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HBOのテレビ映画“How To Die In Oregon(オレゴン式死に方)”がカンヌ映画祭に。:HBOと言えば、Kevorkian医師の半生記映画 ”You Don’t Know Jack”を作ったところ。
http://news.yahoo.com/s/nm/20110524/film_nm/us_assistedsuicide

Bill Gatesが金持ち国は貧しい国の農業振興にカネを出せ、と。:いよいよ始動ですね。ワクチンの次なるゲイツ財団の「途上国の農業支援」という名のGM農業新興・慈善資本主義。新たな科学とテクノロジーによるグリーン・レボリューション。
http://www.theglobeandmail.com/news/world/africa-mideast/bill-gates-urges-rich-countries-to-fund-poor-farmers/article2033487/

Bill Gatesがニュー・オーリンズのロータリークラブのカンファで、ポリオ撲滅を説いた。:2月9日の補遺でも書いたけど、私が奨学金をもらって留学した1980年代から、国際ロータリー・クラブはワクチンによるポリオ撲滅運動を熱心にやっておられました。それから30年も経って、まだ撲滅かなわぬなら、それはワクチンではなく別の方策を試みるべきだということでは?
http://www.google.com/url?sa=X&q=http://www.nola.com/health/index.ssf/2011/05/bill_gates_pushes_fight_to_end.html&ct=ga&cad=CAEQARgAIAAoATAAOABAuZPy7gRIAVAAWABiAmVu&cd=3oD6AKqd1jg&usg=AFQjCNGOMDARbOqjY_9pPE-KynuWUuQAyw

英で「勃起薬つき夢のコンドーム」という記事を昨日、週刊ポストで読んで検索してみたら以下の日本語記事があった。「勃起薬」の主成分はニトログリセリン。:おいおい……。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110525/dms1105251535012-n1.htm

英国政府が性教育に関するご意見番に、いかなる状況下でも中絶を認めず、避妊ではなく禁欲を説くチャリティLifeのメンバーを任命。:子どもには禁欲を説き、女性には中絶を認めない一方で、永遠に勃起し続ける夢だけは追いかける、DV夫のような英国。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/may/24/abortion-sexual-health-coalition?CMP=EMCGT_250511&

米国では医学生の段階から製薬会社のマーケティング攻勢を受ける。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/225641.php

ジョンズ・ホプキンス大の研究者らが体外受精で複数の遺伝病をオミットできる新たな着床前遺伝子検査を開発。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/226225.php

これは、かなり気になるニュース。カナダの健康被害関連の訴訟で「遺伝子特性」が問題になるケースが増加し、そのことによって職場や環境などの社会要因が軽視される傾向が出てきていると、CMAJに掲載された調査。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/226026.php

同じくCMAJに、カナダの腎臓障害のあるアボリジナルの子どもは、同じ障害のある白人の子どもより腎臓移植を受けられる確率が低い。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/225639.php

ミシガン大の研究者の調査で、長期に呼吸器を使っている子どもには、もっと緩和ケアや訪問医療が必要、との結果。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/226346.php

インドで過去10年間に「女の子だから」という理由で600万の中絶が行われた。特に第1子が女児で、次の子が女の子の場合。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/may/24/india-families-aborting-girl-babies?CMP=EMCGT_250511&
2011.05.25 / Top↑
2009年の法案提出は当ブログでも拾っており、もうこれが3回目だったとのことですが、
またもテキサス州の「無益な治療」法改正法案は実らなかったようです。

2008年11月段階での米国の「無益な治療」法の状況は
以下のエントリーでざっと眺めていますが、

生命維持の中止まで免罪する「無益な治療法」はTXのみ(2011/1/21)

医学的に効果がなく無益または不適切だと判断した治療を拒否することを
医療提供者に認めている州は当時で10州程度。

(程度というのは、どの州かという情報が
当ブログではまだ部分的に混乱しているためです)

ただし、TX以外の州は
患者の希望に沿った治療の続行を引き受ける医療機関に移送するまでの期間
生命維持だけは続けることを義務付けており、

患者が転院先を見つけるための10日間の猶予が過ぎたら、
一方的に生命維持を停止することまで認めているのはTX州のみ。
(それは現在に至るまで変わっていないと思います)

Bryan Hughes下院議員らが求めている改正は、他州と同じく、
本人や家族が望むなら転院可能になるまで生命維持の続行を義務付けよう、とするもの。

同議員は、
「時と共に、我々のところに届く、ひどい扱いを受けたとか、
家族や大切な人が終末期にどんな目にあわされたかというホラーのような話が
どんどん増えてきている」

「ありがたいことに、大半の病院と大半の医師は無益な治療法を悪用してはいないが
中にはそういう病院や医師もいる。彼らに切り捨てられている人たちは現にいるのだ」とも。

同議員は、また「法案は流れても修正条項という手はある」。

もともと私が初めてテキサスの「無益な治療」法について知った
Gonzales事件を巡る07年の議論では、病院側は、金銭問題は全く考えていない、
ただ延命効果のない治療がGonzalesくんを徒に苦しめているだけだから
倫理委が無益な治療は止めることが本人の最善の利益だと判断した、と
説明していました。(もっとも倫理委は非公開でした)

議論の論点は治療の救命可能性と患者に与える苦痛の2点のはずでした。
救命可能性がないにもかかわらず患者に苦痛を与えるなら、それは無益な治療だと
主張されていたのです。少なくとも表向きは。

そして、当時は
無益な治療判断はコストとは切り離して考えるべきだと説く倫理学者が
まだ主流のように見えました。

もっとも、Peter SingerやNorman Fostといった先鋭的な倫理学者は
既にコストを云々していましたが、彼らの無益論は当時から既にして
そもそも「治療の無益」性を問題にしない「患者の無益」論でした。

そして、ほんの4年の間に、SingerやFostのようなことを言う人の方が多数派となり、
いつのまにか「無益な治療」訴訟が報道される時にコストがあげつらわれることが増え、
この記事でも、当たり前のように、以下のデータが挙げられています。

・1人の植物状態の人に1年間、生命維持治療を行うと6万から8万ドルがかかる。

・平均的な人は一生の内にかかる医療費の10から15%を最後の1年間に使い、
 そのコストは通常、民間または政府の医療保険によって支払われる。
 無保険など慈善ケースとなれば病院が支払うことになる。

Texas End-of-Life Bills Appear Dead
The Texas Tribune, May 23, 2011


これでは、
この記事が読者に投げかけている問いは完全に
「これだけのコストを費やして植物状態の人に生命維持治療を行うことの是非」であり、

「個々のケースの治療の無益性」という
本来の「無益な治療」論の倫理問題は全く無視されてしまっている。

SingerやFostらによるグズグズの議論の横行によって
こんなふうに、いつのまにか、なし崩し的に議論の論点そのものがズラされていくこと、
その「いつのまにか」に気付かないまま、世論がそれに誘導され、
まるで騙し絵のように別物になった議論の論点を受け入れてしまうことこそが
「死の自己決定権」議論で起こっているのと全く同質の「すべり坂」だし、

「すべり坂は起きてない」、「起きているというならエビデンスを出せ」と言う彼らこそが
学者とも思えない論理性を欠いた不誠実な議論でもって「すべり坂」を演出し、
敢えて「すべり坂」を起こしている仕掛け人ではないのか……?


そして、そこに「無益な治療」などという名前はくっついていないけれど、
本来は「個々のケースにおける丁寧な判断」という問題であるはずの「終末期医療」を巡る議論が
「年寄の医療は全部、無駄な延命」、「呼吸器も透析もすべて延命」また「ダンディな死に方」などといった

ひとくくりの線引き論や、美意識の問題に、いつのまにか摩り替えられてしまっている
日本の終末期医療法制化の議論でも、全く同じ仕掛けや操作が行われているのでは?


【Gonzales事件関連エントリー】
テキサスの“無益なケア”法 Emilio Gonzales事件(2007/8/28)
ゴンザレス事件の裏話
生命倫理カンファレンス(Fost講演2)
TruogのGonzales事件批判
2011.05.25 / Top↑