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① 自殺幇助関連

8日のエントリーで取り上げたコネチカット州の自殺幇助合法化訴訟の判決について、同州の法学サイトが解説。:8日にも思ったけど、英国の下級裁判所段階でのPurdy判決のような意味合いで、司法ではなく立法の仕事としたのだと思う。ただ、Purdy判決は上訴を受けて最高裁が合法化寄りに立法に問題を持って行った。Connecticutは、この後どうなるか……。

http://www.ctlawtribune.com/getarticle.aspx?ID=37427


② Ashley事件

前から時々ネット上で起こるAshley事件の怪現象が、14日にまた起きた。コピペされるのは、決まって2007年 1月のAP記事。リードの後に「このケースを議論しよう。家族のブログを読もう」と書いてあるやつ。たいていは科学とテクノ系のサイトに登場する。今回も、いかにもそれらしく、「いかに科学的に乳児のIQを上げるか」を考えているブログらしい。

1つだけコメントが入っているのもパターン通りなのだけど、いつもAshley療法への賛成コメントばかりでは芸がないと考えたか、今回は反対の意を表するコメント。ただ、やっぱ馬脚が現れることに「この療法の宣伝をすると予想外の反響で叩かれるから、私だったら、そういうことはしない」ですと。それでも敢えて世の中の重症児とその家族のためを思って、叩かれながら宣伝して回っている誰かさんはエライ!と言いたいのかしら。

ただ、気になるのは、この怪現象が起きるのは、決まってA事件で何かの動きがある時だということ。近く、何かある……?

http://www.lullaby-music.net/adolescence/how-will-the-following-hender-the-normal-development-of-ashley


③ Ashley事件・ゲイツ財団関連

日本語情報。ビル・ゲイツ氏が世界長者番付で1位になったメキシコの富豪カルロス・スリム氏と、「メキシコ南部や中央アメリカの貧困層向けの予防衛生支援を目的とした基金設立を発表」。「貧困層向けのワクチン投与や出産・子育ての支援などに」それぞれ5000万ドルを提供し、「先住民社会の女性や子供を中心に支援」。:抵抗しにくい地域の抵抗しにくい貧困層の女性と子どもに、ワクチンと母子保健……。まさか、ここでも「革新的な」避妊とかを考えているのでは? ゲイツさんの動向を知るたびに考えてしまうのだけど、国家って一体何なんだろう? それにしても、最近のゲイツ氏の動き、あっちでもこっちでも急展開している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100615-00000226-reu-int


④ ゲイツ財団関連

これなんかも、たぶん上の記事と繋がっているんだと思うのだけど、アフリカ南部の国々の女性を対象に、HIV予防薬を仕込んだ膣内据え置きリングの臨床実験がスタートしている。

なんでもmicrobicidesといって、入れておくとウイルスやバクテリアと接触するや効果を示すというもので、the International Partnership for MicrobicidesというNPOがやっている実験。今回が15回目。効果は確認されていないし、却って感染リスクが高まるという話もあるし、さらには性交時に違和感があるため夫に内緒で入れたら虐待を受ける可能性もあるというのに。

それに、このNPOの人たち、先週のWomen Deliver 2010会議に来ていたとか。Gates 財団が途上国の家族計画と母子保健に150億ドルを約束した、あの会議ね。それに、このmicrobicidesによるエイズ予防には国連の関係者も期待を寄せているのだとか。さらに、エイズ予防薬だけでなく、避妊薬も一緒に仕込んだリングの開発も米国の研究機関で進められているらしい。いよいよ「それっぽい」話では……?


⑤ その他

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/06/14/AR2010061405577.html?wpisrc=nl_cuzhead

数日前に英国のメディアにも同じような記事があった気がするけど、ヒト・ゲノム・プロジェクト10周年。でも、予想されたほどゲノムが新しい治療に結び付いていない、と。
http://www.nytimes.com/2010/06/15/business/15genome.html?th&emc=th

白米は糖尿病リスクを上げるから、ブラウン・ライスかホールウィ―とにした方がいい、と米国の科学者。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/10307790.stm
2010.06.15 / Top↑
Minnessota州で、
これまでの障害者に対する差別に対して州の公式な謝罪が全会一致で上下院を通過し、
5月27日、知事が署名して法制化されたとのこと。

州上院のJohn Marty議員が13年間成立を目指してきたもので、
同議員は以下の声明を発表。

ミネソタ州が両党一致の元にこの謝罪を行ったことを
私は大変嬉しく思っています。

100年以上もの間、Minnesota州は
精神病や知的障害のある人々を家族や地域から引き離して
州の施設に閉じ込める施策をとりました。

それらの施設では、
賃金もなしに強制労働をさせられた人、
本人の同意なしに医療の実験や治療をされた人、
懲罰としてショック療法や忌避療法をされたり、隔離された人たちがいました。

上院保健委員会は、
家族と離れて施設に閉じ込められて子ども時代を送り、現在は成人している人たちから、
自分ではどうにもできないことに対して時に残酷な懲罰を受けた体験をヒアリングしました。

彼らは、人なら誰もが認められるべき尊厳を拒まれました。
このような事実はミネソタの歴史の恥ずべき部分です。

ここに公式に謝罪することによって、
ミネソタ州は過去の過ちを認め、この時代に幕を下ろす一助とします。

こんな謝罪は大したことではないと感じる人もいるかもしれませんが、
子ども時代に施設に不当に収容された人たちにとっては、たいへん重要な言葉です。

州の施策のために苦しんだ人たちや家族が、
やっと今、州から、その意味深い言葉を聞いているのです。

“We are sorry.” ごめんなさい、 と。



State passes public apology to people with disabilities
News Release, State Senator John Marty,
May 27, 2010


涙が出ました。

そして、
ここでもまた「尊厳」という言葉が
ごく自然に使われていることを思いました。

「ごめんなさい。過ちを犯しました」と言えない人たちが
自らの過ちを糊塗するために更に過ちを重ねることを躊躇わず、
多くの重症児の身体を侵襲のリスクに晒そうとしていることも。

そのために「赤ちゃんと同じ重症児は家で家族に介護されるのが幸せ」と繰り返している人たちに
この声明の、文言ではなく、その心をこそ、しっかりと聞け……と言いたい。

施設に閉じ込めることだけが問題なわけではないのだぞ。
尊厳を侵すのは、「どうせ」と線を引く、あんたらの、その卑しい心根なのだぞ。

         -----

検索してはみたものの、legislation そのものには行きつけませんでしたが、 
YouTubeに、地元のテレビ番組のMarty議員インタビュー(6月11日)がありました。

MN Apologizing To The Mentally Disabled (6分21秒)

特に印象的だった内容は、

・ 州でも企業でも社会でも、間違ったことをしたら、ごめんなさい、と謝るのは当たり前のこと。

・ キャスターの女性が、「今回の謝罪は障害者にとっても喜ばしいと同時に、
人間としての我々自身のためにもなるのでは」と指摘したのに対して、
Marty議員も、「その通りだ。ごめんなさいと自らの過ちを認めることが
この先に歩みを進める我々人間のためにもなることなのです」と。
(human-beings are better off)

・キャスターの女性は「障害者について社会全体の問題として皆が捉える契機となり、
社会の統合という意味でも意義深い」とも指摘。

・30年前から、この謝罪を目指して尽力してきたMarty議員は
 今回、両党全員一致で上院下院共を通過したことについて

「30年前には、セルフ・アドボカシーもなく、
障害者は世間から憐れんであげる存在とみなされていたが
今では障害者も尊厳をもった一人の人と捉えられるようになった。

30年前には、代弁してあげなければならなかったが、
今では本人たちが声を上げている。

こうして社会の意識が変わることによって、
我々一人ひとりにとっても、大きなプラスになる」と。


これこそ、
「いのちの選択」の中で書かれていた「社会の品位」というものであり、
当ブログがそのエントリーや、以下のエントリーで考えてきた内容に通じていくような気がします。

Quellette論文:Aケース倫理委検討の検証と批判(2010/1/15) :フランシス・フクヤマに言及
Dr.Qの提言とspitzibaraの所感(2010/1/15) :「どうせ」について
「医師の道徳的な義務とは自身に対して負うもの」と“Ashley療法”の線引きを突き崩すTan論文(2009/12/20)
2010.06.15 / Top↑
昨夜書いて、寝かせておいたら、
今朝がたTBしてくださった方があって、
このニュースはAFPで日本語でも報じられているようですが、

生殖補助医療で子どもを産もうとするカップルに
医師は「奇形のリスクがありますよ」とちゃんと警告するように……と
フランスの科学者たちが。

33の生殖補助医療クリニックで生まれた15000人の記録を調べたところ、
以前の小規模な調査で出た11%という確率よりは低かったものの、
全体の4%の子どもに何らかの大きな先天的奇形があることが分かった。

一般には、その確率は2―3%だから
生殖補助医療で生まれた子どもでは明らかに高く、
心臓病と生殖器・泌尿器の形成異常がパーセントを押し上げている。
これらは女児よりも男児で多い。

また血管腫、皮膚表面に近い小さな血管でできた良性の腫瘍などでは
発生率は通常の5倍に上り、こちらは女児の方が男児の2倍の高率。

もちろん複数の要因が関与していると思われ、
それぞれがどのように関係しているかについては更なる研究が必要だが、

「すべての医師と政治家が、これについて知らされることが重要。
生殖医療技術によって生まれた子ども全員をフォローして
どの治療がこの問題に関与しているかを突き止めるべく、
もっと力を尽くさなければならない」と
The European Society of Human GeneticsのDr. Viot。

Doctors should warn of IVF defect risk, says report
The Guardian, June 13, 2010


すごく、気になるのは
その4%の子どもたちは、一体どうなったんだろう……ということ。

フランスではどうかわからないけど、
英国では、例えば口蓋裂とか内反足程度の“奇形”でも
出産途上まで中絶が可能だったりもするわけで……。

……あ、でも、記事によると「生殖医療の後に生まれた子ども」を調べたと書いてあるので、
それは、最終的に生まれてきた子どもたちのうちの4%ということなんですよね。

……だとすると、生殖補助医療による先天異常の発生率は
実際には、もっと高いという可能性はないのかな?????


それから、もう1つ疑問に思うのは、

これまでの生殖補助医療の歴史の長さを考えたら、
そういう調査や研究が、なぜ今まで十分にされないままになっていたんですか……? 


  
ちなみに、
これまでの当ブログの生殖補助医療に関するエントリーを
以下にざっと抜いてみると、


「試験管ベビーは先天異常の時限爆弾か?」とDaily Mail(2009/5/6)
生殖補助医療で先天異常が増加?(2009/11/26)

精子250ドル、卵子1000ドルで、どう?(2008/5/26)
「凍結胚から生まれた子どもの方が健康」だって(2008/11/16)
生殖補助医療の“卵子不足”解消のため「ドナーに金銭支払いを」と英HFEA(2009/7/27)
「炭鉱で働こうと代理母をやろうと自分の身体なんだから勝手」とFost(2009/12/8)

インドの70歳女性、体外受精で初産(2008/12/9)
66歳で世界最高齢出産の女性、3歳の双子を残し、癌で死去(2009/7/16)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)

8つ子の母は障害児手当を受給、子ども3人にも障害児手当、生活保護も(2009/2/11)
「死んだ息子の子どもがほしい」母に裁判所が遺体からの精子採取を認める(TX州)(2009/4/17)



タイトルだけを眺めてみても、

英・米・豪の生殖補助医療業界は、これまで
技術の安全性にも、代理母を含めた母体のリスクにも、生まれてくる子どもの福祉にも、
実は大して関心はなくて、

いかに生殖子を確保して症例件数を増やすか、
いかに高齢出産記録を超えてみせるか、
いかに無事に生ませる多胎児の数の記録を超えてみせるか、
などなど、単なる競争に血道を上げているだけ……

……という実態が髣髴としてくるような……。
2010.06.15 / Top↑