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こちらは事実関係のみ、短くさらりと。


引用は既にお馴染みNHSトラストのスポークスマンの4行と、
Disabled People’s Council のスポークスマンの2行のみ。

記事が出てくるタイミングと各方面のコメント内容からすると、
Alisonに密着していたDaily MailがAlisonから聞いて第一報を打ち、
同じくAlisonとの距離が近かったTelegraphもそれに続いた、
その他は結局2日遅れになったということでしょうか。

この記事の以下の1行と、
Telegraphの1行を比べると、
同じことを書いても
表現によって読者が受ける印象はずいぶん違うだろうなぁ……と。

The Hospital’s decision was welcomed by disabled rights groups.
(Times)

Disabled rights groups said they were “delighted” the operation had been ruled out.
(Telegraph)

本文の煽りも手伝ってのことでしょうが、
後者には「delightedなどと、障害者の人権団体は恥を知れ」とのコメントが入っていました。

        ――――

しかしTimesは去年の10月18日の記事で、
このケースは裁判に持ち込まれて
本人の利益はCAFCASSが代理することになるだろうなどといった
具体的な見通しまで報じているのだから、

今回の決定に至ったプロセスについて
もうちょっと突っ込んだ取材をしてほしいところ。

今後に期待してみますか。
2008.01.19 / Top↑
Daily Mail, Tetegraphと続いた後で
Guardianのこの記事を読むと、
ちょっとほっとさせられます。


まず、このケースの位置づけ方が上記の2紙よりも本質的で、

「これまで法廷で検討されたことはないものの、
 医療と親の権利という根本的な問題を提起した

「この論争によって、
米国のケースが引き起こした強制的避妊手術への懸念が再燃した」と。

Mid-EssexのNHSトラストの決断については、
「適切な臨床上の理由なく行えない」として断ったと書き、
Telegraphと同じくスポークスマンのコメントを紹介していますが、
障害者団体のせいだとするAlisonの主観的な解釈には触れていません。

また、以下のScopeのコメントが紹介されており、
これはDaily Mailが引用したものと同一と思われるのですが、
その引用量には大きな差があります。

これはKatieにとっても両親にとっても明らかに辛い状況であり、
この展開にがっかりしておられることは分かります。

このケースが浮き彫りにしたのは
英国の悲しいほどに不適切な
障害のある子どもたちと家族への支援です。

我々は常に、
臨床上の必要のない
このような性格の不可逆的な処置は
正しい道ではないと考えてきました。
また、このような方法を考えてみる医師が英国にいるということにも
驚きを感じてきました。

記事の大半を割いてAlisonの激しい言葉を延々と並べたDaily Mailが
記事の末尾2行で引用したのは太字にした箇所のみでした。


         ―――――

ところでAlisonはGuardianの取材には応じていないのか
それともGuardianが取材していないのか、
Guardianの記事が引用しているAlisonの言葉は
彼女がDaily Mailに語ったとされる以下の言葉。
ちょっと気にかかる内容です。

Katieの生理が始まったら、
子宮摘出の臨床的な理由があるかどうか
その時に改めて検討してくれるんでしょ。
ということは、実際に始まっても
どうにかしてもらえるまでに
Katieは何ヶ月も痛みや不快を耐えなければいけないということですよね。
2008.01.19 / Top↑
Diekema医師の講演はまだ聴けていないのですが、
Calvin大学の当該サイトに概要がアップされたので、
読んでみました。

内容はだいたい、これまでに言ってきたことの繰り返しですが、冒頭で
Ashleyケースは捻じ曲げられ、誤って伝えられている(distorted and misrepresented)と語っています。

「いや、それをしているのが、アナタでは??」と思うのですが、
1年前にも言っていたように、
身長を抑制したのであって子どものままにしたわけではないと言いたかったようです。


そのほか目に付いた点では、

①自分が倫理委員会の委員長だったと、またウソをついている。
 委員長はWUのシンポに出てきたWoodrum医師でしたが、
Diekema医師は去年1月にもメディアで同様のウソをついています。
詳しくは以下のエントリーに。


②倫理委は親の3つの要望それぞれについて、
 本人に利益があって害がないように、との視点で検討した。

③「これはAshleyの最善の利益だろうか」との問いを検討するに当たって、
 Diekema医師が参照したのは「ミカ書」の6章の8にある3つの原理
正義・善行・謙遜……だったのだそうで。

④自分たちは前例を作るつもりも方針を作るつもりもなかった、
 リーズナブルな人たちでも子どもの最善の利益について合意しにくい問題では
 親に決めさせてあげればいいという結論に至っただけ。

(ここ、微妙にスタンスが修正されているような??
 今後は「Ashleyの最善の利益だと結論した」とは言わないつもりなのですね。)

⑤モラルの面で白黒つけにくい問題で意思決定をしなければならない時には
 勇気と謙遜を行使する必要がある……のだそうで。

⑥優秀な倫理学者は充分に謙虚で、
 批判者の言葉にも進んで耳を傾ける……のだそうで。

(その割りに、この発言の直前には
Ashley療法について指摘された問題点を
ことごとく斬って捨てているのですが。)



あのDiekema医師の、気味悪いほどぬるぬると滑らかで平板な
しかし、どこか人を食ったような語り口調が聞こえてくるようです。

こんな、「いかにも」な言葉をぺらぺらと並べながら
中身は驚くほど何もない講演に対して
聴衆はどういう聴き方をしたのでしょうか。

また、ウソをついている人、
事実を誤魔化そうとする人は
(これまでの同医師の発言がそうだったように)
こうした概要では拾いきれない小さな言葉尻に
ほころびを見せるものだと思うので、
未だに聞けないのがもどかしい……。くっ。
2008.01.19 / Top↑
Katie Thorpeの子宮摘出却下を報じるTelegraphの記事には
今の段階で15のコメントが寄せられています。
最初の1つが「母親には気の毒だけど子宮摘出が答えではないでしょう」
と書いた他は全て、却下の判断への非難と障害者団体たたきです。

論点は概ね以下の3点。

・日々の介護を担う母親が一番よく分かっているのであり、
直接の責任を負わない外部の者にとやかく言う資格はない。

・Katieにはどうせ子どもを生むことなどできないのだから、
 子宮を摘出することで彼女が失うものはない。
逆に苦痛から解放されてQOLが上がるというのに。

・障害者たちにはKatieとAlisonの実際の苦労が分かっておらず、
政治利用するために机上の空論でキレイごとを言っているだけ。

この問題が報じられて以降のメディアの偏向した報道による世論誘導が
完全に成功しているのではないかと危惧される論調ばかりです。

実際のコメントの一部を以下に。

・バカな! 娘の生活がもっと良くなりラクになるというのに、なぜ母親が決められないの?……たまには常識で判断したっていいでしょう!

・このシナリオ全体がそもそもバカバカしいし、人権規定があほらしい行き過ぎを生む例がまた作られたということだ。

・いわゆる障害者の権利団体の意図がいかに価値あるものであるにせよ、ドグマで目を曇らせないでもらいたい。

・障害者の人権団体は“喜んでいる”などと、恥を知れ。

・身勝手極まりない人たち! もしKatieにモノが言えたら、さぞ感謝するでしょうよ。自分には使うこともできない生物学上の機能を維持する代わりに尊厳のない苦しい生活を送る権利があると、あなたたちが飽きもせずに訴え続けてくれたことにね。

・この問題で気に入らないのは社会正義を気取る連中だね。この可愛そうな少女の面倒を見ているわけじゃないのに。この子の母親が死んだ時に、彼らが面倒を見てやるわけでもあるまいに。


【追記】

この人たち、自分の言っていることの半歩先にあるのは
「だから、すべての重症障害女児の子宮を摘出しましょう」
「介護しやすく、背が伸びないように全員にホルモン療法をしましょう」
という理屈なのだということは、考えないでしょうか。

              ―――――

Katieの子宮摘出却下の報道によって巻き起こっている障害者たたきについて、
障害当事者のブログBad Crippleが取り上げています。


私がこれまでに読んだコメントはすべて母親擁護のもので、
障害者と健常者の間にある文化の分断が今なお大きいことを
くっきりと描き出している。

いくつか上記のような激しいコメントを引用した後、

Ashlely事件のDiekema医師が講演を行い、
Katieの母親は戦い続行を宣言するという現在の展開について

こうした展開はとても気にかかるし、
そこに描き出されているのは、
障害者の平等が紛らわしいものであること、
また障害者の平等が苦しい戦いであるということ。

   ――――         ―――

これまでも目だたないところでは続いていた
「トランスヒューマニズム」 vs 「障害者の権利」という構図が

ここにきて
「親の愛情」 vs 「障害者団体のイデオロギーによる抵抗」という構図に置き換えられて
一気に社会全体に広がろうとしているのか……

……という胸騒ぎのようなものを
メディアが煽った、この「空気」に感じてしまいます。

「親の愛情」vs「自分勝手な障害者団体」という
単純な対立の構図に持ち込んでしまいたい人たちが存在する事を
私たちは念頭に置いておかなければならないのでは?
2008.01.19 / Top↑
Diekema講演をライブで聴こうと
睡魔と闘いながら2時半までがんばって起きていたのに、
テクニカルな問題で聞くことができず、
時計を睨みつつ、ジタバタとあれやこれや試みるも
空しく焦り続けて1時間が終わってしまう……。くっ。

このまま寝るのも悲しく口惜しいので
Katieケースで見つけたTelegraphの記事を。


目新しい情報としては
Mid EssexのNHSトラストのスポークスマンが
手術の可否を決める際には個々のケースごとに判断するので、
今回もKatie一家に会って話し合ったが、
それ以上のことは患者のプライバシーなので明かせない、と。

しかし、なぁ……
この記事もまた昨日のDaily Mailと同じく、
偏った報道姿勢が露骨なのです。

なにしろ、いきなり冒頭にもってくるのが
「障害者団体がうるさいので病院が変節した」とのAlisonの主観的解釈。


障害者の権利擁護の立場のコメントも後半で引用されていますが、
その部分の書き出しは
障害者の人権団体は手術が却下されて“喜んでいる”と語った。
という一文。
引用符がついているあたり、
どうも煽りの作為が濃厚ですね。

最初からはっきりとAlison寄りだった2紙が今回の展開を真っ先に報じて、
障害者団体に向けたネガティブ・キャンペーンで先手を打った……
という趣もなきにしもあらずで。

また、簡単に煽られる人たちがいるときて、
記事に寄せられたコメントの激しさにはちょっとびっくり。

Alisonの要望が却下されたことによって
どうやら障害者たたきが始まりそうな気配です。

そうしたヒステリックなコメントについては
Ashley事件でもインパクトのある記事を書いたBad Crippleさんがブログに取り上げているので
それも一緒に改めてまとめようと思います。

(Ashley事件の際のBad Crippleさんのエッセイについては
名川先生のブログに記事があります。)


Diekema講演については
問題を解決した後でArchiveで聞きたいと思っていますが、
今日のところは……寝ます。くっ……。

皆さん、お聞きになれましたでしょうか。
すでにライブで聴かれた方がありましたら、
感想など教えていただけると幸いです。
2008.01.19 / Top↑