Diekema医師は“その後のAshley”についてフォローしていないらしいのです。
なにしろ
「その後の状況を知るために父親とランチを食べた」
というのですから。
「その後の状況を知るために父親とランチを食べた」
というのですから。
父親も「Ashleyは治療以来副作用もなく元気で、本人も家族もハッピー」と答えているのだから、
Diekema医師が言う「その後の状況(how things were going)の中には
Ashley本人の体調も含まれていたのでしょう。
Diekema医師が言う「その後の状況(how things were going)の中には
Ashley本人の体調も含まれていたのでしょう。
ここでもまた、能弁家のDiekema医師は語るに堕ちてしまったようです。
あんな「新奇で物議をかもす(論文の表現です)」療法で前例のない、
従って「効果のほどもリスクも想像する以外にない(同じく論文)」療法を
重い障害のある(つまり通常の子どもよりも脆弱なはずの)子どもに実施しておきながら、
検査を行い、その結果をきちんとフォローしていないなど言語道断なのでは?
従って「効果のほどもリスクも想像する以外にない(同じく論文)」療法を
重い障害のある(つまり通常の子どもよりも脆弱なはずの)子どもに実施しておきながら、
検査を行い、その結果をきちんとフォローしていないなど言語道断なのでは?
様子を知るために、
なぜ当人に会わないで
父親とランチを食べるのか。
なぜ当人に会わないで
父親とランチを食べるのか。
まるで
父親さえ満足してくれていれば
自分としては「めでたし、めでたし」で、
もう本人には興味などないかのように。
父親さえ満足してくれていれば
自分としては「めでたし、めでたし」で、
もう本人には興味などないかのように。
――――――
このインタビューでのDiekema発言には
他にもいろいろ突っ込みたい点はあるのですが、
肝心のライブ講演が間近なので、
この記事については、またおいおいに。
他にもいろいろ突っ込みたい点はあるのですが、
肝心のライブ講演が間近なので、
この記事については、またおいおいに。
2008.01.17 / Top↑
タイトルは「アシュリーの物語を語る(Telling Ashley’s Story)」。
何しろ長いです。
何しろ長いです。
長い割りに内容が空疎だというのは相変わらずなのですが、
Ashleyの父親に関して非常に興味深い話が2つあるので、
まずは取り急ぎ、それについて。
Ashleyの父親に関して非常に興味深い話が2つあるので、
まずは取り急ぎ、それについて。
Ashleyのケースが報道されて論争を引き起こした際に、
いかに多くのメディアから電話がかかってきたかという話を
Diekema医師はここでしているのですが、その中で
いかに多くのメディアから電話がかかってきたかという話を
Diekema医師はここでしているのですが、その中で
Oprah Winfreyが番組で取り上げたいといってきたが、
家族に出演してほしいとの条件だったので、
家族としては
自分たちが何者であるかが他の人に知れるのは
あまりにもdisruptiveだと判断した(それでOprahのオファーを断った)
と語っているのです。
家族に出演してほしいとの条件だったので、
家族としては
自分たちが何者であるかが他の人に知れるのは
あまりにもdisruptiveだと判断した(それでOprahのオファーを断った)
と語っているのです。
Diekema医師は自分の詭弁テクニックに時に溺れるのか、
ここでも語るに堕ちてしまっていますね。
ここでも語るに堕ちてしまっていますね。
そりゃ、Ashleyの父親がマイクロソフトの役員だと分かれば、
さぞかし議論は混乱をきたしていた(distuptive)ことでしょう。
でも、それだからこそ出るべきだったのではないでしょうか?
さぞかし議論は混乱をきたしていた(distuptive)ことでしょう。
でも、それだからこそ出るべきだったのではないでしょうか?
もう1つ。
Diekema医師はこのインタビュー(いつ行われたのか記されていません)の数週間前に
Ashleyの父親と昼食を共にしたと言い、
父親がその時に話したことを紹介しているのです。
Diekema医師はこのインタビュー(いつ行われたのか記されていません)の数週間前に
Ashleyの父親と昼食を共にしたと言い、
父親がその時に話したことを紹介しているのです。
そのポイントを大まかにまとめると、
・Ashleyは例の療法の副作用もなく元気にしており、本人も家族もこの上なくハッピー。
・思い通りの結果になって、やはり正しい決断だった。
・同じような子どもたちにもやるべきだと考えている。
・残念なことは一部の障害者人権団体からの反応。彼らは障害児・者と家族の代弁をしていると主張するが、意見の違う障害児・者や家族も沢山いる。自分で思いを主張することができない子どもたちの意見まで障害者団体に勝手に代表されてしまっている。そういう子どもたちにとって何が最善かを権利擁護団体は分かっていると主張するが、じゃぁ、そういう子どもの親は分かっていないとでもいうのだろうか。
・思い通りの結果になって、やはり正しい決断だった。
・同じような子どもたちにもやるべきだと考えている。
・残念なことは一部の障害者人権団体からの反応。彼らは障害児・者と家族の代弁をしていると主張するが、意見の違う障害児・者や家族も沢山いる。自分で思いを主張することができない子どもたちの意見まで障害者団体に勝手に代表されてしまっている。そういう子どもたちにとって何が最善かを権利擁護団体は分かっていると主張するが、じゃぁ、そういう子どもの親は分かっていないとでもいうのだろうか。
そういう不満をお持ちならば、
ぜひ今からでも一家そろって Oprah Winfrey Show に出られては?
ぜひ今からでも一家そろって Oprah Winfrey Show に出られては?
2008.01.17 / Top↑
15日のGrand Rapids Pressに続き、
今度はKalamazoo Gazett紙が19日のDiekema講演に向けて
Ashley事件の概要をまとめ、
EメールでのDiekema医師とのQ&Aを紹介しています。
今度はKalamazoo Gazett紙が19日のDiekema講演に向けて
Ashley事件の概要をまとめ、
EメールでのDiekema医師とのQ&Aを紹介しています。
What is ethically OK in treating a disabled child? Doctor in controversial case to speak Friday
障害児への治療において倫理的に許されるのは? 問題になったケースの医師金曜日に講演
Kalamazoo Gazett January 15, 2008/
障害児への治療において倫理的に許されるのは? 問題になったケースの医師金曜日に講演
Kalamazoo Gazett January 15, 2008/
全体に、Grand Rapids Pressに擁護色が強いのに対して、
こちらは中立、客観的なスタンスで書かれています。
気になることを含めポイントとDiekema発言を以下に。
こちらは中立、客観的なスタンスで書かれています。
気になることを含めポイントとDiekema発言を以下に。
①事件の概要で気になるのは、
「重症児を在宅でケアしたいと思う親は多くても、
子どもの成長と共に困難になる。
その問題への解決として試みられたのがAshleyへの医療処置」
との捉えかた。
「重症児を在宅でケアしたいと思う親は多くても、
子どもの成長と共に困難になる。
その問題への解決として試みられたのがAshleyへの医療処置」
との捉えかた。
論争以降、他の重症児の親たちとのやりとりから
それもメリットの1つと考えるようになったと親のブログに追記はされていますが
1月の立ち上げ時点では親はむしろ
「在宅介護の時期を延ばすことも介護負担の軽減も目的ではない」と
明確に否定していました。
それもメリットの1つと考えるようになったと親のブログに追記はされていますが
1月の立ち上げ時点では親はむしろ
「在宅介護の時期を延ばすことも介護負担の軽減も目的ではない」と
明確に否定していました。
それなのに
医師らの論文が脱施設を前面に打ち出したからでしょうか、
それとも単に、この方が分かりやすいからでしょうか。
いずれにせよ目的が摩り替わってしまっては、
事件の本質が見誤られてしまいます。
医師らの論文が脱施設を前面に打ち出したからでしょうか、
それとも単に、この方が分かりやすいからでしょうか。
いずれにせよ目的が摩り替わってしまっては、
事件の本質が見誤られてしまいます。
②子宮摘出の違法性を子ども病院自体が認めたというのに、
そのことに触れられていない。
(これは他のメディアも同じです。)
そのことに触れられていない。
(これは他のメディアも同じです。)
③Diekema医師は「倫理委はAshleyへの利益の可能性と、害の可能性を検討した」と
同紙へのメールに書きながら、
両親が挙げた利点を4点挙げるのみで、
どのような害の可能性が検討されたかについては一切触れていない。
同紙へのメールに書きながら、
両親が挙げた利点を4点挙げるのみで、
どのような害の可能性が検討されたかについては一切触れていない。
④地元で拾ったこの事件への反応が引用されており、
これまでに出たものとあまり変わりませんが、
これまでに出たものとあまり変わりませんが、
人権侵害だとの障害者団体の見解のほかに、
ここでは珍しく教育行政の声が拾われているのが出色。
ここでは珍しく教育行政の声が拾われているのが出色。
Kalamazoo地域の障害児教育の責任部局からは
「成長抑制に可能性を見出す親も多いかもしれないが、
子どもが自分で意思表示できない以上、彼らの権利には特に配慮しなければ」
「Ashleyのようなケースの議論では福祉サービスが充分かどうかの検討が不可欠。
支援さえ充分にあれば親も子を小さいままにする必要がないのだから」
「成長抑制に可能性を見出す親も多いかもしれないが、
子どもが自分で意思表示できない以上、彼らの権利には特に配慮しなければ」
「Ashleyのようなケースの議論では福祉サービスが充分かどうかの検討が不可欠。
支援さえ充分にあれば親も子を小さいままにする必要がないのだから」
(やはり教育関係は権利擁護の意識が強いですね。)
また地域のアドボケイトからは
「こういう決定が行われるプロセスをしっかり見て、
地域全体の社会倫理が考慮に入っているかどうかを考えなければ」
「こういう決定が行われるプロセスをしっかり見て、
地域全体の社会倫理が考慮に入っているかどうかを考えなければ」
(生命倫理だの医療倫理だのの議論が
一般の社会倫理と乖離している可能性を指摘しているのは面白いですね。)
一般の社会倫理と乖離している可能性を指摘しているのは面白いですね。)
⑤この記事で初めて知ったのですが、
Diekema医師は出身大学Calvin大の同窓会雑誌Spark2007冬号に
Q&A形式でこの事件について寄稿しているらしく、
その中で以下のように書いているとのこと。
Diekema医師は出身大学Calvin大の同窓会雑誌Spark2007冬号に
Q&A形式でこの事件について寄稿しているらしく、
その中で以下のように書いているとのこと。
これまでの議論においても
都合が悪いこと(倫理委の議論の中身)に話が近づくと
妙に回りくどい言い回しを多用し
いかにも「らしい」言葉を並べながら実は何も言わないという
Diekema医師の詭弁の特徴がここでもはっきり出ています。
都合が悪いこと(倫理委の議論の中身)に話が近づくと
妙に回りくどい言い回しを多用し
いかにも「らしい」言葉を並べながら実は何も言わないという
Diekema医師の詭弁の特徴がここでもはっきり出ています。
The reality is that there were very few if any people on our ethics committee who felt like they knew for certain what to do for this little girl, but we did the best we could.
We tried to do our best to determine what really was going to make her life as good as possible and remain faithful to the notion of treating others well.
実際はどうだったかというと、我々倫理委員会の中で、この小さな少女のためにどうしてあげるのがいいのか、はっきりこうだと確信をもって言える人はほとんどいませんでした。しかし、我々はできる限りのベストを尽くしたのです。
どうしたらこの子の生活ができるだけ良いものにしてあげられるかを見極めようと、また同時に他者には思いやりをもって接っすべしという教えにも忠実であろうと、我々はベストを尽くそうとしたのです。
We tried to do our best to determine what really was going to make her life as good as possible and remain faithful to the notion of treating others well.
実際はどうだったかというと、我々倫理委員会の中で、この小さな少女のためにどうしてあげるのがいいのか、はっきりこうだと確信をもって言える人はほとんどいませんでした。しかし、我々はできる限りのベストを尽くしたのです。
どうしたらこの子の生活ができるだけ良いものにしてあげられるかを見極めようと、また同時に他者には思いやりをもって接っすべしという教えにも忠実であろうと、我々はベストを尽くそうとしたのです。
誰も白黒つけられなかったのに、
「しかしベストを尽くした」ら何故OKということになるのか全く不明。
つまり彼はここでも何も説明していないのですね。
「しかしベストを尽くした」ら何故OKということになるのか全く不明。
つまり彼はここでも何も説明していないのですね。
さらに彼はキリスト教信仰を持つ生命倫理学者として
「神と共に謙虚に歩むwalk humbly with God」べきだと考えており、
「神と共に謙虚に歩むwalk humbly with God」べきだと考えており、
Its important for us to look at the counter-arguments with an open mind because there is always going to be another Ashley, and next time we will have to try to do even better.
反論に対しても心を閉ざさずに眺めていくことが大切です。だって、今後もAshleyは出てきますからね。次の時には今回よりも良い対応をしなければならないわけですから。
反論に対しても心を閉ざさずに眺めていくことが大切です。だって、今後もAshleyは出てきますからね。次の時には今回よりも良い対応をしなければならないわけですから。
宗教色が強いのは大学の性格に配慮したものでしょうが、
つまり、「この先もまだやるぞ」と言っているわけですね。
このような言い方をすることで彼は
既に既成事実化されたと勝手に認証したいのでしょうか。
つまり、「この先もまだやるぞ」と言っているわけですね。
このような言い方をすることで彼は
既に既成事実化されたと勝手に認証したいのでしょうか。
しかし、
病院自身が記者会見まで開いて違法性を認め、
今後5年間は障害者の人権監視団体DRWへの報告義務を負っているはずの、
しかも直接担当した医師が自殺までしている“Ashley療法”について、
どうしてこんなに軽々に語ることができるのか。
病院自身が記者会見まで開いて違法性を認め、
今後5年間は障害者の人権監視団体DRWへの報告義務を負っているはずの、
しかも直接担当した医師が自殺までしている“Ashley療法”について、
どうしてこんなに軽々に語ることができるのか。
「神と共に謙虚に歩む」だなどと……。
調子に乗ってゴーマンかましていると、そのうち天罰が下りますよ。
2008.01.17 / Top↑
これまで当ブログでは
去年1月から2月にかけての“Ashley療法”論争の際に
メディアに登場して両親を擁護した人たちの発言を検討してきました。
去年1月から2月にかけての“Ashley療法”論争の際に
メディアに登場して両親を擁護した人たちの発言を検討してきました。
現在までに「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫にあるエントリーで
とりあげた人物は10人。
とりあげた人物は10人。
この10人の人物像を仔細に眺めてみると、
“Ashley療法”を擁護するためにメディアに登場したり論文を書いた人たちには
はっきりと2つの系譜があるように思われます。
“Ashley療法”を擁護するためにメディアに登場したり論文を書いた人たちには
はっきりと2つの系譜があるように思われます。
1つはトランスヒューマニストたち
または考え方が非常にトランスヒューマニズムに近い人たちで、
10人の中では以下の6人がこの系譜に入ります。
または考え方が非常にトランスヒューマニズムに近い人たちで、
10人の中では以下の6人がこの系譜に入ります。
もう1つの系譜はシアトル子ども病院のいわば「身内」と「お友達」。
10人の中では以下の4人です。
10人の中では以下の4人です。
(それぞれの人物についてはリンク以外にもエントリーがあるので、
詳しくは「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫を。)
詳しくは「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫を。)
論争当時、1つ1つの記事を読むと、
それなりの専門家が出てきてAshleyに行われたことを是としている
という印象を持った人が多かったかもしれませんが、
去年の論争当時に擁護に登場していたのは
実はそのほとんどが「トランスヒューマニスト」と「子ども病院のオトモダチ」。
作為に満ちた極端な顔ぶれだったというわけです。
それなりの専門家が出てきてAshleyに行われたことを是としている
という印象を持った人が多かったかもしれませんが、
去年の論争当時に擁護に登場していたのは
実はそのほとんどが「トランスヒューマニスト」と「子ども病院のオトモダチ」。
作為に満ちた極端な顔ぶれだったというわけです。
―――――――――
そして、この2つの系譜を繋げる人物がいるとすれば、
それはNorman Fostではないでしょうか。
それはNorman Fostではないでしょうか。
シアトル子ども病院の生命倫理カンファのWebcastをいくつか見ただけでも、
Diekemaとその上司 Wilfond の恩師でもあるFostが
同病院とその周辺的な生命倫理の世界で隠然たる力を振るい
影響力の大きな存在であることは充分に感じられます。
Diekemaとその上司 Wilfond の恩師でもあるFostが
同病院とその周辺的な生命倫理の世界で隠然たる力を振るい
影響力の大きな存在であることは充分に感じられます。
今のところ
Fostとトランスヒューマニストらの直接的な繋がりは見つけられていませんが、
スポーツでのステロイド問題、人間の能力強化の問題、障害新生児の切捨てなど、
Fostの主張はことごとくトランスヒューマニズムや功利主義と重なります。
Fostとトランスヒューマニストらの直接的な繋がりは見つけられていませんが、
スポーツでのステロイド問題、人間の能力強化の問題、障害新生児の切捨てなど、
Fostの主張はことごとくトランスヒューマニズムや功利主義と重なります。
そういえば
“Ashley療法”について“専門家”に意見を問うと称し、
Fost、Wilfond、Fraderが部外者のフリを装って顔をそろえた“メール討論”に
場を提供したのはScientific American。
ステロイド問題ではFostをヒーロー扱いでもしそうな
いかにもトランスヒューマンなネットマガジンです。
“Ashley療法”について“専門家”に意見を問うと称し、
Fost、Wilfond、Fraderが部外者のフリを装って顔をそろえた“メール討論”に
場を提供したのはScientific American。
ステロイド問題ではFostをヒーロー扱いでもしそうな
いかにもトランスヒューマンなネットマガジンです。
もしかしたらFostこそ
Ashley事件でキーパーソンだったのでは?
Ashley事件でキーパーソンだったのでは?
【追記】
その後、Norman Fost は トランスヒューマニストのJulian Savulescuと繋がりました。
その後、Norman Fost は トランスヒューマニストのJulian Savulescuと繋がりました。
2008.01.17 / Top↑
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