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自閉症は女児よりも男児の方で4倍も発症率が高いとされていますが、
実際には男女間で表れ方に違いがあり、女児の場合は
通常自閉症の特徴とされる行動の繰り返しよりも
人間関係のこだわりとして現われることが多いために
内気だとか消極的だといった女の子らしい性格や個性として親に受け入れられて
受診につながっていないのではないか、と。


ロンドン、Great Ormond Street Hospital の
the Social and Communication Disorders Clinic の調査。

こうした症状は現在の診断に使われる質問では発見できないため、
自閉症スペクトラムの現われかたの男女間の違いについて
もっと分析が必要、と。

Cambridge大のSimon Baron-Cohen教授も
「男女で自閉症やアスペルガーが同じように見えると思い込んでかかってはいけない。
 案外多くのファクターによって女児が診断されずにいたり
誤診されたり、男児ほど受診していないのかもしれない」と。

また自閉症協会のJudith Gouldさんは、

女性が成人してから後に診断されるという話は多い。
性差を巡る誤った認識やステレオタイプのために
女児・女性は診断を受けておらず、統計から漏れているのかもしれない、
それだけ支援を受けていない女性や家族が多いということだ、

女の子の場合、引っ込み思案だとか人間関係に過敏だとか
自閉症特有の行動も女の子らしい性格と受け止められてしまうが
同じことが男の子に見られると心配になるということでは、と。
2008.09.17 / Top↑
友人が入院した総合病院の病棟詰め所の壁に
「社会の常識を病院の常識に」という額がかかっている。

数年前に他の友人を見舞った他の病棟にも
同じ額がかかっていたのを思い出してコメントしたところ、
私の口調に滲んでいた反発と揶揄を敏感に感じ取った友人が
自分は病院の常識が社会の常識と違っていたっていいと思う、と言う。

いや、よくない。

少なくとも、社会の常識と違っていることの自覚くらいは
持っておいてもらわないと困る、と私。

けど、これもまた、
その人の医療との距離や関係によって捉え方の違う問題なのだろうな、と、
いつか「医療の理解度のギャップ」のエントリーで考えたようなことを、また考える。

ほとんど医療との接点などないまま生きてきて、
ある日ひょっこり大きな病気をしたから
日常の生活を取り戻すために医療の力を借りるべく
期間限定で医療と付き合おうというスタンスの人と、

慢性病や重い障害を抱えて、
ずっと医療との密接な関係の中で長い年月を生きてきた人
今現在も、きっとこの先も医療とつきあいながら日々の生活を送るしかない人にとっては、
自分の人生や生活における医療の位置や影響力(時に支配力ともなる?)がまるで違うのだ。

前者の人にとっては
病院は臨時に身を置いているところであり非日常の世界に過ぎないだろうし、
医療の単発ユーザーとしてのスタンスで臨む限りにおいては
医療職の常識がどれほど社会の常識と隔たっていても、
妙な人たちだ、ヘンな世界だと割り切って期間限定で付き合えば済むことだろう。

最終的に治してくれさえすれば
病院や医療職の非常識にしばし目だってつぶれるだろうし、
医師や看護師との間に信頼関係ができなくたって大して困らないかもしれない。

しかし日常の中で医療と付き合っていかざるをえない後者の人にとって、コトはそう単純ではない。

白衣を着たとたんに社会の常識をすっぽり脱ぎ捨てられたのでは
医療職の人の言動に、病気や障害以上に傷つけられることがあるのはもちろん、

社会の常識によって営まれるこちらの生活を医療に侵食されまいと、
患者には、医療の常識と必死で闘うしかないこともあるのだよ……

大きな病気が分かったばかりで
入院第1日目の友人に、こんなことを言っても分からないとは思うし、

誰しも我が身で経験しない限り
こんなことは分かりようがないのだけどね。
2008.09.17 / Top↑
去年の暮れくらいからだったような気がするのですが
いつからかロンドンで若者が銃やナイフで殺される事件が相次いで
なにやら社会問題化しているようだな、と思っていたら、

この週末にまた19歳の男の子が殺されて、
ロンドンで今年殺されたティーンエジャーとしては26人目。
9月半ばにして、早くも昨年一年間に殺された人数と並んでしまった、と。



こちらには、それぞれの事件の概要リストがあり、

London’s teenage victims of violence
The Times, September 15, 2008

普通に暮らしていたのに、
いきなり理不尽に襲われて刺し殺された子どももいれば、

ギャング化したティーンエジャーのグループ間の抗争で
刺し殺されたり銃で撃たれたりした子どもも。

都会の若者の間でギャングに加わってナイフを所持することにあこがれる文化が
広がりつつあることが懸念されています。

移民がもたらす異文化のせいだと言う人もあれば
家庭の教育力の低下だと言う人、
学校の責任を言う人、
警察の無能を言う人、
政府の無策を責める人、
様々な意見が飛び交っていますが、

英国でまた若者が殺されたというニュースを見るたびに、

これは、もしかしたら、
文化の違いから表象としては異なっているけれども
日本で相次いでいる通り魔事件の背景にある衝動や心の力動と同じものなのでは……?

と考えてしまう。

去年の暮れだったか、英国ではティーンエジャーの自殺が
まるで連鎖のように相次いだ記憶もあって、

本当は
自分を愛することが出来ずに自分をこそ殺したい若者たちが増えている、
自殺したい衝動に突き上げられながら、どうしても自殺できない若者が
その暗い衝動をやむを得ず他者に向けていくのではないか……という気がして。
2008.09.17 / Top↑