前から思うのだけど……。
ちなみにA事件を調べる過程で私が拾ったFostに関する英文情報のリンク集は[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52953334.html こちら]に。
(ただし一部です)
【Savulescu関連エントリー】
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/21927609.html 不思議な“アシュリー療法”エッセイと、その著者たち 2]
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/21934905.html カフェインだって昔は違法薬物、とSavulescu]
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/31207699.html A療法擁護の2人ドーピング議論に]
[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/38358928.html 最相葉月の「いのち」に、あのSavulescu](2008/5/17)
臓器移植に関するエントリーは[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/51567553.html こちら]にまとめました。
(ただし09年4月までのもののみ。その後はバラけたままになっています)
また、「介護保険情報」誌の2009年11月号に書いた
「“国際水準の移植医療”ですでに起こっていること」は[http://www.arsvi.com/2000/0911km.htm こちら]に。
2010.05.09 / Top↑
人口密度が中央アジアで最も高い国ウズベキスタンで
貧しい女性が出産時に無断で不妊手術を施されている。
20年間鉄拳独裁を敷いてきたIslam Karimov大統領の命令による大量強制不妊は
2003年に始まり、批判を浴びていったんは2年ほぼ中止されていたが、
今年2月に保健相が「効果的な避妊法」として医師らに命じて
再開されたと言われる。
医師一人につき月最低2人の女性の同意をとるようノルマが課せられ、
果たせなければ懲戒や罰金も。
実際には出産の際に無断でやられてしまうケースが多く、
そのため安全策として自宅での出産を選ぶ女性が増えているが、
それでも産後の検診などで病院に誘い出しては
偽りの病気を診断して手術されてしまったりしている。
人権団体によると
2月以降、本人の同意なしに不妊手術を施された女性は5000人とも。
Doctors sterilise Uzbek women by stealth
The Times, April 25, 2010
ずーん……と、心が沈む。
【関連エントリー】
知的障害・貧困を理由にした強制不妊手術は過去の話ではない(2010/3/23)
ペルー、フジモリ政権下で350万人の先住民女性に強制不妊手術(2009/4/9)
貧しい女性が出産時に無断で不妊手術を施されている。
20年間鉄拳独裁を敷いてきたIslam Karimov大統領の命令による大量強制不妊は
2003年に始まり、批判を浴びていったんは2年ほぼ中止されていたが、
今年2月に保健相が「効果的な避妊法」として医師らに命じて
再開されたと言われる。
医師一人につき月最低2人の女性の同意をとるようノルマが課せられ、
果たせなければ懲戒や罰金も。
実際には出産の際に無断でやられてしまうケースが多く、
そのため安全策として自宅での出産を選ぶ女性が増えているが、
それでも産後の検診などで病院に誘い出しては
偽りの病気を診断して手術されてしまったりしている。
人権団体によると
2月以降、本人の同意なしに不妊手術を施された女性は5000人とも。
Doctors sterilise Uzbek women by stealth
The Times, April 25, 2010
ずーん……と、心が沈む。
【関連エントリー】
知的障害・貧困を理由にした強制不妊手術は過去の話ではない(2010/3/23)
ペルー、フジモリ政権下で350万人の先住民女性に強制不妊手術(2009/4/9)
2010.05.08 / Top↑
去年12月に行われた、第4回宗教と生命倫理シンポジウム
「尊厳死法制化」の問題点を考える、の報告書を読んだ。
日本尊厳死協会理事長の井形昭弘氏の「ダンディな死」発言については
前にも、こちらのエントリーで書いているし、
ピンピンコロリ以外の死に方はすべて苦しみと絶望のうちに死に臨むのだと
脅すかのような発言も、こちらで書いたばかりなのだけれど、
それ以外に、井形氏の発言の中から気になった個所を挙げてみると、
・「ダンディな死」がそうであるように繰り返し使われる「名誉ある撤退」という表現も
ドイツの話を持ち出した際には「安心立命を得て」死んでいったという表現も
自ら死ぬことにプラスの道徳的価値を付加している。
・「無意味な延命措置」はやめてほしいだけだと繰り返されているが、
どういうものが「無意味な」措置なのかが全く定義も説明もされないまま
「自然な死を望む」ということに対比して語られていくにつれ
多くの場所で井形氏の語りからは「無意味な」が抜け落ちて
単に「延命措置はやめてほしい」になっていく。
安楽死と尊厳死の違いを定義する際にも
「安楽死は積極的な方法で死期を早めることであり
尊厳死は延命措置を中止すること」と述べて「無意味な」が抜け落ちたまま。
いつのまにか延命措置そのものが全て無意味であるかのように話が進められていく。
・「尊厳死」の定義は上記の通り「延命治療の中止」と説明されているのだけれど
当ブログで追いかけてきた英米の自殺幇助合法化議論を前提に井形氏の以下のような発言を読むと、
頭の中が疑問だらけで、しっちゃかめっちゃかになる。
例えばOregonやWashington州で制定されている法律の名称は
「安楽死法」ではなくて「尊厳死法」 Death with Dignity Act。
井形氏が「多くの国で法制化されている尊厳死」に言及し、
「おぞましい事件が起こらずに行われている」という時に、
そこにはOregonやWashingtonの医師による自殺幇助の合法化や
スイスのDingtiasへの自殺ツーリズムの認識は含まれているのかいないのか。
(7日追記:スイスは「法制化」されているわけではなく「違法でない」というだけみたいですが)
ここは、もうちょっと用語を整理し直すべきなのでは?
「人権の発達した国」では本人の意思を尊重しようと考えるのだ、
安楽死法案まで通すのだと、なぜかオランダとベルギーだけに限って触れているのだけれど、
そのオランダでは70過ぎたら元気でも自殺してもらおうという声が出ていたり、
それ他、自殺幇助が合法化されたり、違法とされていない場所では、
Oregonの「尊厳死」の97%にC&Cが絡んでいたり、
メディケアで抗がん剤治療はダメだけど自殺幇助ならOKという話があったり、
リッチな女性のDignitas死に財産がらみの疑念がとり沙汰されていたり、
Dignitasではターミナルな妻と一緒に健康な夫の自殺が幇助されていたり、
ということが起こっているのだけれど、
井形氏はご存じないのだろうか。
それとも単にそれらを「おぞましい」と感じておられないだけなのか。
はたまた、単に「尊厳死」が「医師による自殺幇助」を意味する国や地域があること、
またそうした国や地域で実際にで起こっていることの諸々を
日本では知られたくないだけなのか。
・最後に井形氏が力説しておられるのが
その他にも、これは人権の問題だとして「人権社会」という言葉を繰り返し、
人権社会ならば死にたいという本人の意思を尊重して然りと主張しておられるのだけれど、
子育てや介護をしながら働き続けたいという意思も、
障害があっても人の手を借りながら自立した生活を送りたいという意思も、
ただ、ふつうに生きるために、ごく当たり前の生活ができる仕事がほしいという意思も、
ちっとも尊重されなくて、
憲法で保障された生存権すら脅かされているとあちこちから悲鳴が上がっている日本で、どうして
死にたいという意思だけは「人権社会なのだから」尊重してあげよう……という話になるんだろう?
「尊厳死法制化」の問題点を考える、の報告書を読んだ。
日本尊厳死協会理事長の井形昭弘氏の「ダンディな死」発言については
前にも、こちらのエントリーで書いているし、
ピンピンコロリ以外の死に方はすべて苦しみと絶望のうちに死に臨むのだと
脅すかのような発言も、こちらで書いたばかりなのだけれど、
それ以外に、井形氏の発言の中から気になった個所を挙げてみると、
・「ダンディな死」がそうであるように繰り返し使われる「名誉ある撤退」という表現も
ドイツの話を持ち出した際には「安心立命を得て」死んでいったという表現も
自ら死ぬことにプラスの道徳的価値を付加している。
・「無意味な延命措置」はやめてほしいだけだと繰り返されているが、
どういうものが「無意味な」措置なのかが全く定義も説明もされないまま
「自然な死を望む」ということに対比して語られていくにつれ
多くの場所で井形氏の語りからは「無意味な」が抜け落ちて
単に「延命措置はやめてほしい」になっていく。
安楽死と尊厳死の違いを定義する際にも
「安楽死は積極的な方法で死期を早めることであり
尊厳死は延命措置を中止すること」と述べて「無意味な」が抜け落ちたまま。
いつのまにか延命措置そのものが全て無意味であるかのように話が進められていく。
・「尊厳死」の定義は上記の通り「延命治療の中止」と説明されているのだけれど
当ブログで追いかけてきた英米の自殺幇助合法化議論を前提に井形氏の以下のような発言を読むと、
頭の中が疑問だらけで、しっちゃかめっちゃかになる。
多くの国で尊厳死が法制化されて、おぞましい事件が起こらず行われているのに、それを阻む条件が日本にだけあるとは思いません。
例えばOregonやWashington州で制定されている法律の名称は
「安楽死法」ではなくて「尊厳死法」 Death with Dignity Act。
井形氏が「多くの国で法制化されている尊厳死」に言及し、
「おぞましい事件が起こらずに行われている」という時に、
そこにはOregonやWashingtonの医師による自殺幇助の合法化や
スイスのDingtiasへの自殺ツーリズムの認識は含まれているのかいないのか。
(7日追記:スイスは「法制化」されているわけではなく「違法でない」というだけみたいですが)
ここは、もうちょっと用語を整理し直すべきなのでは?
「人権の発達した国」では本人の意思を尊重しようと考えるのだ、
安楽死法案まで通すのだと、なぜかオランダとベルギーだけに限って触れているのだけれど、
そのオランダでは70過ぎたら元気でも自殺してもらおうという声が出ていたり、
それ他、自殺幇助が合法化されたり、違法とされていない場所では、
Oregonの「尊厳死」の97%にC&Cが絡んでいたり、
メディケアで抗がん剤治療はダメだけど自殺幇助ならOKという話があったり、
リッチな女性のDignitas死に財産がらみの疑念がとり沙汰されていたり、
Dignitasではターミナルな妻と一緒に健康な夫の自殺が幇助されていたり、
ということが起こっているのだけれど、
井形氏はご存じないのだろうか。
それとも単にそれらを「おぞましい」と感じておられないだけなのか。
はたまた、単に「尊厳死」が「医師による自殺幇助」を意味する国や地域があること、
またそうした国や地域で実際にで起こっていることの諸々を
日本では知られたくないだけなのか。
・最後に井形氏が力説しておられるのが
自分の意思を尊重する人権社会では、本人の意思に基づく尊厳死は当然守られるべき権利であることを強く主張して……
その他にも、これは人権の問題だとして「人権社会」という言葉を繰り返し、
人権社会ならば死にたいという本人の意思を尊重して然りと主張しておられるのだけれど、
子育てや介護をしながら働き続けたいという意思も、
障害があっても人の手を借りながら自立した生活を送りたいという意思も、
ただ、ふつうに生きるために、ごく当たり前の生活ができる仕事がほしいという意思も、
ちっとも尊重されなくて、
憲法で保障された生存権すら脅かされているとあちこちから悲鳴が上がっている日本で、どうして
死にたいという意思だけは「人権社会なのだから」尊重してあげよう……という話になるんだろう?
2010.05.08 / Top↑
スウェーデンで6歳の時から全身マヒで呼吸器を使っている32歳の女性の死にたいとの望みを受け、スウェーデンの医師会が裁判所の判断を仰いでいたケースで、患者の希望で生命維持の中止を合法とする判断が出た。
http://www.swedishwire.com/politics/4096-sweden-allows-passive-euthanasia
米国のほとんどの州が、逮捕されたり少年院に収容された少女らにHPVワクチンをオファー。:オファーというけれど、それは打たれているということと思われ。そういう少女たちは一般に早くから性行為を行いがちだから、と。:うへっ……と思ったのは、その「親切」もだけれど、この記事でHPVそのものが「米国で最も一般的なセックス感染の性病」とされていること。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187074.php
米国FDAが前立腺がんのワクチンを認可。予防ではなく、進行した人の治療に免疫システムを強化するワクチン。1人93万ドルの治療。:ワクチンと名がつくものは、日本でも認可が早いのではないか、という予感がする。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8654039.stm
アルツハイマー病の治療薬がむしろ脳を損傷し、記憶障害を悪化させている、という可能性が指摘されている。
http://www.naturalnews.com/028622_Alzheimers_brain_damage.html
米国の麻酔科学会の幹部から、死刑執行に際して囚人に致死薬の注射をする医師の資格はく奪を云々する声。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/05/01/AR2010050103190.html?wpisrc=nl_cuzhead
ヨーロッパの社会福祉施策研究センターから「介護者のケアは?」と、介護者の現状報告と課題の指摘。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187151.php
太り過ぎて米軍に入隊できない子どもたちが増えている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/187324.php
ロシアの現在の孤児は第二次世界大戦直後よりも70万人も多い。親に見捨てられたり、機能不全の家庭から保護されたり。養子にした親が、また孤児院に戻してくるケースも、ロシアの中でも少なくない。
http://www.nytimes.com/2010/05/04/world/europe/04adopt.html?th&emc=th
2010.05.04 / Top↑