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こちらがWPASの調査報告書から
病院が裁判所の命令なしに成長を制限する医療介入を行わないことを明記した箇所。

(「成長を抑制する医療介入」とは、
ホルモンによる身長抑制のみでなく
 子宮摘出と乳房芽野切除も含む意)

In order to ensure that a court order is obtained before a sterilization or growth-limiting growth-limiting medical intervention is preformed on an individual with a developmental disability, Children’s Hospital has entered into an agreement with WPAS to take the following steps:

A.Implementation of Policy and Procedure on Growth-Limiting Medical Interventions

Children’s will develop, adopt, and implement a policy prohibiting growth-limiting medical intervention for individuals with developmental disabilities unless Children’s has received a valid order from a court of competent jurisdiction, not subject to appeal, authorizing such intervention in a given specific case. In the event Children’s does receive such an order providing legal authorization for one or more growth-limiting medical interventions for an individual with a developmental disability, Children’s will in addition forward to its Ethics Committee for consideration any proposed use of such interventions. The Ethics Committee will review the proposed use and issue a report setting forth its recommendations regarding such interventions.

For purposes of this policy prohibiting growth-limiting medical interventions for individuals with developmental disabilities without a court order, the term “developmental disability” will have the definition set forth in federal law, 42 U.S. C. §15002(8)(A). A “growth-limiting medical intervention” means any medical intervention, including surgery or drug therapy, that alters or is intended to alter a patient’s potential for normed physical maturation. The policy will apply whenever a growth-limiting medical intervention for an individual with a developmental disability is sought by a parent, guardian, or other third party.

Investigative Report Regarding the “Ashley Treatment”
May 8, 2007, Washington Protection & Advocacy System, P.25

それから、こちらが病院が同じく2007年5月8日に
子宮摘出の違法性を認めた記者会見で発表したプレスリリースの当該箇所。

We are working to introduce new safeguards so that something like this never happens again. These safeguards include:

・Children's will require a court order for growth attenuation through hormon treatment, and for breast bud removal and/or hysterectomy when it involves a child with a developmental disability.

・Children's will not schedule procedures either to attenuate growth or perform hysterectomy or breast bud removal in children with developmental disabilities without review and approval from Children's legal counsel, who will assure a court order is obtained before allowing a procedure to be scheduled.

・Children's will appoint someone with a disability rights perspective as a full member of the Hospital's Ethics Committee, and will require committee review and guidance when a court order has been obtained by parents.

この報告書を書いたWPASの弁護士Carlson氏は
「成長抑制療法は裁判所の命令なしに倫理委の検討で認めてもよい」とする今回の
成長抑制ワーキング・グループに入っていたのだから

Carlson氏も子ども病院も共に
この転換はきちんと説明する義務があると思う。
2009.01.31 / Top↑
WPASのCalson弁護士が成長抑制のワーキング・グループに入っているのを見てから
ずっと気になっていて、

シンポのレポートを読んでからも
頭に噛み付いていたことを、前のエントリーを機に確認してみたら

やっぱりそうでした。
2007年5月にシアトル子ども病院はWPASとの間で
「裁判所の命令なしに成長抑制は行わない」と合意しています。

以下はWPASの調査報告書概要(後半)というエントリーから

シアトル子ども病院がWPASと合意した内容について書かれた当該部分を抜き出したものです。

裁判所の命令なしに発達障害のある人に成長抑制を行わない。裁判所の命令があった場合、子ども病院はさらに倫理委員会で検討を行う。方針と手順についてはWPASと密に相談し、2007年9月1日までに策定する。 さらに、それら手続きなしに治療が行われたり薬が処方されることがないよう、病院のコンピュータ・システムにセーフガードを儲ける。また成長抑制療法に裁判所の許可が下りた場合は、プライバシー法の範囲で、子ども病院はWPASに通知する。


WPASは調査の過程でAshley事件の真相に行き着きながら
他の障害児を守るほうを優先して、つまりAshley事件を不問にすることで
他の障害児を守るための譲歩を迫って、つまり「取引」したんだろうな……とは想像していたのですが、

それがこうなるのでは、結果的に他の障害児を守れないことに繋がってしまいましたね。
しかし、これでは、あんまりではないでしょうか。

障害者の人権を守るために公の調査権限まで持つという謳い文句で調査に乗り出したはずのWPAS。
その人権擁護団体から弁護士がワーキング・グループに加わっていながら

ワーキング・グループの出した「妥協点」とは
「裁判所の命令など不要。病院の倫理委の検討で認めてよい」というもの。

自分の組織との合意すら平気で破らせてしまうというなら
じゃぁ、アンタらの人権擁護って、一体なんなんだ────?


真実を知りながら政治的圧力に屈せさせられる人たちがどんどん増えているはずだ……と思う。
良心の呵責からでも、憤りからでも何でもいいから、
誰か勇気を持って真実を語る人が出てきてくれないものか……。

【追記】
その後、元の報告書と、病院が同時に出したプレスリリースで当該箇所を確認しましたので、
この後のエントリーで、原文のまま引っ張り出しておきます。
2009.01.31 / Top↑
2007年初頭の“Ashley療法”ニュースブレイクと同時に
説得力のある批判の記事を書いた中途障害者の文化人類学者 Bad Cripple こと William Peaceさんが
小山さんのWhat Sorts of People のシンポ報告を読んで、
さっそくブログに記事を書いている。

Ashley Treatment Symposium
Bad Cripple, January 30, 2009

行動力のある人で
シンポで最初にWGの検討の概要説明をした子ども病院のWilfond医師にコンタクトを取って
当日のWebcastが来週には準備できるという情報をゲットしている。

(でも、このWebcastのボタンは実はシンポの数日後にはいったん出現していました。
私は何度も見ようとしたのですがエラーが出て見ることができませんでした。
こちらのテクニカルな問題なのか、向こうが準備できていなかったのか分からないのですが、
画面右側にWebcastの大きなボタン、文章最後のあたりのWebcastという単語に
2箇所のリンクが張られていたのは確かです。
それが消失したのは小山さんのレポートが出てからのような気がするのですが
いつの時点で消えたのかははっきり分かりません。でも、いったん出ていたのは確かです)

Bad Crippleさんは、
ワーキング・グループに入っているAdrienne Aschのような著名な障害学の学者が
こんなアプローチに同意してしまうなんて信じがたいと衝撃を受けている。

私はそういう知識すらなかったのだけど、
調査を行って病院に子宮摘出の違法性を認めさせたWPASの弁護士が
ワーキング・グループに入っているのにヘンだな、ということを考えた。

同時に、それだけ政治的な圧力が強いということか……とも改めて思った。

WA州の保健局が調査すると言っていたのに
いつの間にか沙汰やみになったくらいだから……とはいうものの……)

【追記】
William Peace氏は
英国のNHSが Katie Thorpe の子宮摘出を却下した際に起こった
障害者たたきに際しても記事を書いています。

それに関するエントリーはこちら
2009.01.31 / Top↑
ヤセ薬に関連して、これまで
NHS新たにヤセ薬を解禁(2008/7/9)
6月解禁のヤセ薬、精神障害起こすと早くも販売中止(英)(2008/10/25)
のエントリーで取り上げてきたのは rimonabantという薬で、

こちらは orlistat (商品名 Alli)という別の薬の話なのですが、
先週EUが薬局での販売を認めたことを受けて
Lancetに出ている以下の論文が「誰の最善の利益?」と。

無料で読める最初の数行によると、
BMIが28以上の人を対象に薬局で買えることになったとのこと。

ただし薬局で買えるのは医師が処方する処方量の半分。
米国とオーストラリアでは既に解禁されているのだとか。

Over-the-counter medicines: in whose best interest?
The Lancet, Volume 373, Issue 9661, Page 354, 31, January 2009


でも、BMI28って、薬でやせなければならないほどの肥満????

日本でも最近テレビを見ていると
やたらと目に付くのがパチンコと薬のコマーシャル。

女性のバスツアーのバスに白衣の医師が乗り込んできて
「オシッコが近くなるのは年を取ったから仕方がない」という女性に
「いや、そうとばかりは言えないかも。一度医師に相談した方が……」みたいなことを言い
まるで治療しなければならない病気であるかのように
中高年女性の不安を煽るコマーシャルもあるし、

具体的に何に効くという薬のコマーシャルではないし、
患者には馴染みがないばかりか患者が直接選ぶわけでもなかろうに
製薬会社だの医療機器会社のコマーシャルもやたらと目に付く。
(このコマーシャルにかかる莫大なお金は治療費に跳ね返るのだから
患者としては止めてほしいと思うのだけど)

日本ではまだヤセ薬は解禁になっていないかもしれないけど
薬局をちょっと覗いただけでも、
メタボ対策がいかに大きなビジネスになっているか一目瞭然だし。

日本の社会も着実に英米の後を追いかけている──。

「誰のための最善の利益?」という問いは
常に頭の中に置いておいた方がいいかもしれない。
2009.01.31 / Top↑
Ashley事件の新展開で頭がいっぱいで、
関連して読みたいものも書きたいこともいっぱいあるのに時間も頭も追いついていなくて
仕事でやらなければならないこともあれこれ気にかかってはいるのだけど、

タイトルが目に付いて、つい読んでしまって、あんまり可笑しくて。

このバカバカしさは
今ものすごい速度で英米社会に蔓延する
どう考えても行きすぎた科学信仰の愚かしさそのもの……と思って。

Nutrition: Is it safe to eat lots of sushi?
I eat sushi most days for my lunch. Should I be worried about the mercury content?
The Times, January 26, 2009


「栄養:寿司はいっぱい食べても安全なのか?」というタイトルについ目を取られて開いてみたら
いきなり冒頭で「短い答えはNOです」と。

ちょっと、ぎょっとして読んでいくと、

寿司ネタの脂の多い魚には水銀が含まれており、
トロとかサーモンとかに含まれている水銀量は
寿司ネタ1個分でだいたいこれくらいと見込まれるので
ウイークデイに毎日食べたとしたら摂取量はこれくらい。

女の子と子育て期の女性の場合だと
摂取許容範囲はこれくらいだから週日のランチに食べ続けてもOK。
それにもう一回くらいは追加で食べても可。

その他の人の場合は上限がこれくらいだから
まぁ、そういう脂の多い魚は週に4回までですね……。

なんじゃ、これは……?と改めてタイトルを見たら、副題があって
「私はほとんど毎日お昼ご飯に寿司を食べるんですけど、水銀を心配したほうがいい?」

あのね……。
それ、実は寿司の安全性の問題ではなくて、常識的な食生活の問題だと思うよ。

記事は、その後、
だから水銀は、まぁ心配しなくてもいいし
どうしても毎日同じものを食べるのだったら
寿司はカロリーから言っても計算上これこれだからグッドチョイス。
問題は醤油に含まれる塩分ですね……
…・・・といった感じに展開し、また細かく計算していくわけで、
特別ぶっ飛んだことが書かれているわけではないのですが、

でも、こういう記事と
魚の脂に含まれるDHAが子どもの頭を良くするんだとかいう記事とを合わせて読むと、
ウチの子の場合は週に4回までなら
脂の多い魚を食べることのリスクよりも利益が上回ると「科学的に」考えて
食べさせる(あ、でも醤油をつける量はちゃんと見張ってね)親が出てくるんだろうなぁ……。

で、そういう人は、
また魚の脂についての「科学の新知見」が報じられると
血相変えて読むんだろうなぁ……。

こういうのが「科学的に健康な生活をすること」だと一途に思い込むよりも
そんなシチ面倒臭いことを考えるのはやめて
普通に常識的な食生活をすることの方がよほど健康的だと思うけど。

もっとも、どうしても毎日お昼に食べたいほど寿司が大好物だというなら
カロリーだろうと水銀だろうと野菜不足だろうと
委細構わず食べてハッピーに暮らせばいいんじゃないでしょうか。
2009.01.31 / Top↑