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いつもブログを覗かせてもらっているThaddeus Mason Pope氏のHPに、
「無益な治療」訴訟の資料一覧がありました。

これ自体、たいへん貴重な資料なので、なにはともあれエントリーに。

http://www.thaddeuspope.com/futilitycases.html


一番詳しいのはBetancourt事件で、
他が年ごとにまとめてあるのに対して、この事件だけは事件が項目になっている。

最初は1991年。

それから後、ひぇぇ、こんなにあるのかぁ……とびっくりする半面、
GolubchukとかBaby RBとか、つい最近のMaraachli事件など、
当ブログで拾って来た事件でここに挙げられていないものも多く、

「無益な治療」訴訟の定義にもよるのかもしれませんが、ちょっと??

Pope氏は法学と哲学の研究者で、
Widener 法科大学の医療法研究所のassociate professorであり、
同時に Albany 医科大の医学教育のadjunct associate professor。


ちなみに09年段階で当ブログが拾って来た「無益な治療」事件の一覧はこちら ↓
「無益な治療」事件一覧(2009/10/20)

それ以後に拾った主なものとしては、
カナダのIsaiah事件
英国のBaby RB事件
米国のBetancourt事件
米国のBarnes事件
米国のNyirahabiyambere事件
カナダのMaraachli事件

そして、上訴審が現在進行中の ↓
カナダのRazouli事件
2011.05.22 / Top↑
去年3月、脳動脈りゅうの破裂で脳死になった男性Julio Garciaさん(38)の臓器は、
妻の決断によって7人のレシピエントに移植された。

このほど、NY 臓器提供者ネットワークが、
Julioさんをたたえ、家族に感謝するセレモニーを行った。

そのビデオがNYTに ↓

Donating Lives
May 16, 2011


冒頭では、
子沢山の一家が自宅に勢ぞろいして
亡き夫・父と彼の死後を語る。

その後、場面は、セレモニーが行われた一室に。

一家が多くの人の拍手に迎えられて入室。

「1人でも2人でもなく、多くの人の命を救ったヒーロー」として
最初にJulioさんの人生が写真で紹介された後で、

会場にいたレシピエントが一人立ち上がる。

移植前にどういう症状に苦しんでいたか
今どんなに楽になって助かっているが
感謝の言葉と共に語られると、

レシピエントはJulioさんの妻に近づいていき、
改めて感謝の言葉を述べ、2人は泣きながら握手を交わす。

そして、また別のレシピエントが紹介され、それが繰り返された後で、
(その部分はビデオでは省略されています)
最後に心臓のレシピエントが立ちあがる。

妻と男性は言葉を交わしながら、感極まり最後には抱き合う。

そこにいたレシピエントが全員紹介されて並んだところで
妻がその前に立ち、ドナーの妻としての思いをスピーチ。

みんなが感情的になり涙を流し続ける感動的なセレモニーの最後に
妻は改めてレシピエント一人一人と言葉を交わし、お互いに祝福しあう。

ビデオのタイトルは「命(複数形)を提供する」。


なお、記事はこちら ↓
One Death Provides New Life for Many
NYT, May 16, 2011


(ちょっと余裕がないので、記事はまだロクに読んでいませんが)


記事の左手にもビデオがはめこまれていますが、
その下にはどの臓器がどの人に移植されたかが写真と図で分かるようになっています。

匿名の人が3人。それ以外の人は写真があります。
セレモニーの会場にいて、妻がスピーチをする際に背後に並んでいた人たちのようです。

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去年、「いのちの選択」で、ドナー家族の体験談を読んだ際に
後悔していない人や後悔しないために活動に向かう人たちの声は
私たちに聞こえる機会はあるにしても、後悔している人は語りたくないだろうから
そういう人の声は私たちの耳には届きにくい……ということを考えたものだったけど、

もしかしたら
そればかりでもない力動も加わっていくのかもしれない……。


それにしても、私はモノを知らないためか、
ドナーが誰かという情報はレシピエントには一切明かさないのが
臓器移植医療の原則なのだとばかり思っていました。

そして、それが原則として重視されるには、
それなりの理由があるのだとばかり思っていたのですが……。


【追記】
米国のドナーとレシピエントの交流についての議論をまとめてくださった
てるてるさんの情報ページがありました ↓
http://www5f.biglobe.ne.jp/~terutell/donorrecipient.htm

米国では97年にガイドラインができたとか。
カウンセリングを提供しつつ、慎重に、しかし個々の判断で。


日本については、
臓器移植ネットワークのサイトに

ドナー家族とレシピエントは、実名を知らされたり、直接対面することはありません。移植が無事終了しても移植コーディネーターは、その結果やその後の経過 を臓器提供側の家族や主治医に報告します。レシピエントの術後の経過を把握し、ドナー家族に対する報告と精神的ケア、レシピエントからドナー家族への感謝 の手紙を橋渡しするのも、移植医療の発展には欠かせない重要な業務です。

移植学会でのドナー家族の講演 ↓
http://www.jdfc.net/headline/headline18.html

ドナー家族に光を当てよう、と。
米国の状況を例に引きつつ――。
2011.05.22 / Top↑