カナダ医師会雑誌CMAJのエディトリアルが、「安楽死」という用語をやめようと提言。肯定論、否定論の双方がお互いに自分のサイドに都合のよい解釈で、それぞれ別の意味で使い、議論が混乱している、と。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183925.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183925.php
Bioethics誌で倫理学者のStefan Erikssonが、認知症患者などインフォームドコンセントを与える能力が限られている人を実験の被験者とする際のガイドラインについて、見直しを提言している。夜の頭ではイマイチ理解できない。要再読。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183867.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183867.php
昨日の「乳がん遺伝子に特許は認めない」判決を受け、バイオテクノロジー関連の株価は思ったほど降下していない。しかし業界からの反発いちじるしい。:やっぱり上訴に向けて、この問題は政治的な色合いを帯びるのかも? ここでも経済施策の問題に影響されて研究倫理(?)の問題が変質していくような気がする。それにしても、ずっと前から素人としてはどうしても不思議なのだけど、なんで米国の裁判所に、その判断をする資格というか権限があるのか、よく分からない。誰か、教えていただけると嬉しい。
http://www.nytimes.com/2010/03/31/business/31gene.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/03/31/business/31gene.html?th&emc=th
去年の豚インフルエンザ騒ぎの際のWHOの対応を評価するために中立の科学者らによる委員会が立ち上げられた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183918.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183918.php
英国のNHSで、職員不足から癌の誤診や診断の遅れが患者の命にかかわる事態を招いている、との調査結果。
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/30/cancer-blunders-nhs-report
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/30/cancer-blunders-nhs-report
アムネスティの死刑に関する報告書で、09年に中国で死刑になった人が数千人。しかし、実態はそれをはるかに上回るのでは、と。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/libertycentral/2010/mar/30/how-many-does-china-execute
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/libertycentral/2010/mar/30/how-many-does-china-execute
英国でおとり捜査に引っかかったペットショップのオーナーが、14歳の子どもに年齢を確かめることも世話についても確認せずに金魚を売ったとして、罰金刑に。16歳未満の子どもが保護者の付き添いなしにペットを買いに来ても売ってはいけないという法律。店にいた犬が劣悪なケアで安楽死させなければならないほど衰弱していたことも罪に問われた。未成年に対するたばこや酒の販売では、おとり捜査が行われてきたが、今後はペットの販売でも、という話。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/mar/31/pet-shop-fined-over-goldfish
http://www.guardian.co.uk/world/2010/mar/31/pet-shop-fined-over-goldfish
2010.03.31 / Top↑
3月29日にオンラインで刊行された学会誌 Pediatrics の4月号で
米国小児科学会は臓器提供・移植に関する新たな方針
Pediatric Organ Donation and Transplantation を出した。
米国小児科学会は臓器提供・移植に関する新たな方針
Pediatric Organ Donation and Transplantation を出した。
子どもの死は突然、思いがけない形で起こることがあるために、
家族が臓器提供についても、それで救われる子どもや家族への利益についても
思いを致すことができにくいのだろう……として、
家族が臓器提供についても、それで救われる子どもや家族への利益についても
思いを致すことができにくいのだろう……として、
organ donation or transplantation should be an option for any family who may have to endure the tragedy of losing a child or having a child that may be a potential transplant recipient.
The number of children on the national transplant waiting list far exceeds the number of organs recovered and transplanted. Pediatricians, children's advocacy groups, and institutions that care for children need to promote awareness for increased organ donation and organ transplantation. In addition, pediatric medical specialists and transplant surgeons should discuss the benefits and risks of organ donation and transplantation with family members, and provide continued support during the donation process and in long-term follow-up with the donor family.
The number of children on the national transplant waiting list far exceeds the number of organs recovered and transplanted. Pediatricians, children's advocacy groups, and institutions that care for children need to promote awareness for increased organ donation and organ transplantation. In addition, pediatric medical specialists and transplant surgeons should discuss the benefits and risks of organ donation and transplantation with family members, and provide continued support during the donation process and in long-term follow-up with the donor family.
臓器を待っている子どもの数は、
実際に採取されて(recovered)移植された臓器の数よりも
はるかに上回っているのだから、
実際に採取されて(recovered)移植された臓器の数よりも
はるかに上回っているのだから、
小児科医も子どもの権利擁護団体も、子どものケアに関わる組織も
臓器提供を増やすための啓発を推進しなさい。
臓器提供を増やすための啓発を推進しなさい。
加えて、
小児科専門医と移植医は、家族に対して、
臓器提供の話を、ちゃんと持ち出しなさいよ、
小児科専門医と移植医は、家族に対して、
臓器提供の話を、ちゃんと持ち出しなさいよ、
たとえ我が子の突然の死に直面し、何も考えられず呆然自失しているような親に対しても、
その気持ちに斟酌などせず、臓器提供という選択肢があることを話し、説得しなさいよ……と。
その気持ちに斟酌などせず、臓器提供という選択肢があることを話し、説得しなさいよ……と。
harvest 刈り取られるものだったはずの臓器が、いつのまにか
recover 回収・回復されるものとなっている。
recover 回収・回復されるものとなっている。
2010.03.31 / Top↑
5年前の今日、2005年3月31日に、Theresa Marie Schindler Schiavoは死んだ。
5年を経た今、多くの人がなお、アメリカはなぜ
あんなことを許してしまったのか、理解しようとして、できないでいる。
5年を経た今、多くの人がなお、アメリカはなぜ
あんなことを許してしまったのか、理解しようとして、できないでいる。
障害があり、夫と安楽死セクトが満足するほどQOLが高くないという理由で
Terri Shiavoの命がターミネイトされた2005年3月31日、
アメリカはまた新たな低みへと沈んだ。
Terri Shiavoの命がターミネイトされた2005年3月31日、
アメリカはまた新たな低みへと沈んだ。
ある障害者団体の指導者が言ったことがある。
極右は医療や公的住居、移動支援など必要な支援をカットすることによって
「ゆっくりと苦しめながら」障害者を殺そうとしている、
極左は「さっさと殺して、それを思いやりと呼び、
おそらくは、もっと価値があるとみなされる人たちのために
金を浮かせようとしている」と。
極右は医療や公的住居、移動支援など必要な支援をカットすることによって
「ゆっくりと苦しめながら」障害者を殺そうとしている、
極左は「さっさと殺して、それを思いやりと呼び、
おそらくは、もっと価値があるとみなされる人たちのために
金を浮かせようとしている」と。
記事はその後、
5年後の現在、障害者への差別はより悪化していることを憂慮し、
Obama大統領による医療制度改革は高齢者や障害者の切り捨て施策だと痛烈に批判。
5年後の現在、障害者への差別はより悪化していることを憂慮し、
Obama大統領による医療制度改革は高齢者や障害者の切り捨て施策だと痛烈に批判。
さらに同大統領が
下院議会によるShiavoケースへの介入に同意したことについて
家族の問題に政府が関与すべきではなかったと自己批判したことに対して、
(詳細は文末のリンクに)
下院議会によるShiavoケースへの介入に同意したことについて
家族の問題に政府が関与すべきではなかったと自己批判したことに対して、
(詳細は文末のリンクに)
Shiavo事件では最初からメディアが加担して同様の世論誘導が図られてきたし、
未だに多くの人がShiavo事件の事実関係を捻じ曲げ続けて
あの事件の正当化を図っている、と追及。
未だに多くの人がShiavo事件の事実関係を捻じ曲げ続けて
あの事件の正当化を図っている、と追及。
この事件の事実関係の誤解については
私も何度、確認してもしすぎることはないと考えているので、以下に。
私も何度、確認してもしすぎることはないと考えているので、以下に。
Terriはターミナルな状態でもなければ、昏睡状態でもなかった。
呼吸器をつけていたわけでも、それ以外の機械に繋がれていたわけでもない。
彼女が生きるのに必要なのは、栄養と水分だけだった。それなのに、
12年間の間、セラピーとリハビリテーションの一切を不当にも拒否され続けたのだ。
呼吸器をつけていたわけでも、それ以外の機械に繋がれていたわけでもない。
彼女が生きるのに必要なのは、栄養と水分だけだった。それなのに、
12年間の間、セラピーとリハビリテーションの一切を不当にも拒否され続けたのだ。
「裁判所による殺人」とか「公開処刑」、wrongful deathなど
非常に激しい表現が使われている点には、ちょっと抵抗感も覚えつつ、
非常に激しい表現が使われている点には、ちょっと抵抗感も覚えつつ、
シャイボ事件は実際にはTerriさん自身の望みや家族による代理決定の問題ではなく、
実は社会保障や医療費の問題だったのだという指摘、
実は社会保障や医療費の問題だったのだという指摘、
シャイボ事件で米国社会は障害者や高齢者にかけるコストを拒み、
切り捨てる方向にかじを切ったのだという分析、
切り捨てる方向にかじを切ったのだという分析、
この5年間の安楽死論争で
compassion (共感・おもいやり)がdirty word にされてしまった
などの指摘には、うなずけるものも。
compassion (共感・おもいやり)がdirty word にされてしまった
などの指摘には、うなずけるものも。
そして、この文章から何よりも強く響いてくるのは、
これから、ますます障害者に向けて強まるであろう死への圧力への懸念と、
そのことへの強い危機感。
これから、ますます障害者に向けて強まるであろう死への圧力への懸念と、
そのことへの強い危機感。
それは、日本でも、現在ひしひしと感じられる危機感でもある。
【シャイボ事件関連エントリー】
シャイボ財団「無益な治療」批判のラジオ番組をスタート
シャイボ財団の奮闘
Obama候補がShiavo事件について発言
Shiavo事件めぐるObama発言に批判
シャイボ事件のドキュメンタリー映画:新事実も
「いまや栄養と水分は無益な治療」とテリー・シャイボさんの弟(2009/7/22)
シャイボさんの生きる権利求め闘った父、死去(2009/8/31)
シャイボさんは「ターミナルでもないのに名ばかり夫に死なされた重症障害者」(2009/8/31)
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