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前回、ガーディアン紙に引用されたアシュリーの父親の発言の一部を紹介しました。
その中に、もう1つ、私には非常に気になる表現があります。

 a fully formed woman 

寝たきりの重症重複障害のある人間がa fully formed womanとしてさらに成長していくことがグロテスクだ
と、父親は言ったのでした。

a fully developed adult でも a fully developed woman でもなく、
a fully formed womanであることに注目してください。

彼の意識が問題にしているのは発達でも成長でもなく、”体つき”なのですね。

初めて両親のブログを読んだ時から、ずっと尾を引いている疑問なのですが、

もしもアシュリーの母親が巨乳の家系でなかったら、
そしてアシュリーが早熟な乳房の発達の兆しを見せていなかったら、
それでもこの父親は乳房芽の摘出などというアイデアを、果たして考え付いただろうか

親のブログで乳房芽切除の理由を説明する部分は、
授乳することが無いのだから、アシュリーには発達した乳房は必要ありません
との一文で始まっています。

初めてこのブログを読んだ時に、私はこの箇所で
「胸が小さくても授乳はできるのに?」という疑問を持ちました。
進化論的には女性に乳房があるのは授乳という目的のためかもしれませんが、
だからといって「授乳するために乳房は発達して大きい必要がある」というわけではないでしょう。
授乳の機能と実際の乳房の大小は無関係です。
したがって「授乳しないんだから乳房は小さいままでいい」という父親の理屈は、
どう考えてもナンセンス。

彼のホンネはむしろ無防備にメディアの電話取材でしゃべった際の、
この言葉の選択に現われているのではないでしょうか。
a fully formed womanとは、ぶっちゃけていえば
大きなおっぱい、くびれた腰に丸くて大きなお尻を持った女体」、
男性に性的にアピールする体つき」ということでしょう。
授乳がどうこうというのは後付けのアリバイ的いいわけに過ぎず、
重い知的障害を持つ自分の娘が巨乳になることが彼にはグロテスクに感じられた、
それが生理的にイヤだっただけなのでは……?

以前Dvorsky, Huges, Fostらの同様の発言について当ブログで指摘したこと
(男としての個人的な美醜感覚に過ぎない:知的障害のある女が大きなおっぱいなんて気色悪い……)は、
案外アシュリーの父親の感覚でもあったし、
それが乳房芽切除の一番大きな理由だったのでは……?

こうした疑問を前提に考えると、
AAIDDに掲載されたBersaniらの論文での
性的虐待の責がアシュリー本人に背負わされている」という批判は
とてもリアルに感じられてきます。

生後3ヶ月程度の知能しか持たない女が
(つまり、彼らには"女"として認めることのできない人間が)
大きなおっぱいを持ち、そのおっぱいで性的にアピールするのが嫌悪感に結びつくのだから。

彼らが許せないのは虐待する男の方ではなく、
(そんな資格もないのに?)男にアピールする女体を持っている知的障害者の方なのだから。
2007.10.03 / Top↑