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このままAshley事件が前例になって行くのは怖いなぁと思っていましたが、
歯止めとなりそうな判断がイリノイの上訴裁判所によって下されました。

よかった。


子どもの時に交通事故で脳に損傷を負い、
火の始末や家事に単独では不安のある女性K.E.Jさん(29歳)について
法定後見人である叔母から2003年に
他の方法は副作用があるとして
卵管結紮の希望が出されていたもの。

2006年に裁判所(Cook County Probate Court)が却下したので叔母が上訴していたのですが、
18日に上訴裁判所が認められないとの判断を下したとのこと。

3人の裁判官の全員一致。

卵管結紮は自分で同意できにくい人の妊娠を防ぐ方法としては非常に過激であり
もっと侵襲度の低い、心理的悪影響の少ない避妊方法がある、

叔母の主張では手術が本人の最善の利益だとは証明されないというのが理由。

裁判に当たって24人の生命倫理学者を代表して意見書(? A friend-of-the –court brief)を提出した
Northwestern大学のKatie Watson生命倫理学教授は
障害者に裁判所の審理を保障する大変意味深い決定だとし、

今までは後見人と医師との間で決めてしまわれる可能性があったが
 その決定は目に見えるところに出てこなければならない」。

よかった。
本当に嬉しい。
2008.04.19 / Top↑
"Just Another Emperor: the Myths and Reality of Phlilanthrocapitalism"
「新たな帝政:慈善資本主義の神話と現実」という本(著者Michael Edwards)が刊行されたことに寄せて、
著者と同じチャリティ財団に所属し、
かつて英国首相の社会施策アドバイザーを務めたことがあるGeoff Mulgan氏が
open Democracyというサイトに慈善資本主義を批判する一文を寄せています。

The new philanthropy: power, inequality, democracy
By Geoff Mulgan,
Open Democracy, April 10, 2008


ヨーロッパにはまだ本格的に押し寄せてはいないものの、
“暫定的な独占企業”の資金と限られた個人によってコントロールされるアメリカ型巨額慈善事業は
じわじわと英国の経済にも変革をもたらしている。

フォードやカーネギーなどの独占企業が始めた慈善事業が普及した後に、
金融と情報分野が突出する経済構造の変化が
限られた数人の手に富を集中させたものだから、

彼らは“本来の慈善や博愛精神”など全く持ち合わせてなどいないくせに
イメージアップのために慈善事業を始めたのだ、と。

(引用符にした部分、
貴族による慈善事業の伝統が厚い英国人のプライドなのでしょうか?)

しかし、これまで社会変革をリードしてきたのは社会運動と政治であり、
ビジネスは常にそれらのリードに従ってきた。

社会活動は共助と協力の精神と繋がっているもので
本来、慈善や博愛とはつながりを持たない。

市場原理もまた、消費者の側に選択を通じて最終的な権力を持たせるもののはず。

資金の提供者が人々に必要なものを選択する慈善資本主義は
アダム・スミスの市場原理にも理念にも反するものである。

経済分野の権力が、社会分野での権力になり代わってはならない。
異なる分野の原理はそれぞれに独立していることが民主主義の基本である。

        ――――――

ブッシュ政権と製薬会社が
FDAの専門性を盾に薬害訴訟つぶしを目論んでいることや、

医療の世界でFostらによる裁判所軽視発言が見られることからも、

司法は独立どころか存在そのものが危ういところに押しやられつつあるのではないか
という危惧を私は個人的に感じているのですが、

科学の進歩に法整備も倫理上の議論も追いついていないからといって、
このまま勢いに任せて司法がなし崩しに軽視されていったら、
弱い者を守る砦は崩され、社会は本当の弱肉強食世界に陥ってしまうのでは──?
2008.04.19 / Top↑
前に紹介したことのあるGates Keepersというブログで
面白い新語を拾いました。

Bill Chill

ゲイツ財団から支援金や助成金をもらった人々が
そのお金の背後にいるBill Gates 氏の存在にブルってしまって、
財団やゲイツ氏自身から直接何かを要求されるまでもなく
自ら進んでBill氏の意向を忖度・斟酌し、
必要もない自己点検を行ってしまうこと。

(chillというのは冷蔵庫や冷蔵食品のチルドの元単語で
 「さむっ」……ブルッ……とくる、あの感じ。
 転じてここでは Bill にビビッてしまうこと。)

ちなみにGates Keepers は
ゲイツ財団の慈善事業をMicrosoft社の独占による世界支配への手段と位置づけて、

同財団の動向に関するニュース記事やブログ記事に目を光らせ
同財団を見張ろうとするブログです。

そして、
Ashley事件の本質は実はこのBill Chillなのではないか……
というのが当初から一貫して当ブログが提示している疑惑

2008.04.19 / Top↑