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5月16日の被災地の様子を撮った写真を、知人の写真家の方が「みんなで創る復興データベース」に提供されたとのお知らせをいただいた。2カ月経って、まだこんな状態……。
https://picasaweb.google.com/115172867290423218749/201151417?authkey=Gv1sRgCOGb6pfW-JCsmQE#

Suffolk大学の政治研究センターが気になる調査を行っている。「医療費節減のために」「自己決定能力のある高齢者には」自殺することを認めることについて賛否を問うて、1070人の回答者の内35%が賛成と答えたというもの。:自殺幇助合法化の議論は、最初は「ターミナルで耐え難い苦痛のある人を、無益な苦しみから解放するため」であり、医療費とは無関係なはずだった。それがいつのまにか、このような問いでアンケートが取られるようになる。その問題の変質こそが「すべり坂」ではないか、と思う。
http://www.boston.com/lifestyle/health/articles/2011/06/06/pulling_the_plug__at_what_cost/

途上国の予防接種普及に向けた資金調達会議がロンドンで開催されるのを前に、製薬会社がワクチンの値下げを発表。:社会保障の大幅カットで批判を浴びているキャメロン首相が途上国のワクチン支援を増額すると、そういえば発表したばかりでもある。なにやら世界中で、既に出来上がったシナリオ通りに役者が演じているって感じがしない?
http://www.guardian.co.uk/global-development/2011/jun/06/immunisation-developing-world-drugs-companies?CMP=EMCGT_060611&

拒食症から骨密度が低くなった少女に、エストロゲンが有効。:Ashley事件の文脈でもちょっと気になる記事。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/227524.php

英国でも「中絶は殺人」論が力を得てきて、中絶の規制強化が議論に。:遺伝子診断やデザイナーベビーやES細胞研究で胚を廃棄することはぜんぜんOKだし、生まれてきた障害児を殺すのも「生きるに値しないQOL」になった高齢者を殺すのにも抵抗を感じない人が多いと思われる英国で、胎児の命だけはプロ・ライフというのが、どうもしっくり理解できない。だから、これはプロ・ライフというよりも、アンチ・チョイスということなんじゃないかと思ってしまう。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jun/05/abortion-rights-prochoice-diane-abbott?CMP=EMCGT_060611&

NYT。乳がんの再発を予防する薬を、そもそもの発病予防に、と。:この薬それ維持隊を云々するつもりも能力も私にはないけれど、こんなふうに発症するかどうか分からない「可能性」でしかないものまでを病気と同列に扱って、薬や遺伝子操作によって「撲滅」しようとする文化そのものが、これまでなかった殺傷力の高いウイルスや、これまでの細菌の凶悪化に繋がっているんじゃないのなかぁ……。
Drug Can Reduce Risk of Breast Cancer, Study Says:A drug now used to prevent recurrence of breast cancer also prevent it from occurring in the first place.

NYT。製薬会社に恐れられていた医療問題専門の敏腕検事が、なんとその敏腕を製薬会社の弁護に転じた。:そっちの水の方が甘いから? それとも世の中の流れはそっちだと読んだから?
Drug Makers’ Feared Enemy Switches Sides, as Their Lawyer: Michael K. Loucks, arguably the nation’s most influential prosecutor of health care fraud, has emerged in recent month as zealous a corporate defender as he was prosecutor.

同じくNYT。CA州で男児の包皮切除を禁じようとの動きにユダヤ社会からの批判。
Efforts to Ban Circumcision Gain Traction in California: Activists are promoting circumcision bans for minors in San Francisco and Santa Monica, and Jewish groups see a real threat, likening the measures to bans in Soviet-era Russia and Eastern Europe.

若年層に良質の医療を提供している病院が高齢患者にも同じ医療を提供しているとは限らない。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/227510.php

脳卒中後の患者さんがバランスを取り戻すのにヨガが有効。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/227530.php

日本語情報。サッカー=イランがFIFAに抗議へ、女子チームの服装問題で。:服装問題というか、フランスのブルカ問題が繰り返されている、というか拡大している?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110606-00000404-reu-spo
2011.06.06 / Top↑
6月2日、シアトルのど真ん中に
ど~だぁ~ぁ! とばかりにゴージャスなゲイツ財団新本部のオープニングが行われ、
約1000人がお祝いに駆け付けた。

Melinda Gates氏は
「このようなプロジェクトを仕事にするには、まずはゴールを決めることから。
それはすなわち、私たちの仕事がバングラデシュであれボストンであれ
ボツワナやナイジェリアであれ、私たちの拠点はここだということ」

Chronicle of Philanthropy紙の編集長 Stacy Palmer氏は
「非常に多様な方法でゲイツ財団は各国政府に影響を及ぼしている。
各国政府だけでなく企業や、実際世界中の誰もが影響を受けている。
単にお金を寄付することに留まらない影響を財団は及ぼしている」

議論されるべき問題そのものを規定し、
議論の枠組みを形作ることによって、
財団はこれまでの民間組織の可能性について
考え方をまるきり変えてしまった。

「それはいいことです。
それだけ多くの人を巻き込んでいるわけだから。

ただ、財団の問題意識が気に入らない人にとっては
ノーチェックで物事が行われていくことだと映るし
それに懸念を覚える人も沢山います」

そこから話は現在米国でゲイツ氏が力を入れている
公教育改革に移っていき、

教育の失敗の責任を何でもかんでも教師に追わせようとしているとか、
教師が説明責任ばかり考えて仕事をしなければならなくなったら、教育はできない、など
生徒の成績で教師のパフォーマンスを評価しようとの
Gates氏の考え方に対する批判に話が移ったり、

財団のCEOの
批判があるのは了解しているが
我々の役割は大事な問題にスポットライトを当てることで
グラントのすべてが成果を出していなくとも、
社会に貢献するためにはリスクをとることも必要だ、と
全然批判の論点に応えていないコメントが引っ張られてきたり、

グラントを受けて財団のために働く機関や研究者らからも
財団のやり方に一貫性がないとか一方的だとの批判が出ていると指摘したり、

イマイチ、何が言いたいのか趣旨のはっきりしない記事だと思ったら、
最後の最後に、以下の一行が付け加えられていた。

NPRも、Gates財団から資金提供を受けている組織の一つです。

As Gates Foundation Grows, Critics Question Methods
NPR, June 3, 2011


なんだ、NPRよ、おまえもか……。


それにしても、
財団が巻き込んでいる人の数の問題ではなく、
まして財団のグラントが成果を出しているかどうかという問題ですらなく、


ただ世界中にばらまけるだけのゼニを持っているというだけで、
ひと組の夫婦にそれだけの影響力が集中していて、
彼らの個人的な価値観やその時々の考えによって
こんなにも多くの各国や世界規模での施策が左右されていくことの是非の問題だと思うのだけど。


【関連エントリー】
ゲイツ財団のメディア・コントロール(2010/10/21)

ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
2011.06.06 / Top↑
Kevorkian医師の死去を受けて、
ターミナルな患者の痛苦を放っておけなくて自殺幇助合法化の議論に先鞭をつけた
心優しい不遇で孤独な戦士としてK医師を描く記事が、予想通りに多発している。

たとえば、以下のWP記事。こういうものは他にも多数。

‘Dr. Death’Jack Kevorkian dies at age 83
WP, June 4, 2011

また、4日のエントリーでも出てきたK医師の弁護士Morganrothの
もうちょっと詳しい発言があり、

死の12時間前に話した際には、同医師はまだ楽観的で苦痛も感じていなかったとのこと。
蘇生は一切いらないし状況によっては通常の医療すらいらない、と指示し、
自分の生がもはや生きるに値しないと感じる時が来たら
自分で命を断つというつもりでいた、と。

「自分が説いてきたことを実践する。それが彼の気持ちです」。

Morganroth:Kevorkian pondered his own suicide
The Detroit News, June 4, 2011


まだ楽観的で、苦痛も感じておらず、リハビリを始めようと話していた人が
つまり自分はまだ死なないと考えていた人が、
12時間後には死んでしまった……。

Kevorkian医師がそういう転帰をたどったのだとすれば、

それは「自分が説いてきたことを実践する」というよりも
やはり「人の生死は人知を超えたところにあり、
自分の説や実践や気持ちがどうであれ、
思うように自己決定できるものではない」ということに近い気もするけど、

一方、「K医師の犠牲者は必ずしもターミナルな状態ではなかった」との指摘が出ている。

まず、National Right to LifeのRobert Powell 医療倫理センターのディレクター、
Burke J. Balch, J.D.

「Jack Kevorkianが餌食にした犠牲者の多くは
ターミナルな病気などない障害者だった。
一人は高齢だったというだけだった。
少なくとも5件では、解剖の結果、病気はまったく見つからなかった」

「安楽死アドボケイトの中には
Kevorkianの奇怪なスタンスや戦略とは距離を置こうとする人もいたが、

彼の悲劇的な遺産があぶり出しているのは、
うつ病や障害に対して共感と人間的な対応で応じる代わりに
最終的な解決策として死が許容されてしまった時に
最も弱い者に及ぶ危険なのだ」

Jack Kevorkian Preyed On Individuals With Disabilities Without Terminal Illnesses
The MNT, June 4, 2011


また、こちらのNYTのコラムニストRoss Douthatも
同じことを書いており、

1997年の同医師の「診療行為(自殺幇助)」をDetroit Free Pressが調査したところ、
彼が幇助した自殺者のうち60%はターミナルな病状の人ではなかった。
解剖によって「なんら解剖学的病気のエビデンスがない」ケースもいくつかあった。

またK医師は自殺幇助した患者を死後に解剖しており、
彼にとっては人体実験でもあった、とも書いている。

Douthatも、
Kevorkianの信奉者やPAS合法化論者が
こうした事実から目をそむけていることを批判し、

死を自己決定することが権利だとして認められてしまったら
その対象者がターミナルな人に限らず、
すべり坂は現実に起こる、と主張。

Ludwig MinelliがスイスのDignitasで
Kevorkianをはるかに超えて1000人以上を自殺させて
なお罰せられていないことを指摘し、

我々は、そんな殺人者を野放しにしない国であることを誇ろう、と締めくくっている。

Dr. Kevorkian’s Victims
NYT, June 4, 2011
2011.06.06 / Top↑