今年6月にMS女性、自殺幇助に法の明確化求める(英)のエントリーで紹介したケースですが、
多発性硬化症の女性Debbie Purdyさん(45)が
いずれスイスのDignitasクリニックで医師の幇助を受けて自殺したいと考えており、
その際に付き添ったり、自殺に協力することによって
夫が罪に問われることを恐れて法の明確化を求めていた裁判で、
いずれスイスのDignitasクリニックで医師の幇助を受けて自殺したいと考えており、
その際に付き添ったり、自殺に協力することによって
夫が罪に問われることを恐れて法の明確化を求めていた裁判で、
英国高等裁判所は明確化は法律の改変を必要とするので
それは議会の仕事であるとして明確化を拒否。
それは議会の仕事であるとして明確化を拒否。
法が明確でないことはDebbyさんの人権を侵害しているという訴えについては
人権を侵害しているとまでは言えず現在のガイドラインは適切であると判断。
人権を侵害しているとまでは言えず現在のガイドラインは適切であると判断。
ただし、Scott Baker判事は次のように述べています。
「Purdyさんやその夫、そして、
その他同じような立場にいる人たちへの同情を表明することなしに、
このケースを終えることは出来ない。
自分がそれによって罪に問われるかどうかを予め知りたいと、この人たちが望んでいる行いとは、このケースを終えることは出来ない。
多くの人が法律によって許されると考える行い、
すなわち愛する者が自分では死ぬことが出来なくなった時に
外国に行って苦しみに終止符を打つ手助けをするという行いである」すなわち愛する者が自分では死ぬことが出来なくなった時に
気持ちは分かる、許されてもいいと考える人が多いことも承知、
しかし法律を変えることができるのは議会だけ、というところでお茶を濁した、
ということでしょうか。
しかし法律を変えることができるのは議会だけ、というところでお茶を濁した、
ということでしょうか。
それに、上記記事によると
スイスのDignitasクリニックへ出かけて自殺した英国人は既に101人に達していますが、
そのいずれのケースにおいても、協力した親族が罪に問われたことはないとのこと。
スイスのDignitasクリニックへ出かけて自殺した英国人は既に101人に達していますが、
そのいずれのケースにおいても、協力した親族が罪に問われたことはないとのこと。
明確にせずに、事実上黙認という形にしておきたいのがホンネなのかも?
2008.10.29 / Top↑
統合失調症、強迫神経症とADHDの診断が出ているという(母親情報)9歳の女児が
フロリダの養護学校のタイムアウト・ルーム(落ち着くための部屋)で
手がつけられない暴れ方をして、逮捕される、という事件が
10月14日に起きています。
フロリダの養護学校のタイムアウト・ルーム(落ち着くための部屋)で
手がつけられない暴れ方をして、逮捕される、という事件が
10月14日に起きています。
警察官は少女に権利を読み上げ、手錠をかけて
タイムアウト・ルームから留置場に連行。
その後、家に戻されましたが、復学は未定。
教師への暴行で2つの重罪(felony)に問われている、とのこと。
タイムアウト・ルームから留置場に連行。
その後、家に戻されましたが、復学は未定。
教師への暴行で2つの重罪(felony)に問われている、とのこと。
スクール・ディストリクトも
「子どもの逮捕は最後の手段だが
学校もすべての子どもにすべてのことをできるわけではなく
状況によっては学校外の支援も求めることになる。
今の行政制度では地域を巻き込みドミノ的に支援を行うためには
警察の介入を求めるしかなかった」
「子どもの逮捕は最後の手段だが
学校もすべての子どもにすべてのことをできるわけではなく
状況によっては学校外の支援も求めることになる。
今の行政制度では地域を巻き込みドミノ的に支援を行うためには
警察の介入を求めるしかなかった」
しかし、郡の精神衛生福祉を担当する子ども家族局がそのケースについて知ったのは
逮捕の翌日のこと。
逮捕の翌日のこと。
母親は
「大変な子どもだということは分かっているが、それがこの子の病気。
いくらなんでも9歳に投獄はないだろう」と。
「大変な子どもだということは分かっているが、それがこの子の病気。
いくらなんでも9歳に投獄はないだろう」と。
「もう親としてこれ以上どうしたらいいのか分からない。
途方にくれている」とも。
途方にくれている」とも。
その日、少女は教師への暴力で受けた停学処分が解けて登校して来たばかり。
登校から2時間後に警察が呼ばれています。
登校から2時間後に警察が呼ばれています。
行政サイドの説明では
制止する教師にツバを吐きかける、蹴る、椅子を投げつける、
ドアを教師めがけて蹴る、ナイフで刺すと脅す……などの行為が挙げられています。
制止する教師にツバを吐きかける、蹴る、椅子を投げつける、
ドアを教師めがけて蹴る、ナイフで刺すと脅す……などの行為が挙げられています。
その養護学校に入学したのも
前の学校が彼女に対応できないという理由で転校することになったため。
両親も転職を繰り返しています。
母親は日中娘の世話をする必要から
仕事を辞めざるを得なかった、と。
前の学校が彼女に対応できないという理由で転校することになったため。
両親も転職を繰り返しています。
母親は日中娘の世話をする必要から
仕事を辞めざるを得なかった、と。
(あまり裕福そうではない黒人一家にとって
これは痛手だったろうと推測されます。)
これは痛手だったろうと推測されます。)
クリニックで精神科の治療も受けていましたが、
何種類かの薬を服薬しても効き目がなく、
医師から実験的な薬を勧められて母親が拒んでいるうちに転居。
転居先で精神科の予約が取れず、そのままになっていたと母親の談。
何種類かの薬を服薬しても効き目がなく、
医師から実験的な薬を勧められて母親が拒んでいるうちに転居。
転居先で精神科の予約が取れず、そのままになっていたと母親の談。
(経済的な理由で受診しにくかったということもあるのかも?)
子ども家族局は報道を受けて、
郡の精神医療の中核を担う機関にアセスメント受診の予約手続き中とのこと。
しかし、その機関では成人の精神障害者の入院が増加しており、
子どものケースにまで手が回っていないのが実情だとの指摘も。
郡の精神医療の中核を担う機関にアセスメント受診の予約手続き中とのこと。
しかし、その機関では成人の精神障害者の入院が増加しており、
子どものケースにまで手が回っていないのが実情だとの指摘も。
郡の青少年アセスメント・センターが去年、犯罪行為で対応した9歳以下の子どもは19人。
今年は今までに9歳以下は9人。10歳が13人、11歳は21人にも及ぶ、とのこと。
今年は今までに9歳以下は9人。10歳が13人、11歳は21人にも及ぶ、とのこと。
青少年アセスメントセンターの職員は
特に精神障害が問題になるケースでは
州の検察当局と協働して青少年のケースを支援プログラムに繋げることは多いと話し、
しかし、それに続けて次のように語っています。
特に精神障害が問題になるケースでは
州の検察当局と協働して青少年のケースを支援プログラムに繋げることは多いと話し、
しかし、それに続けて次のように語っています。
あっちもこっちも予算削減で、
地域の精神保健・医療サービスはどんどん減ってきています。
学校もできることが非常に限られている。
これは、親はサービスを利用できなくて困っているということです。
成人の場合だと精神医療裁判所があって、
薬物裁判所と似たような機能を担っているので
青少年の司法制度にも同じものがあればいいのですが、
ここでもやはり予算が足りないという話になってしまいます。
地域の精神保健・医療サービスはどんどん減ってきています。
学校もできることが非常に限られている。
これは、親はサービスを利用できなくて困っているということです。
成人の場合だと精神医療裁判所があって、
薬物裁判所と似たような機能を担っているので
青少年の司法制度にも同じものがあればいいのですが、
ここでもやはり予算が足りないという話になってしまいます。
ちょっと考えられない事件で、
表に出しにくい事情もあったのかもしれませんが、
養護学校が9歳の障害児に学校内で手錠をかけることを許すというのは
あまりにも配慮がなさ過ぎるでしょう。
表に出しにくい事情もあったのかもしれませんが、
養護学校が9歳の障害児に学校内で手錠をかけることを許すというのは
あまりにも配慮がなさ過ぎるでしょう。
さらに、記事以上に考え込まされるのは
記事に寄せられたコメント。
記事に寄せられたコメント。
一方にはIDEAの理念はどうなっているんだ、
IDEAで保障された『しかるべき手続き』が行われていないじゃないか、と
教育現場の無責任を問う声や、
IDEAで保障された『しかるべき手続き』が行われていないじゃないか、と
教育現場の無責任を問う声や、
実際に障害のある子どもを養護学校に通わせている保護者から
ただ単に隔離するためにタイムアウト・ルームに閉じ込められたり
拘束されたりもしているとの報告があったりする一方で
ただ単に隔離するためにタイムアウト・ルームに閉じ込められたり
拘束されたりもしているとの報告があったりする一方で
とても気がかりなこととして、
「昔の子どもは親にぶったたかれて育ったから
年長者への敬意も社会秩序の尊重も身についていたのだ。
こういう子どもには体罰(good spanking)が一番」
「やったことには報いがあるのだと教えなければ」
と、体罰復活論と懲罰主義の大合唱。
「昔の子どもは親にぶったたかれて育ったから
年長者への敬意も社会秩序の尊重も身についていたのだ。
こういう子どもには体罰(good spanking)が一番」
「やったことには報いがあるのだと教えなければ」
と、体罰復活論と懲罰主義の大合唱。
精神障害の存在すら考える必要を否定するかのような。
病院から地域へ戻されたはずの精神障害者を
今度は監獄に閉じ込めろという声すら起こりかねないような。
今度は監獄に閉じ込めろという声すら起こりかねないような。
いや、もしかしたら、
その手間とコストすら省きたいというホンネも
どこからか時間の問題で聞こえ始めるのかも。
その手間とコストすら省きたいというホンネも
どこからか時間の問題で聞こえ始めるのかも。
親や学校、地域が子どものケアを担えるだけの支援を丁寧に整備していく手間とコストは
その必要が真剣に云々されず、手当てもされないまま、
その必要が真剣に云々されず、手当てもされないまま、
障害者をジャマ者として排除する空気だけが
世界のあちこちで着実に広がっていくようで……。
世界のあちこちで着実に広がっていくようで……。
2008.10.29 / Top↑
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