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エントリーにまとめるエネルギーが足りないのが残念。英国の指揮者夫妻の幇助心中で、Vincent Nicholsというウエストミンスターの枢機卿が、とても良いエッセイを書いている。“野放図な自己決定権ドクトリン”によって、我々の社会は弱者をいたわる心を失い、人間性を失っていく。コメントが現時点で133。気力が充実していないので、覗くのが怖くて見ていない。
http://www.telegraph.co.uk/comment/personal-view/5845658/The-notion-of-a-right-to-a-good-death-undermines-society.html

同じく指揮者夫妻の幇助心中賛美に対する反論。タイトルがいい。「真のヒーローとは、人生を生きるに値するものにする人々のこと」。賛成。その生が生きるに値するかをQOLを持ち出して云々する風潮は、リベラルな生命倫理が道を作った論法が社会に浸透している証拠のような気がする。一定の条件に満たない状態にある人はQOLが低すぎて尊厳が無いと、一体いつから社会の共通認識になったというのか。この夫妻の幇助心中を巡る議論を詳細に追うと面白いとは思うのだけど、ちょっと無理。せめて、目に付いたものの、いくつかを拾っておく。
http://www.sundayherald.com/oped/opinion/display.var.2520716.0.the_real_heroes_are_the_people_who_make_life_worth_living.php

大阪市立大学の白澤政和先生のブログに「ストレングス・モデル」というのがある。初めて知った。ちょっと見、エンパワメントに似ているのだけど、エンパワメントは外からの働きかけであるのに対して、ストレングスは当人の中にあるな……というくらいは、すぐに考え付くけど、知識が無いから、そこまで。これもまた医学モデルに対して出てきたモデルとのこと。危機について触れられている部分、河合隼雄さんがカウンセリングについて語る中で危機について言っていたことを思い出した。
http://blog.goo.ne.jp/sirasawamasakazu/e/aeec0904cb032ee8f939680875e2cb0b

カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言したことに、批判の記事。
http://www.ctv.ca/servlet/ArticleNews/story/CTVNews/20090717/euthanasia_law_090717/20090717?hub=TopStories

同じくケベック医師会の提言に、The Gazetteから鋭い批判。「尊厳」についても、なるほど、と思うところ、あり。読み込んだら手ごたえありそうな記事。
http://www2.canada.com/montrealgazette/features/viewpoints/story.html?id=a5f0c10a-f79c-4b42-a48e-211b32d6e35a
2009.07.19 / Top↑
ロンドンのローカル紙と思われる新聞電子版の小さな記事で
事実関係も、ほとんど分からないのですが、

2007年の2月に
28年間連れ添ったパートナーRaymond Cutkelvin(58歳)に付き添ってスイスへ行き、
Dignitasで彼が死ぬのを見ていたとして、
57歳の Alan Cutkelvin Rees (57歳)が
自宅から警察に連行されて、尋問を受けた。

Raymondさんは癌だった。

本人は
「今まで何もせず、いきなりやってきた警察には腹が立ったけど、
でも、最終的には(こうなって?)嬉しい」

最初から逮捕覚悟でやったことだったから、こうなって嬉しいのか、
ちょっと「嬉しい」の意味は、よく分かりません。

また、
記事タイトルは「逮捕される」となっているのだけど本文には「逮捕された」という記述は無く、
質問を受けただけのようにも受け取れる点も、ちょっと引っかかります。

逮捕されたのだとしたら、この本人のコメントはいつ、どうやって取ったのか、という点も。

Assisted suicide partner arrested
The London Evening Standard, July 17, 2009


先週の指揮者夫妻の前段階で115人といわれていた英国人のDignitasでの自殺で
付き添っていった人が罪に問われたケースは無いというのだけれど、

付き添う家族を罪に問わないことにする法改正案が最近、不成立になったから
それを受けた動きであるとすれば、これが罪に問う最初のケースになる可能性があるということでしょうか。

ちょっと、そういうニュアンスの記事ではないような気もするし、
なんで2007年のケースを今更……という気も。

ただ、この記事を読んで、ふと頭に浮かんだのは、

もしも
少なくとも大きく報じられた最初のケースだった先週の夫婦“幇助心中”
あの著名な文化人と病気の妻の夫婦ではなく、

この人たちのようにホモセクシュアルの夫婦だったとしたら、
果たして世論は今のように賛美・擁護したのだろうか……?

これも、また、Ashley事件の時に考えた疑問と同じ。

もしもAshleyがあんなに美しい白人の子どもでなかったら
果たして世論は、あれほど賛美・擁護しただろうか……?


【20日の続報】

以下の記事を見つけました。
Cutkelvin Ree氏は確かに逮捕されて、保釈された模様。

記事から彼の発言を拾うと、

逮捕は衝撃でしたが、どこかで、こうなると予期しているところはありました。

私を逮捕したければできる。でも、その法律は変わらなければならない。

私が腹が立つのは、Reymondが外国に行って死ななければならなかったこと。

この国の姿勢は無意味に厳格すぎる。死ぬのはRaymond自身の選択だったのに。

スイスへ行くのは、ものすごく大変でしたが、Reymondが望んだのが
尊厳のある穏やかな死に方をしたいということだったから。

いつ、どのような死に方をするかは個人の判断に任されるべきだ。


Assisted suicide partner arrested
south wales.co.uk, July 20, 20090
2009.07.19 / Top↑