そのまま移動したらしい英国で、ワークショップを相次いでキャンセルされている。
最後に一つだけCardiffで計画されていたワークショップに
クエーカー教徒から非難声明が出され、Exit側が内容を変更した、とのこと。
その「予定されていた内容」というのがすごくて、
ノートパソコンと注射器を接続してNitschkeが考案した
「自殺装置」の使い方のワークショップ。
しかも、言うに事欠いて
「自殺幇助で起訴される可能性がある英国法の下では
私の装置のようなものが必要になる」と。
公開で装置の使い方を説明した後、非公開でさらに
致死薬の入手方法や、安らかに死ぬにはどの薬物が良いかなどを
話す予定だったらしい。
Philip Nitschke Cardiff suicide talk criticised
BBC, February 23, 2011
上記リンクに、4分ちょっとのインタビュー・ビデオがあります。
Nitschke自身も言っているけど、キャンセルでムカついているところに
キャスターのツッコミを受けて攻撃的な早口でしゃべっているので、
細部についてまで聞き取れた自信はないのですが、
主張していることは主に以下の2点ではないかと思われます。
・ワークショップのキャンセルは
主催者に圧力がかかったもので言論封殺だ。
・知識や情報にしても、薬物そのものにしても、
誰かが濫用する可能性があるから全面的に禁じなければならないという議論はおかしい。
記事とインタビューから思ったのは、
① 記事で引用されている発言の中で、死の自己決定権が認められるべき状態について
「自分でコントロールできない状態になったら in a situation where they have no control」と。
これ、読んだばかりだけに、斎藤環氏が言う「操作主義」そのものだなぁ……と。
やっぱり、ずっと睨んできた通り、
「科学とテクノの簡単解決文化」と「死の自己決定権」論は根っこが繋がっている。
② 「一部の人に被害が出るリスクがあるというのは単なる可能性に過ぎず、
そのために現実に利益を受ける人がいるものを全面的に禁止というのはおかしい」
という反論は、「死の自己決定権」論のお決まりの論理で、
例えばBMJの
「生きたい障害者が死にたい病人のジャマするな」もそうだし、
米国小児科学会の「栄養と水分の差し控えガイドライン」でも
望まない医療を受けている子どもたちの利益を「すべり坂」論でジャマするなと
Diekemaは障害児保護への配慮の必要を一蹴している。
「科学とテクノの簡単解決文化」が倫理問題について疑問を呈されると、
繰り出してくるのも、この論理。
例えば、英国医師会は“救済者兄弟”について
生まれてくる子の精神的な害を「仮想的な害」とし
病気の兄弟の苦痛や死を「リアルな害」と称することで正当化している。
Ashley事件で成長抑制療法の一般化を狙うDiekemaやFostも同じで、
彼らは「すべり坂」リスクはエビデンスを欠いた可能性に過ぎず、
セーフガードさえ設ければ防げる、だから解禁すればよい、と主張する。
そのくせ、セーフガードが実際に機能しているかには興味などなく、
検証するつもりもない。
臓器が実際に闇で売買されていることは世界中の人が知っている。
それでもセーフガードがあれば防げると言ったはずの移植医療関係者は
実際にどの程度機能しているか検証してはいない。
それは、たぶん
「科学とテクノの簡単解決文化」の人も「死の自己決定権」の人も、
一部に濫用や虐待や殺人の被害者になる人が出たとしても、
それはやむを得ないコラテラル・ダメージだと考えているからではないのか。
「すべり坂論」へのこういう反駁を聞くたびに、そのことを思う。
そして、
そういう考え方をする人が多くなってしまった社会……というものについて、
深く考え込んでしまう。
③ このインタビュー、キャスターがものすごい非難がましい口調で
高齢者や障害者など弱者の側に立ってツッコミを入れているけど、
BBCはこれまで、以下のリンクに見られるように
どう考えても「死の自己決定権」アドボケイトとしか思えないような
報道姿勢を続けてきている。
議会で批判が出たほどの露骨さで。
そう考えると、非難の口調の陰で、
実はNitschke医師を引っ張り出してテレビで喋らせ、
センセーショナリズムで合法化議論を盛り上ることに一役買っているのでは……?
なんて、勘ぐってしまう。
BBC「世論は慈悲殺を支持」の怪 (2010/2/1)
「BBCは公金を使って安楽死を推進している」と議員らが批判(2010/2/5)
自殺幇助に関する偏向報道で、BBCチェアマンに大物議員が会談申し入れ(2010/2/23)
幇助合法化を訴えて自殺した健康な夫婦の続報を新たな事件のように書くBBCの怪(2010/4/1)
【26日続報】
Cardiffのワークショップには30人が出席。
Dr.N はオーストラリアの認知症患者のケースを例にとり、
身近な人を自殺幇助で罪人にしたくなければ早くから計画しておくことだ、と。
http://www.walesonline.co.uk/news/wales-news/2011/02/25/dr-death-talks-euthanasia-to-a-packed-audience-91466-28232799/
http://www.bbc.co.uk/news/uk-wales-south-east-wales-12552365
米国心理学会から、乳幼児にも精神障害は起こるが、治療を受けられていない、と。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/217235.php
ProPublicaがまた面白い記事を掲載している。前半しか読めていないけど、米国市民権テストを受けて合格した女性の体験談で、そのテストにいかに間違いが多いか、その間違いから何が透けて見えるか、という話。
http://www.propublica.org/article/how-i-passed-my-us-citizenship-test-by-keeping-the-right-answers-to-myself
Obama政権が、異性婚のみを認める米国法への支持を方向転換。
http://www.canberratimes.com.au/news/world/world/general/obama-in-samesex-marriage-law-switch/2085706.aspx?src=enews
2050年には世界中のサンゴが絶滅するだろう。
http://www.guardian.co.uk/environment/2011/feb/23/coral-reef-report-dying-danger?CMP=EMCGT_240211&
中国で過去60年で最悪の干ばつ。食糧価格に影響必至。
http://www.guardian.co.uk/environment/blog/2011/feb/23/china-drought-meterologists-forecast?CMP=EMCGT_240211&
北九州で路上生活者が過去最低になったとか。:この冬の寒さを考えると、人数が減ったというだけではなんとも……。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/228358
DNAのらせん構造含め、女性研究者の業績がなにかと表舞台から消されているという話はよく聞くけど、それをテーマにした本が、女性研究者らの訳本から盗用し、その他男女研究者らの本から剽窃し、また、それを告発しようとした女性研究者にバックラッシュがあり……という事件が講談社のブルーバックスを巡って起きていた。全然知らなかったけど、釣り込まれて、最後まで読んでしまった。
http://www.kousakusha.co.jp/ISSUE/kesareta.html
(Londonというので英国だとばかり思い込んでいて、
niniさんのご指摘でカナダだと気付き、補遺も訂正しました)
なにより大事なこととして、
今の段階でJoseph君はまだ生きている(!)のではないかと思えます。
ほっとしました。
とはいえ、事態は深刻で、
いくつかの記事から事実関係を取りまとめてみると、
重症の神経障害としか書かれていないので具体的な病名は不明ですが、
(姉が同じ病気で亡くなっているので遺伝性の神経疾患かも?)
カナダ、オンタリオ州在住のJoseph Maraachi君(1歳)は、
昨年10月にVictoria 病院(London Health Science Center? ちょっとここ混乱)に入院、
その後、脳機能が低下して自力呼吸ができなり、人工呼吸器を装着。
医師らは、Joseph君は回復の見込みのない永続的植物状態にあるとして
人工呼吸器の取り外しを求めたが、
自分たちが声をかけたり触れると反応があると主張する両親が同意しなかったため、
病院はOntario州のthe Consent and Capacity Board (同意・同意能力委員会?)に提訴。
同委員会はthe Health Care Consent Act (医療同意法)を根拠法とする独立機関。
1月26日に同委員会は医師らの判断を支持し、
これを不服とする両親がオンタリオ高等裁判所に上訴していた。
両親は同時に、
それなら家に連れて帰って死なせてやりたいので気管切開をしてほしいと要望したが、
医師らは「リスクが大きすぎる」と却下。
先週、判事が涙ながらに病院の訴えを認める判決を下し、
21日月曜日の午前10時を期限に呼吸器の取り外しが決められた。
病院は21日に取り外しのための手続きに入ったものの、
オンタリオ州の Public Guardian と Trustee の同意をとる事務手続きに日数がかかるため、
(彼らは判決に応じて行動するので決定が覆ることはなく、あくまで事務手続きのようです)
両親と支持者らは、その間に希望をつなぎ、
Joseph君が去年治療を受けた米国ミシガン州デトロイトの病院や
Windsor市内の病院に転院を打診。
両親の求めでLHSCからも医療情報がデトロイトに送られたが
LHSCを通じてのデトロイトの病院の回答は、転院要望をしないように、というものだった。
報道でカナダ中の注目を集めているため、病院はNICUの警備を強化し
両親がそれに神経をとがらせて感情的な対立が激化している様子。
7歳の兄にも精神的に影響が大きく、
登校できず、食慾も低下して、食べても嘔吐している、とも。
Euthanasia Prevention CoalitonのShadenberg氏が家族を支援しており、
「これは安楽死ではなく、終末期の意思決定権が誰にあるかという問題」と
病院の権限が大きくなることに警告を発している。
Windsor couple’s appeal dismissed to bring baby home
Euthanasia Prevention Coalition, February 17, 2011/02/24
Windsor parents’ appeal to bring dying baby home from London hospital dismissed
The Windsor Star, February 18,, 2011
Baby Joseph’s fate in doubt
The Toronto Sun, February 21, 2011/02/24
Father of dying baby says hospital treating him like a criminal
Leader-Post, February 22, 2011
No Detroit transfer for Baby Joseph
Ifpress, February 23, 2011
当ブログが拾った09年10月段階の「無益な治療」事件一覧はこちら。
その後、Isaia事件、Baby RB事件、Betancourt事件。
もちろん私は学者でも研究者でもないので、断言はできませんが、
これまでの「無益な治療」訴訟では裁判所は時間をかけて審理する慎重姿勢で、
その間の当面は治療続行を命じるということが続いていたので、
(また、その間に亡くなるケースが多いという印象)
両サイドの弁護士の弁論を聞いて1時間後に
病院側の主張を認める判決というのに、ショック……。
この事件は、一つの転換点になるのかなぁ……。
それにしても、
Ashley事件での医師らの正当化でも、いつも思うのですが、
呼吸器をつけていれば生きていられる子どもを死なせようとしている医師らが
気管切開は「リスクが大きすぎる」と拒否する、ダブル・スタンダード――。
どうせ生後数カ月の赤ちゃんと同じ重症児のAshleyには
自分が尊厳のない扱いを受けていることなど分からないのだから
やってもいい、と身体の侵襲を正当化する医師らが
子宮摘出の正当化となると、
血を見て怯えた経験のあるAshleyに生理は精神的なトラウマになる、と
平然と主張する、ダブル・スタンダード――。
それとも、気管切開が「リスクが大きすぎる」というのは、
連れて帰ると親が自己選択したのだから、
その後のケアについては自分たちは知らないぞ、だから
医療職の支援なしに切開した子どもを連れて帰ることには
医療職のいる病院で呼吸器を外して死なせるよりも
はるかに大きなリスクがあるぞ……という意味なんだろうか。
その場合、その「知らないぞ」のニュアンスは、
一体どういうものなんだろう……?
それとも、「つれて帰るのだったら、もちろん支援はするけど、
それでもリスクが大きすぎる」という意味なんだろうか。
でも、それなら、最初から呼吸器取り外しの話が出てくる前に
そういう話が両親に対してあるはずだろうし……。
―――――――
カナダに関して、私がずっと気になっているのは、
09年のKaylee事件で、「無益な治療」論が「臓器提供」と簡単に結びついたこと。
表に出たのはKaylee事件よりも後ですが、
実際の事件としては2005年に起きていたAnnie Farlow事件では、
親の知らないうちに病院側が勝手にDNR(蘇生拒否)指定にしていました。
これも病院側の独断専行的「無益な治療」決定でしょう。
この2つの事件が起きたのは同じ子ども病院なので、
もしかしたら、この病院特有の文化のような側面もあるのかもしれないと
私はどこかで留保していたところもあるのですが、
(遺伝子診断でも臓器移植でも弱者切り捨てでも人体改造でも、もしかして
「子ども病院」というのは規定路線の旗振り役が使命なんでしょうか……?)
今回のニュースを見ると、そういう問題ではなく、
カナダの医療そのものがそういう方向に動いているということのようにも思えます。
医療同意法がどういうものなのか、
特に家族と病院の意見の対立があった場合の手続きについてどうなっているのか、
日本でも子どもの終末期の議論が進行しているだけに、気になります。
(下の方のブログを読むと行間から妄想が膨らみます。妄想ならいいのですが)
重篤な疾患を持つ子どもの治療方針決定のあり方の公開フォーラム(2月26日)
NICUサポートプロジェクト, 2011/2/23
別に治療を止めろと強制しているわけじゃないんだよ
こどものおいしゃさん日記、2011/2/23
こうした動向に「ポストヒポクラテスの医療」と
うまい名付け方をした人が去年あり ↓
「ポスト・ヒポクラテス医療」の「無益な治療」論ではDNR指定まで病院に?(2010/6/19)
この記事でも「北米の病院では担当医の判断でDNRにされている」との指摘で、
カナダと米国を指しています。
米国の無益な治療法については、最近知ったことをこちらに ↓
生命維持の中止まで免罪する「無益な治療法」はTXのみ(2011/1/21)
ロックトイン症候群の患者65人に質問し、瞬きや目の動きで回答を求めたところ、
72%が自分は幸せだと回答し、
68%が自殺を考えたことはない、と回答。
またロックトインになってからの期間が長いほど
幸福だと感じる人が増える傾向があった。
回答者のうち
55%は何らかの発語(speech)が取り戻せた人、
70%は何がしか手足の動きが取り戻せた人。
調査規模が小さい、
幸福と感じていない人は調査に応じない、など
結果をそのまま鵜呑みにできないとの指摘もあるが、
身体が動かなくなった人の気持ちについて
特に自殺幇助合法化議論で、他人が勝手な憶測でものを言うことがいかに危険であるか、
この調査結果は示している、
ロックトインになって間もない人の安楽死希望には慎重な受け止めが大切、とも。
Most locked-in patients ‘happy’
BBC, February 24, 2011
ベルギーといえば、09年にこんな衝撃的なケースがあった ↓
23年間“植物状態”とされた男性が「叫んでいたのに」(ベルギー)(2009/11/24)
「なぜロックトイン症候群が植物状態と誤診されてしまうのか」を語るリハ医(2009/11/25)
また、ベルギーのLiege大学といえば、
Cambridge大学と一緒にこういう技術を研究しているところ ↓
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど……?(2010/2/4)
これは今回検索してみたら、
論文全文が読めるようになっていました ↓
Willful Modulation of Brain Activity in Disorders of Consciousness
Martin M. Monti, Ph.D., et. al.
The New England Journal of Medicine, February 18, 2010
でも、すっごく恐ろしい発見なんだけど、
その他にもLiege大学というのに見覚えがあるような気がして、
ブログ内検索してみたら、なんと、あの「安楽死後臓器提供」を報告した大学でもあった ↓
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
これは一体どういうことなんだろう……?
同じ大学の移植医療のあり方に対して、
脳神経領域の研究者が異議を唱えようとしている……?
もし、そうなのだとしたら、
日本でも、同じような研究の必要を感じておられる医師の方々も多いのでは……と
考えたのと同時に、頭に浮かんでしまったのは、
でも、病院や大学にどれだけ外部からゼニをもたらせるかという点で、
組織内部での部門ごとの力関係というか、厚遇のされ方というか、
はたまた個々の研究者がどういう研究態度をとれるかという自由度が
決まる面っていうのも、あるよね、きっと……?
それは、たぶん医学部内部だけの問題ではなくて、
今の日本でも、
文科系学部の研究者の方々がなかなか思い切った研究や発言ができにくくなっている
要因の一つでもあるように思うのですが……。
http://alexschadenberg.blogspot.com/2011/02/windsor-couples-appeal-dismissed-to.html
当ブログが拾った09年10月段階の「無益な治療」事件一覧はこちら。
その後、Isaia事件、Baby RB事件、Betancourt事件。
障害者基本法改正(案)への、全国「精神病」者集団の意見書。詳細。国連障害者権利条約の考え方について、理解が曖昧なので、すごく勉強になる。
http://www.jngmdp.org/announcement/972
これも日本。コンピューター監視法案なるものが今国会に提出予定とか? リンクの下のブログ主が、メディアがこの法案をスルーしている、と。
http://takearteazy.wordpress.com/2011/01/25/0124report/
http://kuronekonotango.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-742a.html
英国の人気テレビドラマが、主人公の一人に自殺幇助を希望させるストーリー展開で話題になっている。
http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1359705/Emmerdales-Jackson-Walsh-set-die-controversial-assisted-suicide-plotline.html?ito=feeds-newsxml
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5iDxUZ1QedO1ppRoeVU2uoJwLEEDA?docId=N0092011298370805989A
オバマ大統領の医療制度改革への亡きケネディ上院議員の悲願の置き土産だった、障害者の地域介護支援策(18歳以上の勤労者に介護保険購入費用を助成する策)は、大幅変更しなければ財源が足りない、という話が出てきている。
http://www.nytimes.com/2011/02/22/health/policy/22care.html?_r=2
ゲイツ財団のメディア・コントロールについては、こちらのエントリーで書いているけど、その状況に対してSeattle Timesが、ゲイツ財団からの助成金はジャーナリズムの独立性を損なっているのでは、と問題提起の記事を書いている。:でもね~、誰よりも先にゲイツ財団の御用新聞になり、誰よりも長く独立性を書いた報道をしてきたのは、そのSeattle Timesだからして。
http://blogs.forbes.com/tjwalker/2011/02/21/the-seattle-times-asks-does-gates-bill-gates-foundation-funding-of-media-taint-objectivity/
http://www.naturalnews.com/031468_journalism_Seattle.html
G20で、フランスのサルコ時首相がビル・ゲイツ氏に、アフリカのための資金を集めてくれ、と。
http://www.guardian.co.uk/business/2011/feb/18/g20-france-africa-bill-gates
インドの僻地でのポリオとの闘い。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/20/AR2011022001089.html?wpisrc=nl_cuzhead
人造遺伝子で作ったワクチンで重症の肺炎の予防が可能になるんだと。:これ、前にどこかの記事で読んだ「DNAワクチン」のことかな?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/217116.php
英国連立政権の社会保障費カットでNHSのリストラは医師、看護師含め5万人に達する見込み。労働組合から。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/feb/23/nhs-to-lose-50000-jobs?CMP=EMCGT_230211&
キャメロン首相の「大きな社会」銀行構想は、果たして本当に社会保障への民間参入を促すのか?
http://www.guardian.co.uk/society/2011/feb/22/big-society-bank-social-enterprise-ronald-cohen?CMP=EMCGT_230211&
余裕がなくて、ちゃんと内容を把握できていないのだけど、Norman Fostのおひざ元のウィスコンシン州で、知事が大規模な予算削減による組合つぶしを図って、大規模なデモが起きている。クルーグマン氏が、知事は予算の問題だというふりをしているけど、なに、権力の問題、と。もう一つのNYTの記事によると、スーパーリッチの兄弟が知事の救援に駆けつけて、火に油を注いでいるとか。
http://www.nytimes.com/2011/02/21/opinion/21krugman.html?src=me&ref=general
http://voices.washingtonpost.com/answer-sheet/diane-ravitch/ravitch-why-should-teachers-ha.html
http://www.nytimes.com/2011/02/22/us/22koch.html?src=me&ref=general
と、ここ数日、上記WI関連ニュースのタイトルだけ読み流していたら、今日になって、事態はインディアナ州とオハイオ州に広がった、と。:中東で起きていることの縮小版みたいな感じ?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/22/AR2011022205139.html?wpisrc=nl_cuzhead
携帯電話が脳の活動に影響している。:これ、ずいぶん前に否定されたのかと思ってた。
http://well.blogs.nytimes.com/2011/02/22/cellphone-use-tied-to-changes-in-brain-activity/?nl=todaysheadlines&emc=tha23
「安易な薬物療法」を取り上げ、その背景情報を詳細に調べて書いた人がいる。
もちろん精神科医ではなくジャーナリストの粥川準二氏。
「バイオ化する社会 うつ病とその治療を例として」。
これが、たいそう面白かった。
というか
なぜか日本では報じられることのない、ビッグ・ファーマの周辺で起きている諸々について
当ブログが関連のニュースを目につく折々に拾うことで描き出そうとしてきた「大きな絵」を、
粥川氏は、専門家の論文資料を詳細に当たるという方法によって
検証し、描き出そうとしているのだと思う。
しかも、さすがはジャーナリスト。
私が「科学とテクノの簡単解決文化」と、かったるい呼び名をつけてきたものに
見事に簡潔明快な呼び名が与えられている。
――バイオ化。
なるほど~。
「医療化 medicalization」については、
私は“Ashley療法”論争の際、07年2月のSalonの記事で
ある医師からの批判として「これは医療化だ」の発言と出会って知り、
その後の論争の中であれこれ調べるうちに、その意味するところも理解した。
このあたりのことについて粥川氏は以下のように解説する。
医療社会学や医療人類学では、かつて医療の管轄ではなかった物事が医療の管轄に入る現象や社会変容、いわば医療の管轄範囲の拡大を「医療化」と呼ぶ。たとえば医療社会学者ピーター・コンラッドは医療化を「非医療的問題が医療的問題(多くの場合、病いや疾患)として定義される過程」と定義する(Conrad 2007:4)。
アデレ・クラークはその議論をさらに推し進め、一九八○年代半ば以降の生物医療の劇的な変化を踏まえて、医療化を「生物(バイオ)医療化」と呼び直している。
(p.157)
その一部として「遺伝学化」がある。
「遺伝学化」とはカナダの研究者アビィ・リップマンが
「健康問題や社会問題に対する視点において遺伝学が優位になること」に対して
名付けたものだとのこと。
粥川氏は、うつ病治療の遺伝学化に続いて
抗うつ薬の効果の実証研究論文をいくつも当たって「抗うつ薬の神話」を浮き彫りにした上で、
次のように書いて「バイオ化」という言葉を説明する。
筆者はリップマンやコンラッド、クラークらの見解に対してとくに異論はないのだが、生物医療化という現象もしくは社会変容には、医療化という側面だけでなく「脱医療化」と呼んでもよさそうな側面がある。そのとき患者やその予備軍は、治療の対象となっているというより、単にマーケティングや管理の対象となっているだけのように見える。だからここではあえてその点を重視し、暫定的に「バイオ化」という言葉を使ってみたい。
うつ病には何らかの「原因」があると仮定し、それを遺伝子に求めるようなことはバイオ化の典型である。……(略)……しかしうつ病のバイオ化は、うつ病のほかの要因、特に社会的因子への視点をそらしてしまわないだろうか。筆者がとくに懸念するのは、所得や地位などうつ病と関連深い社会的因子への着目がおろそかになってしまうことである。
(p.157)
前半の「脱医療化」というのは、ちょっと分かりにくい感じもするけど、
つまりは医療のネオリベ「えげつないショーバイ」化、ぶっちゃけていえば、
例えば、グローバル強欲金融(ついでに慈善)資本主義に煽られたビッグ・ファーマの
なりふり構わぬ、人命軽視の利益至上主義のことですね。
その裏付けは、粥川氏も何本もの論文を紹介しているし、
当ブログの「科学とテクノのネオリベラリズム」の書庫にも沢山ある。
なぜか日本では報道されることがなく、研究者も手を触れないだけで、「ない」わけではない。
そして、粥川氏もタイトルで「例として」といっているように、
それは実は抗うつ薬だけで起きていることでもなくて、
ワクチンを含む予防医療も“有望マーケット”視されている。
というか、むしろ
訴訟やスキャンダル続きの抗うつ薬のマーケットに儲けの糊代は小さいと踏んだ製薬会社が
ターゲットをワクチンにシフトしてきている、という読みがある。
私は当たっているんじゃないかと思う。
そんなふうに本来、保健・医療の問題であるはずのものを
国際競争における生き残りをかけた各国経済施策の問題にすり替えてしまう構図が
この特集でずっと議論されている①の社会の病理の根本にあるのだとも思う。
①と②と③とが、ぐるりと、そういう繋がり方をしてしまう、
その繋がりこそが最も深刻な今の世界の病理なんじゃないか、とも思う。
そして、それがさらに社会のあり方や共有される価値意識や社会施策の姿勢に影響していく。
いっそう操作主義的な方向へと社会全体を「バイオ化」していく。
上記引用箇所の後半の粥川氏の指摘は、そのことだと思うし、
それこそ“Ashley療法”論争の大きな論点の一つ。
「社会モデル」で「医学モデル」を否定してきた障害当事者らが
「人を変えるな、社会を変えよ」と“Ashley療法”を批判しているのはこういうことだ。
けれど、07年からAshley事件とその周辺で起こっていることを追いかけてくると、
少なくとも英語圏、特に米国の医療は「社会モデル」など一顧だにするつもりもないままに、
法や福祉や教育など医療以外の分野の知見など取るに足りないとばかりに排斥し、
(Norman Fostらの司法介入への激しい忌避を考えると、
ある意味、医療が”シビリアン・コントロール”を拒絶し始めていると言えるのかも?)
むしろ障害当事者を強引に医療化、バイオ化の対象に引きずり出し
それによって身体(臓器も含め)のみならず、生命にまでも
その一方的な支配を及ぼしていこうとしているように見える。
生まれてくる前から医療によって選別され、
(詳細は「新・優生思想」の書庫に)
病気になったり障害を負った際には
「生きてもよい人」と「生きる価値がない=生きてはいけない人」を医療が選別し、
(詳細は「無益な治療」の書庫に)
遺伝学と脳科学と、その他もろもろの“科学的エビデンス”によって、
(そこには「ない研究は、ないという事実そのものが見えなくされる」イルージョンがある)
病気や障害のリスクの高い「予備軍」が選別され、
その中からさらに
科学とテクノで救済(改造あるいは治験対象者化も含め)可能な予備軍と不能な予備軍とが選別されて、
後者は生きるに値しない命として葬られていく。
バイオ資材としての有効利用の可能性に応じて、
貴重な臓器を無駄にしない葬り方によって――。
予備軍に過ぎない段階で――。
遺伝学化、脳科学化、バイオ化による操作主義の、
まさに、昨日のエントリーで書いたメディカル・コントロールの時代――。
Norman Fostが頭に描いているのも
Julian Savulescuが思い描いているのも、
たぶん、そういう世界であり、そういう未来――。
斎藤環氏のいう「操作主義」が精神科臨床にまで及び診断文化そのものが変容している、と
いろんな人がいろんな言い方で指摘していること。
その象徴として何人もが「操作的診断基準」と呼んで言及しているのが
米国精神医学会の精神障害の診断と統計の手引きであるDSM。
熊木徹夫という精神科医は「『らしさ』の覚知 診断強迫の超克」という文章で
DSMが隆盛を誇るようになってから、精神科医から“洞察”が失われ、
「精神科医の感性、ひいては精神科臨床の土壌自体がやせ衰えてきた」(p.124)
と書いている。
それは、ちょうど、なだいなだ先生が「こころ医者」と呼ぶ姿勢とか眼差しが
若い精神科医から失われつつあるということなのだろうな……と私は考えつつ読んだ。
熊木氏が“洞察”という言葉を使っているのも、私には興味深かった。
操作的な思考回路の典型みたいなトランスヒューマニストたちの言説に触れるたびに、
私が感じてきたのも、そこには「知恵がない」ということであり「洞察がない」ということだったから。
鈴木國文という精神科医は
「『うつ』の味 精神科医療と噛みしめがいの薄れた『憂うつ』について」という論考で、
まずは、やはり病態が変わったのだろうとの見方を示した後に、以下のように書いている。
DSM-Ⅲが出たためにこう変わったとよく言われますが、DSMが科学論として出てきたからこう変わったというよりも、むしろDSMを歓迎する文化が精神科医療の側にすでにあった、あるいは、DSM的なものの考え方への文化的な変容が社会全体の中にすでにあったからDSMが出てきたのだと私は考えています。
(p.85)
鈴木氏は、そのように現在の精神科医療が変化してきていることから、
文化の側面で神経症的な心性に目を向けてきた「神経症文化」が衰退して、
若い精神科医の間に「広汎性発達障害文化」が広がっている、
その文化が旧世代にできない支援を可能にする面も否定はできないが、
DSMのような診断マニュアルの普及も、そうした文化の一端ではないか、と考察する。
そして、それらの現象が、
「『発展』と『スピード』以外に方向性の見えない」「自由と競争の社会」の
「脆弱性」や「不安定性」と深くかかわっている、と指摘する。
この部分を読んで、
赤ちゃんのオムツは親が替えるよりもロボットが替える方が衛生的だから良い、と
主張する児童精神科医が日本にも既に出現していることを知った時の驚愕を思い出した。
考えてみれば、例の「デジタル・ネイティブ」みたいな頭と感性の世代が
医療を含めた科学とテクノや経済に留まらず、
司法や教育や様々な専門分野をこれから担っていくわけで……
その未来的な意味に思いを致すと、しばし、恐ろしさに茫然となる。
「科学とテクノで簡単解決バンザイ文化」の最先端を突っ走る米国で
大学生たちがADHD治療薬をスマートドラッグとして使っていることや
上記の日本の児童精神科医の方も、安全性と経済性さえクリアできれば
スマートドラッグとして使うことにまったく抵抗感がないように見えたこと、
日本の精神科医の3割程度がそれを肯定するだろうと推測されていたことを考えると、
社会の変容(「病理」との捉え方も私たち“過去の遺物”世代のノスタルジーか?)があり、
その変容がそのまま精神医療の変容をもたらし、
そこに樫村愛子氏がいう「DSM診断思想に見られる安易な薬物療法」が出てくるのも、
必然といえば、たいそう分かりやすい必然なのかもしれない。
この特集に寄稿している精神科医の方々は
総じてSSRIを始めとする抗ウツ剤等での製薬会社のマーケティング戦略(“陰謀説”)について
何らかの形で触れつつ、自分個人としてはそれに与することを
(または与していると読まれることを)避けておられるけれど、
精神科医療から洞察を失わせ、DSM的な操作主義で塗り替えていく
グローバルな自由と競争の社会の病理(変容)の背景には
かつてのゼネコン然とした巨大製薬会社の存在が否定できない以上、
社会経済と精神科医療と薬とは、ぐるりと回って繋がり絡まり合ってもいるのだから、
そうした社会の病理と精神科医療の文化の変化だけを言い、
薬物療法偏重の背景についてだけは精神科医の方々が口をそろえて否定されることには、
却って不自然な印象を受けてしまう。
ちなみに「安易な薬物療法」とズバッと書いた樫村愛子氏は社会学者。
ホテルで読み始めたら面白くて、一気読みになった。
現代思想 2011年2月号 特集 うつ病新論 双極Ⅱ型のメタサイコロジー
もちろん、デリダだハイデガーだフーコーだラカンだガタリだドゥルーズだと
「わしらと同じ教養なき者は去れ」的トーンの議論の部分には、
いつもながら全くお手上げで、といって去ってしまうわけにもいかず、
自分は見たことがない連続ドラマの話を
「まさかマリコがトオルを捨てるなんてねぇ」
「しかもサチにまで、あんなひどいこと言われて」
「でも、ほら、前にトオルのメールをカオルが盗み見た時に……」などと
目の前の友人たちに延々と盛り上がられて、おいてきぼりをくらったまま、
退屈を押し隠し、じっと耐えながら話題が変わるのを待っている……
みたいな気分になるのだけど、
そういう部分(半分くらいが、そうだった)を無視して、
あれこれ細かい部分も、この際すっとばし、概要だけを、
私の個人的・一方的な読み方で大胆不敵にまとめてみると、
「新型なんてのも含め、なんで突然うつ病患者が増えたのか」
問題の背景を巡り、大雑把にいって以下の3つについて、
いろんな人がいろんなことを言っている。
① 社会の変容・病理
② 治療文化の変容
③ 抗ウツ剤を巡る製薬会社のマーケティング戦略(陰謀説)
(ただし「陰謀説」という文言は、たぶん斎藤環氏のみ)
私はこれまで①と③については考えてたけど、
②の治療文化の変容というのは盲点だった。
もちろん、3つはそれぞれに独立しているわけではなくて、
それぞれに輻輳しているわけで、
まず内海健という人と大澤真幸という人が
「うつ病の現在性 『第三者の審級』なき主体化の行方」という対談で言っている1つは
世の中に人格が未成熟な人が増えたために、
管理職とか親とか、下位のものに対して権威のある存在が
以前の社会では引き受けていた「第三者の審級」(私の理解と言葉で言うと「オトナ役割」)を
果たせなくなってしまっている。
それで、部下や子どもたちは本来なら背後で(方便も含めた)責任を引き受けてくれる存在を失い、
自分が責任を負うだけの力が身がつかないまま(これはオトナ役割の人がいて初めて身につく)、
その相手から逆に名目だけの選択とそれに伴う自己責任を迫られるという
かなり酷いハメに陥っている。そういうのが今の社会病理である、と。
(すみません。お2人の議論は、もっと複雑かつ深遠です。
ここでは、あくまでもspitzibaraの理解と言葉によるまとめ。以下も同じ)
斎藤環氏は
「目的や価値のいかんにかかわらず
『コントロール可能な状態』を維持することのみを偏重する態度」を
「操作主義」と呼び、
この操作主義に取り込まれることによって、
人は過剰な同調性を強要され、主体を失い、混乱し疲弊する、と指摘する。
ちょっと我田引水ではあるのだけど、いずれも
当ブログで「世の中が虐待的な親のような場所になっていく」と表現したのと
同じことを言っているような気がした。
人格が未成熟な親や大人のニーズに奉仕させられる子どもは
ダブルバインド状態におかれ、それによって過剰適応を身につけていく。
そのため、自分と他者との境界があいまいになり、主体を失い、混乱し疲弊する――。
その生きづらさこそ、
アダルトチルドレン(AC)という誤解されがちな用語が
実は見事に掬いとってみせたもの――。
世の中の強者が、過剰に強者らしい振る舞いをしてみせる陰で
実は、自分を客観視したり己の欲望をコントロールできない
未成熟な弱者でしかなくなってしまっているために、
彼らの心の安定のための操作主義が世の中にはびこっていく――。
私自身の理解と言葉で言い換えるとそういうことになるのだけれど、
ここで、ふっと頭に浮かんだのは、
虐待的な親のような場所になってしまった世界で、
親から虐待を受けて育ったACのような生きづらさを抱えたうつ病患者に、
その世界が医療による操作主義で対応しようとするのならば、その診断や治療の姿勢は、
今度は医療のコントロールに対して過剰に同調的になることを要求することによって、
よけいに患者を混乱させ、追い詰めていくのでは……という漠然とした懸念。
もちろん操作主義の文化に染まった人には
そのカラクリは先の①と②がぐるりと繋がった円には見えず、
原因と結果の直線にしか見えないのだろうし、
例えば、クローン牛肉の安全宣言の際にネット上に沢山いたけれど、
疑問を呈する声に対して、自分だって科学者でもないくせに、ヒステリックな上から目線で
「無知なバカに限って危険だと騒ぐ」と問答無用の非難を浴びせていた人たちは
既に過剰適応させられているんじゃないんだろうか。
斎藤環氏は、操作主義のもとで安定可能なのは、
「その都度の欲求が満たされれば満足という」、
「いわば〈動物化〉あるいは〈キャラ化〉した主体」だけで、
そういう主体にとっては現代はむしろ楽園だろう、と書いている。
そして、①と②がそんなふうに繋がっている構図が、実はうつ病と精神医療だけでなく、
“Ashley療法”に象徴される「科学とテクノの簡単解決バンザイ文化」や
その背景にある能力至上価値観、その延長の「能力低ければ生きるに値しない命」価値意識、
さらにその意識に基づく「無益な治療」・「死の自己決定」の議論にも、
そのまま通じていくことが、
本当はさらにコワいことなのだろうなぁ……とつくづく考えさせられた。
http://www.guardian.co.uk/world/blog/2011/feb/22/newzealand-natural-disasters
Chicago Tribune誌に男児包皮切除論争の記事。去年の夏頃に出ていた話の繰り返しで、アフリカのサブ・サハラ地域での調査研究の結果を受けて、これまで効果が不透明としていた小児科学会とCDCがエイズと性病の感染予防効果を認める方向、と。小児科学会当該作業班のDiekemaがここでも発言。:ここでの本当の問題は、Bill Gatesが途上国でのエイズ予防策として包皮切除をやりたいと思いつくと、さっそくのように効果エビデンスが出てきて、たった2本の論文を元に小児科学会とCDCが方針転換をしてみせる、という事態の展開の方だと思う。ゲイツ財団が早産撲滅に乗り出すや、早速に「早産児が社会にもたらすコスト」を計算する研究が続々と出てきたりすることと同じ。この前どこかで誰かが「ビル・ゲイツの医学の学位は彼のゼニ」と言っていたけど、慈善資本家の保健医療に関する一家言には小児科学会やCDCを超える専門性があるらしい。
http://www.chicagotribune.com/health/sc-health-0216-circumcision-20110216,0,5982186.story
2010年7月20日の補遺(エイズ会議でBill Gatesが包皮切除によるHIV感染予防に言及)
Gatesの一声で、男児包皮切除にエビデンスが出てくるわ、小児科学会もCDCも方針を転換するわ(2010/8/16)
包皮切除件数減少を、反対運動のせいだと騒ぐDiekemaのポチ踊り(2010/8/23)
包皮切除でのDiekema発言でNPRラジオに抗議殺到(2010/9/14)
2010年9月15日の補遺
2010年11月20日の補遺
障害者総合福祉法案の議論が、とんでもないことになっている。
随時、詳細に追いかけてくださっているブログから。
http://blogs.yahoo.co.jp/e999jp/61604562.html
http://blogs.yahoo.co.jp/e999jp/61604617.html
http://blogs.yahoo.co.jp/e999jp/61605092.html
この件で声明文、続々。
http://blogs.yahoo.co.jp/e999jp/61606987.html
http://blogs.yahoo.co.jp/e999jp/61606993.html
http://blogs.yahoo.co.jp/e999jp/61607002.html
メディケア患者の5人に1人が退院後一カ月以内に病院に舞い戻っているのは、コスト高になるから、減らしましょう、と。:その方法がどっちに向かったものなのかまでは呼んでいないけど、入院日数の短縮で、病状が安定していなくても患者が返されると聞くようになった日本でも、この問題が起こる可能性には要注意かも?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/21/AR2011022102949.html?wpisrc=nl_cuzhead
脳卒中の治療、発症から2日後まで有効な治療法があるかも?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216914.php
喫煙はアルツハイマー病のリスクを上げます。:昔、喫煙者はアルツハイマーになりにくい、という調査結果がスモーカーの間でもてはやされたことがあった。アルツハイマーになるほど長生きできないからだというオチがついていたけど、血行が悪くなるんだから、なんにしたって良いわけはない。……って、やめられたから言えることなんだけど。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/217075.php
1989年にDNA検査で無実が証明された人のうち4分の1は偽りの“自白”をしていたそうな。なぜ人間はウソの“自白”をしてしまうのか。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216997.php
ゴルバチョフ元ソ連大統領が80歳の誕生日を前に、「エセ民主主義」だとプーチン政権を痛烈批判。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/21/gorbachev-birthday-putin-democracy-russia?CMP=EMCGT_220211&
英国の女性、職場で「ガラスの天井」未だ存在。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/feb/21/women-glass-ceiling-still-exists-top-jobs?CMP=EMCGT_210211&
日本語。ベーシック・インカムについて、懇切丁寧な解説・講演。
http://bijp.net/transcript
旧軍医学校跡を発掘へ 東京・戸山「七三一部隊の拠点」(朝日新聞から)]
アジア・フォーラム東京三多摩 2011/1/6
で、いよいよ、その発掘作業が始まったというニュースが昨日あった ↓
「新宿区戸山の人骨」発掘開始 731部隊との関連指摘も
京都新聞 平成23年2月21日21時35分更新
ウチも朝日新聞をとっているのに
恥ずかしながら、この事件は知らなかった。
自分が知らなかったからというだけで
「大きく報道されなかった」と結論付けるのはどうかと思うけど、
昨日、私がこのニュースを知ったのは、
GuardianのニュースレターのWorld Newsでトップ扱いされていたからで、
日本語メディアからではなかった。
Japan unearths site linked to human experiments
The Guardian, February 21, 2011
1日経って、これ、ものすごく読まれているらしくて、
先ほど20時頃にクライストチャーチの地震のニュースを読んだ際、
ページの右コラムにあるWorld Newsの過去24時間のViewカウント、トップになっていた。
ちなみに、このエントリーを書くための検索で、こんなものがヒットしてきた。
731部隊・・鬼畜たちのその後の職業
731部隊にいた人たちが戦後、どういう職や地位に就いたか、という一覧。
ちょっと息を飲んでしまう感じ。
ミドリ十字の血液製剤問題の時に、そういう話をちらりと聞いた覚えはあるけれど、
まさか、ここまで大挙してズラリと大学、製薬会社や国立衛生研究所へと
みなさんが「ご栄転」の上、その後も日本の医療を担っておられたとは……。
ナチスの医師たちも、そうだったのかしら……。
びっくりするなぁ、もう。
障害児に対する嫌悪感・差別意識を露骨にむき出しにして恥じない、
Ashley事件では親の決定権がすべてという論陣を張り続けている
あの Norman Fost が、Wisconsin大学の児童保護クリニックにも関わっているらしい。
で、この映像で語っているテーマは2つで、無益な治療と児童虐待防止。
まず前半の、無益な治療判断について語っていることの概要を以下にまとめてみると、
「重病の子ども、苦しんでいる子ども」に
命を引き延ばすためのアグレッシブな治療を続けるかどうかの判断は難しいし、
しばしば意見の対立が起こることあるが、
ほとんどの場合、それは事実関係の誤解があるからで、
その子どもの予後をきちんと説明し、
例えば、「その子どもがどのくらい延命されるのかとか、
果たして目覚めて機能し始めるのか」などについて
事実関係が正確に理解されれば、
たいていの人が
「なすべき正しいことが何かは明らかですね」と(治療停止に)同意する……と。
障害児に対する「無益な治療」論に対する批判の論点は
その子どもの延命期間の長短でも、「目覚めて機能し始める」可能性の大小でもなく、
障害を治療停止正当化の論点とする姿勢そのものなのだけれど、
意識的なのか無意識的なのか、Fost は、ゼッタイにその違いが分からない(分かろうとしない)。
ここに見られる、議論の成立そのものを阻む頑迷パターンは
あの成長抑制WG論文の頑迷にそっくり。
成長抑制批判の論点は
障害の重さによって正当化する姿勢そのものなのだけれど、
FostやDiekemaが主導したに違いないWGの論文は、
FostやDiekemaのこれまでの正当化を頑迷に繰り返している。
だって、重症児にしかやらないんだから、問題はないじゃないか、と。
この生命倫理学者が言葉を操作する狡猾さを思うと、ただの頑迷では、もちろん、ない。
Fost はここで「重病の子ども、苦しんでいる子ども」と言い、
「障害」という言葉を一切使っていない。
しかし、その後の「目が覚めて機能し始める」という表現で、
重症の意識障害を念頭に置いていることは明らかで、
その「意識障害」には、もちろん、
Fost の「どうせ重症児には何も分からない」パターンの重症児に対する偏見により、
植物状態から最少意識状態から意識障害を伴っていない可能性が高い知的障害まで含まれている。
「機能し始める」という曖昧な表現は、
聞く人それぞれが障害に対して持っている偏見に応じて、その具体像が変わるだろう。
しかし、そこで喚起される、それぞれのイメージには、Fost によって
「意識がない状態」とか「意識があっても障害がある状態」は「人として機能していない状態」との
価値判断が添加されている。
「どのくらい延命されるのか」と「目覚めて機能し始める」が並列されることによって
「機能していない状態で生きること」は自ずと「延命できない=死んでいること」と等価として提示されてもいる。
何よりも狡猾に仕組まれたイルージョンのタネは
ここで対象にされているのが 「目が覚めて」いない、本当に「意識のない」子どもなのであれば、
それは冒頭で Fost がいう「苦しんでいる子ども」ではないということだ。
ここで Fost が演じてみせている手品は、
「重病の子、苦しんでいる子ども」の、その苦しみを長引かせないために
効果が期待できないアグレッシブな治療はやめることが正しいという論理でスタートしながら、
さりげなく全然それとは別の文脈に持ちこんで、
最終的に意識障害がない重症障害児への治療停止まで正当する結論に落してみせるイルージョン。
(これは、「死の自己決定権」議論でしきりに使いまわされている手品でもある)
そして Fost は後半の児童虐待予防策について語る際にも
同じイルージョンを使う。
自分たちが講じた児童虐待の防止策で
保育所で虐待リスクが高い親を特定し、家庭訪問員を送ったところ虐待が予防できた。
このプログラムによって、虐待を2度と繰り返さないやり方で
子どもを安全な家庭に返すことが可能だと語っている。
彼のプログラムが保育所で選び出すのは「虐待リスク」の高い親なのに
そのプログラムの効果を語る際には「虐待が再発しないように」と既に虐待があった親に話がすり変わる手品。
もともと「ハイリスク」でしかないのだから、
「介入によって予防できた」という効果の証明はできないはずでは?
それになにより「彼ら(誰をさすかかは不明)にはリスクの高い親が分かりますからね」という程度の根拠で
「虐待リスクの高い親」を特定する……って、一体どういう予防プログラム……?
これは、もう 「マイノリティ・リポート」の世界では……?
(もっともビデオはつぎはぎなので、ここにない場面で詳細が語られている可能性はありますが、
「彼らは彼らがどういう人間かを知っていますからね」という Fost の言葉も、多くを語っているのでは?)
「虐待予防」の名のもとに「虐待リスクの高い親」を抽出し監視下に置く
過剰な管理を正当化するために、彼はこんなことを言っている。
小児科医である私のクライアントは子どもですから。
私にとって大事なのは子どもです。
かつて高名な小児科医が言ったことがあります。
小児科医には大事なクライアントが3人いる。
まず子ども。次に子ども。そして最後に子ども。
Ashley事件で親の決定権だけを代弁・擁護してきたNorman Fost がこれを言うのは、
私にはゼッタイに認められない。
Norman Fost が立っているのは、子どもの側でも親の側でも、ない。
彼が立っているのは、医療の側だ。
医療の独裁で子どもの権利を侵害しようとする時には親の決定権を隠れ蓑に使い、
親の権利を侵害しようとする時には子どもを守る小児科医の責任をまとって見せる。
彼にとって大事なクライアントがあるとしたら、それは「医療の権威」そのもの。
そう、きっと、Norman Fost が頭に描いているのは、
医療の論理と権威が支配する世界――。
メディカル・コントロールの時代――。
これまで医療倫理の明らかな侵犯としてきた患者への自殺幇助に関して、
幇助をするかどうかの判断を個々の医師の良心にゆだねる方向に方針転換。
医師会長は
「医師自身に良心の曇りがないなら、我々は非難しない」と。
自殺そのものはドイツでは違法行為ではなく、
本人の医師が明らかな場合に生命維持措置を中止することも違法ではないが、
殺してくれと明白な要望をしている人を殺す行為には
最長5年の懲役刑の可能性がある。
ドイツ医師会は98年に
医師の使命は治癒し苦痛を和らげるだけではなく
場合によっては患者を死なせることが生命を維持する義務に優先することもあると
自殺幇助に対する姿勢を緩和している。
この度、個々の医師の判断を尊重するとのスタンスへと
さらに踏み込んで姿勢を緩和した形。
5月に開催される医師会の年次大会において
死にゆく患者の生命を「積極的に短縮」してはならないとする医師の倫理綱領の
文言をどうするか、さらに議論を続けていく予定とのこと。
ドイツ・ホスピス協会の会長は
個々の医師に自殺幇助の倫理性判断がゆだねられ、医師のジレンマは大きくなった、と。
German Medical Association eases rules on assisted suicide
Deutsche Welle, February 18, 2011
記事の最後に、ほんの申訳のように
ナチスが病者・障害者を「生きるに値しない命」として抹殺した歴史が
ドイツの自殺幇助を巡る議論には影響し続けてきている、と書かれているのですが、
人類歴史の最も大きく、最も悲痛な教訓の一つが
こんなにも早く、目をそむけられ、忘れ去られてしまうのか……。
ナチスの当事国であるドイツ医師会が、他国の医師会に先んじてはいかんだろう……と
このニュースからは、また格別の衝撃を受けるだけに、
そのドイツ医師会が率先して自殺幇助に対する姿勢を転じたということ自体、
今の世の中が向かっていく流れという点では、たいそう象徴的なことなのかも……とも考える。
なにしろ、
科学とテクノの進歩で可能になった人体や生命の操作と
それらから派生し蔓延していく「科学とテクノで簡単解決文化」と、
そこに絡みついたグローバル強欲資本主義利権に煽られる一方の国際競争、
そこで生き残っていくために自国民を資材扱いしたり見殺しにせざるを得ない各国の経済事情
……などなどを背景に、
生殖補助医療・遺伝子診断による障害児出生予防策、
生まれてきても、生きている人が病んでも、重症障害者には治療を拒否する”無益な治療”論、
「ターミナルで耐え難い苦痛がある患者」からどんどん対象を広げていく”死の自己決定”議論、
上記議論の対象者に向かい、そろそろと触手を伸ばしてくる”臓器不足”解消議論などなどが
じわじわと互いの距離を縮めつつ、急速に世界中に蔓延させつつあるのは、
まさに、そのナチスの
「障害のある生は、生きるに値しない命」という価値意識――。
ドイツの医師会がナチスで自国の医師らがやったことへの反省を
こんなにも素早くかなぐり捨てられるのだということを考えると、
その閉鎖された世界独自の論理が独走・暴走しないためには、
医療にも、軍と同じで、文民統制が不可欠なのだけれど、
上記諸々の事情が絡みあって、今や、それが無効化されつつある……ということ……?
Norman Fostらが司法の介入を忌避し、
医療から司法を締め出すためのアリバイ装置として
倫理委員会を利用しようとしていることに
これまた象徴されるように……?
【関連エントリー】
Dignitasでの自殺者、ドイツ人は500人以上(2009/9/24)
ドイツ最高裁が本人意思なら延命治療停止は合法との判断(2010/6/25)
http://www.spokesman.com/blogs/boise/2011/feb/16/anti-assisted-suicide-bill-clears-senate-panel/
http://www.spokesman.com/stories/2011/feb/16/idaho-moves-ban-assisted-suicide/
http://www.lifesitenews.com/blog/bill-to-clarify-that-assisted-suicide-is-prohibited-in-idaho-unanimously-pa/
Dr. Nitshcke、「死のワークショップ」のため16日にアイルランド入り。ところが、翌日のワークショップには出席者の倍の人数が抗議に集まったとか。:拍手!
http://www.thejournal.ie/controversial-euthanasia-doctor-arriving-in-ireland-for-debate-2011-2/
http://www.lifesitenews.com/news/twice-as-many-protesters-as-attendees-at-dublin-suicide-workshop/
当ブログでも何度か取り上げているEuthanasia Prevention Coalition のニュースレター2月号。6月にカナダで第3回、安楽死と自殺幇助の国際シンポ。去年は確か、Wesley Smithが参加して、光っていた。
http://www.euthanasiaprevention.on.ca/Newsletters/Newsletter115%28February2011%29RGB.pdf
NYで自己啓発講師 Jeffery Locker に通りすがりに頼まれたからと、本人を縛って刺殺した Kenneth Minorの事件については、何度か補遺で拾って来たけど、相変わらず「殺人か自殺幇助か」と筋違いな議論が盛り上がっている。
http://www.cbsnews.com/8301-504083_162-20033382-504083.html
http://www.aolnews.com/2011/02/17/motivational-speakers-death-murder-or-assisted-suicide/
英国NHSで、むちゃくちゃなリストラが始まったらしい。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/feb/17/nhs-hospitals-axeing-frontline-staff?CMP=EMCGT_180211&
宇宙飛行士の就寝中の各種モニターや、飛行士の健康管理などに、日本のロボットが国際宇宙センターに送られる計画があるらしい。地球とツイッターもやるんだそうな。おまけに、若い女性の姿をしている?:これもまた、日本はロボット技術で打って出ていくんだぞ、という科学とテクノの国際競争上のメッセージ? だから介護でも育児でも家事でも、日本の社会のあちこちでの導入も急がなくちゃ。無理やりにだろうと、時期尚早だろうと。だって大事なのは国外へのショーバイのメッセージなんだから。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/16/AR2011021607524.html?wpisrc=nl_cuzhead
http://www.startribune.com/local/west/116204949.html
米国の65歳以上の高齢者のうち、380万人が離婚した男女。介護する人がいないため、離婚した妻が元夫の介護を担っているケースが多いそうな。女性は元夫との間に感情的なつながりを維持しがちだとか、子どもに介護させまいとするからだとか、介護することによって子どもとのつながりを保ったり、介護が女性の自尊心を向上させるからだとか……。:その分析、ちょっと都合が良すぎない?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216293.php
アップルの年次報告で、91人の児童労働があったこと、中国の部品製造工場で137人が毒物中毒の被害にあったことを明らかに。去年、中国の子会社で自殺者が相次いだ問題を受け、今年は工場を特定する情報も隠さなかったとか。
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/feb/15/apple-report-reveals-child-labour?CMP=EMCGT_160211&
ちょうどガウタマ・シンラン・ソリドゥスさんのブログで、チョコレート製造でも児童労働が問題になっていると教えてもらったところだった。
http://blogs.yahoo.co.jp/solidussolidarity/34093125.html
61歳のKristine Caseyさんが35歳の娘の代理母として孫を出産。世界で最高齢の代理出産とのこと。
http://uk.health.lifestyle.yahoo.net/woman-gives-birth-to-her-own-grandson.htm
世界銀行が食糧価格の高騰を警告。
http://www.guardian.co.uk/business/2011/feb/15/world-bank-warns-soaring-food-prices?CMP=EMCGT_160211&
世界は十分な食料を生産しているのか? 食料の高騰は果たして天変地異や新興国の生活水準の変化によるだけなのか? 今回の食糧不足と高騰は08年の食糧危機の延長線上にあるものなのか、それとも全く別のものなのか?
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2011/02/15/is-the-world-producing-enough-food?nl=todaysheadlines&emc=thab1
エネルギー補給ドリンク、子どもには害かも?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216537.php
Cameronの「大きな社会」構想が連立政府による予算削減策の解決になるなんて、Bull Shit……との批判。:日本の介護保険でアテにした“民間の参入”も、結局は現場の首を絞めることに寄与してるみたいだと誰か教えてあげたらいいのに……。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/feb/14/david-cameron-big-society-charities?CMP=EMCGT_160211&
終末期の医療コストは、地域差よりも患者の個人的な要因によって大きく左右される、との研究結果。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216496.php
米軍内の性的虐待と、それを知りつつ目をそむけ、事実上許容している軍内部の文化が問われている。現役・退役兵士の男性2人、女性15人が提訴。
http://www.nytimes.com/2011/02/16/us/16military.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23
表に出ていない資産をカウントすると、ムバラク前エジプト大統領は世界で一番のお金持ち。第2位はビル・ゲイツ氏。
http://topwirexs.com/mubarak-could-be-the-world%E2%80%99s-richest-man/172046/
ゲイツ財団のグローバル・ヘルス部門の責任者って、日本人だったんですね。Tachi Yamada医師。5年間勤めて、このほど引退。
http://www.seattlepi.com/local/6420ap_wa_gates_foundation_yamada.html
あれこれ検索していた中で拾ったオーストラリアの情報。
2006年の秋にオーストラリア検察局から
知的障害のある子どもの不妊手術について全国一律に規制する法案草稿が発表され、
それについて広く意見募集が行われたようです。
基本的には、知的障害のある子どもへの不妊手術については
命にかかわるほどの治療上の必要がない場合には禁じるという方向のように思えますが、
09年10月にオーストラリアの法律事務所から成長抑制に関する法的分析が出てきた時に、
障害児に対する不妊手術に関しても概略がまとめられている中に
この法律が言及されていないこと、
また去年2月のQueenland州の重症児Angelaの子宮摘出の判決でも
このような法律には言及がなく04年の家族法を引いて書かれていることから推測すると、
この法案は法律として成立しなかったのかもしれません。
(Angela事件の詳細については文末にリンク)
ともあれ、非常に興味深い議論があったことは事実のようなので、
Ashley事件に関連した資料としても重要とも思われ、
今すぐに読む余裕もないのですが、一応、資料として以下に。
①これが最終稿なのかどうかはわかりませんが、
とりあえず拾った草稿は、こちら ↓
Children with Intellectual Disabilities(Regulation of Sterilisation) Bill 2006
Western Australia, DRAFT 17
②それに対して障害者団体 People With Disability Australia (PWDA)が提出した意見書がこちら ↓
Submission on the Draft Model Bill to regulate the sterilization of children with an intellectual disability
10 November 2006
③Victoria州弁護士会が提出した意見書がこちら ↓
STERILISATION OF CHILDREN WITH AN INTELLECTUAL DIABILITY
The Victorian Bar, 16 February 2007
④Women with Disability Australia(WWDA)の見解はこちら ↓
Sterilisation of Children with Intellectual Disabitilies
Australian Federation of Disability Organisations, March 2007
同WWDAのキャンペーン・サイトがこちら ↓
Systemic Advocacy on the Unlawful Sterilisation of Minors with Disabilities(2003-2008)
【Angela事件関連エントリー】
豪で11歳重症児の子宮摘出、裁判所が認める(3/10)
Angela事件(豪):事実関係の整理(2010/3/10)
Angela事件の判決文を読む 1(2010/3/11)
Angela事件の判決文を読む 2(2010/3/11)
重症児の子宮摘出承認でダウン症協会前会長・上院議員が検察に行動を求める(豪)(2010/3/13)
Angela事件の判決文はAshley論文と同じ戦略で書かれている 1(2010/3/17)
Angela事件の判決文はAshley論文と同じ戦略で書かれている 22010/3/17)
Ashley事件とAngela事件の接点はここに……?(2010/4/27)
日本の人たちだけじゃなかったみたい。
08年にオプラ・ウィンフリーの番組 Big Give(寄付額を競う番組?)の優勝者となった
Stephen Paletta氏がその賞金で2010年に立ち上げた財団は、
その名もGive Back財団。
Give backとは、自分が稼いだお金を社会に還元すること。
で、この財団の活動目的は、
人々が気軽にgive backできるようお手伝いをすること。
その仕組みはネット上の、
GiveBack It's Your Foundation サイトにある。
このGive Backサイトに登録すると、
無料で自分の“財団”を作ることができ、
その“財団”の資金を自分の選んだチャリティに自由に寄付することができるだけでなく、
サイト内の賛同企業のショッピング・ページで買い物をすると、
代金の3%とか5%程度が購入者の“財団”にキャッシュバックされる。
もちろん、それら個々の“財団”は法律上のホンモノの財団ではない。
公式にはPaletta氏のGive Back財団の資金に組み込まれていて
実際には同財団に寄付され、個々の希望に応じて同財団が寄付行為を代行する仕組みらしい。
言ってみれば、Give Back財団が自分のところの大きな財布の中に
非公式に個々の寄付者ごとの“財団”という名前の小さい財布を作って
ちょっとしたビル・ゲイツ気分を演出してくれる、というもの。
年末にはそれぞれに税務署提出用の証明書も発行してくれる。
悪いことではないのかもしれないけど、
日本のあの「タイガー・マスク」運動に通じる、
なにか素直に受け止められない抵抗感を漠然と覚えて、
すっきりしないまま、ぐるぐるしている。
米国人中流階級や富裕層が、例えば医療制度改革に対して
「貧乏人の医療費をどうして我々が負担しなけりゃならんのだ?」
「そんなのは社会主義だっ」的な反発を露わにしたことを思うと、
Give Backでほたほたするより、いっそ機嫌良く税金を払えば?……と
しごく単純に考えちゃうのだけど、
同時に、でも
「自己決定」とか「個人の選択の自由」などの、もっともらしい立て看板の陰で、
案外にチンケなエゴで、それらの2つの現象は繋がっているんじゃないのかなぁ……という気もして、
どこがどうとはすぐに言葉で筋道立てて説明できないけど、
このGiveBackサイト、なんとなく、あのTea Party運動と、
どこかでビミョーに繋がっているものがある感じがするなぁ……と考えながら、
日本のタイガー・マスク運動について書かれたブログをぶらぶらしていたら、
面白い記事があった。
善意の特攻……タイガーマスク運動の本質
正しくも松枝日記 2011/1/27
Wikipediaのボランティアには違和感を感じないのに、
タイガー・マスク運動にはなぜ抵抗を覚えるのか、という辺りの考察に、
目からウロコ気分だった。
で、最後の数行のあたりを読みながら私の頭に浮かんだのは、
例えば、日本の介護保険で最近、
「公助」よりも「自助」「互助」「共助」がしきりに説かれたり
「地域で支える」と謳ってはサービス給付を削りながら
ボランティア育成・組織化が奨励されていたり、
英国のCameron党首が言っている「大きな社会」みたいなこととか、
総じて、国家という装置の崩壊とか、
それに必然的に伴う社会保障の機能不全、ということに頭が向かった。
すると、
そういうのをもたらしている大元はグローバルな強欲ネオリベ金融資本主義……
……ってところで頭に浮かんだのは、
今朝たまたま目にした、“慈善事業”の世界的権威、ゲイツ財団の
この4半期の収支報告書だかなんだかの情報。
http://www.gurufocus.com/news.php?id=122507
http://online.wsj.com/article/BT-CO-20110214-717391.html
ゴールドマン・サックスの50万株を売却した……とかなんとか……。
だから、慈善資本主義というのは、
結局は「ぐるりと回って繋がっている」ってことじゃないのかなぁ……みたいな……。
もちろん「ぐるりと回って繋がる」方の Give Back の背景にあるのは
決して「チンケなエゴ」なんてカワイゲのあるものじゃない……。
IQが48とされ、中等度の知的障害がある。
同じホームに暮らす男性Kieronさんと性的な関係にあり、
公共の場で子どもたちに性的なジェスチャーを見せることもある。
09年6月に地方自治体が
Alanさんの知的能力の欠如を理由にKieronさんとのセックスをやめさせるべく
法的手続きを開始し、暫定的に禁止命令が出された。
以来、Alanさんは自室に一人でいるとき以外に性的な行動をとることを禁じられている。
このほど非公開の保護裁判所の審理による判決が出され、、
Alanさんには誰ともセックスしてはいけないとの命令が下され、
地方自治体にはこの命令の励行を厳格に監督する責任が負わされた。
Mostyn判事は、
セックスが人間の最も基本的な行為である以上、
法的にも知的にも道徳的にも複雑なケースであることを認めつつ、
セックスのメカニズムと、それに伴う健康リスク、
さらに男女のセックスが妊娠に至る可能性を理解できなければ、
セックスに同意する能力を欠いている、と判断。
Alanさんは子どもはコウノトリが運んでくるもの、
セックスがはしかなどの原因だと信じているという。
「したがって、現時点でAlanには
性的な関係に同意する能力もそうした関係を持つ能力もないと裁定する」
「このような状況では
現在決められているような監督と将来の性行動の予防が
Alan本人の最善の利益であると意見が一致した」
一方、判事は地方自治体に対して
Alanさんがこうした同意能力を獲得するように性教育を行うよう求めてもいる。
Court bans man with low IQ from having sex
The Telegraph, February 4, 2011
こんな理屈がまかり通るようになった日には
知的障害者には、どういう世の中が待っているのか……。
しかも、ここでもまた「本人の最善の利益」が正当化に使われている……。
この前のエントリーの保護裁判所による強制不妊を巡る判断のニュースに
「ナチ時代の再来だ」「次は精神障害者か同性愛者か犯罪者か貧困層か、すべり坂だ」
などのコメントがついていましたが……。
この包囲網の急加速には、ちょっと言葉を失う感じ……。
IQが48とされ、中等度の知的障害がある。
同じホームに暮らす男性Kieronさんと性的な関係にあり、
公共の場で子どもたちに性的なジェスチャーを見せることもある。
09年6月に地方自治体が
Alanさんの知的能力の欠如を理由にKieronさんとのセックスをやめさせるべく
法的手続きを開始し、暫定的に禁止命令が出された。
以来、Alanさんは自室に一人でいるとき以外に性的な行動をとることを禁じられている。
このほど非公開の保護裁判所の審理による判決が出され、、
Alanさんには誰ともセックスしてはいけないとの命令が下され、
地方自治体にはこの命令の励行を厳格に監督する責任が負わされた。
Mostyn判事は、
セックスが人間の最も基本的な行為である以上、
法的にも知的にも道徳的にも複雑なケースであることを認めつつ、
セックスのメカニズムと、それに伴う健康リスク、
さらに男女のセックスが妊娠に至る可能性を理解できなければ、
セックスに同意する能力を欠いている、と判断。
Alanさんは子どもはコウノトリが運んでくるもの、
セックスがはしかなどの原因だと信じているという。
「したがって、現時点でAlanには
性的な関係に同意する能力もそうした関係を持つ能力もないと裁定する」
「このような状況では
現在決められているような監督と将来の性行動の予防が
Alan本人の最善の利益であると意見が一致した」
一方、判事は地方自治体に対して
Alanさんがこうした同意能力を獲得するように性教育を行うよう求めてもいる。
Court bans man with low IQ from having sex
The Telegraph, February 4, 2011
こんな理屈がまかり通るようになった日には
知的障害者には、どういう世の中が待っているのか……。
しかも、ここでもまた「本人の最善の利益」が正当化に使われている……。
この前のエントリーの保護裁判所による強制不妊を巡る判断のニュースに
「ナチ時代の再来だ」「次は精神障害者か同性愛者か犯罪者か貧困層か、すべり坂だ」
などのコメントがついていましたが……。
この包囲網の急加速には、ちょっと言葉を失う感じ……。
知的障害がある女性が明日、帝王切開で出産することになっており、
今日の保護裁判所の判決によっては、
切開の際に卵管結紮による不妊手術が行われるとのこと。
今後の妊娠を防ぐため。
通常、保護裁判所の審理は非公開で行われるが、
この事件を理解することは大きな「公益」になるとして公開に。
(このところ英国では保護裁判所の審理の非公開が問題視されているので、そのためかも?)
保護裁判所への申し立ては女性の地元のNHSトラストによるもので、
避妊に関する意思決定能力を女性が欠いているかどうか、
もしも欠いている場合には不妊手術が認められるかどうかの判断を仰いだ。
女性自身の利益はオフィシャル・ソリシタによって代理される。
障害者団体は
本人同意によらない強制不妊手術は人権侵害であり、
長期的な避妊という選択肢をとるべきだと猛反発。
Women with learning difficulties could be forcibly sterilised
The Telegraph, February 14, 2011
この記事で非常に気になるのは、事件の問題点が
「自分で同意できない患者の重大な医療について国に命令権があるか」と整理されていること。
保護裁判所の権限について、
記事の最後に以下のように解説されている。
Mental Capacity Act 2005によって、
精神科医が知的能力を欠いていると認定した人の医療については
保護裁判所に決定権が与えられており、
その中には永続的植物状態の患者からの
「人工的」栄養と水分の差し控えや中止も含まれる。
また、同意能力を欠いた女性の「妊娠の中絶」も
「実験的または革新的治療」また患者の拘束を要する治療を命じることもできる。
私は専門家ではないし、
MCA(2006年施行)についてもざっとしたことを読みかじっただけなのですが、
2007年当初に読みかじった印象では、この書き方のトーンとは逆で、
同意能力を欠いた人に関する代理決定の手順を定めたMCAの
むしろ例外として、より慎重に知的障害者を保護するために
これらについては裁判所の命令が必要と規定されているのであって、
同意能力を欠いた人へのこうした医療については
「保護裁判所が決めてもよい」とか「国が決めてもよい」というニュアンスで捉えることは
MCAの理念そのものにに反するんじゃないのか、という気がする一方で、
MCAについて読みかじった時に、そもそも、
これはある一定のところまで丁寧な代理決定により人権を重視しつつ、
一定のところでスパッと切り捨てるためのツールになっていくのでは……という
強い懸念を感じたことも同時に思い出す。
2008年のヒト受精・胚法改正議論で「障害児はnon-person」発言が出てきた時に
プロライフのアドボケイトが、MCAについて
障害児・者や弱者を殺すための法律として機能する懸念を言っているし、
その直後に哲学者Mary Warnockの認知症患者に「死ぬ義務」発言があった際にも、
延命治療拒否のための代理人任命ツールとしてMCAに言及する報道があった。
なお、MCAに関するエントリーは ↓
英医師会の後見法ガイダンス(2007/10/29)
英国の医療と法律 とりあえずの日本語情報(2007/10/20)
その他、MCAが関連するニュースについては ↓
リビング・ウィルを逆手にとった治療拒否で安楽ケア受けて自殺(英)82009/10/6)
2010年5月14日の補遺(障害のあるピアニストの代理人任命で、保護裁判所の非公開審理が問題に)
英国の保護裁判所、知的障害ある子宮がん患者への強制手術を認める(2010/5/30)
なお、類似の米イリノイ州での裁判に関するエントリーはこちら ↓
イリノイの上訴裁判所、知的障害女性の不妊術認めず(2008/4/19)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
http://blogs.yahoo.co.jp/taronanase/60287995.html
Bill PeaceがClair Royさんのブログに触発される形で、成長抑制批判を書いている。基本線は批判ではあるけど、この人の書くものにはHastings Centerの非常勤研究員になってから妙なバイアスがかかっているように思えてならない。HCRに掲載された“成長抑制論文”は「センターのジャーナルに掲載された、シアトルこども病院が組織した成長抑制WGの論文」に過ぎないのに、「HCRの結論」と、あたかもへースティング・センターが成長抑制の倫理的妥当性を認めたかのように、書く。去年、自分のブログでは「シアトル・グループの論文」と、それでもまだマシな書き方をしていたくせに。
http://www.thescavenger.net/people/stop-shunning-the-disabled-577.html
スイスで銃による自殺が多いことを憂えた人たちにより銃規制法改正が試みられたのだけれども、26州のうち少なくとも18州の住民が出した答えはNO。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/13/swiss-reject-gun-law-reform?CMP=EMCGT_140211&
2月3日の某インタビューでのビル・ゲイツの発言。「医療が改善されると子どもたちに3つのことが起こる。まず命を救える。これは大きい。次に助かるけど損傷された子どもたちがたくさん出る。脳が発達することのない子どもたちね。最後に、これが一番いいことなのだけど、医療が改善されると親が子どもをたくさん産まなくなる」。:だから医療を改善することが世界人口縮減につながるという文脈なんだけど、その部分に続いて「そういう子どもたちをみんな教育できるのか?」、「そういう子どもたちみんなに仕事をあてがえるのか?」と問うているのは、一見それ以上は深入りしていないように見える第2の障害児の問題に言及しているのか……?
http://www.businessweek.com/magazine/content/11_07/b4215040338427.htm
ビル・ゲイツがCNNのサンジェイ・グプタのインタビューでワクチンに疑問を呈する人たちへの憤りを露わにした件を取り上げたネットサイトのニュース記事に、コメントの1つが「ゲイツは医学の学位があるわけでもないのに、なんでワクチンが安全だと言い切れるんだ?」というものがあり、それに応じる形で別のコメントが「ゲイツの医学の学位はゼニさ」と。:ワクチンの安全性に限らず、世界の保健医療の施策がどうあるべきかを仕切っていく大きな発言資格がなんでゲイツ財団やゲイツ氏個人にあるのか、多くの人が既に疑うこともしないのはなぜか……と考えたら、この人のいうことは然り至言。
http://news.gather.com/viewArticle.action?articleId=281474979049304
このインタビューでのゲイツの「子どもたちを殺している」発言に、Age of Autismが激しく反発。ゲイツ財団とマイクロソフトに抗議の電話をかけようと、呼びかけている。:マイクロソフトに抗議の電話というのは筋違いだと思うけど、「このような極端な表現は、ゲイツが大衆に余り詮索されたくない問題への疑問の声を封殺し、そうした問題から人々の目を逸らせるべく計算されたもの」という指摘には一理あると思う。
http://www.ageofautism.com/2011/02/are-you-a-baby-killer-take-action.html
キャメロン首相が、連立政権の社会福祉予算削減への対応として、ボランティア・ルネッサンスと預金者に社会責任への投資を呼び掛ける「大きな社会」構想について近く語るとか。
http://www.guardian.co.uk/politics/2011/feb/14/david-cameron-big-society-savers?CMP=EMCGT_140211&
キャメロン首相の「大きな社会」構想について日本語の解説記事。:日本の介護保険で言われている「地域づくり」というのが、それにとても近い感じがする。でも、この記事の「大きな政府とはバラマキを行う政府」という解釈は、本当にそれでいいのか? 「それは福祉って要はバラマキよ」というのに等しくはないの?
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100804/240266/?P=2
ワシントンDC首都圏のモンゴメリー郡とプリンス・ジョージ郡で白人人口が激減、一方ヒスパニックの急増でマイノリティ人口がマジョリティに。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/09/AR2011020904310.html?wpisrc=nl_cuzhead
WA州スポケーンで、キング牧師の誕生日を記念するパレード通過ルートで不発に終わった爆弾が見つかった。米国内でのテロリズムでは、と。
http://www.nytimes.com/2011/02/14/us/14spokane.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23
★「ニーズ」と眼差さず、「当事者主権」とまとめず、シノゴノ言いつつ、ジタバタやろう。新雑誌創刊!
「支援」編集委員会 =
井口高志・岡部耕典・土屋葉・出口泰靖・星加良司・三井さよ・山下幸子
「支援」編集委員会【編】
支援 Vol.1
特集=「個別ニーズ」を超えて
________________________________________
四六判並製 180頁 本体1500円 ISBN978-4-903690-71-1
なんの因果か抜き差しならぬ関わり合いをもち、取り乱しつつ関わり続けることを〈支援〉と立てる。そのリアリティに魅入られた者たちが、それぞれの〈現場〉から受けた負債を返済することのその営みのひとつとして、この雑誌は創刊される。
「ニーズ」と眼差さず、「当事者主権」とまとめず、シノゴノ言いつつ、ジタバタやろう。
そのことも(少し気恥かしげに)宣言しておきたい。────編集委員一同(発刊の辞より)
支援者・当事者・研究者がともに考え・書き・読み、制度や学による分断に対して領域を超えゆくことを目指す。やり方・ハウツーを示すのではなく、支援における悩み・葛藤・迷いをそのものとして提示し、そこから見える未来をしつこく問いつづける新雑誌創刊!
【目次】
発刊の辞
特 集 「個別ニーズ」を超えて
かかわりのなかにある支援──「個別ニーズ」という視点を超えて 三井さよ
日々続いていく支援 末永弘
〈支援〉の根拠(エビデンス)? 岡部耕典
「待つ人」になる──身体障害者の介助と時間 前田拓也
「その人らしさ」と「ニーズ」──支援者としての体験を振り返る 伊藤智樹
「その人らしさ」はどこにある? 出口泰靖
支援の現場を訪ねて 1
み・らいず(大阪市) 山下幸子
支援の周辺(コラム) 1
現場への遠近法──〈メディア〉表象のなかの認知症の本人の「思い」 井口高志
座談会 資格は必要か?──ケア・介護・介助と専門性
土屋葉(司会)・山下幸子・星加良司・井口高志
支援の現場を訪ねて 2
井戸端げんき(木更津市) 出口泰靖
支援の周辺(コラム) 2
ティータイムにお茶を 土屋 葉
エッセイ
支援の条件 熊谷晋一郎
リハビリテーションとQOL──主観/客観の裂け目から見える地平 田島明子
健全者・介護者・介助者・支援者をめぐって 渡邉琢
白熱教室?──当事者を講義に呼ぶことについて 井口高志
支援の周辺(コラム) 3
「つなまよ」「つなとま」な人たちのケアや支援 出口泰靖
書 評
今、ここに足をつけて……『知的障害者が入所施設ではなく地域で生きていくための本』(ピープルファースト東久留米著)柳誠四郎
「関係的な問題」を解くということ……『関係の原像を描く』(篠原睦治編著)星加良司
ありそうでなかった、税をめぐる原始的論考……『税を直す』(立岩真也・村上慎司・橋口昌治著)堅田香
創刊までのいきさつは、生活書院代表Tさんのブログに↓
雑誌『支援』を創刊します
生活書院ブログ~今、大事なことを考えているんだ
2011年2月12日
準備が進んでいることは、ちょっと前からなんとなく知ってはいたけど、
詳細が出てきて、わぁ……! と、なにか弾ける感じと共に、ガッテン。
私自身、「海のいる風景」という本の中で
“ケアのココロ”というものがあるとしたら、
それは「気にかかること」「放っておけないこと」
「もちろん、職場の事情や自分の立場や諸々の事情はあるけれど、
にもかかわらず、気にかかって、どうにも放っておけない」ということ……と書いた。
このブログでも、支援サイドから「迎えにいく支援」をはじめ、
障害のある子どもの子育て、介護一般、支援について、これまで書いてきたこと は沢山ある。
「あたしは専門家だからここまでね。ハイさよなら」と言って済ませられないのは
「患者」や「対象者」や「利用者」や「入所者」ではない、「誰か」、「その人」と
関わり合ってしまったからで、そこには、それ以外の人との関わり合いと同じように
実際、「何の因果か」「抜き差しならぬ」としか言いようのないところがあり、
実際、私たち親子は、そういう支援に支えられて、ここまでやってくることができた。
もちろん、そんな関わり合いは互いに傷つけたり傷つけられたり、
支援する側される側、双方ともにくんずほぐれつ、惑乱したり「取り乱しつつ」でなければ
とうていやっていけないものでもあって、
この雑誌の理念の解説は、いちいち言い得て、絶妙だと唸る。……。
(そういえば、そんなふうに熱くコミットしてくれる人や、そういうことを許す余裕が
福祉の財源が細っていくにつれ、現場からどんどん失われていくような気もする……)
それに私もAshley事件や周辺のニュースを追いかけながら、
支援者と当事者との隔たりとか、
当事者と研究者との隔たりとか、
支援者と研究者との隔たりとか、
支援者でも福祉系の支援者と医療系の支援者との隔たりとか
医療系でも整形外科と小児科とか、発達小児と内分泌とか、
はたまた、そういうのとも別種ながら、
また格別の隔たりを感じる工学系とか。
もちろん、それらの背景にいる、いわゆる「ステークホルダー」といわれる人たちとの
さらに、また別格であろうと想像される隔たりとか、
当事者でも障害の特性による隔たりとか
親と本人の間の隔たりとか、家族の間の隔たりとか、
家族の中でも障害に対する捉え方による隔たりとか、
いろいろ溝も分断も大きく深いことを痛感しつつ、
その溝が絶望的に越えがたく思えることに歯がみする思いになることがある。
そうした「支援」の広がりの中に散在・混在する諸々に、
歯切れよく分かりやすく皮相的な議論ではなく、
シノゴノ、ジタバタやりながら、じっくりと腰を据えて取り組もうという……
――すごい雑誌ができる。
女性がW氏を父親とする子どもの代理母となること、
生まれたら即座に夫妻に引き渡すことを非公式に合意。
しかし女性は妊娠中に気持ちを翻し、両者の関係は悪化。
女性は去年7月に生まれた女児Tちゃんの引き渡しを拒否し、
一週間後にW夫妻が提訴した。
1月20日に出た裁判所の判決は、
生後6カ月ともなれば母親との間に絆ができているので、
母親から引き離すことは子どもに多大な害となる。
W夫妻が即座にTを引き取りたいと求めているのは
T自身のニーズに余りにも洞察を欠いており、
Tのニーズ、特に情緒ニーズに、より良く応えられるのも母親である、との理由で
女性にそのまま子どもを育てることを認めた。
判事は
「特に、子どもを妊娠し出産する自然な過程が
子どもへのアタッチメントを生じさせるのだから、
そのために代理母が子どもを手放せなくなる可能性はある」と語り、
このケースでは双方に無責任な行動が見られたものの、
代理母を依頼し請け負うことそのものに、リスクが「大きい」と。
来月、父親であるW氏が子どもを訪問することを巡る暫定契約について
ヒアリングが予定されているとのこと。
Surrogate mother who changed her mind can keep the baby
The Guardian, January 21, 2011
すぐにも引き取りたいというW夫妻は
子どものニーズに配慮がなさすぎる、という下り、
かの有名な“大岡裁き”を彷彿とさせる判決ですが、
明文化した契約が交わされていたケースだったら
話はまた違って来たんだろうなぁ……という気もして、
もしも契約が交わされていた場合には
このケースで判断の根拠とされている「子ども自身のニーズ」よりも
契約内容の方が重視される……ということになるんだろうか。
それでは、契約が交わされている場合には、子どもはモノと同じ扱い……?
というか、そもそも、生まれた子どもを渡すとか渡さないとかの「契約」が
「契約」として有効だというの自体が、なんか、よく分からない……。
それは、代理母そのものが法律で禁じられていないのであれば、
法的にはそういう扱いになる、というだけの問題なんだろうか……?
【関連エントリー】
これが8回目という代理母(2008/3/9)
代理母と付き合い続ける依頼者一家(2008/5/26)
インドの勢力医療ツーリズム(2008/8/12)
「死んだ息子の生死で代理母たのみ孫がほしい」認められず(2009/3/5)
グローバル化が進む“代理母ツーリズム”(2011/1/29)
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216239.php
Oregon州の保健当局が昨年出した尊厳死法の2010年分の実態報告は、十分なデータが集まらない内にまとめられており、医師処方の致死薬で死にきれなったケースの詳細がフォローされていないなど、実態の一部について不透明にする意図が透けて見える、と指摘する声。
http://www.oregonlive.com/opinion/index.ssf/2011/02/doctor-assisted_suicide_annual.html
その報告書については、こちらに ↓
OR州の2010年のPAS報告書 自殺者また増加(2011/1/28)
オーストラリアのDr. DeathことNitschke医師が21日に英国のEastbourneで自殺幇助ワークショップを開催の予定。無料で誰でも参加自由。
http://www.eastbourneherald.co.uk/news/local-news/dr_death_to_hold_suicide_workshop_1_2400913
Nitschke医師はここ数年、英米を中心にあちこちで「死のワークショップ」を開催して歩いている。詳細は、関連の最新エントリーの文末にリンク ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56804815.html
09年7月23日の補遺とか去年2月25日の補遺とかで拾っている事件の続報。09年にNYで自己啓発講師Jeffrey Lockerさん(52)を刺殺したKenneth Minor(38)が、負債を抱えていたLockerさんから殺してくれと頼まれてやったことだから殺人ではなく自殺幇助だと主張している事件の裁判はじまる。:どういう事情であれ、人を縛って刺殺すという行為に、なぜ「殺人ではなく、自殺幇助」という話の余地があるのか、さっぱりわからない。
http://www.dnainfo.com/20110210/harlem/assisted-suicide-murder-suspect-heads-for-trial
http://gothamist.com/2011/02/11/murder_trial_sparks_debate_over_ass.php
離れた場所からでも赤ちゃんの状態を把握できます、というウリ文句の赤ちゃんモニター・ビデオ、コードが首に巻きついて赤ちゃんが窒息死する事故が2件起きて回収へ。:ロボットを始め、テクノロジーの介護や育児への導入を急ぎ過ぎると、犠牲者が出る……と、いつも思う。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216337.php
1月28日、米国フロリダ州タンパでJulie Schenecker(50)が16歳の娘と13歳の息子を射殺。夫は米軍のオフィサー。最近、母と子どもらの間がうまくいっておらず、カウンセリングを受けていたとのこと。
http://www.thedailybeast.com/blogs-and-stories/2011-02-08/julie-schenecker-did-this-mom-kill-her-kids/
この事件を受けて、NYTのコラムニストが、小生意気な思春期の娘・息子への憤りについて共感的に書いている。:去年、NYTで目にしたコラムに、「娘は私のことを批判してばっかりで、ウンザリ。もう我慢ならない。娘のことは見捨てることにした」という内容のものがあって、びっくりした。というか、親の人格的な未熟とか、子どもに対するコントロールとか自分の欲望の優先が、こういう段階にまで来たのか、という衝撃があった。
http://www.nytimes.com/2011/02/12/opinion/12ellison.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=thab1
肥満の子どもに定期的に運動させると思考力がアップして、数学の成績が上がる、という研究結果。:数学の成績が上がるから運動させましょうと言いたいのか、それとも成績が上がるというエビデンスを持ち出さなければ子どもの健康に無関心な親の動機付けができないという発想なのか。どちらであっても研究者の考え方がどこか不健康なような気がするのだけど。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216190.php
村の長老の命令で鞭打ちの刑に処せられて死んだバングラデシュの14歳の少女の事件で、死後の少女の遺体を検視して「傷はなかった」との所見を出した3人の医師を捜査。少女の遺体は墓から掘り出されて改めて解剖したところ、死因は内臓出血。体中が傷だらけで、しかも殺人を思わせる傷だったとのこと。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/10/bangladesh-whipping-three-doctors-investigated?CMP=EMCGT_110211&
英国政府が、発電所がバイオ燃料を使う計画を認めるかどうかの判断を下すところらしい。環境破壊になるから、やめろ、というGuardianのコラムニストのブログ。
http://www.guardian.co.uk/environment/georgemonbiot/2011/feb/10/bristol-biofuels-plant-planning-permission?CMP=EMCGT_110211&
鼻から作った幹細胞を移植することで、幼児期の難聴を改善することができる。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/216126.php
米国で、スモーカーを雇わない医療機関が増えているらしい。生産性があがるし、医療費負担も少ないし、イメージもいいし、ということで。
http://www.nytimes.com/2011/02/11/us/11smoking.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23
http://www.ama-assn.org/amednews/2011/02/07/prsb0209.htm
【関連エントリー】
裁判所が自殺幇助認めたものの、やってくれる医師がいない?(MT州)(2009/4/6)
合法とされたMT州で自殺幇助受けられず子宮がん患者が死亡(2009/6/18)
自殺幇助を州憲法で認められたプライバシー権とするか、2日からモンタナ最高裁(2009/9/1)
モンタナの裁判で「どうせ死ぬんだから殺すことにはならない」(2009/9/3)
モンタナ州最高裁、医師による自殺幇助は合法と判断(2010/1/2)
MT州最高裁の判決文をちょっとだけ読んでみた(2010/1/5)
合法化判決出ても医師ら自殺ほう助の手続きに慎重(2010/1/11)
モンタナの自殺幇助合法化 続報(2010/1/1)
Montanaで最高裁判決後、少なくとも1人にPAS(2010/4/10)
カナダの10代は不健康に向かって死のハイウェイをまっしぐら状態だと警告。:科学が進歩すれば人は健康になる、というのは単なる信仰なのでは? むしろ社会問題を科学とテクノロジーで簡単に解決して済ませてしまおうという文化がはびこることで、社会の問題がより根深くなって、結局は人の健康を蝕んでいない?
http://www.canberratimes.com.au/news/national/national/general/teens-on-deadly-highway-to-bad-health/2070642.aspx?src=enews
ビル・ゲイツがマイクロソフトの株を9億ドル分売却して、様々に憶測を呼んでいる。:ご本人はビッグ・ファーマやらバイオ企業やら、いろいろ株をお持ちだから、ちっとも困らないのだろうけど。
http://www.dailyfinance.com/story/company-news/bill-gates-sells-90-million-microsoft-shares/19835528/
二分脊椎で改善がみられたので、これまで命にかかわる病気の場合に限られがちだった胎児手術が増加しそう。
http://www.nytimes.com/2011/02/10/health/10fetal.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha2
http://www.dailytech.com/Bill+Gates+VaccineAutism+Paper+Killed+Thousands+of+Kids/article20839.htm
http://waronyou.com/topics/absolutely-appalling-disgraceful-rant-by-bill-gates-against-caring-decent-intelligent-people-who-have-the-audacity-to-question-the-effects-of-vaccines/
そのGates、発表したばかりの今年のゲイツ財団の重要課題でポリオを優先したことで、個人的にポリオ完全撲滅にこだわり過ぎて、他の病気対策に資金が回っていないと、批判されている。おなじみ倫理学者のArt Caplanって、子どもの時にポリオをやった人らしい。NYTで「撲滅は無理。せいぜいコントロールできれば」と。:もう30年近く前に留学した時、スポンサーがポリオ撲滅運動をやっている団体だったので、いろいろ耳にしたしポリオワクチンを作った博士の講演も聞いた。それを思うと、すごく不思議なんだけど、30年近くワクチンでポリオと闘ってきて、まだそういう事態なのなら、ワクチンじゃなくて貧困対策の方に支援や資金を振り向ける方が有効だということなんでは……? それでは儲かる人がいないのが問題なのかもしれないけど。
http://views.washingtonpost.com/leadership/light/2011/02/is-bill-gates-wrong-about-polio.html
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-bill-gates-polio-20110131,0,2045514.story
http://www.nytimes.com/2011/02/01/health/01polio.html?_r=1&src=me
ホーキング博士の元妻が、赤裸々に夫の介護生活を書いた本を出して、ひんしゅくを買ったり称賛されたりしているみたい。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/private-pain-of-life-with-stephen-hawking/2069277.aspx
母親が働いていると子どもの肥満率が上がる、という調査結果。:父親がフルタイムで働いていることの影響は? 父親が毎日何時間も残業することの影響は? 父親が失業して母親だけが働いていたら?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215710.php
米国で家計の助けにとアルバイトをする高校生が増えているけど、週20時間以上働くと成績にも素行にも悪影響が出ますよ~。:なんか、ほんと、いっつも思うんだけど、英語圏の学者さんたちにとって、子どもの成績が上がることと問題行動を起こさないことが子育てにおける最重要課題なのね。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215712.php
そうかと思うと、早期教育に投資すると、先行き経済的なリターンが大きいですよ~って。:これも研究者が研究の結果を示して、こう言っているわけです。子育てとか教育って、いったい何なの?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215705.php
ビッグ・ファーマ、そろそろ新しいヒット商品が出てこないと曲がり角なんだって。:だから、世界中でその「新しいヒット商品」にすべく、いろんなものが売り込まれている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215790.php
一人暮らしの高齢者の異常を察知するテクノロジー。:これについては既にパッケージ商品化されているものがいくつもあって、去年、ちょっと調べて書いたことがある。こちらに。結構すごい。技術そのものは大したものじゃない。すごいと思ったのは、こういう商品が広がっていく背景にある感覚の変化というか、ある種のマヒというか、そういうこと。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215789.php
乳がんで様々な問題が発生するリンパ節切除までやる必要はなかった……という研究結果が出てきたみたい。:治療のエビデンスというのは、所詮はその時々のベストでしかない、というワキマエも、姿勢として持っている必要があるんじゃないかと、重症児の親として、かつて「奇跡の療法」と言われたボイタ法の経験から私はずっと思っているんだけど。あの時、目を吊り上げて我が子を抑えつけながら「あたしがゼッタイに歩かせてみせる」と呪文を唱える母親仲間に、「リハビリテーションって、調べてみたら、まだ出来てから30年ぽっちの学問なんだよ。今やっていることが今から10 年後には間違いだったって話になる可能性だってあると思うよ」と忠告してあげたもんだけど、果たして、その通りになった。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/08/AR2011020806420.html?wpisrc=nl_cuzhead
大ウツの関連遺伝子変異め~っけ。:遺伝子変異とか脳内化学物質バランスとか、なんですかねぇ……。でも、この記事、すごい人気。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215893.php
寿命は遺伝子よりも生活習慣に影響される。:まぁ、そりゃ両方でしょうし。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/215895.php
印刷版が出るのに先立つアブストラクトの公開のようですが、
なにしろ、「臓器提供安楽死」を提唱した、あのSavulescuが
今度はICUにおける無益な治療の一方的な停止を一般化しようと
以下の文章を書いています。
共著者のDominic Wilkinsonって、なんか見覚えがあると思ったら、
やっぱり去年Bioethics誌に「臓器提供安楽死」を書いた時の共著者でした。
つまり
去年「臓器不足解消のため、生きたまま臓器摘出して安楽死させてもいいことにしよう」と
書いた2人の著者が、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止に向けたスタンダード作りを狙い、
「ICUでの無益な治療の一方的な停止をアリにしよう」と。
彼らの意図が
ICUでの「無益な治療」停止による心停止後臓器提供(DCD)にあることは明々白々でしょう。
Knowing when to stop: futility in the ICU
Dominic JC Wilkinson, Julian Savulescu
Current Opinion in Anaesthesiology
Post Author Corrections, 2 February 2011
アブストラクトは
Purpose of review: Decisions to withdraw or withhold potentially life-sustaining treatment are common in intensive care and precede the majority of deaths. When families resist or oppose doctors' suggestions that it is time to stop treatment, it is often unclear what should be done. This review will summarize recent literature around futility judgements in intensive care emphasising ethical and practical questions.
Recent findings: There has been a shift in the language of futility. Patients' families often do not believe medical assessments that further treatment would be unsuccessful. Attempts to determine through data collection which patients have a low or zero chance of survival have been largely unsuccessful, and are hampered by varying definitions of futility. A due-process model for adjudicating futility disputes has been developed, and may provide a better solution to futility disputes than previous futility statutes.
Summary: Specific criteria for unilateral withdrawal of treatment have proved hard to define or defend. However, it is ethical for doctors to decline to provide treatment that is medically inappropriate or futile. Understanding the justification for a futility judgement may be relevant to deciding the most appropriate way to resolve futility disputes.
概要、ざっと、
ICUにおける生命維持治療の差し控えや中止はすでに頻繁に行われているが、
問題は医療職の治療中止の判断に家族が反対した場合で、
その場合にはどうするのが倫理的かというはっきりしたモデルができていない。
また無益概念も一定していないために、議論が混乱してきた。
そこで最近のICUでの無益な治療に関する文献を
特に倫理問題と現実問題から検証しつつ、
無益性判断の正当化理論への理解を深めることによって
ICUにおいて医師らが無益または不適切と考える治療を拒否を認めよう。
そのための然るべき意思決定手順、デュー・プロセス・モデルを提示する。
……といったところか。
つまり、
あちこちに四の五の言わさず、
医師が無益だからダメだと言ったらダメ、というルールを
さっさと作っちゃいましょーよ……ということですね。
それにしても、なんだろう、包囲網が狭まっていく、この加速度の速さは……?
以下のエントリーにもあるように、
臓器提供は安楽死の次には、無益な治療論と繋がっていくぞ……と
当ブログはずっと書いてきましたが、それにしても、
まさか、こんなに早く次々に展開していくとは……。
しかし、この展開こそ、
一方的な医療サイドによる「無益な治療」拒否によって「死の”自己決定”権」議論が成立しなくなるように、
「臓器提供安楽死」を含めた臓器提供における”自己決定”という正当化の土台が
すでに成立しなくなっていることの証左でもある、と私は考えますが。
【Savulescu「臓器提供安楽死」関連エントリー】
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
「腎臓ペア交換」と「臓器提供安楽死」について書きました(2010/10/19)
臓器提供は安楽死の次には”無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
【Savulescu論文で触れられたベルギーの「安楽死後臓器提供」関連エントリー】
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
小児生命倫理カンファレンスを開催しています。
今年は7月22、23日で、第7回のテーマは
Who’s Responsible for the Children?
Exploring the Boundaries of Clinical Ethics and Public Policy
子どもたちの医療はだれの責任か?
臨床倫理と公共施策の限界を探る
カンファの情報ページはこちら。
そこに、このカンファで検討される具体的な問いがいくつか挙げられており、
• Under what circumstances should individual providers or healthcare institutions extend medical care to children whose families cannot pay?
• Do providers' responsibilities extend beyond the walls of the clinic? How do we balance obligations to provide better healthcare with obligations to improve other factors that influence health, such as diet, exercise, housing and education?
• Do providers have an obligation to tell families about healthcare options that are not “available” or will not be provided because of financial constraints?
• Should care to children be prioritized based on social, physical or mental health status?
o Children who have expensive technology-intensive care needs, such as ventilators, dialysis or transplants?
o Children with intellectual disabilities who require special resources, yet will remain dependant on society?
o Children who have mental healthcare needs?
o Children who are undocumented?
• How will healthcare reform affect the goal of providing for the basic healthcare needs of all children?
・家族に支払い能力のない子どもに個々の医療提供者または医療機関が医療を行うべきだとされる状況とは?
・医療提供者の責任はクリニックの外にまで及ぶのか? より良い医療を提供する義務と、食事、運動、住まいや教育など、健康に影響するその他のファクターを改善する義務とのバランスをどのようにとるのか?
・経済的な制約のために「対象外になる」または提供されない治療の選択肢について、家族に知らせる義務が提供者にはあるか?
・社会的、身体的または知的状態に応じて、子どもたちへの医療に優先順位をつけるべきか?
たとえば、
・人工呼吸器、人工透析や臓器移植など高度技術による高価な治療が必要な子どもは?
・特殊な資源を必要とする知的障害があり、社会に依存し続けるであろう子どもは?
・メンタル・ヘルスのニーズ(つまり精神障害?)のある子どもは?
・不法入国・不法滞在の子どもは?
・すべての子どもの基本的な医療ニーズに応えるというゴールに、医療制度改革はどのように影響するか?
もう、一読段階でわわわわっ……と頭の中が疑問だらけになるのですが、
まず漠然と思うのは、
さすがに、主催のTruman Katz小児生命倫理センターは
Ashley事件を正当化し続けるDiekema医師の牙城とあって、
いかにも“Ashley療法”論争の論点がそのままここにもあるなぁ……と。
例えば、
① 本来は社会で解決すべき問題が
最初から医療の中で解決されるべき問題として提起される傾向。
② 障害、特に知的障害に対する根深い偏見と差別。
③ その差別意識が功利主義的な切り捨て医療の正当化に使われる傾向。
最初の①の傾向でいえば、
例えば家族に支払い能力がない子どもへの対応は
最初の問いが前提しているように個々の医療提供者や医療機関の判断の問題ではなく、
米国社会または各州レベルでの社会や行政の課題として対処すべき問題であり、
それがなされていないために個々の医療者が判断を負わされている状況があるなら
それは医療が社会に問題を投げ返すべきなのであり、それをせずに医療の中で
どのような状況では治療をすべきで、どのような状況ならすべきでないかと
個々の判断の問題として提起され、そこに基準を模索する方向の議論が行われるとしたら
それは筋も違うし、不適切なのでは?
もっとも、メディケイドも
メディケイドの対象にはならないけど保険に入れない層の子どもには S-Chipプログラムもあるはずなので、
そこのところの事情は、よく分かりませんが。
(カンファ準備委員会の中にはWA州保健局からも人が出ています)
第2の予防医療の責任に関する問いについても同じことが言えて、
この問題を個々の医療提供者の責任範囲の問題として提起するのは筋が違うと思う。
②については一目瞭然。
あまりにも不快なので今たちまち云々する気になれませんが、
Ashley事件に関して言われてきたことの多くが
ここでも言えるような気がします。
③ についても同様ですが、
こうした問題提起がシアトルこども病院から出てきていることは
決してAshley事件やその背景と無関係なわけではないでしょう。
それについては、
今朝アップしたばかりの以下の2つのエントリーに詳細をとりまとめました。
シアトルこども病院・ワシントン大学とゲイツ財団の密接な関係:グローバルな功利主義・優生主義医療の動き(2011/2/9)
Ashley事件関連資料リンク集 12: 病院・大学とゲイツ財団との関係(2011/2/9)
シアトルこども病院・ワシントン大学とゲイツ財団の密接な関係(2011/2/9)
① ゲイツ財団からシアトルこども病院へのグラント(1997-2004)
http://www.gatesfoundation.org/Grants-1997/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP212.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-1998/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP213.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-1999/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP214.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-1999/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP194.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2000/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP214_01.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2000/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP194_01.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2001/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP214_02.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2001/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP10996.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2002/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP214_03.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2002/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP22523.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2003/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP28304.aspx
http://www.gatesfoundation.org/Grants-2004/Pages/Children-s-Hospital-Foundation-OPP34253.aspx
② ダウンタウンの土地購入に向けたキャンペーンをゲイツ夫人が率いる(2001-2006)
http://community.seattletimes.nwsource.com/archive/?date=20061027&slug=childrens27
http://www.seattlechildrens.org/media/press-release/2006/02/000199/
③ 子ども病院の理事会にはMicrosoft関係者が少なくとも3人
http://www.seattlechildrens.org/about/board-of-trustees/
④ 2007年の子ども病院のGAPPS立ち上げにゲイツ財団から150万ドル。
その後も両者は優生思想の匂いのする早産・死産撲滅運動のパートナー。
http://seattletimes.nwsource.com/html/health/2009199464_births09m.html
http://www.bizjournals.com/seattle/stories/2008/07/28/focus7.htmlhttp://www.medicalnewstoday.com/articles/147293.php
http://www.youtube.com/watch?v=yqQRio1-P6c
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2809%2961762-1/fulltext?&elsca1=Vol.%20374%20Number%209697%20Oct%2010,%202009name&elsca2=email&elsca3=segment
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56163443.html
⑤ 子ども病院とゲイツ財団はワクチン推進パートナー
http://www.gavialliance.org/about/in_partnership/index.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/171360.php
http://www.seattlechildrens.org/research/initiatives/bioethics/events/pediatric-bioethics-conference/2006-pediatric-bioethics-conference/
Diekema医師もワクチンを始め同財団の関心事への発言しきり。
http://archpedi.ama-assn.org/cgi/content/abstract/163/5/432
http://www.michiganlawreview.org/assets/fi/107/vaccination.pdf
http://www.michiganlawreview.org/articles/choices-should-have-consequences-failure-to-vaccinate-harm-to-others-and-civil-liability
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/124/2/813
http://www.bmj.com/content/342/bmj.d2.full
⑥ ゲイツ財団の“私設WHO”、ワシントン大学IHME
http://www.healthmetricsandevaluation.org/
http://www.healthmetricsandevaluation.org/who/director.html
http://www.seattlepi.com/national/358237_globalhealth09.html
http://seattletimes.nwsource.com/html/localnews/2004336312_healthstats09m.html
http://www.grandchallenges.org/about/Newsroom/Pages/GlobalChallengeExplorationsPressRelease.aspx
http://www.grandchallenges.org/MeasureHealthStatus/Challenges/PopulationHealth/Pages/ConsortiumProject.aspx
http://uwnews.org/uweek/article.aspx?id=59923
⑦ ゲイツ財団、ワシントン大学IHMEとLancetのコラボ
http://gateskeepers.civiblog.org/blog/_archives/2008/4/6/3622488.html
http://gateskeepers.civiblog.org/blog/_archives/2008/4/9/3628052.html
http://www.thelancetglobalhealthnetwork.com/
http://www.thelancetglobalhealthnetwork.com/current-calls
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/11/AR2008121103318.html
http://7thspace.com/headlines/299971/global_childhood_immunization_coverage_growing_at_only_half_the_officially_reported_rate.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/47215945.html
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-06/uow--ghf061809.php
⑧ ゲイツ財団について
・ビル・ゲイツの慈善資本主義
http://www.newstatesman.com/society/2008/03/philanthropists-money
http://www.opendemocracy.net/node/36210/print
http://crosscut.com/2008/08/22/gates-foundation/16933/For-Gates%2C-global-health-should-drive-foreign-policy/
http://www.nytimes.com/2008/12/14/opinion/14sun3.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/08/01/opinion/01kristof.html
・世界の保健相に勝手に自任しているビル・ゲイツ
http://www.nytimes.com/2009/12/03/health/policy/03china.html?_r=4
http://www.ndtv.com/news/india/gates-foundation-to-adopt-bihar-village-24783.php
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article6350303.ece
・ゲイツ財団のメディア・コントロール進む
http://www.lambslain.com/2010/10/bill-gates-king-of-world-web-grows.html
http://www.guardian.co.uk/gnm-press-office/guardian-launches-global-development-site
Ashleyに子宮および乳房摘出手術と成長抑制療法を実施したシアトルこども病院とワシントン大学には
ゲイツ財団との密接な関係があり、その関係こそが事件の背景では、と検証を続けてきましたが、
単にAshley事件の背景に留まらない同病院・大学とゲイツ財団の関係や、
そこから派生する世界規模の功利主義・優生主義的な保健医療施策推進の動きが
検証過程で透けて見えてきたので、このあたりで一度それらを簡単に取りまとめてみようと思います。
検証過程については主だったエントリーをリンクしました。
また、それぞれ根拠となる英文資料はそれらのエントリーにもありますが(一部リンク切れも)
別途Ashley事件関連資料リンク集12に、とりまとめました。
① シアトルこども病院は1997年から毎年ゲイツ財団から多額のグラントをもらっている。
04年までの情報では、具体的な金額は毎年1万ドルを基本に、
01年に50万ドル、2002年からの6年間に2000万ドル、04年に6万ドル。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/12574597.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/57736683.html
Ashleyの親からの要望を受けて手術が行われたのは04年。
ちょうど2000万ドルの分割支払いの最中でもあり、
追加で6万ドルのグラントがあった年に当たる。
② ゲイツ夫人のメリンダさんは2001年から5年間に渡って
同病院の資金集めキャンペーンを率いた。
06年に同病院がシアトルのダウンタウンに土地を購入した際にも、
彼女はそれに向けたキャンペーンの先頭に立ち、
キャンペーン発表会では基調講演を行っている。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/12594069.html
Ashleyの親から要望があった時、
シアトルこども病院はゲイツ財団に対して非常に大きな恩義のある立場にあったことがわかる。
③ シアトルこども病院の理事会メンバーには
少なくとも当ブログが確認した08年時点と11年時点では
ビル・ゲイツの妹、マイクロソフト社の役員、同社草創期の幹部の妻と
マイクロソフト/ゲイツ財団の関係者が少なくとも3人いる。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55492869.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62701692.html
④ シアトルこども病院は2007年に早産・死産撲滅に向けたキャンペーン
The Global Alliance for the Prevention of Prematurity and Stillbirth(GAPPS)を立ち上げた。
その際、ゲイツ財団から150万ドルが提供されている。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52225363.html
その後も両者はユニセフ、WHOやMarch of Dimes、PATHなどの団体と協働して、
早産・死産撲滅運動におけるパートナーシップを築いている。
March of Dimesは新生児スクリーニングを推進しており、その
「出生時の障害や早産や死を防ぐことによって子どもの健康を増進する」活動に
象徴されるように、彼らの早産・死産撲滅運動には優生思想が色濃い。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/57563784.html
March of DimesがLancetに発表した早産に関する研究論文にも、
医療費負担軽減目的での早産とそれによる障害児の撲滅意図が見てとれ、
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2809%2961762-1/fulltext?&elsca1=Vol.%20374%20Number%209697%20Oct%2010,%202009name&elsca2=email&elsca3=segment
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56163443.html
つまるところ、GAPPSを中心にした早産・死産撲滅キャンペーンの背景にある理念とは、
以下に述べるワシントン大学IHMEとLancetとゲイツ財団3者による
DALYに基づく世界の保健医療施策コントロールの路線と非常に近似と思われる。
⑤ シアトルこども病院はGAVI(ワクチン予防接種世界同盟)の立ち上げにも関わっており、
ゲイツ財団の主要関心事であるワクチン接種を広めることに非常に熱心である。
GAVIはゲイツ財団からの7億5000万ドルを元に2000年のダボス会議で立ち上げられた。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60982732.html
同病院トルーマンカッツ生命倫理センターは
05年に小児生命倫理カンファレンスを立ち上げ、
第2回に倫理問題としてはさして大きくもないワクチン接種問題をテーマに取り上げた。
http://www.seattlechildrens.org/research/initiatives/bioethics/events/pediatric-bioethics-conference/2006-pediatric-bioethics-conference/
同倫理センター幹部でありAshley事件の担当医でもあるDiekema医師も
ワクチンについて盛んに発言している。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/57393511.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/58264106.html
Diekema医師の倫理学者としての発言をたどると、
ワクチン以外にも、ゲイツ財団の関心事の代弁者の風情が漂っている。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61382794.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61438466.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61611595.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60650786.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61289111.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61254998.html
⑥ ワシントン大学に08年4月に新しく開設された医療経済研究機関
The Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME)には
ゲイツ財団から1億5000万ドルという「同大史上最大の民間資金」が投入された。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/36871163.html
IHMEの公式サイトトップページにも、以下のように書かれている。
The Institute for Health Metrics and Evaluation is generously supported by the Bill & Melinda Gates Foundation and the State of Washington for its core activities.
ハーヴァード大学からIHMEの所長に抜擢された Christopher Murrayは
長年の共同研究者であるオーストラリア、クイーンズランド大学のAlan Lopezと共に
障害を勘案した生存年数DALYを考案した人物。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/36964869.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55315756.html
WHOなどと一緒に、Global Burden of Diseaseプロジェクトを通じて、
医療資源のコストパフォーマンス検証と効率的な分配を進めている。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61414938.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/37136110.html
さらに、ゲイツ財団は英国の有力な科学誌Lancetとも
Global Health Networkキャンペーンで提携し、
ここにIHME(ワシントン大学)も加わった3者の連携が出来上がっている。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/37161928.html
IHMEがワクチン接種や母子保健に関するゲイツ財団の主張に沿った論文を書き
Lancetに掲載される、ということが頻繁に目につくほか、
IHMEに限らず、Lancet誌にはゲイツ財団の関心事周辺の論文が多い。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/47215945.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61414938.html
⑦ ついでに、ビル・ゲイツ・ゲイツ財団がやっていること
ビル・ゲイツの慈善資本主義
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/36451688.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/36791091.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/43082183.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/43042267.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56962992.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/61282467.html
その「世界の保健大臣」としての振る舞いについて
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53306321.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53306697.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/56466230.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/57491438.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60574483.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60574592.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60806661.html
ゲイツ財団はLancetだけでなく世界の主要メディアとの提携によってメディア・コントロールを強めている。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/6191
気になっていたハワイ州の自殺幇助法案ですが、
ヤッホー! なニュースです。
上院保健委員会が4時間半に及び参考人の意見を聞いた末、
全員一致で法案を否決。
参考人の発言は圧倒的に合法化反対だった模様。
ハワイ州では05年、07年にも同様の法案が提出されるも、
今回と同じく委員会で否決されて議会にまで行っていない。
今回で3回目。
Hawaii Legislature scuttles assisted suicide
CNBC, February 8, 2011
Senate panel fails to advance Death With Dignity bill
KGBM and KHNL Home, February 8, 2011