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Purdy判決で公訴局長が明らかにする法のガイドラインは、海外での自殺幇助だけでなく国内の事例にも適用される、と。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/5968756/Assisted-suicide-law-will-apply-to-deaths-in-Britain-and-abroad.html
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8182844.stm

これ、26日にもAIに関して出ていた重大な警告だと思うのだけど、自分の意思と判断で人を殺すロボットが戦争に導入されつつあることについて国際的な議論が必要だと Sheffield 大学のNoel Sharkey教授。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8182003.stm

7月30日の補遺で取り上げた事件で、ズボンを履いた罪に問われているスーダンの女性Lubna Ahmed Husseinさんの裁判が延期に。その直前、警察はHusseinさんの支持者らに催涙弾を発砲。Husseinさんが国連職員であることから治外法権を認めようとした当局に対して、Husseinさんは国連を退職することで抵抗。裁いてみよ、と戦う姿勢を見せている。再度、エールを。それにしても、いまどき、公開で鞭打ちの刑だと。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8182658.stm

医学教育に投資しレベルの高い医師を育てては、あちこちの国に派遣し、医療貢献を通じて外交と資源確保を行ってきたキューバは、高い評価を受けているが、個々の医師らにとっては薄給で自由のない働き方よりも、米国で高給をとって自由に働きたいと、マイアミ周辺に亡命する医師が増えている。ただ米国で医師免許を取得するには言葉の壁が厚くて、看護師でもいい、と。:う~ん……。1ページしか読んでいないけど、じわじわと悲しくなってしまう記事だった。
http://www.nytimes.com/2009/08/04/health/04cuba.html?_r=1&th&emc=th

医療の配給制は当たり前、とManoj K. Jain氏(誰か知らないけど。)冒頭、80歳のターミナルな患者に肺移植を希望する家族のエピソードがあって、だから配給も理にかなっていると主張する材料になっているけど、今日エントリーで取り上げた英国NICEの腰痛痛み止めの配給中止という例も、その対極にあるわけだし。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/03/AR2009080302235.html

肺炎で死者3人、感染者そのほかに8人出て中国北西部の町を閉鎖。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/03/AR2009080300130.html

マウスのあごの骨に、歯を作る細胞と作り方の情報をもった組織を埋め込んで、歯を作ることに日本の研究者が成功したと、こういうニュースはやっぱりBBC。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8182684.stm

欠陥遺伝子が次世代に繋がるのを阻止することでマウスの癲癇をとめたのは英国リーズ大学の研究者。報道はBBC。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8178703.stm

イーライ・リリー社が2009年の最初の4半期から研究者らに支払っている顧問料の詳細を明らかに。
http://www.newsinferno.com/archives/10209

結婚している人は独身者よりも健康度が高いけど、いったん離婚すると、再婚では修復不能なほどの健康へのダメージを起こすストレス。
http://www.nytimes.com/2009/08/04/health/04well.html?_r=1&th&emc=th
2009.08.04 / Top↑
英国医療技術評価機構(NICE)が原因不明の慢性腰痛の治療に関して
これまでNHSで認められてきた、cortisone などのステロイド剤の注射を今後は認めず、
医師らは鍼や整骨などの治療を提供しなさい、と。

痛み止めの注射はNHSで年間6万件以上行われており、
今回のガイドラインによって年間3000件程度に減らし、
それによってNHSは3300万ポンドを節約することが狙い。

しかし、専門家は、この変更によって患者が激痛を耐えなければならなかったり、
それを避けようと思えば自費の治療に500ポンドも支払わなければならなかったり、
または50%の高率で失敗に終わる手術を選択する人が増える、と懸念。

専門のペイン・クリニックの中には閉鎖に追い込まれるところも出てくると見込まれ、
患者にいったいどこに行けというのか、と専門医らから猛批判が起こって、
ガイドラインの執筆に関わった英国痛み学会の会長が
会員投票で辞任に追い込まれる騒ぎにまで発展している。

NICEでは、
痛みが始まって一年以内の新規の患者で、原因不明の場合のみに適用されるのみで
全ての患者が対象になるわけではないと反論するが、

(しかし、それで本当に数値目標を達成できるとも思えないし)

この注射の効果は数年単位で続くので、
2年に一度の注射で痛みを抑えて
家族の介護をしながら普通の暮らしができるという患者もいる。



英国では、同様の薬や治療の配給医療制度によって
延命効果がある抗がん剤を使わせてもらえない癌患者の急増も問題視されている。

症状や薬の効き方、治療法の選択と効果など、
一人ひとりの患者によって微妙に違うだろうし、
その個別の違いを見ながら丁寧に判断していくのが臨床医の仕事だろうと思う。

その際に、鍼や整骨や心理療法が有効な人もいるかもしれないから、
もちろん一律に「誰でもすぐに痛み止めの注射」という慣行があるとしたら
もうちょっと丁寧に選択肢を検討してくださいよ、というのは分からないではないのだけど、
そのことと一律に痛み止めの注射を否定することとの間の距離は大きい。

中には注射でしか対応できない患者さんだっているだろうから、それはあんまりなのでは……。

そもそもの始まりとして、
6万件以上の注射を3000件まで減らそうという数値目標の根拠って、どうやって弾き出すのだろう。

もしも先に削減コストの数値ありきだったとしたら、
それって日本でも、コイズミ政権下で決まって、
路線変更にえらく時間がかかった社会保障費年間2200億円削減目標と同じことのような……。
(その間に日本の医療と介護は見るも無残に崩壊した……。)

数値目標だけに目を奪われたコスト効率には大きな盲点があるんじゃないかと思うのは、
人が医療や福祉など社会保障の恩恵を受けながら暮らしている日々の生活は
決して医療なら医療だけが他と切り離されてそこにあるわけではなく
人と関わりあいながら社会の様々な側面が複雑に錯綜しているものだということの広さ・大きさが
単純計算では捉えきれないんじゃないのか、ということ。

誰かを介護している人にとって、腰痛はどうしても不可避な面もあるけれど、
痛み止めを打つことによって介護者としての役割を果たし続けることができれば、
必要な在宅ケア・サービスの量は増えないし、それだけ在宅ケアの期間も延びて、
大きな意味でのコスト削減になるわけで、

そこまで広い範囲で捉えるのと、
ただ医療の中に限定して、腰痛患者一人の肉体についてだけ眺めるのとでは
薬や治療のコスト効率の検討も、まるで違う計算になるんじゃないだろうか。

また腰痛の人が痛みのために仕事を休んだり辞めるしかなくなることを考えれば、
その中には、それをきっかけに貧困に陥って福祉の対象になる人もでてくるわけだから、
痛み止めの注射のコストは、その人の生産性や生活力で実はカバーできているのかもしれないし。

それとも、
そういう七面倒くさいことまで丁寧にやってられないから
体が利かなくなったり、痛みがあったり、ゼニと手間のかかる人たちは
手っ取り早く、さっさと「自己決定権」を行使して死んでください──
というのがホンネなんだったら、何をかいわんやなんだけど。

だって、今の英国での自殺幇助合法化ロビーの勢いの一方に、
抗がん剤もダメで腰痛の痛み止めの注射もダメで……という医療を置いてみたら、
結局はそういうことになりません?

腰痛ですか? まず鍼とか整骨をやってみてくださいね。あ、心理療法もいいかも。
ダメでした? いまいち効かなかった? へぇ、もう耐え難いほどの痛みなんですか?
NHSでは注射はできませんから、自腹でやってみます? え? お金もないの?
それって、ずいぶんと尊厳のない状況ですねぇ。

でも、大丈夫、そういう人には、もうすぐ自殺幇助が合法化されて
NHSで医師が処方する毒物による尊厳のある自殺ができるようになりますからね……。

もうちょっとの辛抱ですよ……。


2009.08.04 / Top↑
米国医学生協会(AMSA)は
ホスピス運動の先駆けであり、現在も全米でホスピスを展開しているVITASと提携し、
このたび終末期教育フェローシップ・プログラムをスタートさせた。

夏休みの6週間、AMSAの卒業生に
終末期医療の研究機会を提供する、というもの。

内容は毎週のセミナーと、
地域のホスピス、ナーシング・ホーム、入院病棟での実習。

初回の今年は5人の医学生が既に研究を終えた。

ホスピスでは、
医師・看護師・ソーシャルワーカー・チャプレン・グリーフカウンセラーとボランティアから成る
他職種協働チームにその一員として参加し、

終末期医療に不可欠な基本的な面接能力、コミュニケーション技能を身につけた。
また、死と死ぬことに関する心理・社会・文化・精神面についても理解を深めた。

AMSAの会長 Dr. Lauren Huges は
「ベビー・ブーマーが歳をとるに連れて
終末期のスキルは医学教育に必須となってきます。
AMSAとしては全ての医学部とレジデンシー研修プログラムとが
医学生とレジデントに死と死ぬことについて研修を提供するよう求めます」と。



先走って「死の自己決定権」を云々する前に
まず、こういうことを、ちゃんと、やろうよ。


         ―――――――


先日、重症心身障害児施設で長年看護師をやって、
現在は大学の看護学部で教えている人と話をしていたら、

学生は実習には出て行くけれど、たまたま重心施設の実習に当たるのでなければ
大半の学生は重症障害児など見たこともないまま現場に出て行くのだ、と嘆いていた。

そういうことなのだとすれば、障害児・者の医療についても、
終末期医療についてここで書かれているのと同じことが言えるのでは?

医療職の無知や無理解・偏見が
死ななくてもいい障害者を死なせてしまう事例は実際に起きている。
(英国でオンブズマンに訴えられたケースを文末にリンクしました。)

障害児・者や死にゆく人をまっとうにケアする知識と技術を欠いた状態を放置したまま、
障害があるから、ターミナルだから、死にたければ死なせてあげようという議論が横行するのは
やっぱりアベコベなのでは?


2009.08.04 / Top↑