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一昨日(だったと思う)フジテレビの「スーパーニュース」で
米国の病院の待合室で倒れた患者(黒人女性)をスタッフが見て見ぬフリで放置し死なせたという
ニュースが報じられ、ショッキングな映像が流れましたが、

私の記憶では、
安藤キャスターが読んだニュースでは
“精神科の”ERの待合室だったという情報は端折られていたような気がするのですが、
さすがに米国のメディアが広く取り上げていて、
詳しいニュースが沢山ありました。
以下はその中のひとつ。

Hospital Video Shows Dying NYC Woman Neglected
Records Claim At 6:20 Patient ‘Sitting Quietly in Waiting Room,’ Though She Was Already Dead
CBS2, July 1, 2008

ここにビデオもありますが、
一昨日夕方の「スーパーニュース」で流れていた映像とは違い、
ドクターやナースが見に来たのに近寄りもせずに立ち去る場面や
ナースが足で蹴って意識の有無を確かめている場面はありません。
YouTubeを探せばあるのだろうと思いますが、
ちょっと気力がないのでパス。

それよりも、ここで触れておきたいのは
Mental Health America(旧National Mental Health Association)が
この問題で声明を出しており、

Statement on Death of Mental Health Patient in Psychiatric Emergency Room of Kings County Hospital
Statement by David Shern, Ph.D., President and CEO of Mental Health America
July 1, 2008


その中に次のような一節があること。

Mental Health America’s fear is that this incident reflects a broader public attitude that devalues individuals with severe mental health conditions who are served in public systems.

Mental Health Americaの懸念は、この出来事が、公的サービスを受けている重い精神障害のある個々人に対する、(この病院内だけに留まらず)広く世の中の人々の姿勢を反映したものだということである。

この懸念は私自身、日々のニュースの中で
精神障害だけではなく、知的障害、発達障害のある人、痴呆のある人に対する
アメリカの社会の、どこか異様なほど急速な空気の冷え込みとして強く感じているものなので。
2008.07.03 / Top↑

自閉症児の母親がブログで
いろいろな辛い体験を経て現在息子を連れて飛行機に乗る際に心がけることを
3点挙げています。

子どもが眠りやすいように深夜か早朝の便を選ぶこと

メラトニンの錠剤を必ず持っておくこと。

子どものお気に入りの安心グッズを必ず持っていくこと。
(大きくなっても特定の青いフリースの毛布が手放せないのだったら、
 その毛布をもっていくのが役に立つ。)

そして、その他に必要なものとして、周りの人の

patience (辛抱強く待つこと、我慢、すぐにイライラしないこと)と、
understanding(相手の身になって考えたり、分かってあげようとする協力的な姿勢)。



The Very Unfriendly Skies
Autism Vox, June 25, 2008
2008.07.03 / Top↑
昨日のエントリーで
英国はある段階まで支援した後は、すっぱり切るのかなぁ……みたいなことを書いたばかりですが、
こんなニュースが。

英国で
現在、肺炎で集中治療を受けているテイ・サックス病の6歳の少女Amber Hartlandを巡って、
Amberは末期状態にあり、この先の治療については裁判所の判断を仰ぐことになると
病院が両親に通告したとのこと。




Amberは肺炎にかかりやすく、これまでの4年間で5回集中治療が必要になったほど。
現在も肺炎で6月26日から小児科の集中治療室に入っています。
このたび、両親は医師から今後は集中治療での救命を見合わせたいと言われたとのこと。

テイ・サックス病のため、ほぼ全身が麻痺しており、
話すことが出来ないほか、重症のてんかんもあるものの、
音声と顔の表情で意思疎通はできると両親は言っています。

Amberの介護のために両親共に仕事を辞めて、
昼間は父親が、夜間は母親が介護に当たっているとのこと。
肺炎などの病気になることは多いけれど、
その合間には楽しく暮らしていて、スペインに旅行にいった事もある、とか。

(2人が仕事を辞めた時期や生活費はどうなっているのかについては不明。)

両親が言っていることは基本的に
「まだ本人が頑張っている。
ちゃんと気持ちを表現できているし、
まだ終わりだと思えない。
助けてやって欲しい」ということで

頻繁に病気はするけれども、
テイ・サックス病で末期状態にまでなっているとは両親は考えていないようです。

医師らが家庭での生活を考慮の外におき、
病院でのAmberの姿だけから子どもの命をジャッジしている、と
両親が批判していることから推測すれば、

集中治療で肺炎さえ治れば、まだ家庭でそれなりの生活ができる状態なのに
「普通なら2、3歳までしか生きられない病気の子がここまで生きたのだし、
どうせテイ・サックス病でこの先長くは生きられないのだから、
何度も救命治療で苦しめるのも……費用もかかるし……」などと考えて
医師らが「無益な治療」論を主張しているのか、

それとも
娘がついに末期だという現実を両親が受け入れられないでいるのか。

実際、病院がこの先は集中治療を見合わせたいとする理由が
記事からははっきりしないのです。

地元のNHSトラストのmedical directorの発言をTelegraphから引くと、

うちの献身的な医療チームは質の高い温かい医療をAmberに提供しており、
常に彼女のニーズを最優先しています。

Amberは現在小児専門ICUで積極的な治療を受けており、
これからも我々は彼女の最善の利益を最優先にしていくつもりです。

そのために、現在我々は今後のAmberの治療をどうするべきかについて
裁判所に判断を求めています。

これは明らかに非常に複雑でセンシティブな状況です。
我々はこのような困難な状況に直面される全てのご両親をお気の毒に思っています。

治療に関する決定についてはご家族にしっかり相談しながら軽々には行いませんし、
困難な決断を行わなければならない時が訪れた際には
できる限りのお手伝いと支援をいたします。


「治療差し控えが本人の最善の利益だ」と遠まわしに言っているのでしょうが、
何も説明していないに等しい政治的言辞では一体その根拠が何なのかが分からない。

ある病院スタッフから「治療が本人を苦しめている」という話も出ていると
記事にはあるのですが、
肺炎そのものは治療可能な病気なのだし、
木曜日に入院した理由だった肺炎は改善しつつあるとも母親は話していて、
これでは両親が「結局お金の問題なのよね」と反発するのも無理はないような……。


これもまた
去年のテキサスのEmilio Gonzalesのケース
カナダのGolubchukのケースを髣髴とさせる事例です。
これら2つのケースでは裁判所が取りあえずの治療続行を命じて
最終的な判断を下すのに時間がかかっている間に患者が亡くなりました。

Amberの場合は現在の肺炎治療ではなく
将来的に同じようなことが起きた場合の救命治療を巡る判断であることと
記事を読み、写真を見る限りEmilioよりも意思疎通ができている印象があるので、
上記の事件とは、その2つが大きく異なっていますが、
英国の裁判所がどのような判断を下すのか、見守っていきたいと思います。
2008.07.03 / Top↑