自分で判断して行動するロボットが医療、交通機関に導入される日が近いとし、そこに倫理問題、法律問題が生じる恐れがあると the Royal Academy of Engineering。機械の判断が間違った場合の責任は誰にあるのか、という話とか。:最近、この問題はよく指摘されている。ちゃんと読んではいないけど7月26日、8月4日にも補遺で拾った。戦争に導入されて自分で判断したロボットが人を殺したら、その責任は誰にあるのか、という問題も、だいぶ前にどこかで読んだ記憶がある。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8210477.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8210477.stm
100%植物由来のノロ・ウィルスのワクチンが人体実験の段階に入る、と米国の科学者。:100%植物由来というところが味噌なのかな、やっぱり。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8206743.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8206743.stm
進行した癌の患者への緩和ケアによってQOLと精神状態は向上するが、入院日数は特に短縮しなかった、との調査結果がJAMAに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/161163.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/161163.php
民主党の医療制度改革案に賛成したAARPに怒って7月1日以降、6万人もの会員が脱退。改革案に反対のアメリカ高齢者協会ASAに流れているとのこと。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/161122.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/161122.php
2007年のヴァージニア工科大の乱射事件で、犯人の学生Choの精神保健関連の情報が公開され、本人が大学のカウンセリング・サービスに相談していたり、州の精神保健機関とコンタクトもありながら、専門家が問題の深刻さに気づけず対応のチャンスを逸していたことが明らかに。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/19/AR2009081902380.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/19/AR2009081902380.html
2009.08.20 / Top↑
オーストラリアの Christian Rossiter氏(49歳)に関する続報。
(文末に、これまでのエントリーへのリンクがあります)
(文末に、これまでのエントリーへのリンクがあります)
ナーシングホームに入所しているRossiter氏は裁判所から
栄養と水分の供給を拒否して自殺する権利を認められたばかりですが、
栄養と水分の供給を拒否して自殺する権利を認められたばかりですが、
その後、オーストラリアでDr. Death と異名をとる
「死の自己決定権」アドボケイト、 Dr. Nitschkeのアドバイスを受け、
まずはスイスへ行くためのパスポートを申請したい、と言い始めました。
「死の自己決定権」アドボケイト、 Dr. Nitschkeのアドバイスを受け、
まずはスイスへ行くためのパスポートを申請したい、と言い始めました。
パスポートが取れて、
自分がスイスへ行くことで誰にも罪に問われるなどの迷惑をかけないのなら
まずはDignitasでの幇助自殺を第1の選択肢とし、それがかなわない場合にのみ、
栄養と水分を拒否するのを次善の策とする、と
同氏の現在の心境を弁護士が公表。
自分がスイスへ行くことで誰にも罪に問われるなどの迷惑をかけないのなら
まずはDignitasでの幇助自殺を第1の選択肢とし、それがかなわない場合にのみ、
栄養と水分を拒否するのを次善の策とする、と
同氏の現在の心境を弁護士が公表。
Dr. Nitschkeは今回の裁判所の判断を賞賛し、
このまま自殺幇助合法化すべきだといわんばかりの発言をしていますが、
このまま自殺幇助合法化すべきだといわんばかりの発言をしていますが、
オーストラリア医師会は
「患者には医療を拒否する権利がある。
栄養と水分もその権利の範囲だと認められたに過ぎない。
今回の判決は治療の差し控えの話であって、
決して患者を積極的に死なせることが是認されたわけではない」と。
「患者には医療を拒否する権利がある。
栄養と水分もその権利の範囲だと認められたに過ぎない。
今回の判決は治療の差し控えの話であって、
決して患者を積極的に死なせることが是認されたわけではない」と。
この記事、読んだ時に、思わず、お腹の底で唸った。
うぬぅぅぅ、Nitschke。汚い手を使うな──。
Dr. Nitschkeは今回の裁判所の判断を賞賛しつつも、
しかし餓死は自殺の方法としては苦しいのが難点だ、とも語っており、
しかし餓死は自殺の方法としては苦しいのが難点だ、とも語っており、
Dr. Nitschkeが自分からRossiter氏に接近していったのだな、
そしてこの人を政治利用するために最も効果的な方向へと誘導したんだな、と。
そしてこの人を政治利用するために最も効果的な方向へと誘導したんだな、と。
Dr. Nは兼ねてより、
医師の幇助による毒物自殺が最も苦しみが少なく効果的な方法だと説いており、
医師の幇助による毒物自殺が最も苦しみが少なく効果的な方法だと説いており、
それが許されないところではヘリウムでの自殺が最も有効だと
あちこちの「死のワークショップ」でその方法を解説する一方、
医師の処方する毒物での自殺幇助を合法化するべきだと主張している人物。
(詳細は文末の関連エントリーを)
あちこちの「死のワークショップ」でその方法を解説する一方、
医師の処方する毒物での自殺幇助を合法化するべきだと主張している人物。
(詳細は文末の関連エントリーを)
記事の中でも、
「こういう判決が出たからには、次は四肢麻痺でない誰かが
スイスへ行って死にたいけれども許されないから
止むを得ず、栄養と水分を拒絶する、と言い出すだろう」と語っています。
「こういう判決が出たからには、次は四肢麻痺でない誰かが
スイスへ行って死にたいけれども許されないから
止むを得ず、栄養と水分を拒絶する、と言い出すだろう」と語っています。
まずは栄養と水分を拒絶して死のうとしていた四肢麻痺のRossiter氏に
その主張を裏付けるような死に方をさせたいのでしょう。
その主張を裏付けるような死に方をさせたいのでしょう。
死を望むほど苦しい状態にいる人を政治利用したい人たちが
あちこちの国で蠢いている──。
あちこちの国で蠢いている──。
死を考えるほど苦しい状態にいる人たちの周辺に、
希望を見出して生きる方向へと支援するためではなく
自分たちの主張のために効果的な死に方をしてもらおうと
親切な理解者・支援者を装う死神みたいな人たちが群がっていく──。
希望を見出して生きる方向へと支援するためではなく
自分たちの主張のために効果的な死に方をしてもらおうと
親切な理解者・支援者を装う死神みたいな人たちが群がっていく──。
死になさい。
あなたには死ぬ権利がある。
私がラクに死ねる方法を教えてあげるから。
だから、私が指南する通りに死になさい。
あなたの死には利用価値があるのだから──。
あなたが死んでくれると私たちには好都合なのだから──。
あなたには死ぬ権利がある。
私がラクに死ねる方法を教えてあげるから。
だから、私が指南する通りに死になさい。
あなたの死には利用価値があるのだから──。
あなたが死んでくれると私たちには好都合なのだから──。
【Rossiterケース関連エントリー】
49歳全身麻痺の施設入所者が自殺を希望し栄養を拒否、判断が裁判所に(豪)(2009/8/7)
四肢麻痺のホーム入所者に栄養拒否で自殺する権利が認められる(2009/8/17)
49歳全身麻痺の施設入所者が自殺を希望し栄養を拒否、判断が裁判所に(豪)(2009/8/7)
四肢麻痺のホーム入所者に栄養拒否で自殺する権利が認められる(2009/8/17)
【Dr. Nitschke関連エントリー】
オーストラリアのDr. Death、安楽死のワークショップのため英国へ(2009/5/8)
Dr. Death の自殺ワークショップに聴衆100人(2009/5/11)
Dr. Death、今度はUAEの数人に「苦しまずに自殺するコツ」伝授(2009/6/9)
オーストラリアのDr. Death、安楽死のワークショップのため英国へ(2009/5/8)
Dr. Death の自殺ワークショップに聴衆100人(2009/5/11)
Dr. Death、今度はUAEの数人に「苦しまずに自殺するコツ」伝授(2009/6/9)
2009.08.20 / Top↑
Obama政権の医療制度改革案を巡る賛否の議論が過熱している中、
反対派の指摘する問題点を挙げ、1つずつ事実確認で反駁する趣旨の記事がAPにあって、
反対派の指摘する問題点を挙げ、1つずつ事実確認で反駁する趣旨の記事がAPにあって、
それを読むと、
共和党をはじめとする国民皆保険化への抵抗勢力が何を気に入らないと言っているのか
箇条書きにされているのが面白い気がしたので。
共和党をはじめとする国民皆保険化への抵抗勢力が何を気に入らないと言っているのか
箇条書きにされているのが面白い気がしたので。
・高齢者の医療内容の是非を政府が決めるつもりでは? 安楽死への誘導も?
・不法移民の医療までカバーするつもりでは?
・官製医療制度にしてしまうつもりでは?
・納税者のゼニが中絶費用にまで使われてしまうのでは?
・不法移民の医療までカバーするつもりでは?
・官製医療制度にしてしまうつもりでは?
・納税者のゼニが中絶費用にまで使われてしまうのでは?
記事では、それぞれの懸念に対応する事実を挙げて
いずれも誤解であると述べているのですが、
煩雑なので悪しからず省略。
いずれも誤解であると述べているのですが、
煩雑なので悪しからず省略。
(米国の医療制度改革を詳細に追いかけて理解するのは私の力をはるかに超えているので)
興味のある方は以下の原文をどうぞ。
私は、またいつもの遅ればせで、
今頃になってクルーグマン先生の「格差は作られた」を読んでいる最中なので、
今頃になってクルーグマン先生の「格差は作られた」を読んでいる最中なので、
米国の格差は人種差別を根底にした保守ムーブメントによって意図的に作られたもので、
先進国の中で米国にだけ国民皆保険が存在しないのもそのためだという説と、
先進国の中で米国にだけ国民皆保険が存在しないのもそのためだという説と、
なるほど、話はきれいに繋がるなぁ……と腑に落ちる感じがしたし
クルーグマン先生がこのところNY Timesで援護しきりなのも、「なるほど」だった。
(7月24日と31日の記事は補遺に拾ってあります。その後もありましたが、スルーしました)
クルーグマン先生がこのところNY Timesで援護しきりなのも、「なるほど」だった。
(7月24日と31日の記事は補遺に拾ってあります。その後もありましたが、スルーしました)
ただ、高齢者(と障害者)の医療切捨てについては、
こういう政治や制度を装置として進められるわけではない……
……ということに過ぎないのかもしれない、と思ったりもする。
こういう政治や制度を装置として進められるわけではない……
……ということに過ぎないのかもしれない、と思ったりもする。
もっと目に見えにくい形で、じわじわと、
科学とテクノロジーの狭い専門分野の論理が広く一般に共有されていくことや
そうした論理を一般化するための御用学問が活躍して、医療倫理の名の下に正当化されていくこと、
科学とテクノロジーの狭い専門分野の論理が広く一般に共有されていくことや
そうした論理を一般化するための御用学問が活躍して、医療倫理の名の下に正当化されていくこと、
それと平行して
知的能力・機能でもって人間に線引きを行う、これまた科学とテクノと同根の価値観が
一般社会に広く受け入れられ根付いていくことなどを通じて、
知的能力・機能でもって人間に線引きを行う、これまた科学とテクノと同根の価値観が
一般社会に広く受け入れられ根付いていくことなどを通じて、
(既にじわじわと社会の文化を内側から侵食し始めていると思うし)
生命倫理によって様々にご都合主義に規定される患者の“権利”と“利益”と
それを“サポートする”医学を含む科学・テクノロジーの専門性の間で
それを“サポートする”医学を含む科学・テクノロジーの専門性の間で
あくまでも個別に選択されて、
または選択させられて、
あるいは選択したことにされて
いくんじゃないのかなぁ……。
または選択させられて、
あるいは選択したことにされて
いくんじゃないのかなぁ……。
そういう、1国の医療制度とか政治をはるかに超えた、もっと大きな
そして、なにか、こう、証拠の残らない毒物のように内側からじわじわと効いてくるような装置が
世界規模で着々と準備されていっているような、そんな不気味さで……。
そして、なにか、こう、証拠の残らない毒物のように内側からじわじわと効いてくるような装置が
世界規模で着々と準備されていっているような、そんな不気味さで……。
2009.08.20 / Top↑
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