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USA Todayに、米国の自殺幇助議論をおおまかに振り返る記事。ターミナルな患者は今でも希望すればモルヒネの大量投与によって、事実上の自殺幇助をしてもらっている、「現実と常識によって世論はOregonの前例の方向へと向かっている」。米国最高裁も支持しており(具体的には?)このたびObama大統領によって最高裁判事に指名されたSotomayor氏も、前例に従う、と述べている、と。
http://blogs.usatoday.com/oped/2009/07/our-view-on-death-with-dignity-physicianassisted-suicide-quietly-gains-ground.html

英国法曹界の大物らしきCarwyn Jones氏が個人ブログでターミナルな人と苦痛のある人に限って、自殺幇助の合法化を支持。
http://www.walesonline.co.uk/news/wales-news/2009/07/20/carwyn-jones-in-favour-of-assisted-suicide-91466-24191836/

豚インフルの患者が急増している英国で、飛行機に乗る前に疑いのある乗客は医師の診断書を出すことを求める、感染していないとの証明が無ければ搭乗を拒否する、と航空会社。
http://timesonline-emails.co.uk/go.asp?/bTNL001/mLJXF2B/q3AOX2B/uM9ZZ6/x20DP2B

英国がここ数ヶ月間にブラジルに遺棄した有害ごみ1400トンを、環境省の資金提供で回収して自国に持ち帰ることに。http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/28273337.html象牙海岸の悲劇はやはり繰り返されていたのだろうな……。でも、先進国がこうして回収に動くのなら、朗報。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/environment/article6719508.ece?&EMC-Bltn=LJXF2B

英国のEquality and Human Rights Commission に使途不明金のスキャンダル。この週末、2人の幹部が辞任。明日にもNational Audit Office から詳細が報告される。:Katy Thorpe事件の際や、その他、障害児・者の人権が絡んだ問題に、果敢に批判を繰り出してくれる機関だけに気がかり。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/jul/19/equalities-human-rights-commission-criticism

生まれつき両足が無い男性が、どうして初対面の人からイチイチ障害を話題にされなければならないのか、など世間の障害者に対する反応振りについてGuardianにエッセイを書いている。
http://www.guardian.co.uk/society/2009/jul/20/disability-attitudes

子どものIQが低いのは、妊娠中に大気汚染に晒されたせい?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/07/20/AR2009072000068.html
2009.07.20 / Top↑
米国で最初に医師による自殺幇助を合法化したOregon州での事件。

John Lyle Roberts(53)は2008年2月に就寝中の妻(51)の頭を銃で撃って殺した。
妻はALSで、こんな状態で生きたくないと自殺を望んでいた、と主張していたが、
2週間の裁判で陪審員は、ターミナルな病気の妻への慈悲殺ではなく、
いなくなって欲しかっただけだと結論、殺人罪で有罪とした。

ギャンブルで多額の借金を作っていたこと、
殺す何ヶ月も前から遺書を準備していたことなども指摘され、
計画的な殺人とされた。


解せないのは、陪審員の判断の箇所で
「ターミナルな病気に苦しむ妻を哀れんで殺したのではなく」とあること。

記事では carpal tunnel 症候群で片手が萎えていたと書かれているだけなのですが
ALSであれば、自動的にターミナルなの?

また、仮にターミナルだったとして
病気に苦しむ妻を哀れんで殺したのであれば、
慈悲殺として話が別になるの?

オレゴン州には確かに医師による自殺幇助を合法とする尊厳死法がありますが、
それは一定の条件を満たした患者が一定の手続きを経て
医師に処方された毒物を自分で飲んで自殺することを法律で認めたものであり、

死にたい人がいれば勝手に殺してもいいと認めているわけでない以上
この法律はこの事件とは無関係。

まして本人が寝ている間に銃で頭を撃っておいて自殺幇助だったなどと、
弁護士までが、なんで、そんなことをヌケヌケと主張できるのか。

他に慈悲殺を容認する法律があるわけでもないのに、
陪審員まで「慈悲殺だったのか殺人だったのか」を検討する。

じゃぁ、これから介護殺人は、みんな慈悲殺や自殺幇助に摩り替わってしまうのでしょうか。

自殺幇助合法化を求める議論が出てくるだけで、
既に、これほどのすべり坂が起こっている――。


そして、もう1つ、この事件で妙なのは
息子が父親を訴えていること。

その訴訟、wrongful death訴訟。

別の州に住む息子は27歳なのだけど、結婚していて学校にも行っており、
母親から月々400~700ドルを学費と生活費の足しに送ってもらっていたというのです。

父親が母親を殺してしまったことで、そのお金が得られなくなった。
そこで、死ぬはずの無かった人が死んでしまったために損害をこうむったとして
ロングフル・デス訴訟……。


病んでるよ、アメリカ──。
2009.07.20 / Top↑