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例によって、まず自殺幇助関連を


米国のプロ・ライフの草の根運動の会長さんが、英国のGilderdale事件とInglis事件と、その周辺の議論を巡って長い論考を書いている。:いつも思うのだけど、一旦広く議論になってしまうと、みんな頭の中の抽象概念としての「障害」であったり、「悲惨な寝たきり状態」であったりで話を進める。もっと事実関係をしっかり押さえた上で、個々の事例の事実にちゃんと即して、もっと事実に基づいた議論をするべきじゃないのかな。Ashley事件で、こういう意味で一番お粗末だったのは「とりあえず誰よりも早く論文にして“業績”を作りたい」学者さんたちだったような気がするんだけど。
http://www.renewamerica.com/columns/brown/100209

豪Brisbaneで自殺幇助事件が起こっている。獣医用のバルビツール系毒物が他国から持ち込まれるケースが多いような印象。いつかテキサス州でも、そういう事件があった。
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/02/09/2814431.htm?site=brisbane


この後、いつもの補遺

去年のクリスマス頃にBrown首相が選挙対策で打ち出した「高齢者のケアホームと、ニーズの高い人の介護を無料にする」という施策には、財源の裏付けが乏しく、空約束で高齢者の期待だけを高めている、と議員らから批判。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article7021299.ece?&EMC-Bltn=9ALCR2F

昨日、英国の議員さんたちから出てきていたBrown首相の高齢者介護施策への批判(上のリンク)で、今日になって労働党の議員さんたちが圧力を受けてメディアに出した手紙から名前を取り下げた、とか。政治的駆け引きで、いったいどうなるのか。そもそも英国はNCS創設に向けてパブコメ募集していたはずなのだけど、この動きとどうつながっているのか、さっぱり分からなくなって私は混乱中。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article7022706.ece?&EMC-Bltn=DAPBS2F

2013年に改定される the diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersでは、正常とそうでない線引きが大幅に変わって、双極性障害の診断数はぐっと減ることになるだろう、と。:時間があったら、ちゃんと読みたいけど、とりあえず双極性障害の診断が大幅に減るという記述に関しては、やっぱりBiedermanスキャンダルの影響を考えた。でも、「これまでの基準は製薬会社からのゼニに影響された誤りでした」とは誰も認めないまま、診断基準だけは改定されていくんだろうか……。現場の医師の方々にとって、それは納得できることなんだろうか。
http://www.nytimes.com/2010/02/10/health/10psych.html?th&emc=th

上記の改定での大きな変更の一つが自閉症をアスペルガーとか広汎性発達障害とかでなく、スペクトラムとして捉えることのようで、それに関する記事。
http://www.nytimes.com/2010/02/10/opinion/10grinker.html?th&emc=th

自閉症のワクチン原因説を世の中に流したWakefield論文を先ごろLancetが削除したが、それを受けて、なのかどうか、自閉症児には消化器に問題がある子どもが多い、とその関連性が注目されてきている、とか。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/02/09/AR2010020901789.html

米国でここ10年の間に急増している慢性病患者を対象にした病院で、ケアの質がひどい。監査の目が及んでいない。:これは、あとで読む。しかし、長い……。ただ、冒頭のところで、不穏になった患者さんに「シッタ―が配置された」というのは、ほぉ……と思った。http://www.nytimes.com/2010/02/10/health/policy/10care.html?th&emc=th

政府のセーフティネットが機能せず、米国で飢えている人が増えている。
http://www.nytimes.com/2010/02/10/opinion/10wed4.html?th&emc=th

ファースト・レディが米国の子どもたちの肥満対策に乗り出した。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/02/09/AR2010020900791.htm

米国のCIAのテロ容疑者への拷問疑惑と同じ問題が英国M15に起こっているらしい。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/feb/10/binyam-mohamed-torture-mi5

ギャンブル狂いの女性が架空の子どもをでっちあげて税金の控除などの特典を利用していた。豪:子どもが、どんどん「手段」になっていくような気がする。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/woman-invented-child-for-benefits/1746791.aspx?src=enews
2010.02.11 / Top↑
Yahoo!のトップニュースに以下のようなニュースがあったのですが、


実はこれと同じ研究結果は去年の夏にも
元米軍兵士を対象にした調査で報じられているので、
2009年7月17日のエントリーを以下に再掲。

The European Heart Journal に掲載された調査結果で
4000人のアメリカ人の元兵士を調べたところ、
IQが平均よりも低い人では心臓病で死ぬ確立が高いとの結果に。

社会経済上のファクターが影響することは知られているが、
今回は、それらファクターを除外しても、IQだけで20%もの差があった。

知能が低い人は健康に関する情報を取り込みにくく健康に留意しにくいのでは、と分析し、
研究者らは病気予防情報を簡略にするなどの工夫が必要、と。

Lower IQ ‘a heart disease risk’
The BBC, July 14, 2009


病気予防の情報に工夫が必要だとの提言をしてはいるけれど、
IQだとか人種だとかが直接的に病気リスクなのだといわんばかりの研究が
どうも最近、目に見えて増加しているような気がしてならない。

今のように医療コストの削減の必要が声高に喧伝されている中で、
病気リスクであると名指しされることは「コストがかかる」レッテルを張られることに等しいわけで、

そもそも研究デザインの前段階で、
IQや人種と病気リスクとには直接的な相関があるはずだと誰かが仮説したからこそ
こういう研究が行われるのだということを考えると
いかに病気予防の情報に工夫を提言されたとしても、
論文の結論や提言とはまた無関係に
データだけが一人歩きするのではないか、と気にかかる。


それにしても、この研究で実は一番コワイのは
調査対象に選ばれたのが米軍の元兵士だったという事実のほうかも。

これは、つまり
平均よりもIQが低い人が一定数固まっている集団を探したら
それは米軍だった……ということであり、

その事実、
海兵隊リクルーターがノルマ達成のため、発達障害者を狙っているという話を裏付けているのでは……?


なお、このエントリーには児童精神科医のAFCPさんから
元米兵を対象にしたのは単に調べやすいからだとのご指摘があり、
そこから、ちょっと面白いコメントのやり取りがありました。

その時に考えたことは、まだエントリーとして実を結んでいませんが、
興味のある方は、こちらの元エントリーを覗いてみてください。


私自身は、やはり、こういうニュースは、それ単独として捉えて考えるのと、
世界で起こっていることの大きな絵の中に位置づけて眺めるのとでは
全く違う見え方をしてくるような気がします。

去年の夏以降、さまざまな世界各国からのニュースを経て、特に最近の
「無益な治療」論の広がりや障害児抹殺論の高まりという大きな絵の中に置いたうえで、
(それぞれ詳細は「無益な治療」、「新優生思想」の書庫に)

この研究結果そのものの意味よりも、今こうした研究が続いて出てくることの意味の方を
考えることの必要性も忘れないでいたほうがいいと思う。

あ、それから、もう1つ、
こういうニュースはYahoo!のトップニュースにでかでかと登場するけれど、
例えば去年の大みそかに米国モンタナ州が自殺幇助を合法化したというショッキングなニュースは
日本ではちっとも報道されないのは何故なんだろう……と考えてみることの必要性も、ね。


また、2007年にJames Watson博士の人種差別発言に端を発した
人種間のIQ差を巡る論争に関連して考えたことが、
ここでもまた頭に浮かんだので、ついでに。


これもまた、「ない」報道は、それが「ない」ことそのものが見えないし、したがって、
なぜ「その報道はないのか」ということに誰も気づくことができない日本の不思議にも重なる……。
2010.02.11 / Top↑