1月23日に予定されている
シアトル子ども病院の成長抑制療法に関するシンポの情報が
14日、シアトル地域の医療情報サイトにアップされました。
シアトル子ども病院の成長抑制療法に関するシンポの情報が
14日、シアトル地域の医療情報サイトにアップされました。
Public forum on growth attenuation in children with profound disabilities
Seattle/LocalHealthGuide, January 14, 2009
Seattle/LocalHealthGuide, January 14, 2009
記事本文では
当日はAshleyケースそのものについての議論が行われるかのように書かれているのですが、
当日はAshleyケースそのものについての議論が行われるかのように書かれているのですが、
しかし、同時に、
記事タイトルは「重症児(複数形)に対する成長抑制に関するフォーラム」となっており、
ここのところにギャップがあります。
記事タイトルは「重症児(複数形)に対する成長抑制に関するフォーラム」となっており、
ここのところにギャップがあります。
記事を書いた人は、その違いを意識していないのでしょう。
実はこのギャップ、
Ashleyケースについて議論する人たちの多くにも見られるものでもあり、
私が今いちばん気にかかっている点。
Ashleyケースについて議論する人たちの多くにも見られるものでもあり、
私が今いちばん気にかかっている点。
Ashleyケースそのものを検証することと
一般的な重症児を対象と仮定して成長抑制なり子宮摘出なり乳房芽の摘出を論じることとは
この場合、別のことであるはずなのですが、
そこの区別をきちんとつけないままに、
どちらも混同して論じてしまう人があまりにも多い。
一般的な重症児を対象と仮定して成長抑制なり子宮摘出なり乳房芽の摘出を論じることとは
この場合、別のことであるはずなのですが、
そこの区別をきちんとつけないままに、
どちらも混同して論じてしまう人があまりにも多い。
しかし、それは非常に危険なことではないでしょうか。
Ashley事件そのものが、
まだきちんと検証されてもいなければ
解明すらされていないのというのに、
まだきちんと検証されてもいなければ
解明すらされていないのというのに、
病院の当該サイトを見る限りでは、今回のシンポ、
病院サイドは個別のAshleyケースは既に検証が終わった第一例という扱いで
成長抑制そのものの倫理的な是非について一般化して論じようとしている気配。
病院サイドは個別のAshleyケースは既に検証が終わった第一例という扱いで
成長抑制そのものの倫理的な是非について一般化して論じようとしている気配。
詰まるところ、
しかるべき議論をすっ飛ばして強引に話を先に進めることによって
問題を摩り替え、Ashley事件の特異性から世間の目をそらせて
あの個別事件に幕引きを狙っている。
しかるべき議論をすっ飛ばして強引に話を先に進めることによって
問題を摩り替え、Ashley事件の特異性から世間の目をそらせて
あの個別事件に幕引きを狙っている。
そういう時だからこそ、
Ashley事件そのものを検証することと
Ashleyに行われた医療措置のいずれかを一般化して論じることとは
きっかりと区別しておかなければならない、と思うのですが。
Ashley事件そのものを検証することと
Ashleyに行われた医療措置のいずれかを一般化して論じることとは
きっかりと区別しておかなければならない、と思うのですが。
2009.01.15 / Top↑
医薬品や医療装置を巡る研究とエビデンスへの信頼に関る3題。
1.まず、FDAの医療装置審査プロセスの杜撰
乳がんの画像診断装置の認可を巡って
FDA(米国食品医薬品局)の現場科学者らからは、
もっと広範な実験データを求める声が上がっていたのに、
政治家からFDA官僚への電話一本で簡単に認可されてしまった、との苦情が
FDAコミッショナーに提出され、内部調査が行われた、とのこと。
FDA(米国食品医薬品局)の現場科学者らからは、
もっと広範な実験データを求める声が上がっていたのに、
政治家からFDA官僚への電話一本で簡単に認可されてしまった、との苦情が
FDAコミッショナーに提出され、内部調査が行われた、とのこと。
その調査文書によると、この装置、
本来対象とする患者に、本来対象とする状況での使用実験は
一切行われていなかった、というのが科学者らの告発内容。
本来対象とする患者に、本来対象とする状況での使用実験は
一切行われていなかった、というのが科学者らの告発内容。
以下のNY Timesの記事によると、
FDAの医療機器認可には、
その装置の新しさや複雑さに応じて3種類の審査プロセスがあるが
2007年の1年間で最も厳しい審査プロセスに宛てられたのは41件のみで
3052件が短縮検討プロセスを経たとのこと。
FDAの医療機器認可には、
その装置の新しさや複雑さに応じて3種類の審査プロセスがあるが
2007年の1年間で最も厳しい審査プロセスに宛てられたのは41件のみで
3052件が短縮検討プロセスを経たとのこと。
The National Research Center for Women and Familiesでは
Bush政権が医療機器の認可プロセスを無意味なものにしてしまって、
「今や何でもかんでも通っているようなものだ」と。
Bush政権が医療機器の認可プロセスを無意味なものにしてしまって、
「今や何でもかんでも通っているようなものだ」と。
2.次にFDAの医薬品審査プロセスの杜撰
医療機器部門の内部告発に留まらず、保健福祉サービス監査官局まで
「医薬品研究における利害の衝突についてはFDAの審査はアテにならない」と。
「医薬品研究における利害の衝突についてはFDAの審査はアテにならない」と。
監査局が2007年にFDAが認可した118の新薬の審査プロセスを調べたところ、
本来申告することになっている利益の衝突に関する情報がないのに
認可されているものが42%にも上った。
本来申告することになっている利益の衝突に関する情報がないのに
認可されているものが42%にも上った。
The Journal of the American Medical Associationに発表された論文によると、
大学研究者の23-38%は業界からの金銭の授受があるとされており、
大学研究者の23-38%は業界からの金銭の授受があるとされており、
また、この半年間に世間をにぎわせているBiederman, Nemeroff, Sinclair医師らの
巨大製薬会社との癒着疑惑などを考えても、
巨大製薬会社との癒着疑惑などを考えても、
これでは治験データにバイアスがかかっていたとしても
FDAには判らないだろう、と。
FDAには判らないだろう、と。
3.FDAに留まらず、権威ある医学雑誌まで利益の衝突を隠蔽
2006年10月に
CTスキャンが肺がん患者の死を防ぐのに効果があるとの研究論文を掲載した
the New English Journal of Medicine(NEJM)に、
CTスキャンが肺がん患者の死を防ぐのに効果があるとの研究論文を掲載した
the New English Journal of Medicine(NEJM)に、
著者らの研究資金がタバコ会社から出ていて、
その画像診断の特許を著者と大学が持っていることを知りつつ
申告された利益の衝突を隠したまま論文を掲載したことが批判され、
その画像診断の特許を著者と大学が持っていることを知りつつ
申告された利益の衝突を隠したまま論文を掲載したことが批判され、
NEJMは今後このような利益の衝突については明らかにする、と
方針転換を表明している、と。
方針転換を表明している、と。
何かにつけ、
黄門様の印籠のように高々と振りかざされて
多くの人々をひれ伏せさせる「科学的エビデンス」ですが、
そんなものは所詮は企業と研究者の利益によって
いかようにもでっち上げられる……ということでしょうか?
黄門様の印籠のように高々と振りかざされて
多くの人々をひれ伏せさせる「科学的エビデンス」ですが、
そんなものは所詮は企業と研究者の利益によって
いかようにもでっち上げられる……ということでしょうか?
【追記】
15日付の以下の記事では
Biederman医師らが所属するHarvard大学でも
医薬品研究におけるの利益の衝突のチェック体制について、
これまでの不十分だった方針を見直す、と。
Biederman医師らが所属するHarvard大学でも
医薬品研究におけるの利益の衝突のチェック体制について、
これまでの不十分だった方針を見直す、と。
また、この記事の中では
Science や Nature などの権威ある科学誌も、NIHですらも
研究における利益の衝突についてのチェックの不十分が指摘されているとのこと。
Science や Nature などの権威ある科学誌も、NIHですらも
研究における利益の衝突についてのチェックの不十分が指摘されているとのこと。
いずれも地味なニュースですが、
その意味するところをしかと考えてみれば、由々しき問題。
その意味するところをしかと考えてみれば、由々しき問題。
2009.01.15 / Top↑
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