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これ、まだ読めていないけど、この2日間で一番気になるニュース。先進国でショック症状を起こした子どもへの一般的な治療として大量の水分点滴などFeastと呼ばれる療法が行われているが、アフリカでの治験で死者が続出し、治療に大きな疑問符がついた。:気になるのは、ここでも先進国の子どもたちの治療の実験がアフリカの子どもたちで行われていること。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/may/26/shock-treatment-feast-trial-results?CMP=EMCGT_270511&

アフリカがビッグ・ファーマの非人道的な人体実験場と化していることについては、こちらのエントリーでちょっと触れた ↓
ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)

それから、ゲイツ財団と提携しているLancetにも、グローバルな治験の基準緩和を求める論文があった。それについては、こちらに ↓
Lancet最新号はゲイツ特集か:HIVに死産にワクチン、それからこれはコワいぞ「グローバル治験条件緩和」(2011/5/9)

HBOのテレビ映画「オレゴン式死に方」の詳細。オレゴンの尊厳死法で自殺したターミナルな患者さん6人の決断から実行までを詳細に記録し、抑制したタッチで描いたものとのこと。実際に息を引き取る場面もあるような……?:1分ちょっとのYouTube映像もあるのだけど「お住まいの国には公開されていません」と出たのには、絵が出ないことにはほっとしつつ、お住まいの国や地域までが特定されてしまっていることにはゾッと。
http://www.salon.com/entertainment/tv/feature/2011/05/25/how_to_die_in_oregon

FEN事件のEgbert医師を「新たなDr. Death」と命名し、Batlimore Sun紙が「ターミナルでもない患者を、障害があるというだけの理由で自殺させた彼の行状は、自殺幇助合法化議論における障害者らの最悪の懸念を裏付けるものだ」と。:同感。こういうことをきちんと言ってくれるメディアが英でも米でも急速に減っているだけに、ありがとう。
http://www.baltimoresun.com/news/opinion/bs-ed-suicide-20110525,0,2918008.story

5月3日や5月13日の補遺で拾って来た「自殺キット」、どうやら、あちこちで密かに売られていた様子。取り締まりの動き、広がる。同時に自殺幇助合法化議論も再燃。
http://www.wdtimes.com/news/national/image_07dc061a-d7c9-59b4-9d36-93b5e1ce5e7d.html
http://www.ajc.com/news/nation-world/suicide-kits-rekindle-debate-958471.html
http://www.istockanalyst.com/business/news/5187403/assisted-suicide-opponents-respond-to-the-shut-down-of-assisted-suicide-kit-business-in-san-diego-according-to-californians-against-assisted-suicide
http://washingtonexaminer.com/news/2011/05/suicide-kits-rekindle-debate-assisted-suicide-0

ケアの質コミッションがNHSの高齢者ケアは「尊厳も栄養も、てんでなってない」とボロクソ。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/may/26/nhs-failing-in-care-of-elderly-patients?CMP=EMCGT_260511&

NYTに、善玉コレステロールを上げても心臓病には効果がないという研究結果が出た、と。
Study Questions Treatment Used in Heart Disease: Surprising results suggest that raising patients’ good cholesterol did not seem to matter against heart disease.

やっぱりビッグ・ニュースか。善玉コレステロールのニュース、WPにも。こちらは全文読めます。私は読めていませんが。
http://www.washingtonpost.com/national/boosting-good-cholesterol-useless-study-finds/2011/05/25/AGXnK0BH_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

またもProPublicaの調査報道。ビッグ・ファーマが自社と競合するジェネリック製品の足を引っ張るために、学会や研究者らに手をまわし、ジェネリック製品の安全性に疑問を呈する書簡をFDAあてに送らせていたことが明らかに。
http://www.propublica.org/blog/item/e-mails-show-drug-company-used-third-party-medical-groups-to-influence-regu

豪で、認知症患者の徘徊に対応すべく、GPSなどのトラッキング装置の利用が説かれている。「安全を確保しつつ介護者への依存から解放し、自由に行動してもらうことができる」。:「科学とテクノロジーの簡単解決文化」の背景にいる利権は常に「本人のため」という美辞麗句を武器にしている?
http://www.computerworld.com.au/article/387997/gps_device_free_dementia_sufferers/

妊娠中にビタミン・サプリを飲むと、自閉症の子どもが生まれる確率が下がる。:……もしや究極の「本人のため」?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/226412.php

趣味で古いピンボール・マシンを収集した人が、それらを並べて博物館にしたところ、広さが規定通りでないとして閉鎖の憂き目に。:写真を見るだけでも楽しそうだけど。
http://www.washingtonpost.com/local/national-pinball-museum-to-close/2011/05/23/AFa1149G_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
2011.05.27 / Top↑
何度か補遺でも拾っているけど、
OECDから先日、介護に関する報告書が出された。

予想に反して「高齢者への介護の提供」度で第3位だったことを寿ぐ
ノルウェイの英語ニュースがあり、短いものでもあり、興味もあるので、

一応メモとして、内容を以下に。


ノルウェイは高齢者介護にGDPの3.5%を使っており、
スウェーデンとオランダに次いで3位。

GDPの2.2%が介護費用に充てられる予算編成と
介護関連施策とで高齢者介護制度が維持されている。

高齢者の3.9%が介護サービスを利用しており、
その4分の3は在宅ケアを受け、残り4分の1がナーシング・ホームに入所。

労働人口の2.9%が高齢者介護分野で働いており、
その比率はスウェーデンに次いでOECD諸国の中では2位。

ノルウェイの統計局(?)の試算では
2050年までにその割合を5.6%に挙げる必要がある、とのこと。

Norway is the world’s third best country in the world in providing care for the elderly, according to a study by the Organization for Economic Co-operation and Development(OECD)
The Foreigner, May 26, 2011


オランダが2位……。ふむ。

北欧もたしか、優生思想が根強いんでしたっけね……。



なお、補遺で拾ったのは、以下の2つ ↓

http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63316841.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63321412.html
2011.05.27 / Top↑
英国の23歳のラグビー選手が事故で首から下が麻痺した状態となって絶望し
両親に伴われてスイスのDignitasで自殺した08年9月のDaniel James事件は
自殺幇助合法化議論で「すべり坂」の典型例として言及されることの多い事件ですが、

そのDanielさんの主治医が、
Dignitasヘ行って自殺しようとしている彼の意図を認識しており、
その意図を表明した文書まで目撃していながら
出発してしまった当日まで警察に知らせなかったことが明らかとなり、
論議を呼んでいます。

チューリッヒへ向かう前にも何度か自殺未遂を繰り返しており、
死の6か月以上前に主治医であるGPは精神科医に紹介した、とのこと。
その時の精神科医の判断は、自己決定能力はある、というもの。

GPが署名入りの幇助自殺意図を明示した文書を見たのは8月28日。
Danielさんがスイスに向けて旅立ったのは9月9日のことでした。

Dignitasでの自殺は9月12日。

GPは守秘義務のために警察に通報しなかったと主張し、
警察は、守秘義務を盾に取られると自殺幇助事件の捜査が困難なので、
医療職の責任を明確にしてほしい、と求めている、とのこと。

GP knew paralysed rugby player intended to die at suicide clinic but didn’t tell police
The Daily Mail, May 26, 2011


26日午後8時前現在、
この記事には15件のコメントが寄せられており、
そのうち新しい順に6件と古い順に6件の合わせて12件を読んでみたところ、
1件が「こんなに若いのになんて悲しい」というだけのもので
その他11件すべてがGPの行動を支持するものでした。

それぞれへの評価も、いずれも支持のみ多数。

支持の根拠は、守秘義務と同時に、死は自己決定権だという意見と、
ちょっと気になるものとして「QOLが低くなって可哀そうに、
それでは死にたくなるのも無理はない」というものも。


「守秘義務」という切り口で言えば、
非常に難しい問題なのだろうとは私も思うのですが、

それ以前に、
事故で障害を負った人が自分の障害を受容するためには時間と支援が必要であり、
彼と同じ経験をした人の中には一定の悲嘆の時間を過ごした後に
そこをくぐり抜けて現実を受け入れ、生きる希望を取り戻す人もあることを
主治医は知っているはずであり、

だからこそ、彼を精神科医に紹介したのでは、とも思えたりもするので、

守秘義務以前の問題として、

両親や精神科医や地域の支援の人的資源と連携しつつ、
生きる方向での支援を模索できなかったのか……。

中途障害を負った患者に対するGPの対応や支援の姿勢の問題として、
考えるべきことが、この事件にはあるのではないか、と思う。


【追記】
このエントリーをアップした際にYahooブログが勝手に拾ってきた
人さまのブログ・エントリの中に、英国在住でカウンセリングを受け始めた方のお話があり、
クライアントに自殺しそうな行為が見られた場合、カウンセラーは守秘義務を破ってでも
「異例の処置」をとりGPに連絡する、との説明を受けられたそうです ↓

カウンセリング初回(2008/8/24)


【27日追記】
この問題で続報ありました ↓

http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/agony-of-helping-a-son-to-kill-himself-2289710.html

http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/8537130/Family-doctor-knew-rugby-player-wanted-to-die-in-clinic-but-did-not-tell-police.html


【James事件関連エントリー】
Dignitasの自殺幇助で英国警察が捜査へ0(2008/10/17)
息子をDignitasで自殺させた両親、不問に(英)(2008/12/10)
2011.05.27 / Top↑