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Dignitasで揃って自殺した英国の著名指揮者夫妻の件で、スイスへ付き添っていった子どもたちに警察が事情を聞いているらしい。:昨日Debby Purdyさんの件で最高裁が法の明確化が必要との判断を下したけど、その明確化を行うのであれば、これまでDignitasで自殺した115人(指揮者夫婦を除く)のケースを調べなおす必要が出てくるのでは? なぜか今のところ逮捕されているのは、ホモセクシュアルの夫婦のケースで、付き添って行って自殺するのを見ていたパートナーのみ。
http://www.walesonline.co.uk/news/wales-news/2009/07/31/children-quizzed-over-conductor-s-clinic-suicide-91466-24285940/

小児の豚インフルでタミフルに吐き気、悪夢などの副作用。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/health/Swine_flu/article6734056.ece?&EMC-Bltn=CBIC5B

Obama政権の医療改革を巡って議会が紛糾している一方で、生物製剤の遺伝子研究競争からの保護を巡って、なるべく開発資金を回収したい製薬会社と、値段が吊りあがることを警戒する退職者のアドボケイトが熾烈なロビー合戦を繰り広げているらしい。:AARPは潤沢な資金で政治的にも圧力団体になっているけど、障害者のアドボケイトにはお金がない。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/159276.php

苦戦しているObama Careにクルーグマン氏から再び援護。
http://www.nytimes.com/2009/07/31/opinion/31krugman.html?_r=1&th&emc=th

肥満の友達がいるティーンエイジャーは太りやすい。:これは友人を見る限り夫婦間でも言えそうな気がする。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8172258.stm
2009.07.31 / Top↑
「介護保険情報」誌(社会保険研究所)に書かせてもらっている
「世界の介護と医療の情報を読む」という連載から
葬儀屋がホールの裏で遺体から組織を摘出してバイオ企業に流していた米国の事件を
昨日のエントリーで紹介しましたが、

ついでに、2007年1月号で臓器売買について書いた部分を。

★パキスタン

大地震後に瓦礫の山で
臓器泥棒

近年、世界中で大きな災害が相次いでいる。一昨年10月にパキスタンで6万人近い死者を出した大地震もまだ記憶に新しいところだが、実はこの時、冷蔵ボックスを手に瓦礫の山をうろついていた4人の男が逮捕されたことはあまり知られていない。冷蔵ボックスの中には人間の臓器が15個。いずれも瓦礫に埋もれた遺体から盗ったものだった。

しかし、臓器を求めて被災地に群がったのは4人だけではなかった。被災者の中にも生活の困窮から腎臓や目まで売ろうとする人がいて、避難民の間でもブローカーが暗躍したのだそうだ(Times, 05年10月30日)。

昨年秋に四国で臓器売買が問題になった際、渦中の医師は記者会見で「売買に関与したことはない。どうしてもという人には外国に行くよう勧めてきた」と力説した。それが妙に生々しく聞こえたので検索してみたら、いきなり出くわしたのがこの話だった。

災害現場に人が“救出に”ではなく“臓器狩りに”急行するパキスタン。去年11月12日のAP伝によると、自国のメディアにまで“腎臓バザール”とあだ名されている。同記事では本人ばかりか兄弟姉妹7人に義妹5人、甥2人もが腎臓を売ったという女性の話が紹介されている。腎臓を売るという行為が、それほど当たり前なのだ。パキスタンでは売買禁止措置が取られていないため、慢性的な債務に苦しむ農民が腎臓を売る。そしてレシピエントが支払う金額のほんの一部を手にした後、彼らの多くは体調を崩し、さらなる貧困に追い込まれていく……。

★中国ほか

臓器売買は公然の秘密
オークションにまで

お隣の中国には、死刑囚から腎臓を採っているという噂が以前からあった。無責任なデマとして、それを頑強に否定し続けてきた中国政府だが、去年11月ついに死刑囚からの臓器摘出と、その多くが外国人に売られ移植されたことを公式に認めた(LA Times, 06年11月19日)。それに先立つ7月には臓器売買を禁止。移植できる医師や病院も指定すると発表した。その後も臓器提供ネットワークの構築やし刑事犯への監督強化に言及するなど、やっと合法的な臓器提供システム作りに動き始めたようだ。

それもそうだろう。臓器移植ツーリズムで世界中から人が訪れる中国で、移植が必要な自国民1500万人のうち受けられるのは年間1万人程度。金持ち外国人がリストの順番を飛ばす上に、ドナーカード制度がなく脳死を認めない中国では臓器獲得の手段が乏しい。7月までは病院の廊下に売買広告がひしめいていたそうだ(China Daily 06年7月1日など)

イギリスでも02年に臓器売買でインド生まれの医師が有罪になり(Reuters 8月30日)、03年には大西洋を股にかけた臓器売買で、南アフリカとブラジルで14人も逮捕(NY Times, 12月8日)。また、2000年には米オークションサイトdBayに「十全に機能している人間の腎臓」が出品されたことがある。eBay側がそのオークションを削除した時に入札額は25万ドルだった。ネットに“臓器が買える国”として名前が上がっているのは他にもフィリピン、インド、ベルギー、キューバなど。臓器売買は、いまや公然の秘密のようである。

「介護保険情報」2007年1月号 
「世界の介護と医療の情報を読む」(P.88-89)
児玉真美


ここには書けなかったけど、
パキスタンのニュースを読んだ時に、頭をよぎったのは、

もしも、まだ生きていて、すぐに病院に運んだら助かる状態だったとしても、
瓦礫の中から掘り出してくれたのが救助隊ではなく
クーラー・ボックスを持った臓器狩りの一味だったら、
その人は殺されたのでは……?
2009.07.31 / Top↑
英国の裁判制度がよく分かっていないので
私は2月にDebby Purdyさんの件は片が付いたのだとばかり思っていたのですが、
2月は上訴裁判所の判断で、その後、最高裁に持ち込まれていたらしく、

昨日からメディアが、
まるで自殺幇助そのものが合法化されるかのように先走ったトーンで騒いでいました。

その最高裁が今日、
自殺幇助のために海外へ付き添う人の行為について
The Director of Public Prosecutions(ネットでは公訴局長官/DPP)は
明確な方針を表明する必要があるとの判断を下した、と。

最高裁の5人の法務卿(上院議員から選ばれる12人が最高裁判事)の判断として
記事には以下のような言葉が引用されています。

Everyone has the right to respect for their private life and the way that Ms. Purdy determines to spend the closing moments of her life is part of the act of living.

プライベートな生活を尊重してもらう権利が万人にある。Purdyさんが自分の人生の最後の時を自分で決めたように過ごすことも、その人が生きるという行為の一部である。

Mr. Purdy wishes to avoid an undignified and distressing end to her life. She is entitled to ask that this too must be respected.

Purdyさんは尊厳のない苦しい死に方をしたくないと望んでおり、これも尊重してほしいと求める権利が彼女にはある(? entitled)。

これを受けてDPPは急ぎ作業チームを作って
なるべく早く、起訴にあたっての細かい原則を整理し
9月末をメドに、暫定的な方針を作る、と。

さらに来年1月に新たな方針を発表するに当たっては
広く一般からの意見聴取を行う、とも。

自殺幇助合法化推進派が勝利に沸く一方、
弱者の人権擁護の観点から懸念するRight to Life の幹部 Phyllis Bowman氏は
弁護士に相談して必要な行動をとる、と。



これまでの経過では
去年10月の高等裁判所も今年2月の上訴裁判所も
裁判所は法律にのっとって判断はできるが
法律を変えることは裁判所の仕事ではないとの立場から
Purdyさんの求めを却下してきたし、

さらにPurdyさんの裁判に呼応して
合法化推進派の議員から提出された法改正案は
7月上旬に上院で否決されたのだから、

まっとうに筋の通る考え方をすれば、最高裁のこの判断は、
現行法の解釈を明確にせよ、というだけの判断かと思ったし、

DPPが作ると言っている方針も、
海外へ付き添う行為が、どういう場合に起訴対象となり、どういう場合にはならないか、
そうした条件を明確に示すものとしてのみ読めるので、
それ自体に筋の通らないものは感じないのですが、

しかし、記事に引用された法務卿らの言葉には
確かに昨日メディアが騒いでいたように
自殺幇助合法化そのものに一歩踏み込んでいて、
そこが、立法・司法制度の中で先の上院での否決とどう整合されるか……。

立法府である議会が法改正を否決したというのに、
どうして最高裁が法の明確化という名目で、
自殺幇助を認めるに等しいところまで踏み込んだ判断を下せるのか、
私にはさっぱり……。

それに、引用の発言、
どういう死に方をするかは個人のプライバシー権だとの解釈が可能では?
これ、ものすごく危うい発言ではないでしょうか。

しかも「尊厳がなく苦しい」という言葉を安易に使って。

最高裁がこんなことを言ってしまったのでは
「ターミナル」も「耐えがたい苦痛」もおかまいなしで
誰でも対象になる、ぐずぐずの自殺幇助OK議論に
お墨付きを与えてしまうようなものではないのでしょうか?

ちっとも筋というものが通っていない! と私は感じるのだけど、
物事の筋道も、論理の繋がりも、もはや、どこの国でも、勢いで、すっとばされていくばかり。

英国の自殺幇助議論、一気に加速して動きそうな、嫌な予感がします。


ちなみに、今年秋にも最高裁が上院から独立した機関となるため、
上院(the House of Lords)と同じ呼び方をされている現在の最高裁が行う聴聞としては
Purdy さんの件が最後だとのこと。


関連記事を随時、以下に追記していきます。

Assisted suicide – statement from the CPS
Directgov. July 31, 2009(判決を受け、英国政府のサイトに検察局からの声明)


Debby Purdy wins assisted suicide ruling (Videoあり)
Yahoo!news UK & Ireland, July 30, 2009



Assisted suicide ruling: What the panel of law lords said
The Guardian, July 30, 2009
(これ、重要。法務卿の発言、メディアのトーンとニュアンスが違うかも?)

A victory for human rights
By Stephen Cragg
The Guardian, July 30, 2009

Debbie Purdy: profile
The Guardian, July 30, 2009



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英国の最高裁については、以下の3つを参照しました。
特にYahoo!の知恵袋がよく整理されて貴重な情報のように思われます。




2009.07.31 / Top↑