これまでのニュースでは、Katieの母親から子宮摘出を求められて同意した婦人科医らがNHSの弁護士に法的助言を求めているとのことでしたが、
18日付のTimesの記事Should the Court of Appeal allow Katie Thorpe’s womb to be removed? によると、その助言によって、どうやら正式に裁判所の判断を仰ぐことになるようです。
Katie本人の利益はthe Children and Family Court Advisory and Support Service (Cafcass)によって代理される模様。
また、裁判所はこのような判断においてはthe Official Solicitorが出すガイダンスを参照するだろうとも。
これまでの似たような判例としては、2000年に29歳の重症の知的障害のある女性が激しい生理痛に苦しんでおり、病院恐怖もあることを理由に、母親が不妊手術は合法であり、妊娠は本人に大きな害になると主張。しかしCourt ot Appealの裁判官の裁定は、避妊リングの挿入により避妊と生理痛の緩和を行うことが本人の最善の利益だとした。
King's College Londonの法学教授Penney Lewisによると、これまで同意能力のない人の不妊手術を裁判所が認めたケースはいくつかあるが、いずれもKatieのようにまだ生理が始まっていない段階で予防的に摘出という話ではなかった、とのこと。
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俄かに話が英国の裁判制度や子どもや知的障害者の権利擁護に関わってきました。私は何も知らないので、とりあえず手近に見つけたものを以下に。
CafcassのHPによると、cafcassとは、家庭裁判所に持ち込まれる種類の家族の問題に関して、子どもの最善の利益が何かについて裁判所に助言を行う政府機関のように思われます。
なお、cafcassはDisbility Equality Schemeという文書を出しています。障害と民族による差別における権利擁護の考え方をまとめたもののようですが、まだ、ざっと眺めた程度で詳しいことまでは読めていません。
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こちらもまた、該当サイトのトップページを覗き見た程度なのですが、the Official Solicitorとは、裁判所に任命されて未成年や知的能力を欠いた成人の法的代理を務める英国の裁判制度の一環。人を指しているというよりも、そういう制度または機関を意味しているような感じがします。詳しくは以下で。
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何しろ素人解釈なので、間違っているかもしれません。詳しい方がありましたら、ご教示ください。また、なにか日本語で英国の関連制度の概要が説明されているような資料があると嬉しいのですが、ご存知の方がありましたら、こちらもご教示いただけると幸いです。
いずれにせよ、気が気ではない思いで毎日の報道を見守っていたので、Ashleyのケースよりは多少まっとうな展開になりそうだと、ちょっとほっとしました。
2007.10.19 / Top↑
Dvorskyが10月11日のブログで、1月にGunther医師がIEETと接触していたことを明らかにし、その文章の一節を引用していることは、既に紹介しました。
しかし、その後どうも不思議に思えてならないのは、
彼ら(IEETに関わっている人々、つまりトランスヒューマニズム・サークル内のお仲間たち)は、何故1月の段階でそのことを明らかにしなかったのか。なぜGunther医師が死んだ今になって明かすのか。
念のためにIEETのサイトでもう一度Guntherをキーワードに検索してみましたが、ヒットしたのはメンバーの一人が書いた関連記事のみ。
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そこで、さらにDvorskyのブログを確認してみました。
2007年1月のDvorskyのブログSentient Developmentsのエントリーでアシュリー関連記事は以下です。
4日 Ashley X story hitting prime time
(ニュースを報告)
5日 Defending Ashley’s Parents on the BBC
(BBCに出演したことを報告)
16日 Trying to catch my breath
(アシュリー事件でHughesともども取材依頼が殺到し、息つく間もないと)
26日 Peter Singer on the “Ashley Treatment”
(Singerの論評を紹介)
27日 Certain minds and certain bodies
(知能と体の不一致に関する見解を修正)
(ニュースを報告)
5日 Defending Ashley’s Parents on the BBC
(BBCに出演したことを報告)
16日 Trying to catch my breath
(アシュリー事件でHughesともども取材依頼が殺到し、息つく間もないと)
26日 Peter Singer on the “Ashley Treatment”
(Singerの論評を紹介)
27日 Certain minds and certain bodies
(知能と体の不一致に関する見解を修正)
1月5日、16日のエントリーでの彼の口調は嬉々と弾んでいます。得意になって自慢しているようなトーン。2月には特にアシュリー関連の記事はありません。その後5月18日、ブログ開設5周年に当たる日の記事でも、今年のブログ内での出来事を振り返って最初に挙げているのはAshleyのケースが論争になったこと、とりわけ、その論争において自分がいかに活躍し注目を集めたかということ。
このような多少お調子者の気味のあるDvorskyが、自分が書いた文章について当のAshleyの担当医から直々にコメントをもらったとしたら、しかもそれが感謝の言葉であったとしたら、黙っていられるものでしょうか。
それなのに、なぜ今まで黙っていたのか。
そして当人が自殺した今になって、なぜ「実は彼は1月にIEETのサイトに次のように書いてきた」などと????
2007.10.19 / Top↑
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