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ここしばらく追いかけている
米国の世界ランク45位の大富豪による自社サイトでの「安楽死ライブ中継」には、
「中継」中に15000人が視聴したとのこと。

以下の記事に、その映像のスチール写真が掲載されており、
確かに予告通りに、右下に投票があります。

が、実際には、映像はビデオであったばかりか

ターミナルな脳腫瘍患者とされたロシア人男性は
Alki David 氏のヨットのキャプテンで、
妻を演じたのは家政婦さん。

医師らは、実際の医師の出演によるもの、とのこと。

映像が始まって30秒後には、作り話であることが明かされ、
その30秒後にはDavid氏が登場し、サイトのプロモのために
マーケッティングで仕組んだことだと明かした、と。

Alki, Did it Again! – First Assisted Suicide Broadcast Live Over the Internet Was a Promotion
Greek Reporter, July 30, 2011



これまでの関連エントリーは以下。

今夜、Dignitasでの自殺幇助を、大富豪がインターネットでライブ中継(2011/7/29)
安楽死のライブ中継は「意識革命ですよ。同時に視聴者の投票という新しい面白みも加えます」(2011/7/30)
安楽死ライブ中継は「まず医療費援助から始まり、追加援助と引き換えに妻が提案」(2011/7/31)


この最後の今朝のエントリー、実は
昨夜遅くに書いて朝まで寝かせておいたものです。

今朝こいつをアップしてから、上記の記事を読みました。

体が震えるほどの嫌悪と憤りが突き上がってきた。

カネの力にあかせて死をもてあそび、オモチャや道具にする神経にも、
こんなビデオ作製に出演したホンモノの医師がいる、ということにも――。

「科学とテクノで簡単解決バンザイ文化」と功利主義と
グローバル強欲ひとでなし金融ネオリベ慈善資本主義の暴走で、
米国社会はどんどん病んでいく……というのは、
このブログを始めてからずっと感じてきたことだけど、

この人たちは、もう、後戻りできないところまで
「すべり坂」を転げ落ちてしまっているのではないのか、

そして、そんな愚かしい、頭がいいだけ、カネ持ってるだけのバカたちに
みんなが引きずられていく以外には、もうどうにもならないところまで
グローバルな世界の諸々の仕組みはもっていかれてしまったのではないのか……。

せめて、この醜悪な「金持ちのギャグ」騒ぎに
世論がまっとうな反応をすることを期待してみたい……。



Alki David についてはこちら
2011.07.31 / Top↑
安楽死ライブ中継問題に関して、
Alki David 氏から直接コメントをとったネット・メディアが引用しているのは、
これまた、あちこちの行間からなんともイヤ~な匂いが立ち上ってくる話。

Originally I was approached by one of my staff to help Nikolai out with medical expenses. I did so. We exchanged some emails and that was it. Once his health started to deteriorate his wife Uryna asked me to pay for his assisted end of life. It was her suggestion in fact that we stream it in exchange for more money.

最初は、スタッフの一人から
ニコライの医療費を助けてやってくれと頼まれたのがきっかけ。

で、出してあげた。

その時はニコライと何度かメールのやりとりをして、それで終わった。

その後、症状が進んできて、今度は奥さんのUrynaさんから
自殺幇助の資金を出してほしいと頼まれたんだ。

本当のところ、資金援助の追加と引き換えに
ライブで流してもいいと言い出したのは奥さんの方だった。

放映権にいくら払ったかは明かさなかったけど、
「6桁の金額」だった、と。

THIS BRITISH BILLIONAIRE IS LIVESTREAMING A KEVORKIAN-ESQUE ASSISTED SUICCIDE
Mogulite.com, July 28, 2011


いかに世界ランク45位の大富豪でも、
スタッフに頼まれたからというだけで、
何の見返りもなく他人の医療費を出してあげるものか――?

なんか、もう、ぜんぜん比喩ではなく、気分が悪くなってきた……。


【追記】
これをアップした直後に拾った、驚くべき顛末 ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63730460.html
2011.07.31 / Top↑
昨日とりあげた
今夜、Dignitasでの自殺幇助を、大富豪がインターネットでライブ中継のRador on line記事を受けて

Daily Mailが取材し、昨日、記事にしていた。
そこに一昨日の記事にはなかった情報がいくつか出てきていて、

WHAAAAAAAAAT???  

目を剥いたのは、Ivanisovichさんの自殺の方法――。

これまでのDignitasでの「自殺幇助」とは
医師が(Dignitasの提携医だから、そこは、ね)予めその人に処方した毒物を
Dignitasスタッフの介助によって本人が飲んで死ぬ、というもの。

以前、いろんな国で放送されて物議をかもした米国人ALS患者Ewertさんの自殺場面でも、
スタッフが「自分で飲むことが大事。自己決定の証だから」と念押ししていた。
(Ewert氏の死の映像が映画化されて出回っている件については文末にリンク)

しかるに!

今回、Ivanisovichさんには、医師が致死薬を注射するのだという。

ちょっと、待ってほしい。
それは「自殺幇助」ではなく「積極的安楽死」または「殺人」ではないんですか?????

たしかスイスで自殺幇助が合法と解釈されているのは、
自殺そのものが非合法でないことに加えて、
個人的な利益という動機からではなく自殺を幇助する行為は違法とされないという
2点からの法解釈によるものだったはず。

なら、なんで、そんなことが許されるんだ????

しかもEwertさんの映像はあくまでも録画ビデオが流されたものだったのに対して
今回はライブなのだから、これは「殺人」場面のライブ中継ではないのか??

もう1つ、前の記事にはなかったのが
このサイトの担当者と、“独占放映権”を買った富豪の言葉――。

まずサイトの担当者は
「我々が何を見るか、どういう方法でそれを見るか、という問題についての、
これは意識革命(breakthrough in consciousness)ですよ」

富豪のAlki David氏は

We are creating a new form of interactive special interest with Battlecam’s unique voting system. The online audience will actually vote whether they want to see the suicide or not.

BattleCamサイト独自の投票システムを使って、これまでにない交流式の面白みを今回は加えていきますよ。オンラインで観客が、この自殺場面を見たいかどうかを実際に投票するんです。



なお、それ以外にもDavid氏のコメントとして引用されているものは
上記のRadorの記事ではIvanisovich氏のコメントとして引用されているもので
ちょっと情報に混乱があるようです。

それから、David氏はIT系の富豪ではなく、
船会社やボトル製造帝国を跡取りとして継いだ人、のようです。
本人も俳優だと書かれていますが、去年立ち上げたBattleCamには、
私にはイマイチ背景が分からないんだけど、政治的背景もあるみたい。

どうも、今回のこと、その辺りが匂うのでは?

先に触れたEwertさんの映像も、
英国でまた、まるでタイミングを合わせるように流されたみたいだし、

1か月前にも、BBCがホテル王のDignitasでの自殺場面を流し、非難ごうごう巻き起こったばかり。
(この事件は補遺でしか拾っていないのですが、次のエントリーに情報まとめます)

まるで、世界中で「自殺映像で洗脳」キャンペーンが行われているみたいな……。

Suicide to be broadcast on the internet: Terminally ill Russian brain cancer patient to have his assisted death at Swiss clinic streamed live
The Daily Mail, July 29, 2011


昨日のエントリーの末尾に追記した掲示板をちょっとだけ覗いてみたところ、
「死ぬのも、どんな形で死ぬのかも、個人の自由、自己決定だから」として
支持するという人がかなりの高率でいるのに、ぶっ飛んだ。

「自己決定」というのは、
本当に自由な選択が保障された状況下での話じゃないんだろうか。

例えば現在、日本で、派遣切りなどで食い詰めている若者たちが
人買いみたいな形で原発の作業に連れて行かれているのだって、
自分が「行きます」と言った以上は「自己決定」ということにされるんでしょーよ。

ナイジェリアの赤ちゃん工場で子どもを産まされていた少女たちだって、
何らかの形で「産んでもいい」と解釈しうる言葉を吐いていれば
それも「自己決定」だから「本人の自由だ」ということにされるのかもしれないし、

代理母をやるインドやギリシアの貧しい女性だって、
それ以外には一家が生きていく方策が見つからないために
「私も代理母をやりたい」と業者を訪ねていくのだとしても、
それも「自己決定」ということで片づけられてしまうんでしょーよ。

パキスタンで食い詰めて、
一家の数週間分の食料を買うためにブローカーに腎臓や目を売る人たちだって、
「売りたい」と言って自分からブローカーに接触したのでしょーよ。

そういう人たちの「やります」の、一体どこが
「本人の自由意思」による「自己決定」だというんだ?

Ivanisovich氏は、放映権を買ってもらったことで
「家族が自分の死後も今の家で暮らし続けることができる」と“感謝”している。

そんな理由で、自分の自殺場面を世界中にライブ中継してもらおうとする行為は
本当に健全な「自己決定」なのか。

そんな「自己決定」に乗っかって、みんなで人の死を見世物にして娯楽にするなんて
それが一体、健全な人間のすることなのか。

掲示板で、一人、「次は、その場で見物するチケット売り出しだね」と書いた人がいた。
この人は反対意見の人だった。

でも、同じことを全く別の意味で望む人だっているのでは……? と思って、
心底、ぞおおおおおっとした。

           ――――――

この前、ケアラー連盟設立1周年記念フォーラムで、
千葉の独自事業で、対象者を限定しない相談事業をやっている人が言っていました。

家庭がその中に複数の問題を複合的に抱えてしまう時、
人は健全な自己決定を行う能力を失っていきます。
その典型が自殺念慮です。

支援とは、
その人が本来持っている健全な自己決定能力を
取り戻せるためにはどうしたらいいかを
その人に寄り添いながら、共に悩み、考えること。




【Ewert氏のDignitas死映像関連エントリー】
英TVでDignitasでの自殺映像、Brown首相は「合法化は支持しない」(2008/12/12)
豪TVでも、DignitasでのALS患者の自殺映像放送へ(2009/8/17)
デンマークでも幇助自殺映像をTV放送(2009/10/6)
ALS患者のDignitas自殺映像が映画祭に(米WA州)(2009/10/16)
1度も上映されたことのない「自殺幇助合法化ドキュメンタリー」がオスカー候補……の怪(2010/2/19)


【31日追記】
その後の、驚くべき顛末 ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63730460.html
2011.07.31 / Top↑
はしかのワクチンを子どもに無料で打ってくれる代わりに、
全員接種が義務付けられているMalawiで、

薬物摂取を禁じている2つの教会に属する親たちが、先週、
ワクチンから逃れるために、子どもを連れて隣国 Mozambiqueまで逃げたそうな。

で、今週に入って、こっそりと家に戻った。
それは、すぐにNsanjeの保健当局の知るところとなる。

「モザンビークに隠れていた子どもたちが戻ってきていると通報があったので、
ワクチンを打つための保健職員を派遣するから随行してくれるよう、警察に要請しました。
それで、どうにかこうにか131人の子どもに接種を終えました」

この一連の事件で、
Mchinji Third Grade Magistrate 裁判所に2年間の禁固刑を言い渡された親がいる。

Appolo Chitsongaさん。
The Seventh Day Apostolic faith という教会の信者で
ワクチンを打たせないよう、3人の子どもを家に閉じ込めたという。

そのうちの一人は麻疹で死んだということになっている。

その事実関係のうちのどの部分に対する刑罰なのかが
記事からはイマイチ分からないのだけど、

「刑法242条にある合法的な免除理由もなしに
自分の保護下にあるものに生命維持に必要なものを提供せず、
命を危険にさらした罪」。

もう一人は2年間の重労働付き禁固刑。

(こっちの人の子どものことは書いてないから、
たぶん死んではいなんだろうと思うんだけど。
それに前の人の子どもだって、仮に麻疹で死んだのが事実だとしても、
時期からしてワクチンは間に合っていないと思うから
父親の行動との因果関係は少なくとも立証できないのでは?)

131 children vaccinated at gunpoint in Nsanje
Malawi Voice, July 29, 2011


ちょっと面白いのは、
このMarawi Voiceの記事が
あちこちのサイトにコピペされて
広がって行くにつれタイトルが変貌していく様――。

上記の記事は
「Nsanjeで131人の子どもに銃を突きつけワクチン接種」

次には
「ゲイツ財団の関係機関が子どもたちに銃を突きつけワクチン接種」

それやこれやの中には
「ゲイツ財団が銃を突きつけ、途上国の子どもたちにワクチン接種」というものも。


あははは。この現象、おっかしい。

確かに事実のうわべだけを見れば、
ゲイツ財団がやったわけじゃないのだから、こうしたタイトルは飛躍しすぎている。

(もともと警察が一緒に行ったというだけで、
実際に「銃を突きつけた」とは本文のどこにも書かれていない)

でも、どうしてこういうことが起こるのか、その背景を考えたら、
この最後のタイトルだって、あながち間違いでもないかもしれない。

思い出されるのは、Bill Chill。

Billから法外なおカネを恵んでもらう人たちが、
別にBill からはっきり求められたわけでもないのに、
無用な先回りをしてBillの望みや意向を忖度・斟酌し、
過剰適用的にBillの期待に応えようと必死になること。

なにしろ、Bill のことを考えると、みんなブルっちゃって、
そういう行動に、つい駆られちゃうからね。

(いやでもAshley事件が頭に浮かびますが……)

でもさー。

あたし、ソマリアの飢餓のニュースを見てから、ずっと考えてんだけどぉ、
Billってさぁぁ? たしか、言ってなかった? ほら、な~んか自慢げにさぁ、

ソマリアなんか、無政府状態でも子どものワクチン接種率は高いんだぞ……とかって。

あれって、やっぱ、他の途上国だって、もっと打たせられるはずだろって、
Billは、言ってたんじゃないのぉ?

オマエら、何やってんだ、無政府状態でもないなら、もっと成績上げろよって、
ああやって暗に尻おっぱたかれりゃ、よ、

ソマリア以外の途上国のお役人たちも凍りつくわけじゃん?
だってBillに睨まれたら、おカネもらえなくなるんだよぉ? そりゃ Chillだよねー。

隠れている子どもたちを探しだし、
お巡りさんについてきてもらって銃を突きつけてでも、打たなきゃ……って、
そんな気にもなるじゃ~ん。チンケな官僚主義ってな、
どこの国のどこの社会でも、そんなもんだもん。

だからぁ、このマラウィの事態はBill Chillそのものでぇ、
だからBill がやらせているのと同じなわけでぇ……って……

あっ、ごめ~ん、あたしが言いたかったのはぁ、そーゆうことじゃなくてぇ。

その、Billが言ってた、
ソマリアの子どもたちのワクチン接種率が高いって話の方なんだけどぉ。

それって、Billはぁ、ソマリアにワクチンを届けられるってことでしょー?
なんての? ほら、ルートを持ってる……っての?

ならさ、そのルートで、ソマリアに食糧を届けることもできる、って、
ねーぇ、どぉーして、Billは、思いつかないのかな~ぁ?
2011.07.31 / Top↑
いったい、こんなことが許されていいのか?

金曜日の晩に、カメラの前で医師の自殺幇助を受けて死ぬことになっているのは
脳腫瘍でターミナルな状態の Nikolai Ivanisovichさん(62)。

もちろん、その場所は、記事によれば "a clinic in Switzerland"。つまり、お馴染み Dignitas。

(Dignitasをクリニックって言うなっ……てば。
致死薬は確かにその患者に前もって医師が処方したものですが、
DignitasをやっているMinelliは医師ではなく弁護士。
Dignitasは自殺希望者に場所を提供し、自殺前後のお世話をショーバイにしているだけ。
またMinelliが直接お世話するわけではなく、出てくるのはスタッフ。
メディアは間違うことが多いですが、Dignitasは、クリニックではありません)

ライブ映像が流されるのは、 24/7 Reality TV というサイトで、
ここはAlki David という大富豪が運営するサイトだとのこと。

Ivanisovichさんの自殺幇助の独占放映権を買い取ったんだと。

名前もそうだけど、
ロシアのメディアに発言しているところからロシア人なのでしょう。

Ivannisovichさんは
「David氏とチームにはこれを実現させてもらって感謝している。
これで私が死んだあとも家族は今の家に住み続けることができる。
Davidさんは本当に親切で、気前のいい方だ。

今回のことに関する道徳的な問題について言えば、
私はなんら間違っているとは思いません。

誰だって生きていれば死ぬ。
ターミナル期の苦痛を感じずに命を終える権利の大切さを認めている国は
スイスを含め、ベルギー、ルクセンブルクなど西側世界には沢山ある」

World To Watch Assisted Suicide Live On Internet
Rador online, July 28,, 2011

見たいというコメントが多数くっついている。

これが転載されている、こちらのブログにもコメント多数。
ただし、こちらは見たくない人が多数。↓

World to Watch Assisted Suicide Live On Internet
Free Republic, July 28, 2011


問題のサイトのリンクはないのだけれど、
ここで流れる、という情報もある ↓
http://www.battlecam.com/alkidavid

ただ「金曜の晩」というだけで時間が出ているわけでもありません。
私は個人的には見る気はないです。


スイスへの「自殺ツーリズム」を実現するだけのお金がなかったり、
自分が病気で死んだ後の家族が心配だったりする人が、
自分が自殺幇助を受けて死ぬ場面の“放映権”を売る……。

買う方(IT系の大富豪らしい)は、それを面白半分に、
自分が趣味でやっている悪趣味なサイトで流す……。


ねぇ、だれ、「すべり坂」なんか、ないっ……て言った人?

安楽死と臓器提供が結び付いただけでも、おぞましさの極致だと思っていたのに、
安楽死が、金持ちの遊びと結びついたよ、今度は?


【追記】
こんなことして、いいのか? と問う掲示板が立ちあがっている ↓

http://www.sodahead.com/united-states/should-terminally-ill-man-be-allowed-to-televise-his-assisted-suicide/question-2021655/


【31日追記】
その後、あれこれ続報を拾った挙句、驚くべき顛末に ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63730460.html
2011.07.31 / Top↑