Psychosomatics誌の最近号に「患者の求める不合理な自殺と合理的な自殺、その他の(たぶん尊厳死?)を区別することについて」というタイトルの論文が掲載されている。もちろん登録なしでは読めない。アブストラクトもない。
http://psy.psychiatryonline.org/cgi/content/full/50/3/195
http://psy.psychiatryonline.org/cgi/content/full/50/3/195
処方薬の鎮痛剤 Percocet と Vicodin は禁止に、薬局で買えるTylenolは一回量を減らすべき、とFDAアドバイザー。これらに含まれる acetaminophenに肝臓を害する可能性。 日本の鎮痛剤は? 米国の薬の一回量って、日本のよりもずいぶん多いんだったっけ?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/30/AR2009063004228.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/30/AR2009063004228.html
妊娠中の健康トラブルや高齢出産で自閉症児が生まれるリスクが高くなる、との調査結果。自閉症の原因説って、本当に様々。この記事では、周産期で関係が指摘されている要因はいずれもエビデンスが不足と考えられているらしい。それだけ、この30年間の急増がはなはだしい。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8126574.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8126574.stm
「我々は子どもを薬漬けにして殺している」というタイトルの米国の医療ニュース・サイトの記事。冒頭、訴訟の具体例が出ている。子どもの名前がフルネームではないので、ウラが取れる情報かどうかは定かではないけど。
http://www.healthnewsdigest.com/news/Guest_Columnist_710/Drugging_Our_Children_to_Death.shtml
http://www.healthnewsdigest.com/news/Guest_Columnist_710/Drugging_Our_Children_to_Death.shtml
富山市が生活保護者の遺体を本人の同意なしに大学に献体。同様のケースが他でもあることが明らかに。どうせ物言えぬ弱者の体だから便利に有効利用しようとの発想が、現にここに、ある。臓器移植で同じことが起こらない保障がどこにあるのだろう?
http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20090629/23373.html
http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20090629/23373.html
ベジタリアンは血液が関係した病気や癌になりにくい?
http://www.guardian.co.uk/science/2009/jul/01/vegetarians-blood-cancer-diet-risk
http://www.guardian.co.uk/science/2009/jul/01/vegetarians-blood-cancer-diet-risk
2009.07.01 / Top↑
BBCに語ったもので、
「意思決定能力がある人が不治の病にかかって、
不快な死に直面するよりも自ら死にたいと望むことはあるだろう」
「意思決定能力がある人が不治の病にかかって、
不快な死に直面するよりも自ら死にたいと望むことはあるだろう」
「それが real law に抵触するとは思わない」
(法で禁じられてはいても
自殺目的で海外へ行く人に付き添ったことで罪に問われた人は実際にはいないので、
現在の法規定はreal ではない、という意味でしょうか。
それとも、 common law に対して real law? この辺、分かりません)
自殺目的で海外へ行く人に付き添ったことで罪に問われた人は実際にはいないので、
現在の法規定はreal ではない、という意味でしょうか。
それとも、 common law に対して real law? この辺、分かりません)
上記リンクからインタビューの一部のビデオが見られますが、
う~ん……なんか、ひっかかるなぁ……。
う~ん……なんか、ひっかかるなぁ……。
「別に年寄りや、邪魔くさい婆さんたちを、こうやって片付けようという話でも、
死にたいと望まない人に死を、という話でもないんです。
死にたいと望まない人に死を、という話でもないんです。
例えば、動物で考えたら、
sheep dog(羊を追う犬)がもう羊を追うこともできなくなって、
惨めな状態になったとしたら、きっともう死なせてくれと望むでしょう。
sheep dog(羊を追う犬)がもう羊を追うこともできなくなって、
惨めな状態になったとしたら、きっともう死なせてくれと望むでしょう。
もちろん我々は動物ではないけど
人間はきっと、通常言われているよりも賢くて、
死が差し迫って避けがたいと分かっているのに
なすすべもなく、ただ座して(lying around useless)死を待つというのは
嫌なんだと思うんです」
人間はきっと、通常言われているよりも賢くて、
死が差し迫って避けがたいと分かっているのに
なすすべもなく、ただ座して(lying around useless)死を待つというのは
嫌なんだと思うんです」
(一部、聞き取りに自信がない箇所もあります)
犬でも人間でも、基本イメージは、どうやら useless らしい……。
なんの役にも立たないのに……。
なんの役にも立てないまま……。
なんの役にも立てないまま……。
ちなみに、英国医師会は今日からリバプールで年次大会を開いており、
自殺幇助合法化を求める意見表明の動議が出されています。
自殺幇助合法化を求める意見表明の動議が出されています。
動議の提出者 Dr. Kailash Chandiが、
その意図などをGuardianに書いているので、
こちらについては、できたら明日のエントリーで。
その意図などをGuardianに書いているので、
こちらについては、できたら明日のエントリーで。
現在、議会で審議されているのは
自殺目的で海外へ行く人に付き添う行為を違法としないとの法改正に過ぎないのに、
自殺目的で海外へ行く人に付き添う行為を違法としないとの法改正に過ぎないのに、
Pratchettの話の中にも、医師会の動議の中にも、
ターミナルな人の自殺幇助そのものの合法化が含まれていることの不思議――。
ターミナルな人の自殺幇助そのものの合法化が含まれていることの不思議――。
それを言えば、
BBCの記事タイトルまでが「自殺幇助法案」となっていることも不思議――。
BBCの記事タイトルまでが「自殺幇助法案」となっていることも不思議――。
2009.07.01 / Top↑
去年11月にSouth Carolina大学の遺伝カウンセリング・プログラムの呼びかけで
米国の以下の5団体の代表者が一堂に会して2日間の会議を行い、
このたび、一定のコンセンサスと今後の努力目標を発表。
米国の以下の5団体の代表者が一堂に会して2日間の会議を行い、
このたび、一定のコンセンサスと今後の努力目標を発表。
The National Down Syndrome Society (NDSS)
The National Down Syndrome Congress(NDSC)
The American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)
The American College of Medical Genetics (ACNG)
The National Society of Genetic Counselors(NSGC)
The National Down Syndrome Congress(NDSC)
The American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)
The American College of Medical Genetics (ACNG)
The National Society of Genetic Counselors(NSGC)
発表されたコンセンサスはこちら。
これら医療専門職とダウン症候群アドボケイトの間で合意されたコンセンサスとは
・ダウン症の人の生活と価値についてのバランスが取れた、正確でパブリックな情報が必要。
・医療専門職がダウン症候群について最新の情報に基づいた教育を受けることが必要。
・妊娠中の親に対して行われる遺伝子診断に関する教育は一貫していること、
・そして、遺伝子診断を受ける親への情報は、完全で一貫しており、善悪の判断や強制を含まないこと。
・医療専門職がダウン症候群について最新の情報に基づいた教育を受けることが必要。
・妊娠中の親に対して行われる遺伝子診断に関する教育は一貫していること、
・そして、遺伝子診断を受ける親への情報は、完全で一貫しており、善悪の判断や強制を含まないこと。
その他、これら機関は今後、
一般の人やアドボケイト、医療職に共通して見られる「誤解」の解消に努めるとしている。
(原語は misconception なので「誤解」よりも「誤った認識・事実誤認」というニュアンス)
その誤解とは、
一般の人やアドボケイト、医療職に共通して見られる「誤解」の解消に努めるとしている。
(原語は misconception なので「誤解」よりも「誤った認識・事実誤認」というニュアンス)
その誤解とは、
・産科医が出生前診断を進めるのは先天性の障害や遺伝病の人を社会から減らすためだというのは誤解である。
・全ての妊婦に出生前診断を提供することの目的が、ダウン症候群の子どもを減らすためだというのは誤解である。
・出生前診断でダウン症候群と診断された妊娠の90%は人工中絶されているというのは誤解である。
・NDSS と NDSCがプロ・ライフの組織だというのは誤解である。
・修士号を取得した遺伝カウンセラーは親に人工中絶を受けるように誘導するというのは誤解である。
・出生前スクリーニングと検査はひとえにダウン症候群の検出のために行われるものだというのは誤解である。
・全ての妊婦に出生前診断を提供することの目的が、ダウン症候群の子どもを減らすためだというのは誤解である。
・出生前診断でダウン症候群と診断された妊娠の90%は人工中絶されているというのは誤解である。
・NDSS と NDSCがプロ・ライフの組織だというのは誤解である。
・修士号を取得した遺伝カウンセラーは親に人工中絶を受けるように誘導するというのは誤解である。
・出生前スクリーニングと検査はひとえにダウン症候群の検出のために行われるものだというのは誤解である。
今後もこれら団体の代表者は対話を続けていく、と。
また今後の協働の可能性として、
また今後の協働の可能性として、
・NDSS と NDSCが助成金を受け
ダウン症候群の診断を受ける親に渡す情報の“ゴールド・スタンダード”と
親同士のサポートの研修マニュアルを作る。
NSGC, ACMG, ACOGの代表者はこのプロジェクトに協力する。
・これら組織は、ダウン症に関する、最新の包括的な情報を家族に提供するべく、
ガイドラインや患者教育の資料作りに協力する。
・ あるべき医療のモデルを作るべく、研究協力をする。
ダウン症候群の診断を受ける親に渡す情報の“ゴールド・スタンダード”と
親同士のサポートの研修マニュアルを作る。
NSGC, ACMG, ACOGの代表者はこのプロジェクトに協力する。
・これら組織は、ダウン症に関する、最新の包括的な情報を家族に提供するべく、
ガイドラインや患者教育の資料作りに協力する。
・ あるべき医療のモデルを作るべく、研究協力をする。
――――――――
この合意、どう捉えていいのか、ちょっと、よく分からない。
よく読んでみると
9割が中絶されているという統計があったのは事実で
ただ、最近の統計がないまま古い統計が使われているから
早急に最新の統計を出さなければならないという話に過ぎないので、
それを「9割中絶というのは事実誤認である」と言い切ってしまうのは
言い過ぎではないのか、とも思うし。
9割が中絶されているという統計があったのは事実で
ただ、最近の統計がないまま古い統計が使われているから
早急に最新の統計を出さなければならないという話に過ぎないので、
それを「9割中絶というのは事実誤認である」と言い切ってしまうのは
言い過ぎではないのか、とも思うし。
「中絶に誘導する」とか「減らすための診断だ」というのは事実誤認だという部分も、
あくまでもインフォームドされた自己選択のための情報提供である、
というのが中身だったりもする。
あくまでもインフォームドされた自己選択のための情報提供である、
というのが中身だったりもする。
医療職に正しい知識をしっかり持ってもらうべく教育を、というのは大賛成だし、
両者で情報提供や医療のスタンダードを作るという方向そのものには賛成なのだけど、
両者で情報提供や医療のスタンダードを作るという方向そのものには賛成なのだけど、
ダウン症についてのみ合意が行われることが
出生前診断で分かる病気や障害の中に一定の線引きをすることに繋がる可能性はないのか、という点とか、
出生前診断で分かる病気や障害の中に一定の線引きをすることに繋がる可能性はないのか、という点とか、
ダウン症で「親の意思決定をサポート」というスタンスが確認されてしまうと、
これから出生前遺伝子診断で分かる病気や障害がどんどん増えていく可能性のなかで、
それらに対しても「親の決定権」が規定路線という前提を設定することにはならないのか、とか。
これから出生前遺伝子診断で分かる病気や障害がどんどん増えていく可能性のなかで、
それらに対しても「親の決定権」が規定路線という前提を設定することにはならないのか、とか。
(それとも英米では既に規定路線なのか?)
医療と親だけでいいのか、
実際に社会で障害児・者を支援していく方策の議論がそこに加わらなければ
「産むか産まないかは親の決定権、だから社会に迷惑をかけず自己責任で育てなさいよ」ということに
落ちていきかねないのではないか、とか。
実際に社会で障害児・者を支援していく方策の議論がそこに加わらなければ
「産むか産まないかは親の決定権、だから社会に迷惑をかけず自己責任で育てなさいよ」ということに
落ちていきかねないのではないか、とか。
2009.07.01 / Top↑
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