2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
前のエントリーで Nat Hentoff による Schiavo事件批判を紹介しましたが、

その後編に当たる4月7日の記事内容は
Terriの両親や家族が闘いの過程で設立した財団の活動紹介と協力要請となっています。

テリー・シンドラー・シャイボ財団
The Terri Schindler Shiavo FoundationのHPはこちら
(SchindlerがTerriの旧姓)

「無益な治療」理論に抵抗するためのラジオ番組をスタートするというニュースも最近ありましたが、
「死ぬ権利」ばかりが喧伝される世の中で、
「生きる権利」を訴え続けていこうとしている同財団は

法的代理人制度、医療を巡る代理決定の考え方や予めの意思表示について
啓発活動を行っています。

これについては、私も Ashley事件について眺めてくる過程で、
まったく同じ必要を痛感しているところ。

事件を巡るブログやニュース記事へのコメントを見ていると、
自分で意思決定できにくい人の権利擁護のために
法的代理人制度を始めとする然るべき手続きの存在が知られていないのはもちろん、
そういう人の権利が慎重に擁護されることの大切さがそもそも
ほとんど認識されていません。

そうすると、
本来の「しかるべき手続き」を基準に事実を検証するということがなされないまま

イメージ先行の「常識」によって大雑把な感情論で是非が論じられ
いつのまにか「世論」が盛り上がっていく。

「しかるべき手続き」に対して敢えて知らないフリをして
世論の目をそこから逸らせようとする意図が働いた場合に
世論とは、いかに誘導しやすいものであることか。

(Ashley事件はその典型でしょう。)

シャイボ財団の啓発活動は
「本人の最善の利益」などという非常にいかがわしい言葉と概念が横行している現在、
とても大事なポイントを突いて非常に大切なことだと思います。

また財団が今後やろうとしていることとしてHentoffが紹介しているのは

アラート・システム
Terriと同じような状況に置かれた人を財団や支援者に知らせる機能。

医療センター設立
Terriのように生命維持のためのケアを拒否された人を受け入れる医療機関を作りたい。

法的支援機関の設立
脳損傷の患者への治療停止事案を巡って法律と医療の両面からサポートするシステム作り。


大変な事業です。

Terriさんを救うことができなかったご家族の無念を
自分たちの個人的な憤激に終わらせず
障害への無理解による多くの障害者の切捨て阻止に向けて
積極的に行動される情熱と行動力に敬服します。

しかし財団への大口スポンサーはまだいないとのこと。
マイノリティの権利擁護はやっぱり利権とは無縁だからなのでしょうか?

ゲイツ財団に支援を申請してみたらどうなんだろう……?
2008.04.12 / Top↑
米国民主党の大統領候補Barack Obama上院議員が
Terri Schiavo事件で司法への政治介入は間違いだったと発言したことについて
「Obama候補がShiavo事件について発言」のエントリー(3月2日)で書きましたが、

そのObama発言に対して、
コラムニストのNat Hentoffが2度に分けて批判を繰り広げています。

Terri Shiavo事件を「米国史上最も長い公開処刑」と呼ぶHentoffは
Shiavo事件の本質は関係者に基本的な事実認識ができていなかったことと、
障害者問題についての認識不足だった、と。

Nat Hentoff: Barack Obama vs. Terri Schiavo
By Nat Hentoff
The Sacramento Bee, April 1, 2008

Securing the right to live
By Nat Hentoff
The Washington Times, April 7, 2008

彼の批判の最大の要点は
Ashley事件に関する議論を巡って当ブログが一貫して指摘していることと全く同じで、

無責任にモノを言う前に、事件の事実関係をきちんと把握せよの1点。

特にObama候補は元法学の教授なのだから
事件の事実関係をきっちり調べろと学生を指導したのではないのか、と。

Terri Shiavo(当時41歳)には自発呼吸があり、末期でもなく、
反応もあって植物状態ですらなかったからこそ議会が介入したのであり、

本人は尊厳死を希望していたはずだと主張した夫には
Terriとの結婚生活の間から続いていた愛人がいて
彼女との間に既に子どもが2人もいたし、
93年以降は妻の検査もリハビリも放棄していたのだと。

また全米29の障害者団体がいっせいに批判活動を展開したというのに
彼らの主張するところを本当に分かっていたのか。

事実関係が把握できていれば
これが「死ぬ権利」の問題ではなく
「生き続ける権利」の問題だということが分かったはずなのに、

メディアも事実関係をおろそかに適当な解釈で報道しては、
お互いの誤解や間違いをそのままなぞり続けて……ったく……

…というHentoffの苛立ちは
Ashley事件でのメディア報道のいいかげんさにspitzibaraが感じるのと全く同じ。

Hentoffはさらに
栄養分と水分の補給中止を認めた裁判官たちも
自身で独自に事実関係をちゃんと把握していないと批判。

4月1日の文章の最後で彼がObama候補に呼びかけているのは
障害者について、もっと勉強せよ

Ashley問題については
私は誰よりもDiekema医師に同じことを言いたい。
2008.04.12 / Top↑