Arizona州Phoenixで19日に
サッカーをやっている最中に倒れて意識を失った男性 Joses Cornelioさん(23)は
Banner Good Samaritan病院で呼吸器をつけている。記事によると原因は不明。
Cornelioさんは子どもの時に米国にきたメキシコ生まれの移民で、
市民権はとっておらず、健康保険にも入っていない。
妻の話では
Cornelioさんは妻の語りかけに反応し、手を握り返してくるというが、
病院側から1週間の内に転院先を探すよう求められ、
それがかなわない場合には2つの選択肢を提示されたという。
その選択肢は
① 家に連れて帰ってホスピスケアを受ける。
② メキシコに連れて帰って介護を受ける。
妻は
「夫は回復しようとがんばっているんです。
でも病院は“費用をいったいだれが払うの?”って」
Man on life support forced to leave Phoenix hospital?
Everything Arizona, September 26, 2011
まず、すぐに思ったのは、
これはもう“無益な治療”論ですらなく、
“無駄な医療費負担”論では、ということと、
アリゾナ州の州法がどうなっているのか、
その「1週間以内に、さもなければ」という通告に
どのような法的根拠があるのだろう、ということ。
それから、すごく気になることとしては、
記事に寄せられたコメントをざっと眺めてみると、
こうした問題が移民への排斥感情に直結していきそうなこと――。
これは以下の事件などを通して08年あたりから気がかりだったこと。
「ダウン症の息子が社会の重荷」とドイツ人医師に永住権を拒否(豪)(2008/11/10)
カナダ政府、「障害のある子どもが社会の負担」と相次いで永住権を拒否(2011/5/3)
なお、
これまでに合法移民の患者がターゲットになった“無益な治療”事件で
当ブログが拾っているのは、少なくとも以下の3件。
① 2005年、テキサス州 Habtegiris事件
医療費払えず「無益な治療」(TX)
②今年、メリーランド州 Nyrahabiyambere事件
延命停止に不同意の家族からは決定権はく奪、病院推薦の代理人が同意(2011/3/6) ]
家族から代理権をはく奪して中止された移民女性の栄養、法律からの提訴で再開(2011/3/13)
③今年、カナダのRazouli事件(名前は記事によって s と z まちまち)
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
さらに、Razouli裁判関連の上記5月19日エントリーで拾った情報によると、
イスラム文化との摩擦が法的な問題になるにつれ、
シャリア法の解釈導入を禁止する動きも。
サッカーをやっている最中に倒れて意識を失った男性 Joses Cornelioさん(23)は
Banner Good Samaritan病院で呼吸器をつけている。記事によると原因は不明。
Cornelioさんは子どもの時に米国にきたメキシコ生まれの移民で、
市民権はとっておらず、健康保険にも入っていない。
妻の話では
Cornelioさんは妻の語りかけに反応し、手を握り返してくるというが、
病院側から1週間の内に転院先を探すよう求められ、
それがかなわない場合には2つの選択肢を提示されたという。
その選択肢は
① 家に連れて帰ってホスピスケアを受ける。
② メキシコに連れて帰って介護を受ける。
妻は
「夫は回復しようとがんばっているんです。
でも病院は“費用をいったいだれが払うの?”って」
Man on life support forced to leave Phoenix hospital?
Everything Arizona, September 26, 2011
まず、すぐに思ったのは、
これはもう“無益な治療”論ですらなく、
“無駄な医療費負担”論では、ということと、
アリゾナ州の州法がどうなっているのか、
その「1週間以内に、さもなければ」という通告に
どのような法的根拠があるのだろう、ということ。
それから、すごく気になることとしては、
記事に寄せられたコメントをざっと眺めてみると、
こうした問題が移民への排斥感情に直結していきそうなこと――。
これは以下の事件などを通して08年あたりから気がかりだったこと。
「ダウン症の息子が社会の重荷」とドイツ人医師に永住権を拒否(豪)(2008/11/10)
カナダ政府、「障害のある子どもが社会の負担」と相次いで永住権を拒否(2011/5/3)
なお、
これまでに合法移民の患者がターゲットになった“無益な治療”事件で
当ブログが拾っているのは、少なくとも以下の3件。
① 2005年、テキサス州 Habtegiris事件
医療費払えず「無益な治療」(TX)
②今年、メリーランド州 Nyrahabiyambere事件
延命停止に不同意の家族からは決定権はく奪、病院推薦の代理人が同意(2011/3/6) ]
家族から代理権をはく奪して中止された移民女性の栄養、法律からの提訴で再開(2011/3/13)
③今年、カナダのRazouli事件(名前は記事によって s と z まちまち)
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
さらに、Razouli裁判関連の上記5月19日エントリーで拾った情報によると、
イスラム文化との摩擦が法的な問題になるにつれ、
シャリア法の解釈導入を禁止する動きも。
2011.09.30 / Top↑
以下のエントリーで追いかけてきたカナダの“無益な治療”訴訟の
Joseph君が、27日に自宅で両親と叔母に看取られて亡くなったとのこと。
1歳児の「無益な治療」で両親が敗訴(カナダ)(2011/2/24)
2011年3月1日の補遺(2011/3/1)
2011年3月5日の補遺(2011/3/5)
呼吸器外し命じられたカナダのJoseph君、セントルイスの病院へ(2011/3/15)
A事件繋がりのRebecca DresserがMaraachli事件で「コスト懸念で類似の訴訟はこれから増える」(2011/3/17)
Peter SingerがMaraachli事件で「同じゼニ出すなら、途上国の多数を救え」(2011/3/22)
Joseph Maraachliくん、気管切開し自宅に戻る(2011/4/30)
一家を支援してきたプロ・ライフ活動家の Frank Pavone 神父は
「Josephと両親は神から与えられた特別なミッションを完了しました。
絶望によって弱者を切り捨てる”死の文化”の中で、
希望によって弱者を受け入れケアする”生の文化”を失わなかったのです」
またO’Donnell修道士は
「私はこの6、7か月というもの
Josephが自宅で愛され、ケアされているのを見てきました。
それがJosephにとってどれほどの意味を持ったのかは誰にもわかりませんが
息子の生ある限り我が子を愛することができた両親にとって
それが大きな意味があったことを私は確信しています」
シャイボ財団も、Joseph君一家を支援していたとのことで、
シャイボ財団からは
「我が子がこの世を去る時は、医師でも民事法廷でもなく、神様に決めてもらう。
一家が望んだのは、それだけです」
Priest says Baby Joseph ‘fulfilled mission from God’
CBC News, September 28, 2011
私がちょっと気になるのは、
Joseph君の最後の頃と思われる写真で、
彼の全身がむくんでいること。
それから、記事にあるビデオを見ると、
セント・ルイスに運ばれる段階で、Joseph君は
既にむくみ始めているように見えること。
もしかしたら、彼はこの段階から
栄養や水分を身体が受け付けない状態になっていた……ということ?
私はこれまで、一応Josephくん本人は苦しんでいないという前提で考えてきた一方で、
上記リンクの記事でも書いているように、彼がプロ・ライフのプロパガンダの広告塔として
大人たちに利用されている可能性についても気になってはいた。
もちろん、この事件については詳細を知らない限り何とも言えないのだけれど、
一口に“無益な治療”事件といっても、
家族のエゴで、本人に苦しみを強いている可能性のあるケースも
そこには含まれているのだろうな、とは思う。
ただ、だからといって、
それが即座にPeter Singerがいう「Joseph君のような命に拘泥して
無駄なコストをかけるより、それを途上国の子どものワクチンに振り向けるべき」といった
“患者の無益”論を前提にした乱暴なコスト論を正当化するわけでもない、とも思う。
本当に考えなければならないことは、
個別の事実関係の丁寧で細やかな検討や繊細な判断という形で、
その両者の間に無数にあるはずなのでは?
それはちょうど、
「延命はぜんぶ止める」か「何が何でもあらゆる手を尽くす」かの二者択一で
終末期医療を巡る議論が描かれていくことのおかしさにも通じるような気がする。
Joseph君が、27日に自宅で両親と叔母に看取られて亡くなったとのこと。
1歳児の「無益な治療」で両親が敗訴(カナダ)(2011/2/24)
2011年3月1日の補遺(2011/3/1)
2011年3月5日の補遺(2011/3/5)
呼吸器外し命じられたカナダのJoseph君、セントルイスの病院へ(2011/3/15)
A事件繋がりのRebecca DresserがMaraachli事件で「コスト懸念で類似の訴訟はこれから増える」(2011/3/17)
Peter SingerがMaraachli事件で「同じゼニ出すなら、途上国の多数を救え」(2011/3/22)
Joseph Maraachliくん、気管切開し自宅に戻る(2011/4/30)
一家を支援してきたプロ・ライフ活動家の Frank Pavone 神父は
「Josephと両親は神から与えられた特別なミッションを完了しました。
絶望によって弱者を切り捨てる”死の文化”の中で、
希望によって弱者を受け入れケアする”生の文化”を失わなかったのです」
またO’Donnell修道士は
「私はこの6、7か月というもの
Josephが自宅で愛され、ケアされているのを見てきました。
それがJosephにとってどれほどの意味を持ったのかは誰にもわかりませんが
息子の生ある限り我が子を愛することができた両親にとって
それが大きな意味があったことを私は確信しています」
シャイボ財団も、Joseph君一家を支援していたとのことで、
シャイボ財団からは
「我が子がこの世を去る時は、医師でも民事法廷でもなく、神様に決めてもらう。
一家が望んだのは、それだけです」
Priest says Baby Joseph ‘fulfilled mission from God’
CBC News, September 28, 2011
私がちょっと気になるのは、
Joseph君の最後の頃と思われる写真で、
彼の全身がむくんでいること。
それから、記事にあるビデオを見ると、
セント・ルイスに運ばれる段階で、Joseph君は
既にむくみ始めているように見えること。
もしかしたら、彼はこの段階から
栄養や水分を身体が受け付けない状態になっていた……ということ?
私はこれまで、一応Josephくん本人は苦しんでいないという前提で考えてきた一方で、
上記リンクの記事でも書いているように、彼がプロ・ライフのプロパガンダの広告塔として
大人たちに利用されている可能性についても気になってはいた。
もちろん、この事件については詳細を知らない限り何とも言えないのだけれど、
一口に“無益な治療”事件といっても、
家族のエゴで、本人に苦しみを強いている可能性のあるケースも
そこには含まれているのだろうな、とは思う。
ただ、だからといって、
それが即座にPeter Singerがいう「Joseph君のような命に拘泥して
無駄なコストをかけるより、それを途上国の子どものワクチンに振り向けるべき」といった
“患者の無益”論を前提にした乱暴なコスト論を正当化するわけでもない、とも思う。
本当に考えなければならないことは、
個別の事実関係の丁寧で細やかな検討や繊細な判断という形で、
その両者の間に無数にあるはずなのでは?
それはちょうど、
「延命はぜんぶ止める」か「何が何でもあらゆる手を尽くす」かの二者択一で
終末期医療を巡る議論が描かれていくことのおかしさにも通じるような気がする。
2011.09.30 / Top↑
Lancetに高所得国でのガンを「過剰に診断しないように。“無益な薬”で過剰な治療をしないように。過剰な希望を持たせないように」という論文。:その一方で「ガン研究の黄金時代」が「ワクチンの10年」の次のトレンド……というなら、それは超富裕層を対象にした新たなマーケット創設に過ぎないような。私たちは、最先端医療の情報に、さも誰でもが受けられる治療であるかのように夢を煽られているけれど、やっぱ、それはウソだよ。
http://www.thelancet.com/commission/delivering-affordable-cancer-care-in-high-income-countries#
一昨日の補遺で拾った「自宅でペットの安楽死」WPの記事について、無益な治療ブログのPopeがエントリーを書いている。私と同じ懸念をもって、この記事を読んだみたい。
http://medicalfutility.blogspot.com/2011/09/more-pets-but-not-people-dying-at-home.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
NZでヘリウムによる自殺幇助が2件確認されたにもかかわらず、環境大臣はヘリウム・ガスの規制は変更しない、と。FEN事件でも現在問題になっているオレゴン州での自殺キットでも、C&Cの前身のヘムロック協会創設者Derek Humphryの著者Final Exitで推奨されている自殺方法でも、ヘリウムは自殺幇助業界では大人気。
http://www.stuff.co.nz/national/health/5694844/No-action-on-coroners-helium-call
カナダで妻を殺した男性が自殺幇助だと主張して、裁判所に却下されている。
http://www.vancouversun.com/news/just+smothered+wife+accused+tells+operator/5466385/story.html
http://www.cbc.ca/news/canada/edmonton/story/2011/09/26/edmonton-lavery-murder-wife-trial.html
http://www.edmontonjournal.com/news/Judge+rejects+Edmonton+plea+guilty+assisted+suicide+2006+domestic/5460696/story.html?cid=megadrop_story
米国で生まれる子どもの約1%が何らかの生殖補助医療技術を利用して生まれてくる。そんな中、精子バンクが登場した70年代後半から80年代に生まれた子ども達がそろそろ成人年齢に達し、思いがけない問題に直面している。病気や事故の際に、家族の既往歴が分からない、大人になって出自を知った動揺など。これも読みたい記事なんだけど、ちょい余裕がないか。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/sperm-donor-children-face-challenges-in-learning-their-medical-history/2011/07/01/gIQAX9hwzK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
ホワイトハンズについて「障害者の性へのサポートについて考える」という草山太郎氏の論文。9月23日の補遺にコメントもらってから、ずっと頭の隅に引っかかっている。今まで全く縁のなかったツイッターに生活書院さん繋がりで入り込んだら、偶然見つけた論文。この論文によると、介助スタッフは女性のみ。なんでやねん。そもそも「性機能の廃用症候群予防」って、なんじゃ、そりゃ。まー、よくもここまでテキトーに「それらしい」文言を並べられること……。
http://www.arsvi.com/2010/1103kt.pdf
◆ALS訴訟「介護20時間に」 和歌山地裁、義務付け決定 (共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092701000947.html
◆20時間の介護認める=ALS訴訟、初の仮義務付け―和歌山地裁 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011092700800
◆ALS患者 介護増を命じる判決 (NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110927/t10015889531000.html
◆難病訴訟で「20時間介護」義務付け 和歌山地裁 (産経)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110927/trl11092721030018-n1.htm
NYT。またまた民間医療保険の保険料が急騰。
Health Insurers Push Premiums Sharply Higher: The cost of health insurance this year rose more steeply than in previous years, outstripping wages and adding uncertainly about the pace of growing costs.
しかも、その保険料は労働者の肩によりズシリと。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/dc-has-fewer-than-3000-active-doctors-report-says/2011/09/26/gIQAGEZe2K_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
マイケルジャクソンのお抱え医師の裁判がスタート。:09年6月28日にこの件について初めて補遺で拾った時に、「この科学とテクノ万歳文化の中で、金のある人がその金で個人的に医師を雇うと、どういうことが可能になるのか……?」と書いている。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/27/michael-jackson-doctor-trial?CMP=EMCGT_280911&
【関連ニュースを拾った補遺】
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53522721.html(09年6月28日の補遺)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54316936.html「お抱え医師によって殺された」
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54598913.html(propofol濫用問題)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55324391.html (なかなか戻ってこなかったマイケルの脳)
NYT。酢とingenuity(どういう意味か記事を読んでいないので?)で子宮がんが予防できる、という、HPVワクチン推進ロビーが削除したがりそうな記事。
Fighting Cervical Cancer With Vinegar and Ingenuity: A simple, short and inexpensive procedure holds the promise of preventing many cases of cervical cancer, saving the lives of thousands of women worldwide.
ワシントンD.C.の医師不足が深刻。実質3000人以下。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/dc-has-fewer-than-3000-active-doctors-report-says/2011/09/26/gIQAGEZe2K_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
オーストラリアでペニシリン不足。:米国でチオペンタールの不足もあったけど、製薬会社があまりにも熾烈なブロック・バスター開発競争に傾斜しすぎているってことは? てか、薬に限らず、どの業界でも「ドカッと儲からないものは誰も作らない、作る余裕がない、従って供給されない世の中」に向かっている……なんてことは?
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/health/superbug-concern-as-penicillin-runs-short/2306129.aspx?src=enews
ミズリー州が米国で初めて、教師と生徒がFacebookで直接コンタクトをとることを禁じる法律を制定。
http://link.email.washingtonpost.com/r/2GZNC0/FXR6I3/6VOSEI/1RDC72/MK50K/2V/h
http://www.thelancet.com/commission/delivering-affordable-cancer-care-in-high-income-countries#
一昨日の補遺で拾った「自宅でペットの安楽死」WPの記事について、無益な治療ブログのPopeがエントリーを書いている。私と同じ懸念をもって、この記事を読んだみたい。
http://medicalfutility.blogspot.com/2011/09/more-pets-but-not-people-dying-at-home.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
NZでヘリウムによる自殺幇助が2件確認されたにもかかわらず、環境大臣はヘリウム・ガスの規制は変更しない、と。FEN事件でも現在問題になっているオレゴン州での自殺キットでも、C&Cの前身のヘムロック協会創設者Derek Humphryの著者Final Exitで推奨されている自殺方法でも、ヘリウムは自殺幇助業界では大人気。
http://www.stuff.co.nz/national/health/5694844/No-action-on-coroners-helium-call
カナダで妻を殺した男性が自殺幇助だと主張して、裁判所に却下されている。
http://www.vancouversun.com/news/just+smothered+wife+accused+tells+operator/5466385/story.html
http://www.cbc.ca/news/canada/edmonton/story/2011/09/26/edmonton-lavery-murder-wife-trial.html
http://www.edmontonjournal.com/news/Judge+rejects+Edmonton+plea+guilty+assisted+suicide+2006+domestic/5460696/story.html?cid=megadrop_story
米国で生まれる子どもの約1%が何らかの生殖補助医療技術を利用して生まれてくる。そんな中、精子バンクが登場した70年代後半から80年代に生まれた子ども達がそろそろ成人年齢に達し、思いがけない問題に直面している。病気や事故の際に、家族の既往歴が分からない、大人になって出自を知った動揺など。これも読みたい記事なんだけど、ちょい余裕がないか。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/sperm-donor-children-face-challenges-in-learning-their-medical-history/2011/07/01/gIQAX9hwzK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
ホワイトハンズについて「障害者の性へのサポートについて考える」という草山太郎氏の論文。9月23日の補遺にコメントもらってから、ずっと頭の隅に引っかかっている。今まで全く縁のなかったツイッターに生活書院さん繋がりで入り込んだら、偶然見つけた論文。この論文によると、介助スタッフは女性のみ。なんでやねん。そもそも「性機能の廃用症候群予防」って、なんじゃ、そりゃ。まー、よくもここまでテキトーに「それらしい」文言を並べられること……。
http://www.arsvi.com/2010/1103kt.pdf
◆ALS訴訟「介護20時間に」 和歌山地裁、義務付け決定 (共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092701000947.html
◆20時間の介護認める=ALS訴訟、初の仮義務付け―和歌山地裁 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011092700800
◆ALS患者 介護増を命じる判決 (NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110927/t10015889531000.html
◆難病訴訟で「20時間介護」義務付け 和歌山地裁 (産経)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110927/trl11092721030018-n1.htm
NYT。またまた民間医療保険の保険料が急騰。
Health Insurers Push Premiums Sharply Higher: The cost of health insurance this year rose more steeply than in previous years, outstripping wages and adding uncertainly about the pace of growing costs.
しかも、その保険料は労働者の肩によりズシリと。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/dc-has-fewer-than-3000-active-doctors-report-says/2011/09/26/gIQAGEZe2K_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
マイケルジャクソンのお抱え医師の裁判がスタート。:09年6月28日にこの件について初めて補遺で拾った時に、「この科学とテクノ万歳文化の中で、金のある人がその金で個人的に医師を雇うと、どういうことが可能になるのか……?」と書いている。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/27/michael-jackson-doctor-trial?CMP=EMCGT_280911&
【関連ニュースを拾った補遺】
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53522721.html(09年6月28日の補遺)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54316936.html「お抱え医師によって殺された」
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54598913.html(propofol濫用問題)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55324391.html (なかなか戻ってこなかったマイケルの脳)
NYT。酢とingenuity(どういう意味か記事を読んでいないので?)で子宮がんが予防できる、という、HPVワクチン推進ロビーが削除したがりそうな記事。
Fighting Cervical Cancer With Vinegar and Ingenuity: A simple, short and inexpensive procedure holds the promise of preventing many cases of cervical cancer, saving the lives of thousands of women worldwide.
ワシントンD.C.の医師不足が深刻。実質3000人以下。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/dc-has-fewer-than-3000-active-doctors-report-says/2011/09/26/gIQAGEZe2K_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
オーストラリアでペニシリン不足。:米国でチオペンタールの不足もあったけど、製薬会社があまりにも熾烈なブロック・バスター開発競争に傾斜しすぎているってことは? てか、薬に限らず、どの業界でも「ドカッと儲からないものは誰も作らない、作る余裕がない、従って供給されない世の中」に向かっている……なんてことは?
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/health/superbug-concern-as-penicillin-runs-short/2306129.aspx?src=enews
ミズリー州が米国で初めて、教師と生徒がFacebookで直接コンタクトをとることを禁じる法律を制定。
http://link.email.washingtonpost.com/r/2GZNC0/FXR6I3/6VOSEI/1RDC72/MK50K/2V/h
2011.09.30 / Top↑
前のエントリーの記事とセットで拾ったので、
ワクチン関連が立て続けで申し訳ないですが、ついでにもう1題。
GAVIが途上国の子ども達に接種するワクチンに
新たに2種類、ロタ・ウイルスと肺炎球菌を追加。
GAVIは6月に
子どもの予防接種プログラムの目標とされた370億ドルを軽く超えて
総額430億ドルの寄付金が集まったと発表したし、
ゲイツ財団も頑張ってGAVIへの資金調達に励んでいるので、
途上国もGAVIに対して、
ワクチン接種の予算を現状維持または増やすと約束した、とのこと。
GAVIのCEOは
「産まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なるということは
もうなくなるでしょう」
(それと同時に、製薬会社に更なる利益が約束されることでしょう……)
Fresh Push To Vaccinate Kids In Developing World
NPR’s Health Blog, September 27, 2011
途上国がGAVIへ予防接種の予算を約束……で思い浮かべるのは、
以下のエントリーで拾った「事前の名目で途上国が自己負担分を吐き出させられているだけ」との批判 ↓
ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
それから、「生まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なる」というけど……
途上国に生まれた偶然によって異なっているから問題にすべき最たるものが
なんといってもワクチン、なにがなんでもワクチン……なのか?
以下のエントリーで書いた、
ソマリアに必要なのはワクチンじゃなくて食糧では、という話だとか、
「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種」(2011/7/29)
それはソマリアだけじゃなくて、
政治体制の不安定や医療制度を含めた社会のインフラ整備が十分でない途上国で、
なんでここまで「ワクチン一辺倒の問題解決」なのか、という疑問とか、
こういうところで出ている批判とか ↓
やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声(2011/6/16)
それから、6月の世界会議でGAVIには当初目標額の400億ドルどころか
それを超える金額が集まっているという話で思い出すのは、
こちらのワクチン債――。
なにしろGAVIに集められた各国からの拠出金が
ワクチン債の償還に使われるというのだから――。
【29日追記】
こちらの記事ではゲイツ財団がこれら2種類のワクチンを大量に購入した、と。
購入先はグラクソとメルク。
http://www.bloomberg.com/news/2011-09-27/gates-backed-fund-to-buy-1-billion-of-diarrhea-pneumonia-shots.html
ワクチン関連が立て続けで申し訳ないですが、ついでにもう1題。
GAVIが途上国の子ども達に接種するワクチンに
新たに2種類、ロタ・ウイルスと肺炎球菌を追加。
GAVIは6月に
子どもの予防接種プログラムの目標とされた370億ドルを軽く超えて
総額430億ドルの寄付金が集まったと発表したし、
ゲイツ財団も頑張ってGAVIへの資金調達に励んでいるので、
途上国もGAVIに対して、
ワクチン接種の予算を現状維持または増やすと約束した、とのこと。
GAVIのCEOは
「産まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なるということは
もうなくなるでしょう」
(それと同時に、製薬会社に更なる利益が約束されることでしょう……)
Fresh Push To Vaccinate Kids In Developing World
NPR’s Health Blog, September 27, 2011
途上国がGAVIへ予防接種の予算を約束……で思い浮かべるのは、
以下のエントリーで拾った「事前の名目で途上国が自己負担分を吐き出させられているだけ」との批判 ↓
ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
それから、「生まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なる」というけど……
途上国に生まれた偶然によって異なっているから問題にすべき最たるものが
なんといってもワクチン、なにがなんでもワクチン……なのか?
以下のエントリーで書いた、
ソマリアに必要なのはワクチンじゃなくて食糧では、という話だとか、
「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種」(2011/7/29)
それはソマリアだけじゃなくて、
政治体制の不安定や医療制度を含めた社会のインフラ整備が十分でない途上国で、
なんでここまで「ワクチン一辺倒の問題解決」なのか、という疑問とか、
こういうところで出ている批判とか ↓
やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声(2011/6/16)
それから、6月の世界会議でGAVIには当初目標額の400億ドルどころか
それを超える金額が集まっているという話で思い出すのは、
こちらのワクチン債――。
なにしろGAVIに集められた各国からの拠出金が
ワクチン債の償還に使われるというのだから――。
【29日追記】
こちらの記事ではゲイツ財団がこれら2種類のワクチンを大量に購入した、と。
購入先はグラクソとメルク。
http://www.bloomberg.com/news/2011-09-27/gates-backed-fund-to-buy-1-billion-of-diarrhea-pneumonia-shots.html
2011.09.30 / Top↑
昨日のエントリーで
「ワクチン打たないなら診てやらない」という医師に
「あくまで説得。説得できなくても追い出してはダメ」と
Diekema医師が「らしくない」ことを言っているのが、
なんだか余計に匂う気が……? と思っていたら、
なんと、当のDiekemaのお膝元のワシントン州では
ワクチン免除の条件を厳格化するという法的措置を7月に取ったばかりだとのこと。
子どもを学校に通わせるために必須とされている州の予防接種を受けさせたくない親は、
医療職から免除証明書を取らなければならない、との法改正が7月に施行され、
果たして、ワクチン接種率の向上に効果があるかどうか、注目されているのだとか。
Diekema医師はこの記事では、
免除にどの程度の条件を付けるかは州によって異なっており、
「ワクチン免除の手続きを厳格にすればするほど接種率が上がることは確かです」。
ちなみにWA州全体では、
通学の条件になっているワクチンの免除を受けているのは6%。
郡によって1.2%から26.9%とバラつきがある。
Washington State Raises Bar For Parents To Skip Kids’ Vaccinations
NRP, September 27, 2011
26.9%ってな、
ゲイツ財団のお膝元で、それは、また、なんとも……。
あ、なるほど、だから州法改正、なのか……。
「ワクチン打たないなら診てやらない」という医師に
「あくまで説得。説得できなくても追い出してはダメ」と
Diekema医師が「らしくない」ことを言っているのが、
なんだか余計に匂う気が……? と思っていたら、
なんと、当のDiekemaのお膝元のワシントン州では
ワクチン免除の条件を厳格化するという法的措置を7月に取ったばかりだとのこと。
子どもを学校に通わせるために必須とされている州の予防接種を受けさせたくない親は、
医療職から免除証明書を取らなければならない、との法改正が7月に施行され、
果たして、ワクチン接種率の向上に効果があるかどうか、注目されているのだとか。
Diekema医師はこの記事では、
免除にどの程度の条件を付けるかは州によって異なっており、
「ワクチン免除の手続きを厳格にすればするほど接種率が上がることは確かです」。
ちなみにWA州全体では、
通学の条件になっているワクチンの免除を受けているのは6%。
郡によって1.2%から26.9%とバラつきがある。
Washington State Raises Bar For Parents To Skip Kids’ Vaccinations
NRP, September 27, 2011
26.9%ってな、
ゲイツ財団のお膝元で、それは、また、なんとも……。
あ、なるほど、だから州法改正、なのか……。
2011.09.30 / Top↑
7月6日に以下のエントリーで取り上げた問題の続報。
米国で「ワクチン打たないなら診てやらない」と医師ら(2011/7/6)
この後、今月に入って、
共和党の大統領候補の議員さんが
単に「HPVワクチンで娘が知的障害を負った」と主張する母親と会ったというだけで
「HPVワクチンは危険です。副作用で知的障害になります」と公言し、
それでなくてもWakefield論文の「自閉症ワクチン犯人説」の後遺症に過敏になっている
ワクチン推進陣営の神経を逆なでする、という騒動があった。
それでNYTがこんな記事を書いたりも ↓
米国のHPVワクチンを巡る州ごとの法制化実態(2011/9/14)
で、そういうワクチン騒動を受けて、今度はWPが
「CDCのガイドラインどおりにワクチン接種させていない親の子どもは診てやらない」との
方針を打ち出したNYのクリニックを取材して記事にしている。
そのクリニックFour Seasons Pediatricsの小児科医の言い分は
「患者のために最善を尽くすのが私の仕事」
「ワクチンを打っている子どもを打っていない子どもと接触させるのは
医師としての責務を果たさないことになる」
ワクチンが集団に対して免疫効果を発揮するには
全体の80~90%のワクチン接種が必要。
それによって、医学上の理由などから接種できない人たちを守ることができる。
ポリオ、麻疹、おたふくかぜ、MMR、B型肝炎など
多くの病気のワクチンについては接種率は90%を超えており、
まったくワクチンを接種していない子どもは1%にも満たない。
全体として拒否率は低いが、地域によりバラつきも。
2008年に宗教上の理由で免除した州が48。
思想信条や個人的な理由で免除した州は21。
米国小児科学会(AAP)は
親に根気強く説明し、親を教育・説得することで接種を促すことを勧めており、
そうした方針の主著者であるDiekema医師は、
「たいていの親は心配しているというだけで、
思想信条から断固反対しているわけではない」のだから
ワクチンの大切さを教えて理解させ説得しなさい、と。
そして、説得できなかったとしても、
小児科医が患者を拒むことはすべきでない、というのがAAPの方針。
子どもにワクチンを打たせることが目的だとしても、
その目的はクリニックから追い出すことで達成できるわけではないし、
他の子ども達を守るためだと言っても、
追い出された子どもたちは最終的にどこかで診てもらうわけだから
それは自分のところの待合室をクリーンにするだけで、
病気の感染を予防することにはならない、ともD医師。
Some pediatricians refuse to treat children whose parents oppose immunizations
WP, September 27, 2011
この記事を読んで特に目についたのは、
おたふく風邪だとか麻疹だとか我々が子ども時代からお馴染みのワクチンについては
接種率が90%を超えている、という情報。
ここにも「ない情報は、ないという事実そのものを見えなくしてしまう」マジックがあって、
それは、たぶん、ロタ・ウィルス・ワクチンとか、何よりもHPVワクチンといった
ごく最近、おそらくは「ワクチンの10年」の先駆けのように相次いで登場したワクチンで
接種率が低いのでは――?
それから私が一番気になるのは、
「ワクチンの10年」の仕掛け人であるゲイツ財団に非常に近しいシアトルこども病院の、
当ブログの仮説に基づけば、特に覚えがめでたいと思われるDiekema医師が
AAPのワクチンに関する方針の主著者というポストにいること――。
米国で「ワクチン打たないなら診てやらない」と医師ら(2011/7/6)
この後、今月に入って、
共和党の大統領候補の議員さんが
単に「HPVワクチンで娘が知的障害を負った」と主張する母親と会ったというだけで
「HPVワクチンは危険です。副作用で知的障害になります」と公言し、
それでなくてもWakefield論文の「自閉症ワクチン犯人説」の後遺症に過敏になっている
ワクチン推進陣営の神経を逆なでする、という騒動があった。
それでNYTがこんな記事を書いたりも ↓
米国のHPVワクチンを巡る州ごとの法制化実態(2011/9/14)
で、そういうワクチン騒動を受けて、今度はWPが
「CDCのガイドラインどおりにワクチン接種させていない親の子どもは診てやらない」との
方針を打ち出したNYのクリニックを取材して記事にしている。
そのクリニックFour Seasons Pediatricsの小児科医の言い分は
「患者のために最善を尽くすのが私の仕事」
「ワクチンを打っている子どもを打っていない子どもと接触させるのは
医師としての責務を果たさないことになる」
ワクチンが集団に対して免疫効果を発揮するには
全体の80~90%のワクチン接種が必要。
それによって、医学上の理由などから接種できない人たちを守ることができる。
ポリオ、麻疹、おたふくかぜ、MMR、B型肝炎など
多くの病気のワクチンについては接種率は90%を超えており、
まったくワクチンを接種していない子どもは1%にも満たない。
全体として拒否率は低いが、地域によりバラつきも。
2008年に宗教上の理由で免除した州が48。
思想信条や個人的な理由で免除した州は21。
米国小児科学会(AAP)は
親に根気強く説明し、親を教育・説得することで接種を促すことを勧めており、
そうした方針の主著者であるDiekema医師は、
「たいていの親は心配しているというだけで、
思想信条から断固反対しているわけではない」のだから
ワクチンの大切さを教えて理解させ説得しなさい、と。
そして、説得できなかったとしても、
小児科医が患者を拒むことはすべきでない、というのがAAPの方針。
子どもにワクチンを打たせることが目的だとしても、
その目的はクリニックから追い出すことで達成できるわけではないし、
他の子ども達を守るためだと言っても、
追い出された子どもたちは最終的にどこかで診てもらうわけだから
それは自分のところの待合室をクリーンにするだけで、
病気の感染を予防することにはならない、ともD医師。
Some pediatricians refuse to treat children whose parents oppose immunizations
WP, September 27, 2011
この記事を読んで特に目についたのは、
おたふく風邪だとか麻疹だとか我々が子ども時代からお馴染みのワクチンについては
接種率が90%を超えている、という情報。
ここにも「ない情報は、ないという事実そのものを見えなくしてしまう」マジックがあって、
それは、たぶん、ロタ・ウィルス・ワクチンとか、何よりもHPVワクチンといった
ごく最近、おそらくは「ワクチンの10年」の先駆けのように相次いで登場したワクチンで
接種率が低いのでは――?
それから私が一番気になるのは、
「ワクチンの10年」の仕掛け人であるゲイツ財団に非常に近しいシアトルこども病院の、
当ブログの仮説に基づけば、特に覚えがめでたいと思われるDiekema医師が
AAPのワクチンに関する方針の主著者というポストにいること――。
2011.09.30 / Top↑
自宅でペットを安楽死させる運動(at-home pet euthanasia movement)が広がっているらしい。:「殺す」ことへの抵抗感が薄れていく。「動物でも苦しみから解放してもらえるのに」というのは自殺幇助合法化論者の定番の正当化論。すごく気になる記事なので、後でちゃんと読みたい。
http://www.washingtonpost.com/local/at-home-pet-euthanasia-grows-in-popularity/2011/09/22/gIQAVL4MxK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
Not Dead Yetのブログで、安楽死関連のブラック・ジョーク・シリーズ1回目。ただの風邪で寝ている夫のところに、ルンルンでスイスの安楽死クリニックのパンフレットを持ってくる妻。「風邪が長引いて、このままだとあなたはそのうち自分が嫌になるわ。ずっと誇り高くて尊厳を重んじる人だったから。あらゆる選択肢を検討した方がいいでしょ」「あ、決めるんだったら早めに言ってね。(私にも都合? 準備?があるから……2回聞いただけでは聞き取れませんでした)きゃ~、スイスへ行けるのね、あたしっ」笑えます。明日2回目がアップされるとか。
http://notdeadyetnewscommentary.blogspot.com/2011/09/dark-humor-weekend-part-1-euthanasia.html
オーストラリアのDr. DeathことDr. Nitchkeに、安楽死に使われるNembutalの輸入が認められる。:Dr. Nは「睡眠薬として明確な指示と共に渡す。飲みすぎたらどういうことになるかは本人も分かっている」というタテマエで、自殺希望の女性に渡すと言っているのに、一体なんでこうなるんだ?
http://www.news.com.au/breaking-news/nitschke-wins-right-to-use-euthanasia-drug/story-e6frfku0-1226146497401
卵子提供・代理出産を議論…野田聖子議員、医師、法律家ら。石原理・埼玉医大産婦人科教授は、「こうした生殖医療に関する法的な規定が全くないのは、先進国で日本のみだ」と述べ、諸外国と比べて大きく遅れている日本の現状を説明した。:相も変わらず、「日本は遅れている」……。じゃぁ、“進んでいる諸外国”で起こっている複雑な倫理問題や、ややこしい事件についても、きちんと国民に知らせて議論すべきでは?
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=47510
代理出産だと、例えば
これが8回目という代理母(2008/3/9)
代理母と付き合い続ける依頼者一家(2008/5/26)
インドの生殖医療ツーリズム(2008/8/12)
「炭鉱で働こうと代理母をやろうと自分の身体なんだから勝手」とFost(2009/12/8)
グローバル化が進む“代理母ツーリズム”(2011/1/29)
生まれた子どもの引き渡し拒否の代理母に、裁判所が「育ててよい」(2011/2/13)
ナイジェリアの“赤ちゃん工場”摘発(2011/6/2)
依頼者が代理母にメールで「離婚したから引き取れない」、生まれた双子は養子に(2011/9/17)
生殖子関連では、
精子250ドル、卵子1000ドルで、どう?(2008/5/26)
「凍結胚から生まれた子どもの方が健康」だって(2008/11/16)
生殖補助医療の“卵子不足”解消のため「ドナーに金銭支払いを」と英HFEA(2009/7/27)
「死んだ息子の精子で代理母たのみ孫がほしい」認められず(2009/3/5)
「死んだ息子の子どもがほしい」母に裁判所が遺体からの精子採取を認める(TX州)(2009/4/17)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)
「人種も身長も趣味だって選べます」精子ドナー斡旋業で逮捕者(英)(2010/9/15)
亡き夫の精子は妻の“財産”(2011/5/24)
その他、オドロキの生殖補助医療では、
インドの70歳女性、体外受精で初産(2008/12/9)
66歳で世界最高齢出産の女性、3歳の双子を残し、癌で死去(2009/7/16)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)
<東電>官僚天下り50人以上 ゆがむ原発行政(1)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110925-00000006-mai-pol
NHKの「生活保護」特集 - 「水際作戦」の復活と扇動:コイズミ改革の時の空気の匂いがする。障害者自立支援法がまだ法案としての全容すら見せていない頃に、「生活保護をもらっている人たちというのは代々そうやって暮らすのが当たり前になっていて、健康で若いくせに最初から働くという選択肢のない人たちなんだから」と言ってまわっている人がいた。
http://critic5.exblog.jp/16309027/
サウジアラビアの女性に選挙権。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-15052030
http://www.washingtonpost.com/local/at-home-pet-euthanasia-grows-in-popularity/2011/09/22/gIQAVL4MxK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
日本の記事。問い合わせが殺到!うつ病「見える化」診断 光トポグラフィ検査
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110926-00000002-diamond-soci
乳がんの診断を確定する遺伝子を同定。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234935.php
ビル・ゲイツがG20に、途上国の温暖化防止策支援のため、タバコや運輸に使う燃料に加えて、商取引全般に課税しようと提案、総スカンを食ったらしい。Forbesのこの論説の著者は「ただの思いつき」と。
http://www.forbes.com/sites/timworstall/2011/09/24/bill-gates-supports-the-financial-transactions-tax/
http://ca.reuters.com/article/businessNews/idCATRE78M64Q20110924
http://www.washingtonpost.com/local/at-home-pet-euthanasia-grows-in-popularity/2011/09/22/gIQAVL4MxK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
Not Dead Yetのブログで、安楽死関連のブラック・ジョーク・シリーズ1回目。ただの風邪で寝ている夫のところに、ルンルンでスイスの安楽死クリニックのパンフレットを持ってくる妻。「風邪が長引いて、このままだとあなたはそのうち自分が嫌になるわ。ずっと誇り高くて尊厳を重んじる人だったから。あらゆる選択肢を検討した方がいいでしょ」「あ、決めるんだったら早めに言ってね。(私にも都合? 準備?があるから……2回聞いただけでは聞き取れませんでした)きゃ~、スイスへ行けるのね、あたしっ」笑えます。明日2回目がアップされるとか。
http://notdeadyetnewscommentary.blogspot.com/2011/09/dark-humor-weekend-part-1-euthanasia.html
オーストラリアのDr. DeathことDr. Nitchkeに、安楽死に使われるNembutalの輸入が認められる。:Dr. Nは「睡眠薬として明確な指示と共に渡す。飲みすぎたらどういうことになるかは本人も分かっている」というタテマエで、自殺希望の女性に渡すと言っているのに、一体なんでこうなるんだ?
http://www.news.com.au/breaking-news/nitschke-wins-right-to-use-euthanasia-drug/story-e6frfku0-1226146497401
卵子提供・代理出産を議論…野田聖子議員、医師、法律家ら。石原理・埼玉医大産婦人科教授は、「こうした生殖医療に関する法的な規定が全くないのは、先進国で日本のみだ」と述べ、諸外国と比べて大きく遅れている日本の現状を説明した。:相も変わらず、「日本は遅れている」……。じゃぁ、“進んでいる諸外国”で起こっている複雑な倫理問題や、ややこしい事件についても、きちんと国民に知らせて議論すべきでは?
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=47510
代理出産だと、例えば
これが8回目という代理母(2008/3/9)
代理母と付き合い続ける依頼者一家(2008/5/26)
インドの生殖医療ツーリズム(2008/8/12)
「炭鉱で働こうと代理母をやろうと自分の身体なんだから勝手」とFost(2009/12/8)
グローバル化が進む“代理母ツーリズム”(2011/1/29)
生まれた子どもの引き渡し拒否の代理母に、裁判所が「育ててよい」(2011/2/13)
ナイジェリアの“赤ちゃん工場”摘発(2011/6/2)
依頼者が代理母にメールで「離婚したから引き取れない」、生まれた双子は養子に(2011/9/17)
生殖子関連では、
精子250ドル、卵子1000ドルで、どう?(2008/5/26)
「凍結胚から生まれた子どもの方が健康」だって(2008/11/16)
生殖補助医療の“卵子不足”解消のため「ドナーに金銭支払いを」と英HFEA(2009/7/27)
「死んだ息子の精子で代理母たのみ孫がほしい」認められず(2009/3/5)
「死んだ息子の子どもがほしい」母に裁判所が遺体からの精子採取を認める(TX州)(2009/4/17)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)
「人種も身長も趣味だって選べます」精子ドナー斡旋業で逮捕者(英)(2010/9/15)
亡き夫の精子は妻の“財産”(2011/5/24)
その他、オドロキの生殖補助医療では、
インドの70歳女性、体外受精で初産(2008/12/9)
66歳で世界最高齢出産の女性、3歳の双子を残し、癌で死去(2009/7/16)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)
<東電>官僚天下り50人以上 ゆがむ原発行政(1)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110925-00000006-mai-pol
NHKの「生活保護」特集 - 「水際作戦」の復活と扇動:コイズミ改革の時の空気の匂いがする。障害者自立支援法がまだ法案としての全容すら見せていない頃に、「生活保護をもらっている人たちというのは代々そうやって暮らすのが当たり前になっていて、健康で若いくせに最初から働くという選択肢のない人たちなんだから」と言ってまわっている人がいた。
http://critic5.exblog.jp/16309027/
サウジアラビアの女性に選挙権。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-15052030
http://www.washingtonpost.com/local/at-home-pet-euthanasia-grows-in-popularity/2011/09/22/gIQAVL4MxK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
日本の記事。問い合わせが殺到!うつ病「見える化」診断 光トポグラフィ検査
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110926-00000002-diamond-soci
乳がんの診断を確定する遺伝子を同定。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234935.php
ビル・ゲイツがG20に、途上国の温暖化防止策支援のため、タバコや運輸に使う燃料に加えて、商取引全般に課税しようと提案、総スカンを食ったらしい。Forbesのこの論説の著者は「ただの思いつき」と。
http://www.forbes.com/sites/timworstall/2011/09/24/bill-gates-supports-the-financial-transactions-tax/
http://ca.reuters.com/article/businessNews/idCATRE78M64Q20110924
2011.09.30 / Top↑
いよいよ、なりふり構わずハゲタカの本性を剥き出しにしてきたな、という感じの
UNOS(全米臓器配分機関)の動き――。
Changes in controversial organ donation method stir fears
The WP, September 20, 2011
米国でUNOSが
2007年のDCDのガイドラインの大幅緩和を画策している。
1年間かけて臓器獲得組織委員会(委員22名)での協議を重ね
改めて死を定義することから始まる16ページの提案書を作成し、
3ヶ月間の意見募集を行った。これは6月に既に終了。
11月にアトランタの会議で最終案を作成するというのだけど、
このWPの記事、
わざとUNOSの提案内容を分かりにくくしているのかと勘ぐってしまいたいほど、
な~んか、もわ~っと妙な書き方の記事なのですが、
記事のあちこちから拾って整理してみると、
UNOSが狙っている改正点とは
① DCD(心停止後臓器提供)で現在おおむね心停止から5分~2分とされている
摘出までの待ち時間の基準をなくして、それぞれの病院ごとの判断に任せる。
これについて
ワシントン大学のGail Van Normanから
「まだ死んでいない人から臓器が摘出されてしまう可能性に
目をつぶろうと言うに等しいのでは」など大きな懸念の声が上がっているが、
UNOS側は
どのくらい待つのが適当かを判断するのは、
それぞれの病院とその救急医療の専門家が最もふさわしい、と。
あと、記事がウダウダ書いているのは
これまでDCDについて当ブログでもいくつかのエントリーで書いてきたことが大半ですが、
(詳細は文末にリンク)
気になる情報として、
「脳死ではないものの事故や脳卒中などで重症の脳損傷を負って
ICUに入っている患者にDCDはじわじわと忍び寄って」おり、
ピッツバーグのあるプログラムでは
患者が救急救命室にいる段階からDCDで臓器が取れないかと試行しているし、
NY市には臓器獲得に特化した救急車が走っているとして調査が進行している。
ピッツバーグのERでのDCD試験的解禁についてはこちらに ↓
「脳死でなくても心停止から2分で摘出準備開始」のDCDを、ERで試験的に解禁(米)(2010/3/17)
② DCDを donation after circulatory death(循環死後臓器提供)と呼び替える。
脳死は実際には血流の停止によって引き起こされるのだから
死を宣告するためには必ずしも心臓が止まっている必要はない、という論法。
しかし、それは、死とは何かという倫理的な大問題から
目をそらせようとしているだけなのでは、との批判がある。
Georgetown 大学の生命倫理学者で
UNOS倫理委の委員でもあるRobert M. Veatchは
「一連のプロセスを新しい呼び方に改めることで問題解決を図ろうというのは
うまくないし、意図的な虚偽ともなりうる」と。
Veatchによれば、先週シカゴで開かれた委員会では
DCDの患者の死は、血流や心臓死と同じ意味で、本当に不可逆であり永遠なのか、
という問題について、激しい議論が交わされたという。
心臓を圧迫するなどすれば血流が戻ることがあり、
デンバーではDCDの患者の心臓が移植された後に拍動を開始したケースも。
一方、ペンシルバニア大学の Art L. Caplanは名称変更に賛成。
DCDという呼称には、心臓以外は生きているのに心臓を取るイメージがあるから。
③ 「当該患者がドナーになりうるかどうかの評価を行うのは
病院のプライマリー・ケア・チームと法的近親者が呼吸器を含む生命維持治療の中止を
決定した後でなければならない」との文言をガイドラインから削除。
これにはCaplanを始め、多くの倫理学者が反対。
しかしUNOSは
ドナーにはなれないと早くに分かれば家族は難しい選択を迫られないで済むし、
逆にドナーになれると分かれば生命維持の停止の判断が容易になるのだから、
「とても辛い入院を経験した揚句に、さらに治療の継続が本当に患者の意に沿うのかどうか
難しい決断に直面してしまった家族の苦しみを無用に長引かせないであげたいのです。
死を悼む家族のための削除なのです」と。
④ 脊損、筋ジス、ALSなど一定の疾患の患者をドナー候補として特定すること。
そんなことをしたら
治療をあきらめろとプレッシャーがかかるという懸念の声が上がる一方、
提供意思のある人が見逃されないための策に過ぎない、という正当化論も。
UNOSを監督する連邦政府のHealth and Resources and Services Administration関係者は
「個々の患者をターゲットにしようという話ではないでしょう」
今回の一連の提案について、UNOSの直前プレジデントは
「最終的な目標はドナー希望の患者さんの死に際の望みをかなえ、
臓器を必要とする112000人を超える患者さんたちの命を救うこと」
が、ドナーになれる可能性のある患者が病人として捉えられて
まだ生きられるよう治療を受けたり、穏やかに死ねるようにケアされるよりも
むしろ臓器や組織庫とみなされるようになる、との批判も当たり前だけどあって、
Boston大学のMichael A. Grodin教授(法、生命倫理、人権)は
「より多くの臓器を求めて、とことん狙い続けようという考えへの第一歩。
結局UNOSは臓器提供を増やすためなら何だってやりたいということ」
私は特に④には、本気で胸がムカムカした。
安楽死後臓器提供が既に4例行われたことを報告したベルギーの医師らが
こうした患者さんたちの臓器は「高品質」であり、
そのような安楽死者は臓器不足解消に役立つ「臓器プール」だと
ぬけぬけと論文に書いていたことを思い出す ↓
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
【DCD関連エントリー】
心臓を停止から75秒で摘出・移植しているDenver子ども病院(2008/10/14)
森岡正博氏の「臓器移植法A案可決 先進国に見る荒廃」(2009/6/27)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Robert Truog「心臓死後臓器提供DCDの倫理問題」講演ビデオ(2009)(2010/12/20)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
Savulescuらが、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止の正当化(2011/2/9)
「1つの流れに繋がっていく移植医療、死の自己決定と“無益な治療”」を書きました(2011/5/14)
WHOが「人為的DCDによる臓器提供を検討しよう」と(2011/7/19)
UNOS(全米臓器配分機関)の動き――。
Changes in controversial organ donation method stir fears
The WP, September 20, 2011
米国でUNOSが
2007年のDCDのガイドラインの大幅緩和を画策している。
1年間かけて臓器獲得組織委員会(委員22名)での協議を重ね
改めて死を定義することから始まる16ページの提案書を作成し、
3ヶ月間の意見募集を行った。これは6月に既に終了。
11月にアトランタの会議で最終案を作成するというのだけど、
このWPの記事、
わざとUNOSの提案内容を分かりにくくしているのかと勘ぐってしまいたいほど、
な~んか、もわ~っと妙な書き方の記事なのですが、
記事のあちこちから拾って整理してみると、
UNOSが狙っている改正点とは
① DCD(心停止後臓器提供)で現在おおむね心停止から5分~2分とされている
摘出までの待ち時間の基準をなくして、それぞれの病院ごとの判断に任せる。
これについて
ワシントン大学のGail Van Normanから
「まだ死んでいない人から臓器が摘出されてしまう可能性に
目をつぶろうと言うに等しいのでは」など大きな懸念の声が上がっているが、
UNOS側は
どのくらい待つのが適当かを判断するのは、
それぞれの病院とその救急医療の専門家が最もふさわしい、と。
あと、記事がウダウダ書いているのは
これまでDCDについて当ブログでもいくつかのエントリーで書いてきたことが大半ですが、
(詳細は文末にリンク)
気になる情報として、
「脳死ではないものの事故や脳卒中などで重症の脳損傷を負って
ICUに入っている患者にDCDはじわじわと忍び寄って」おり、
ピッツバーグのあるプログラムでは
患者が救急救命室にいる段階からDCDで臓器が取れないかと試行しているし、
NY市には臓器獲得に特化した救急車が走っているとして調査が進行している。
ピッツバーグのERでのDCD試験的解禁についてはこちらに ↓
「脳死でなくても心停止から2分で摘出準備開始」のDCDを、ERで試験的に解禁(米)(2010/3/17)
② DCDを donation after circulatory death(循環死後臓器提供)と呼び替える。
脳死は実際には血流の停止によって引き起こされるのだから
死を宣告するためには必ずしも心臓が止まっている必要はない、という論法。
しかし、それは、死とは何かという倫理的な大問題から
目をそらせようとしているだけなのでは、との批判がある。
Georgetown 大学の生命倫理学者で
UNOS倫理委の委員でもあるRobert M. Veatchは
「一連のプロセスを新しい呼び方に改めることで問題解決を図ろうというのは
うまくないし、意図的な虚偽ともなりうる」と。
Veatchによれば、先週シカゴで開かれた委員会では
DCDの患者の死は、血流や心臓死と同じ意味で、本当に不可逆であり永遠なのか、
という問題について、激しい議論が交わされたという。
心臓を圧迫するなどすれば血流が戻ることがあり、
デンバーではDCDの患者の心臓が移植された後に拍動を開始したケースも。
一方、ペンシルバニア大学の Art L. Caplanは名称変更に賛成。
DCDという呼称には、心臓以外は生きているのに心臓を取るイメージがあるから。
③ 「当該患者がドナーになりうるかどうかの評価を行うのは
病院のプライマリー・ケア・チームと法的近親者が呼吸器を含む生命維持治療の中止を
決定した後でなければならない」との文言をガイドラインから削除。
これにはCaplanを始め、多くの倫理学者が反対。
しかしUNOSは
ドナーにはなれないと早くに分かれば家族は難しい選択を迫られないで済むし、
逆にドナーになれると分かれば生命維持の停止の判断が容易になるのだから、
「とても辛い入院を経験した揚句に、さらに治療の継続が本当に患者の意に沿うのかどうか
難しい決断に直面してしまった家族の苦しみを無用に長引かせないであげたいのです。
死を悼む家族のための削除なのです」と。
④ 脊損、筋ジス、ALSなど一定の疾患の患者をドナー候補として特定すること。
そんなことをしたら
治療をあきらめろとプレッシャーがかかるという懸念の声が上がる一方、
提供意思のある人が見逃されないための策に過ぎない、という正当化論も。
UNOSを監督する連邦政府のHealth and Resources and Services Administration関係者は
「個々の患者をターゲットにしようという話ではないでしょう」
今回の一連の提案について、UNOSの直前プレジデントは
「最終的な目標はドナー希望の患者さんの死に際の望みをかなえ、
臓器を必要とする112000人を超える患者さんたちの命を救うこと」
が、ドナーになれる可能性のある患者が病人として捉えられて
まだ生きられるよう治療を受けたり、穏やかに死ねるようにケアされるよりも
むしろ臓器や組織庫とみなされるようになる、との批判も当たり前だけどあって、
Boston大学のMichael A. Grodin教授(法、生命倫理、人権)は
「より多くの臓器を求めて、とことん狙い続けようという考えへの第一歩。
結局UNOSは臓器提供を増やすためなら何だってやりたいということ」
私は特に④には、本気で胸がムカムカした。
安楽死後臓器提供が既に4例行われたことを報告したベルギーの医師らが
こうした患者さんたちの臓器は「高品質」であり、
そのような安楽死者は臓器不足解消に役立つ「臓器プール」だと
ぬけぬけと論文に書いていたことを思い出す ↓
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
【DCD関連エントリー】
心臓を停止から75秒で摘出・移植しているDenver子ども病院(2008/10/14)
森岡正博氏の「臓器移植法A案可決 先進国に見る荒廃」(2009/6/27)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Robert Truog「心臓死後臓器提供DCDの倫理問題」講演ビデオ(2009)(2010/12/20)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
Savulescuらが、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止の正当化(2011/2/9)
「1つの流れに繋がっていく移植医療、死の自己決定と“無益な治療”」を書きました(2011/5/14)
WHOが「人為的DCDによる臓器提供を検討しよう」と(2011/7/19)
2011.09.30 / Top↑
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