WA州の尊厳死法による死亡報告書の死因欄に「医師による自殺幇助」ではなくPASの動機となった元々の病気名が記入されることの問題が以前から指摘されていたけれど、今回、死因をPASと明記するよう法改正を求める法案が州議会に提出されるも、委員会で投票に至らず。ただ、再提出もありうる。
http://westernfrontonline.net/top-stories/13629-death-with-dignity-act-may-face-amendment
家族介護者などケアラーの3分の1が、介護している相手から虐待を受けている、というNZの記事。:まだちゃんと読めていませんが。
http://www.nzherald.co.nz/health/news/article.cfm?c_id=204&objectid=10736795
英国のNHSの急性期病棟で高齢の入院患者は尊厳あるケアを受けていない。:こういう報告、私が英語ニュースを読み始めた5年くらい前から、高齢者についても知的障害者についても、ずっと出続けているんだけど。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/230473.php
NYTの社説が、高価な抗がん剤がメディケアを圧迫する可能性について書いている。:ってことは、Oregon州の「抗がん剤はダメだけど自殺幇助なら給付OK」が広がっていくことの社会的ニーズが、そこにこそある――?
Extremely Expensive Cancer Drugs: Costly treatment that have limited medical benefits for some cancer patients could be a drain on Medicare.
これは昨日のNYTに、自閉症に環境要因が関わっているのでは、との研究結果。
New Study Implicates Environmental Factors in Autism: A new study of twins released online on Monday marked an important shift in thinking about the causes of autism.
歳をとって腰が痛くなるのにも、遺伝子が関わっているんだとか。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/230533.php
子どもの喘息の原因には、妊娠中の母親のうつ状態とかストレスが関与しているんだとか。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/230485.php
マイクロソフトが中国のBaiduと提携。:中国には(にも?)ビル・ゲイツがさんざん慈善で恩を売っては人脈を繋いできたんだから、そりゃビジネスだって思うがままでしょーよ。
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/jul/04/microsoft-baidu-china-search-engines?CMP=EMCGT_050711&
日本の「ワクチン産業ビジョンの要点の怪について3月にエントリーにしているのだけど、今日ひょんなことから気付いてみれば、1年近く前に、いつもお世話になっているmyuさんが既にコメントで教えてくださっていた。その時にも厚労省のサイトは覗いているのだけれど、私にはその段階ではまだ背景の大きな図が見えていなかったために、推進委員会の意味するところが理解できなかったのだろうと思う。改めて、いろいろと示唆的な気付きをもらった。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60932414.html#60952006
国連女性報告。:まだまだまだまだまだまだ……。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2011/jul/06/un-women-report-access-to-justice?CMP=EMCGT_060711&
アルマーニ氏が新作コレクションを日本の震災に捧げる、と。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/jul/05/armani-dedicates-collection-japan?CMP=EMCGT_060711&
またNZで大きな地震が起きている。
http://www.canberratimes.com.au/news/world/world/general/big-quake-prompts-tsunami-fears/2218930.aspx?src=enews
http://westernfrontonline.net/top-stories/13629-death-with-dignity-act-may-face-amendment
家族介護者などケアラーの3分の1が、介護している相手から虐待を受けている、というNZの記事。:まだちゃんと読めていませんが。
http://www.nzherald.co.nz/health/news/article.cfm?c_id=204&objectid=10736795
英国のNHSの急性期病棟で高齢の入院患者は尊厳あるケアを受けていない。:こういう報告、私が英語ニュースを読み始めた5年くらい前から、高齢者についても知的障害者についても、ずっと出続けているんだけど。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/230473.php
NYTの社説が、高価な抗がん剤がメディケアを圧迫する可能性について書いている。:ってことは、Oregon州の「抗がん剤はダメだけど自殺幇助なら給付OK」が広がっていくことの社会的ニーズが、そこにこそある――?
Extremely Expensive Cancer Drugs: Costly treatment that have limited medical benefits for some cancer patients could be a drain on Medicare.
これは昨日のNYTに、自閉症に環境要因が関わっているのでは、との研究結果。
New Study Implicates Environmental Factors in Autism: A new study of twins released online on Monday marked an important shift in thinking about the causes of autism.
歳をとって腰が痛くなるのにも、遺伝子が関わっているんだとか。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/230533.php
子どもの喘息の原因には、妊娠中の母親のうつ状態とかストレスが関与しているんだとか。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/230485.php
マイクロソフトが中国のBaiduと提携。:中国には(にも?)ビル・ゲイツがさんざん慈善で恩を売っては人脈を繋いできたんだから、そりゃビジネスだって思うがままでしょーよ。
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/jul/04/microsoft-baidu-china-search-engines?CMP=EMCGT_050711&
日本の「ワクチン産業ビジョンの要点の怪について3月にエントリーにしているのだけど、今日ひょんなことから気付いてみれば、1年近く前に、いつもお世話になっているmyuさんが既にコメントで教えてくださっていた。その時にも厚労省のサイトは覗いているのだけれど、私にはその段階ではまだ背景の大きな図が見えていなかったために、推進委員会の意味するところが理解できなかったのだろうと思う。改めて、いろいろと示唆的な気付きをもらった。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60932414.html#60952006
国連女性報告。:まだまだまだまだまだまだ……。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2011/jul/06/un-women-report-access-to-justice?CMP=EMCGT_060711&
アルマーニ氏が新作コレクションを日本の震災に捧げる、と。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/jul/05/armani-dedicates-collection-japan?CMP=EMCGT_060711&
またNZで大きな地震が起きている。
http://www.canberratimes.com.au/news/world/world/general/big-quake-prompts-tsunami-fears/2218930.aspx?src=enews
2011.07.08 / Top↑
子どものワクチン接種に懐疑的な親が少数ながら着実に増えていることは
米国で麻疹の流行がぶり返していることもあって、
ずいぶん前から米国で議論になっている。
そんな中、
シカゴのNorthwestern Children’s Practice (NCP)の8人の小児科医など一部の小児科医から、
CDCと小児科学会推奨スケジュール通りにワクチン接種をしていない子どもの
診療を拒否する動きが出ている。
この記事でずっとコメントを延々と引用されているのはDouglas S. Diekema医師。
D医師はゲイツ財団と密接な関係にあるシアトルこども病院の所属であり、
ワクチン打たせない親には法的責任を問えとまで主張するほど
実はワクチン推進派なのだけど、この記事での発言はあざといほどに中立的で
彼の発言の要旨は、
確かにここ10年、米国の親の中にワクチン拒否が広がっているのは事実だけれど、
ワクチン懐疑の発端となった自閉症ワクチン犯人説のWakefield論文をLancetが抹消してから
1年以上が経過しているので、この傾向がどこまで広がるかは
まだ様子を見ないと分からない。
ワクチン拒否が医師を深く懸念させているのは事実で
教育と説得にも応じない親の場合、診療の対象から外したことのある医師が5~10%いる。
ただ、小児科学会もイリノイ支部も以下のように
スケジュール通り接種していない子にも診療は提供し、
関係を継続する中で親の説得を続けるよう求めている。
"Families with doubts about immunization should still have access to good medical care, and maintaining the relationship in the face of disagreement conveys respect and at the same time allows the child access to medical care," the AAP policy states. "Furthermore, a continuing relationship allows additional opportunity to discuss the issue of immunization over time."
で、D医師の結論は、
「小児科医は、ワクチン接種しないことのリスクを親に理解させる努力をもっとしなければ。
今の親は、こういう病気の直接体験が少ないのだから」と。
Some pediatricians taking stand for vaccine program
The Chicago Tribune, July 6, 2011
シカゴのNCPが6月1日に施行したワクチン方針本文はこちら。
「医療提供者として、我々には出来る限り多くの子どもを病気から守る責任があります」。
また「多くの場合、ワクチンは
開発されてからルーティーンで使われるようになるまでに
少なくとも10年の検査期間を経ている」とも書かれていますが
う~ん……でも、
HPVワクチンは異様に短期間で認可されたという話だったような……。
それに「ワクチンの10年」祭りと、その経済施策としての意味合いを考えると、
これから数年の間に次々に開発されるといわれる新ワクチンは
HPVワクチンと同じくらいのスピードで認可されていくんじゃないかという予感も
私個人的にはあったりもして、
この記事でも指摘されているように
最も多くの親が拒絶しているのがHPV子宮頸がんワクチンであるということは、
Wakefield論文が招いた不信から親が拒絶している……という時代は実はもう終わっていて、
むしろビッグ・ファーマと研究者やFDAとの癒着など、向精神薬スキャンダルに象徴されるような
ワクチンの周辺や背景にある、もっと構造的な問題に対して
今の親は不信を募らせている……ってことじゃないのかなぁ……?
それについて、去年書いてみたのがこちら ↓
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)
Wakefield論文抹消の前後の報道については、以下の補遺に ↓
2010年1月28日の補遺
(Wakefield医師って、裁判にもなっているらしい)
2010年6月10日の補遺
(英国で「これから次々に新しいワクチンが開発され、安全性が確立されていくのに備えて、個人レベルで人々の不安に対処すべく医療職がちゃんと意識を持つよう教育しなければならん、そもそも医療職でちゃんと季節性インフルエンザの予防接種を受けているのが7人に1人以下とは何事か」の声)
2011年1月6日の補遺
(BMJの論文がLancetの論文抹消を受けてWakefield叩き)
2011年1月14日の補遺
(Wakefieldの論文抹消に関するNYTの社説)
2011年1月21日の補遺
(DiekemaらがLancetの論文で改めてWakefield叩き)
2011年1月23日の補遺
(NYTがWakefield論文以前からワクチン不信はあった、と指摘)
米国で麻疹の流行がぶり返していることもあって、
ずいぶん前から米国で議論になっている。
そんな中、
シカゴのNorthwestern Children’s Practice (NCP)の8人の小児科医など一部の小児科医から、
CDCと小児科学会推奨スケジュール通りにワクチン接種をしていない子どもの
診療を拒否する動きが出ている。
この記事でずっとコメントを延々と引用されているのはDouglas S. Diekema医師。
D医師はゲイツ財団と密接な関係にあるシアトルこども病院の所属であり、
ワクチン打たせない親には法的責任を問えとまで主張するほど
実はワクチン推進派なのだけど、この記事での発言はあざといほどに中立的で
彼の発言の要旨は、
確かにここ10年、米国の親の中にワクチン拒否が広がっているのは事実だけれど、
ワクチン懐疑の発端となった自閉症ワクチン犯人説のWakefield論文をLancetが抹消してから
1年以上が経過しているので、この傾向がどこまで広がるかは
まだ様子を見ないと分からない。
ワクチン拒否が医師を深く懸念させているのは事実で
教育と説得にも応じない親の場合、診療の対象から外したことのある医師が5~10%いる。
ただ、小児科学会もイリノイ支部も以下のように
スケジュール通り接種していない子にも診療は提供し、
関係を継続する中で親の説得を続けるよう求めている。
"Families with doubts about immunization should still have access to good medical care, and maintaining the relationship in the face of disagreement conveys respect and at the same time allows the child access to medical care," the AAP policy states. "Furthermore, a continuing relationship allows additional opportunity to discuss the issue of immunization over time."
で、D医師の結論は、
「小児科医は、ワクチン接種しないことのリスクを親に理解させる努力をもっとしなければ。
今の親は、こういう病気の直接体験が少ないのだから」と。
Some pediatricians taking stand for vaccine program
The Chicago Tribune, July 6, 2011
シカゴのNCPが6月1日に施行したワクチン方針本文はこちら。
「医療提供者として、我々には出来る限り多くの子どもを病気から守る責任があります」。
また「多くの場合、ワクチンは
開発されてからルーティーンで使われるようになるまでに
少なくとも10年の検査期間を経ている」とも書かれていますが
う~ん……でも、
HPVワクチンは異様に短期間で認可されたという話だったような……。
それに「ワクチンの10年」祭りと、その経済施策としての意味合いを考えると、
これから数年の間に次々に開発されるといわれる新ワクチンは
HPVワクチンと同じくらいのスピードで認可されていくんじゃないかという予感も
私個人的にはあったりもして、
この記事でも指摘されているように
最も多くの親が拒絶しているのがHPV子宮頸がんワクチンであるということは、
Wakefield論文が招いた不信から親が拒絶している……という時代は実はもう終わっていて、
むしろビッグ・ファーマと研究者やFDAとの癒着など、向精神薬スキャンダルに象徴されるような
ワクチンの周辺や背景にある、もっと構造的な問題に対して
今の親は不信を募らせている……ってことじゃないのかなぁ……?
それについて、去年書いてみたのがこちら ↓
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)
Wakefield論文抹消の前後の報道については、以下の補遺に ↓
2010年1月28日の補遺
(Wakefield医師って、裁判にもなっているらしい)
2010年6月10日の補遺
(英国で「これから次々に新しいワクチンが開発され、安全性が確立されていくのに備えて、個人レベルで人々の不安に対処すべく医療職がちゃんと意識を持つよう教育しなければならん、そもそも医療職でちゃんと季節性インフルエンザの予防接種を受けているのが7人に1人以下とは何事か」の声)
2011年1月6日の補遺
(BMJの論文がLancetの論文抹消を受けてWakefield叩き)
2011年1月14日の補遺
(Wakefieldの論文抹消に関するNYTの社説)
2011年1月21日の補遺
(DiekemaらがLancetの論文で改めてWakefield叩き)
2011年1月23日の補遺
(NYTがWakefield論文以前からワクチン不信はあった、と指摘)
2011.07.08 / Top↑
今年も6月13日から19日、
英国では恒例の介護者週間 Carers Week が行われました。
今年は1700以上の地方組織がイベントを実施。
去年よりも30%も増えたとのこと。
関連の報道記事は期間中の補遺にいくつも拾っています。
私が初めて英国のCarers Weekのことをネットで調べてみた2007年には、
まだ地方紙が地元のケアラーの特集記事を書くくらいだった印象があるのですが、
今年はGuardianが特集記事を書き、BBCも特集番組を作っていて、
なんだか大きなイベントの成長したんだなぁ……と、感慨がありました。
(その間、特に毎年きっちり追いかけたわけではないので、無責任な感慨ですが)
それら補遺で拾った記事の中で、特に以下の表現が印象的に残りました。
finding hidden carers (隠れたケアラーを探し出す)
finding the true face of carers (ケアラーの隠れた顔を探し出す)
実は、前者は、もともと英国政府の全国介護者戦略にも
アウトリーチ型の支援の理念を巡って使われている表現。
そして後者は、ちょっと面白いことに
今年のCarers Weekのテーマが the True Face of Carers なのです。
このテーマ、なかなか深い……と思います。
Carers Weekのサイトには
ケアラーで、介護に関する著書があるHugh Marriottさんという人が
このテーマの理念を、軽妙でありながら心に響く文章で解説しています。
私自身が先日、ケアラー連盟のフォーラムでお話しさせていただいたことにも
そのまま通じていくような気がするので、以下に全訳してみました。
Mariottさんの著書はケアラーが豚のキャラクターに設定されているらしく、
この文章も、「なんでボクが?」という看板をもった豚が描かれ、
ケアラーである豚君の語りとして書かれています。
原文と、これを言っている豚くんのイラストは、以下のリンクにあります。
The True Face of Carers
Carers Week 2011
【7日追記:おことわり】
今朝までこのエントリーに置いていた豚クンの語り全文の仮訳は
「介護保険情報」誌8月号の連載で取り上げることにしたため、
いったん閉じさせていただきました。
8月号の掲載から1カ月経過した後、
掲載された改訂版を改めてエントリーにしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
英国では恒例の介護者週間 Carers Week が行われました。
今年は1700以上の地方組織がイベントを実施。
去年よりも30%も増えたとのこと。
関連の報道記事は期間中の補遺にいくつも拾っています。
私が初めて英国のCarers Weekのことをネットで調べてみた2007年には、
まだ地方紙が地元のケアラーの特集記事を書くくらいだった印象があるのですが、
今年はGuardianが特集記事を書き、BBCも特集番組を作っていて、
なんだか大きなイベントの成長したんだなぁ……と、感慨がありました。
(その間、特に毎年きっちり追いかけたわけではないので、無責任な感慨ですが)
それら補遺で拾った記事の中で、特に以下の表現が印象的に残りました。
finding hidden carers (隠れたケアラーを探し出す)
finding the true face of carers (ケアラーの隠れた顔を探し出す)
実は、前者は、もともと英国政府の全国介護者戦略にも
アウトリーチ型の支援の理念を巡って使われている表現。
そして後者は、ちょっと面白いことに
今年のCarers Weekのテーマが the True Face of Carers なのです。
このテーマ、なかなか深い……と思います。
Carers Weekのサイトには
ケアラーで、介護に関する著書があるHugh Marriottさんという人が
このテーマの理念を、軽妙でありながら心に響く文章で解説しています。
私自身が先日、ケアラー連盟のフォーラムでお話しさせていただいたことにも
そのまま通じていくような気がするので、以下に全訳してみました。
Mariottさんの著書はケアラーが豚のキャラクターに設定されているらしく、
この文章も、「なんでボクが?」という看板をもった豚が描かれ、
ケアラーである豚君の語りとして書かれています。
原文と、これを言っている豚くんのイラストは、以下のリンクにあります。
The True Face of Carers
Carers Week 2011
【7日追記:おことわり】
今朝までこのエントリーに置いていた豚クンの語り全文の仮訳は
「介護保険情報」誌8月号の連載で取り上げることにしたため、
いったん閉じさせていただきました。
8月号の掲載から1カ月経過した後、
掲載された改訂版を改めてエントリーにしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
2011.07.08 / Top↑
昨年7月に英国政府が
公正で持続可能な成人介護制度の財政システムを検討すべく立ち上げた独立の委員会
Commission on Funding of Care and Support(とりあえず「介護と支援の財政委員会」?)から
昨日7月4日、詳細なデータ分析を含んだ報告書が発表されました。
報告書で特に注目される提言内容は
・現在は個々人が支払う介護費用は
状況によってはどこまでもかさんでいく可能性があるが
個人が一生の内に介護に費やす費用には上限を設けて、
それ以上は国が全額を支援するべきである。
上限の金額は25000ポンドから50000ポンドの間が相当で、
委員会としては35000ポンドに設定するのが最も適切と考える。
・資産審査による介護費用全額支給資格の上限額を
現在の23.250ポンドから10万ポンドに引き上げるべきである。
・一貫性を保障するために受給資格基準を全国的に統一し、
どこでも使えるアセスメントを導入すること。
・成人した時点でケアと支援のニーズのある者については全員に
資産審査なしに即座に国から無料支援を受ける資格を認めること。
委員会の試算では、個人支払額35000ドルの上限を前提に
この勧告の実行に国が要する費用は17億ポンド。
Commission Report Published
Commission on Funding of Care and Support, July 4, 2011
委員長が経済学者のAndrew Dilnot氏であることから、通称 Dilnot委員会。Dilnot報告。
そのDilnot氏の発言には、
政府の社会保障カットが続いているだけに、ちょっと胸を打たれます。
上記リンクの委員会のページに、
報告書 Fairer Care Funding 本体などへのリンクがあります。
また、この委員会報告を受け、Guardianのデータ・ブログが
詳細に委員会のデータを解説・整理・検証しています ↓
Elderly care:the key data from the Dilnot report
The Guardian, July 4, 2011
上記の記事の解説によると、Dilnot報告の試算は
以下の予測に基づいているとのこと。
今後20年間で
英国の65歳以上人口は50%増加。
90歳以上人口は3倍近くに膨らむ。
知的障害のある就労年齢の成人人口は30%増加。
2009-2010年の地方自治体の総予算額に占める
社会ケア費用の割合は31%と高く、教育と警察の予算をしのぐ。
2010-2011年に提言が完全に実行されれば
その割合は35%に増加し、追加支出は地方自治体を経由することになるが
提言では支出は増え、依然として自治体経由ではあるものの
資金は中央政府から出る。
現行制度では
試算が23.250ポンド以上ある人が入所介護を要する場合には
資産審査によって、まったく支援が受けられない状態に等しいが
65歳以上で持ち家のある人の住宅資産の中間値は16万ポンドなので
家を所有している人が受給資格を得るためには
ほとんどの人が家を手放さなければならないことになる。
つまり現行制度では中間層が最も厳しい状況に置かれているので
委員会勧告の上限設定と資産審査基準の見直しによって
現行制度よりも公平な制度となる、と、このブログは分析しています。
また、以下のGuardianの昨日の記事によると、委員会の提言の中には、
いわば自治体が貸しつける“リバース・モ―ゲッジ”が含まれている模様。
持家のある人が入所施設に入る場合に
その家の資産価値に対して有利なレートで自治体がローンを組ませ、
死亡時に家を売って償還するという仕組み。
55歳から64歳の英国人は、通常、総額20万ポンドの資産を有しており、
それら資産から介護費用をねん出する方策として提言されたもの。
3日には26のチャリティが連名で委員会提言の改革を実行するよう求めた他、
労働党の党首Ed Miliband氏もこれまでの労働党の介護方針はさておき、
Dilnot提言について与党と開襟して議論しようと呼びかけているが、
Guardianの取材やBBCのインタビューでの財務相も保健相も、
イマイチ反応が歯切れが悪いらしい。
Councils could offer loans to homeowners in Dilnot report proposal
The Guardian, July 4, 2011
それから、こちらの記事はざっと最初のあたりを読んだだけですが、
委員の一人 Jo Williams (Dameという敬称がついているのでナイト爵をお持ちの女性)が
長い間、みんなの苦しみを放置してきたんだから、
上限35000ポンドも含め、政府が委員会提言の改革をやらなかったら
それはもう“失望”なんて言葉じゃ表現できないわ。
“不快極まりない”わね。
Dilnot commission warns government not to kill off care funding proposals
The Guardian, July 4, 2011
さてさて、このところ社会保障費カット・カットさらにカット……と
飛ばしている英国の連立政権、この報告書をどう受け止めるものでしょうか?
……と、ここまで朝の内に書いて寝かせていた間に続報があり、
費用の大きさに、政府は報告をもろ手を挙げて歓迎はせず、
「これだけのコストをかけるなら、さらなる意見募集が必要だ」とか
この報告書はあくまでも議論のたたき台だ、みたいなことを、
うだらうだらとゴネているようです。
Government questions Andrew Dilnot’s £1.7bn long-term care plan
The Guardian, July 4, 2011
まぁ、予想通りの反応というか……。
公正で持続可能な成人介護制度の財政システムを検討すべく立ち上げた独立の委員会
Commission on Funding of Care and Support(とりあえず「介護と支援の財政委員会」?)から
昨日7月4日、詳細なデータ分析を含んだ報告書が発表されました。
報告書で特に注目される提言内容は
・現在は個々人が支払う介護費用は
状況によってはどこまでもかさんでいく可能性があるが
個人が一生の内に介護に費やす費用には上限を設けて、
それ以上は国が全額を支援するべきである。
上限の金額は25000ポンドから50000ポンドの間が相当で、
委員会としては35000ポンドに設定するのが最も適切と考える。
・資産審査による介護費用全額支給資格の上限額を
現在の23.250ポンドから10万ポンドに引き上げるべきである。
・一貫性を保障するために受給資格基準を全国的に統一し、
どこでも使えるアセスメントを導入すること。
・成人した時点でケアと支援のニーズのある者については全員に
資産審査なしに即座に国から無料支援を受ける資格を認めること。
委員会の試算では、個人支払額35000ドルの上限を前提に
この勧告の実行に国が要する費用は17億ポンド。
Commission Report Published
Commission on Funding of Care and Support, July 4, 2011
委員長が経済学者のAndrew Dilnot氏であることから、通称 Dilnot委員会。Dilnot報告。
そのDilnot氏の発言には、
政府の社会保障カットが続いているだけに、ちょっと胸を打たれます。
成人の介護資金の問題はあまりにも長く無視され続けてきた。
高齢者の寿命が延びたことも障害のある若者が以前より自立した生活を送っていることも
どちらも慶賀すべき事実だというのに、
我々は「歳をとることの負担(burden)」を云々しては
人々は不安を抱えケア費用を賄えるのかと心配しながら暮らしている。
現在の制度は紛らわしく、不公平で制度維持性にも欠ける。
国民は非常に高額になる介護費用のリスクに晒されて
家など全財産を失いかねない。
この問題は放置されると悪化するのみで、
そうすれば社会の最も弱い立場の者が苦しむこととなる。
この委員会が提言する制度では
現在国から無料支援を受けている人は全員がそのまま受け続けることができ、
国民全員が今よりも豊かに暮らせることになる。
一生の内に支払う介護費用に上限があれば、
費用をどのように用意するか予め予定もできるし、
資産の多くが保護されれば全財産を失う恐れもなくなる。
上記リンクの委員会のページに、
報告書 Fairer Care Funding 本体などへのリンクがあります。
また、この委員会報告を受け、Guardianのデータ・ブログが
詳細に委員会のデータを解説・整理・検証しています ↓
Elderly care:the key data from the Dilnot report
The Guardian, July 4, 2011
上記の記事の解説によると、Dilnot報告の試算は
以下の予測に基づいているとのこと。
今後20年間で
英国の65歳以上人口は50%増加。
90歳以上人口は3倍近くに膨らむ。
知的障害のある就労年齢の成人人口は30%増加。
2009-2010年の地方自治体の総予算額に占める
社会ケア費用の割合は31%と高く、教育と警察の予算をしのぐ。
2010-2011年に提言が完全に実行されれば
その割合は35%に増加し、追加支出は地方自治体を経由することになるが
提言では支出は増え、依然として自治体経由ではあるものの
資金は中央政府から出る。
現行制度では
試算が23.250ポンド以上ある人が入所介護を要する場合には
資産審査によって、まったく支援が受けられない状態に等しいが
65歳以上で持ち家のある人の住宅資産の中間値は16万ポンドなので
家を所有している人が受給資格を得るためには
ほとんどの人が家を手放さなければならないことになる。
つまり現行制度では中間層が最も厳しい状況に置かれているので
委員会勧告の上限設定と資産審査基準の見直しによって
現行制度よりも公平な制度となる、と、このブログは分析しています。
また、以下のGuardianの昨日の記事によると、委員会の提言の中には、
いわば自治体が貸しつける“リバース・モ―ゲッジ”が含まれている模様。
持家のある人が入所施設に入る場合に
その家の資産価値に対して有利なレートで自治体がローンを組ませ、
死亡時に家を売って償還するという仕組み。
55歳から64歳の英国人は、通常、総額20万ポンドの資産を有しており、
それら資産から介護費用をねん出する方策として提言されたもの。
3日には26のチャリティが連名で委員会提言の改革を実行するよう求めた他、
労働党の党首Ed Miliband氏もこれまでの労働党の介護方針はさておき、
Dilnot提言について与党と開襟して議論しようと呼びかけているが、
Guardianの取材やBBCのインタビューでの財務相も保健相も、
イマイチ反応が歯切れが悪いらしい。
Councils could offer loans to homeowners in Dilnot report proposal
The Guardian, July 4, 2011
それから、こちらの記事はざっと最初のあたりを読んだだけですが、
委員の一人 Jo Williams (Dameという敬称がついているのでナイト爵をお持ちの女性)が
長い間、みんなの苦しみを放置してきたんだから、
上限35000ポンドも含め、政府が委員会提言の改革をやらなかったら
それはもう“失望”なんて言葉じゃ表現できないわ。
“不快極まりない”わね。
Dilnot commission warns government not to kill off care funding proposals
The Guardian, July 4, 2011
さてさて、このところ社会保障費カット・カットさらにカット……と
飛ばしている英国の連立政権、この報告書をどう受け止めるものでしょうか?
……と、ここまで朝の内に書いて寝かせていた間に続報があり、
費用の大きさに、政府は報告をもろ手を挙げて歓迎はせず、
「これだけのコストをかけるなら、さらなる意見募集が必要だ」とか
この報告書はあくまでも議論のたたき台だ、みたいなことを、
うだらうだらとゴネているようです。
Government questions Andrew Dilnot’s £1.7bn long-term care plan
The Guardian, July 4, 2011
まぁ、予想通りの反応というか……。
2011.07.08 / Top↑
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