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第11回国際生命倫理学会、
来年6月26~29日までオランダのロッテルダムで。

テーマは

Thinking Ahead: Bioethics and the Future, and the Future of Bioethics
先を読み考える: 生命倫理と未来、そして生命倫理の未来



議論される問題は

医療における未来のテクノロジー
途上国の倫理と研究
シンセティック・バイオロジー(合成生物学)
エンハンスメント
延命戦略
環境問題
未来世代の道徳的責任
食物と倫理
保健衛生



ロッテルダム学会の公式サイトはこちら

20年前の創設時にはアムステルダムで創設カンファが開催されたとか。
で、20年ぶりにまたオランダで開催。

安楽死先進国オランダで開催される「未来を見据え、先取りで考える生命倫理学会」というだけでも
“生命倫理という学問の未来”の方向性が“先取りで”見えてくるような心地がして

わ~ん。 コワいよ~ぉ。
それよりOuelletteの「生命倫理と障害」をみんなで読んでおくれよぉ~。
と、つぶやきながら泣きそーになるのだけれど、

テーマや話し合われるという上記の問題をつらつらと眺めていたら、
ふっと思い出したのは、

そういえば、この学会の初代会長は
ピーター・シンガーだったという話をどこかで読んだような……。



【関連エントリー】
生命倫理学者とは(2007/11/24)
生命倫理問題に付きまとう「割り切れなさ」について(2007/11/27)
大統領生命倫理評議会の「人間の尊厳と生命倫理」と「おくりびと」(2009/6/30)
生命倫理が「治外法権的な聖域なき議論の土俵」に思えてきた(2009/7/7)
「僕の心臓を盗まないで」とA事件と生命倫理の検証責任について(2009/9/1)
英語圏イデオロギーの専横は生命倫理学だけじゃなかった(2009/9/4)
この10年の米国の生命倫理の流れをCaplanがまとめ「ハイテクよりも足元の問題を」(2009/12/29)
Wesley Smithの「この10年の生命倫理トップ10ニュース」(2010/1/9)

ついでに【当ブログのSinger関連エントリー】
P.Singerの「知的障害者」、中身は?(2007/9/3)
Singerの“アシュリー療法”論評1(2007/9/4)
Singerの“アシュリー療法”論評2(2007/9/5)
Singerへのある母親の反論(2007/9/13)
Singer、Golubchukケースに論評(2008/3/24)
認知障害カンファレンス巡り論評シリーズがスタート:初回はSinger批判(2008/12/17)
知的障害者における「尊厳」と「最善の利益」の違い議論(2008/12/18)
What Sorts のSinger 批判第2弾(2008/12/22)
「障害児については親に決定権を」とSinger講演(2008/12/26)
Singerが障害当事者の活動家に追悼エッセイ(2008/12/29)
Sobsey氏、「知的障害者に道徳的地位ない」Singer説を批判(2009/1/3)
Peter SingerがQOL指標に配給医療を導入せよ、と(2009/7/18)
P.シンガーの障害新生児安楽死正当化の大タワケ(2010/8/23)
「障害者の権利と動物の権利を一緒にするな」とNDYのStephen Drake(2010/11/1)
「Kaylee事件」と「当事者性」それから「Peter Singer」(2010/11/3)
Peter SingerがMaraachli事件で「同じゼニ出すなら、途上国の多数を救え」(2011/3/22)


閻魔堂論議「なぜ人間が特別なのか?」シリーズ
「なぜ人間は動物と違って特別なのか?」種差別批判からの問い 1(2010/10/7)
「なぜ人間は動物と違って特別なのか?」種差別批判からの問い 2(2010/10/7)
「なぜ人間は動物と違って特別なのか?」種差別批判からの問い 3(2010/10/7)

P.シンガー「大型類人猿の権利宣言」シリーズ
①Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的?
②Peter Singerの”ちゃぶ台返し”
③SingerやTH二ストにとっては、知的障害者も精神障害者も子どもも、み~んな「頭が悪い人たち」?
2011.09.08 / Top↑
4日のエントリーで取り上げた英では2009年以降、少なくとも44件の自殺幇助事件が不起訴にのニュースと、そこでの公訴局長のコメントに対して、自殺幇助合法化に反対してきたCristina Odone氏がTelegraphで反論。論旨は、上記エントリーでの当ブログの批判と同じで「実際、黙認しとるやないか。要するに、アンタらは暗黙のうちに合法化したんやんけ」というもの。
http://blogs.telegraph.co.uk/news/cristinaodone/100103167/britain-has-legalised-assisted-suicide-when-no-one-was-looking/

そういう批判を受けて公訴局長Starmer氏が反論。というか弁明。「公訴局が自殺幇助を起訴しないとの包括方針を出したかのような批判は当たらない。それぞれの事件はそれぞれの事件や特徴を慎重に検討している。一件ごとに検事が状況によって公益ファクターの重要性を見極めて、全体としてのアセスメントを行っている。自殺幇助は今なお犯罪でああり、疑いのある事件については常に十分な捜査が必要である」:だから、検死官や警察が勝手に黙認してスル―しているという報道があったやないけ……とspitzibaraは言っているんだっての。Odoneさんも。その指摘に対して、Starmer氏の発言はぜんぜん弁明になっていない。
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5iN_fqEpb6eE-ILrniALw9EgoT-Pg?docId=N0213081315284850926A

【Odoneさん関連エントリー】
英国のシンクタンクが「自殺幇助合法化は弱者に危険」と報告書(2011/10/20)


日本の科研費事業で「もはやヒポクラテスではいられない」21世紀 新医師宣言プロジェクト。主旨の中に、さらには、「依頼されても人を殺す薬を与えない」ことは、生命尊重の観点からも大切な態度ではありますが、現代の医療は延命治療や安楽死の是非などについても正面から考えていかなければならないことがあります、と書いてある。ネットで意見を募りつつ、宣言文を作っていくらしいのだけど、こういうことを考える人は、実はコスト論でしかない化けの皮が既に剥げている英語圏の“無益な治療”論や“死の自己決定権”議論の周辺の「ポスト・ヒポクラテス医療」で何が起こっているか、ちゃんと知った上で考えてほしい、と思う。
http://www.ishisengen.net/purpose.html

日本語記事。鄭州で人身売買業者が暗躍、サボリ学生ら勧誘、奴隷労働へ―中国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0905&f=national_0905_243.shtml

【関連エントリー】
死体の闇売買のため障害者を狙って殺害(中国)(2008/9/11)
世界の「奴隷労働」を、拾った記事から概観してみる(2011/1/20)


日本。「子ども精神薬漬け」自閉症悪化――副作用否定し薬物療法続ける医者たち
http://www.j-cast.com/tv/2011/09/06106365.html?p=2

薬局は10代の子ども達に薬のリスクと利益について、もっとちゃんと情報を提供する必要がある。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/233875.php

9月13―16日、世界薬物安全会議ヨーロッパ2011開催。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/233881.php

米国で脳卒中で治療を受ける若者が増えている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/233862.php

ウォールマートがIT業界に乗り出し、インターネット上でこれまで誰も体験したことのない新たなショッピング体験を、と。:そういえばビル・ゲイツはウォール・マートの株主さん。
http://www.washingtonpost.com/blogs/innovations/post/wal-marts-cosmic-voodoo/2010/12/20/gIQA8ajupJ_blog.html
2011.09.08 / Top↑
英国の介護者週間については何度かエントリーで取り上げていますが、
7月にも以下のエントリーで今年のケアラーズ・ウィークについて紹介しました。

ケアラーの本当の顔:英国ケアラーズ・ウィーク2011(2011/7/5)

その、ちょっと不思議な今年のテーマ「ケアラーの本当の顔」について
「“身勝手な豚”の介護ガイド」という本の著者で
ハンチントン病の妻を介護しているHugh Mariiot氏が
ケアラーズ・ウィーク2011のサイトに書いた文章を
「介護保険情報」誌8月号で仮訳してみました。

その全文を以下に。

ケアラーたちの本当の顔

え、ケアラーたちの本当の顔? それがケアラーズ・ウィークのテーマなの……って?
 
うん。まぁ、聞かない方がいいかもね。知らない方がいいと思うよ。ケアラーの本当の顔がどういうものか、ちょっとでも知ったらビビっちゃうから。とはいっても、きっと分かんないとは思うけどね。だってケアラーって、目に見えないんだもの。

あ、ボクが言ってるのは、給料をもらっている介護者のことじゃないんだ。制服を着て働いているような人たちなら、ちゃんと目に見えるからね。ボクが言っているのは、自分でも思いがけない時に、気が付いたら、いつのまにかケアラーになっちゃってた……っていう人たちのこと。 

ボクたちケアラーは制服なんか着ないし、休憩時間もオフの日もない。選択の自由も研修も給料もない。見た目は他のみんなと全く同じさ。実際、ボクたちはみんなと同じ人間なんだけどね。だから、誰も気づかない。ボクたちがもう前とは別の存在になってしまったってことに。

もう1つヘンなのは、ボクたち自身にも自分が見えないってこと。どういうことかというとね。誰かのケアをするのは、なにしろずっと全力投球だから、そういうのを長く続けていると、いつのまにか自分がどういう人間なのか、前はどういう人として生きていたかってことを忘れ始めるんだよ。自分がこの先どういう生き方をしたいかという夢だって、もちろん頭から消えてしまう。そんなふうに自分自身を見失っていくってわけ。

透明な存在――。それがボクたち。まぁ、それでいいのかもね。だってボクたちの本当の顔をみんなが見ることができたら、頭の中で何を考えているかまでバレてしまう。そんなのは知って愉快なものじゃない。

本当のことを言うと、人によって早い遅いの違いはあるけど、ケアラーをやっていると、たいていの人はどこかでプッツンくるんだよ。みんな、外には見せないけどね。外から見れば、介護に疲れているとか、まったりしているとか、もう諦めきってるみたいに見えるかもしれない。ま、概してボクたちって、愛する人を介護する心優しい人っていうイメージだよね。だから全然だいじょうぶ、てな感じに見えたりもして。で、ある日突然、プツンといっちゃう。そうなると、もうダメ。でも、そういう時でも、たぶんボクたちは家の中でこっそりプツンいってて、そんな自分を外に見せたりはしない。

だから外の世界の人には分からないみたいだけど、ボクたちは最初からケアラーだったわけじゃないんだよ。ボクたちだって外の世界の人と全く同じ人間で、生まれつき介護に向いているからケアラーをやっているというわけじゃない。他に選択肢がないから、やっていくしかないだけで。

ここんところがケアラーの弱みだよね。やるしかないことだから、ボクたちはそれなりに立派にこなしていく。だから、ほら、ケアしている相手を殺しちゃうケアラーなんて、滅多にいない。辛いのは、ボクたちがあれもこれも黙々とこなしながら、そんな生活に満足しているように見えてしまうこと。もちろん、そういう人もいるよ。でも、そうじゃない人だって沢山いる。

だからケアラーズ・ウィークがあって、そのテーマが「ケアラーの本当の顔」ってわけ。

もし君がケアラーだったら、こんなことは言われなくても分かってるだろうけど、もしも君がケアラーじゃなかったら、ちょっと考えてみて。君だって、いつかケアラーになる日がくるかもしれない。その確率は案外に高い。だから、これだけは知っておいて。ケアラーだからって聖人じゃないんだよ。ケアラーは君なんだ。


原文は以下のサイトに。
http://carersweek.org/news-and-media/latest-news/item/56-the-true-face-of-carers-hugh-marriott


【Marriotさんの著書に関するエントリー】
「“身勝手な豚”の介護ガイド」1: セックスもウンコも“殺してやりたい”も(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」2: あなた自身をもう一人の“子豚”に(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3: “専門家の世界”に心が折れないために(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3のオマケ: だって、Spitibaraも黙っていられない(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」4: 「階段から突き落としてしまいたい」で止まるために(2011/7/23)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」5: ウンコよりキタナイものがある(2011/7/23)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」6: セックスを語ると“子豚”への愛が見えてくる“ケアラー哲学”(2011/7/24)
2011.09.08 / Top↑