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これはちょっと面白い視点。自分で意思決定をする能力をなくした患者の終末期医療では担当医師が治療差し控えの決定をしていることが多いが、医師は案外法律に暗いので、自分がやっていることが本当に合法なのか、知っていなかったりする。で、医師にきちんと代理決定の手続きなどに関する法律を学んでもらうことで、終末期のケアが改善されるのでは、と。英国のニュース。(後でよく考えてみたら、医師は関連法律を知っているとの前提で医療は成り立っているはずなのに……。あ、でも、そういえば、あの射水のドクターも脳死の定義すらロクに知らないで呼吸器はずしてたよね……)
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/154366.php

オーバードースの危険性があるとして痛み止めの認可を取り消したら、患者や医師らにいたく不評だったのだけど、自殺・事故死が350件も減少した、と。まともに読んでないから、ちゃんと書いてあるのかもしれないけど、因果関係、証明できるのかな。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8107546.stm

リタリンが子どもにとって安全なのなら、健康な大人が脳機能を向上させるために飲んだってかまわないじゃないか、と。Manchester大学の生命倫理学者 John Harris。すでに用いている大学生は沢山いる、と。頭がいいだけのトンデモヒューマニスティック・バカがここにも一人。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8106957.stm

米:これ、前にも科学者の内部告発でニュースになっていたけど、ついに政府機関が調査した模様。FDAに報告される多数の医療機器の不備や事故について、FDAの調査がまったく追いついていないまま放置されていることの危険性をGAOが指摘。その直前にProPublicaとChicago Tribune も調査を始めていたという。調査ジャーナリズムを死なせてはならないと考えている人も多い。このGAOって、この前、米国の学校で教師による障害児への虐待が行われていると報告をまとめたところ。こういうお役所、日本だとどこに当たるんだろう? 政府の諸々の仕事のアカウンタビリティを監督する部局って?
http://www.propublica.org/feature/device-complaints-slip-through-the-cracks-at-fda-617

菅谷さんが無罪になった直後だけに、酷さが際立って感じられる。米最高裁が、有罪が確定した後の囚人にDNA検査を受ける憲法上の権利を認めず。一律に憲法根拠の保障はしない、個別に権利を認める判断は州に、という話だと思うのだけど。これまでに全米で17人の死刑囚を含む240人が一転無罪となっているが、こうも科学で覆されると、司法制度に対する信頼そのものが揺らいで困る、という感じも漂っていないこともないような……。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/18/AR2009061801610.html

上の最高裁の決定をNY Times が社説で批判。あいた口がふさがらない。そりゃ、そうでしょう。
http://www.nytimes.com/2009/06/19/opinion/19fri1.html?_r=1&th&emc=th

米上院が250年間続いた奴隷制度を謝罪する決議を全会一致で採択。下院は去年出したらしい。ただし謝罪は保障の問題とは切り離してあるので、その点はまだ不透明。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/18/AR2009061803877.html

大西洋の真上で機長が死亡。副機長二人が遺体を席から下ろして操縦を代わり、見事に予定通りに飛行、目的地の空港に着陸、通常のアナウンス。乗客はまったく異常に気づかなかった、と。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/18/AR2009061801801.html
2009.06.19 / Top↑
以下、4月21日のエントリーの再掲に、
最後に1つ最近のエントリーへのリンクを追加しました。

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夕方のニュースで日本の脳死・臓器移植法改正の問題が取り上げられていたのを機に、
当ブログ開設からの2年間に取り上げた臓器移植関連の海外ニュースをまとめてみました。

日本ではあまり報道されることはありませんが、
世界では(といっても読んでいるのが英語ニュースなので英米が中心になりますが)
こんなことが起こっている……というのを知った上で考えるのと
知らないままで考えるのとでは、
かなり話は違ってくるのではないかと
夕方のニュースを見ながら思ったので。


【Navarro事件 関連エントリー】



【Hannah事件 関連エントリー】



【Kaylee事件 関連エントリー】



【救済者兄弟 関連エントリー】
救済者兄弟:兄弟への臓器提供のために遺伝子診断と生殖補助技術で生まれる子ども



【その他 臓器移植関連エントリー】










2009.06.19 / Top↑
これもまた、脳死・臓器移植法改正 A案可決で、
どうしても再掲したくなった、ついこの4月のカナダの事件。

以下、4月13日のエントリーの再掲になります。

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2人の父親、特に片方が
病院の前で定期的に記者会見を行うがごときメディアへの露出振り。
しかも、饒舌な割りにちょっと支離滅裂で、
事実関係も含めて、よく分からない事件ではあるのですが、

おおよそ、こういう事件だったのではないかと思われるところをまとめてみると、

Jason Wallace と Crystal Vitelli夫妻は、
生まれたばかりの娘Kayleeが重病なため、
トロントの子ども病院でずっと付き添っているうちに

Kayleeよりも少し遅く生まれたLilianの両親
Kevin O’Connor とMelanie Bernard夫妻と出会い、親しくなった。

Kayleeは重症のJoubert 症候群
人工呼吸器をつけているが、いずれにしても長くは生きない。
生き延びたとしても重い障害を負うことが確実視されている。

片やLilianは心臓病で、すぐに移植すれば命が助かる。

そこでKayleeの両親はLilianの両親に
「じゃぁ、うちの子の心臓をあげよう」と申し出た。

それだけでなく、
表に出たがりだったらしい父親2人がメディアにせっせと露出したものだから
たちまちのうちに「美しい命の贈り物」の美談ができあがり、
Jason Wallaceは国民的ヒーローに。

そして4月7日。
近親者がベッドを取り囲んでお別れのセレモニーを行った後に
いよいよKayleeの呼吸器が取り外された。

ところが、Kayleeは死ななかった。
自力で呼吸を続けたばかりか、写真のように元気に生きている。

(再掲したら写真が消えてしまったのですが、
Kayleeちゃんの写真は文末の続報リンクにあります)

8日以降、それでもまだメディアの取材を受けるべく姿を現すWallaceのいうことは
どんどん支離滅裂になってきている感じがするのですが、
以下の記事から、だいたい彼が言わんとしているのは、こんなところか。

どうせ死ぬし、生き延びても重症障害児になるんだったら、
いっそ誰かの命を救って死ぬほうが、この子の命には価値があると思えた。
そういう形で尊厳のある死に方をさせてやりたかった。

でも、呼吸器をはずしても、こんなに元気そうだなんて、ショックだ。

医師は最初の日から「QOLが低い」と、そればっかり言っていたし
診断された直後には栄養と水分を断って死なせるのも選択肢だと言ったり
呼吸器をはずしても死なないと分かった晩にも
「お父さんはもう余計なことを言わずに黙って、
娘さんに尊厳のある死を迎えさせてあげなさい」と失礼なことを言うので
セキュリティがやってくる大喧嘩になった。

結局、医師は娘の心臓が移植に適した状態から外れていくにつれて診断を二転三転させ、
親はそれに振り回されたってことだ。
もう何がなんだかワケが分からない。

自然に死なせてやりたかったのだけど、
このまま元気になるのだったら娘は家につれて帰ってやりたい。
だけど、死ぬんだったら、次に子どもを作る時には出生前遺伝子診断を受ける。
生む前に分かっていたら、この子は生まなかったのに。


この事件で疑問視されている問題は

この移植の判断の妥当性
病院側は最初からLillianはリストのトップだったというが
メディアが煽った世論からのプレッシャーで政治的判断があったのでは、との疑惑。

公平な臓器移植の優先順位の原則
臓器移植はドナーの気持ちではなく「ニーズが切迫している順に」という優先順位の原則は?

・ Kayleeの診断の正確さ
重症と診断されていたはずのKayleeが呼吸器をはずしても元気に生きていることから
医師は「考えていたよりも軽症だったかも」と。




Rushing to judge others
The Toronto Star (editorial), April 10, 2009



イマイチよく分からない感じのする事件なので、
自分としてどう考えるかについては、とりあえず保留なのだけど、
なんということもなく、これを関連エントリーとして挙げておきたい気分になった。

葬式(2009/3/29)


2009.06.19 / Top↑