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著名児童精神科医Biederman医師らの製薬会社との癒着スキャンダルに揺れるHarvard大学で
医学生たちが倫理改革の先頭に立とうとしている。

記事冒頭に“いかにも”なエピソード。

現在医学部4年生のMatt Zerden君は1年生の時の薬学の授業で
教授がコレステロール薬の効果をもちあげて
学生が副作用を質問してもバカにして相手にしない態度にムカついて
講義の後でインターネットで調べてみたら
その教授は製薬会社10社の有給コンサルタントで
そのうち5社がコレステロール治療薬のメーカーだということを発見。

「裏切られた、という気がしましたね。
だって、そうでしょう。160人ものやる気に満ちた学生が
温室状態で基礎を学ぼうとしているんですよ。
そこに教授が出してくる情報がこんなに汚染されているなんて
あっていいことだとは思わない」

彼が仲間にこの話をしたことが
その後200人のHarvard医学生と共感した教職員の大きな運動へと成長する。
学生たちが医学部の講義室や研究室からも17の関連教育病院、その他施設からも
製薬会社の影響を排除する運動を始めている。

なにしろHarvard大学は米国医学生協会から
製薬業界からの資金の監視とコントロールについて
不名誉なF(落第)という成績をつけられたのだとか。

Harvardの名誉と威信を取り戻すために
学生たちは講義において教官らに
製薬会社との関係についてディスクロージャーを求めている。

学部長も学内の利益の衝突に関する方針を見直すに当たって
19人からなる委員会を立ち上げたが、そのうちの3人は学生である。

しかし、教師ら個々の製薬会社との関係は深く、
また製薬会社からの莫大な資金なしには大学の講義も研究も
もはや成り立たないところまできているのも事実。

(学生の動きに興味があって読んだので、後半は適当にしか読んでいませんが
上記「しかし」以降の詳細は以下の記事後半に多くの数字が挙げられています。)



日本のかつての大学紛争を髣髴とさせる話。

今、日本で地道に地域医療や僻地医療をやっているお医者さんたちの中には
当時、角棒や旗を振っていたという人が結構いたりして、
そういう人を見つけると、私はちょっと感動する。

そうかと思うと、そういう人たちと一緒に旗を振っていた人が
どこぞの大学病院で教授としてふんぞり返っていると聞いたりもするのだけど、

(あー、でも、そういう方々も皆さん、そろそろ引退されるのでしょうか……)

でも、今どきの海の向こうの学生さんたちも
ゼニで薄汚れた教育も情報も要らないと
「講義するなら、フル・ディスクロージャーしろ」と要求を突きつけるなんて、

――すがすがしく頼もしいじゃないか。


【関連エントリー】

2009.03.04 / Top↑
2007年は49人だったので、漸増。
その大半は白人で、大半は癌の末期患者だったとのこと。

ただし、医師から致死薬の処方を受けた人の人数は同じなので
2007年に処方されて実際に飲んだのが2008年だったという人も
60人の中に含まれているのだろう、と。


2009.03.04 / Top↑
Idaho州の州議会上院が全員一致で
発達障害者の治療が「無益である、または非人間的である」場合には
その治療を差し控えることを決めた。

医師らの団体が下書きしたもので、
この決定によって
医師または家族が病院倫理委員会に治療続行の妥当性を諮ることができることとなる。

倫理委が治療はもはや意味を成さないと決定した場合には
患者または患者の代理人には
ケアを引き受けてくれる人がいる他の場所を探して転院する猶予が与えられる。

採決はこれから下院へ。

Idaho Senate OKs treatment curtailment measure
AP, Talk Radio 950 KOZE – AM, March 3, 2009

気をつけておきたいと思うのは、
「無益であり、かつ非人間的」である場合というのではなく、
「無益である」か、または「非人間的である」かのいずれかを満たす場合でよい、という条件設定。

それにしても、
Ashley事件に関連して病院内倫理委員会の機能を調べてみた時には
たしか病院内の倫理コンサルテーションの一環として位置づけられている倫理委員会の役割は
あくまでも助言であり、決定権はなかったと思うし、

Ashleyケースにおいても
「倫理委員会は決定したのではなく、親に対して勧告を行っただけ」というのが
病院側の言い訳だったし、

更に言えば、
米国の病院内倫理委員会については
設置状況や活動状況や質にはばらつきがあって、
まだまだ倫理委がきちんと機能しているとは言いがたいとする報告だって出ていたはず。

もはや、委細かまわず滑り坂ずるずる……?
2009.03.04 / Top↑