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Washington州の尊厳死法が5日に施行されたのに伴って、
ここ数日間、関連ニュースが続々と出ています。

いずれも、だいたい似通った内容ですが、その中で特に目を引くのは、
このたびの新法に「参加しない」とオプト・アウトする病院が続々と出ていること。

このところの報道を見る限りでは
医療職の間には合法化を懸念する声はいまだに大きいようで、
ちょっとほっとします。

そんな中から以下の記事で目に付いた
合法化運動の先端に立ってきたCompassion & Choices のWashington支部長の発言を。

彼は今回の新法で認められたのは幇助自殺でも安楽死でもなく
「支援を受けて死ぬこと」なのだと語っています。

支援を受けて死ぬことは、安楽死でも自殺でもありません。
安楽死とは医師が患者の命を止める行為のことですから、これは安楽死ではないし、
死の援助を求める人たちは命を終えることを求めるわけではないので、自殺でもありません。

この人たちは死にたいわけじゃないんです。
死よりも酷い苦しみを経験しているから、
軽減することの出来ないその苦しみを終えたいと求めているのです。

厳しいチェックが定められているのだから、
患者らの中で死のうと考える人が増えるとの批判は当たらない、とも。

で、その厳しいチェックとは(一部、他の記事も参考に)、

・18歳以上でWashington州に永住している人。

・15日間を置いて2回口頭で致死薬を要望したうえで、書面で要望する。その際には本人と無関係な人物2人の証人が必要。

・2人の医師によって余命が半年以内であると確認されていること。

・思想信条により拒否する権利が医師には認められる。患者が選択できるように予めその旨を表明することが必要。

・医師が処方した致死薬は患者が自分で服用しなければならない。医師が飲ませることは不可。


(この記事の末尾に関連記事数本へのリンクあり)


私がものすごく単純に疑問に感じているのは、

医師が処方した致死薬が、
患者本人が飲むまで、その患者によって安全に保管されることが
どうして担保できるんだろう……? ということ。

この記事によるとOregon州の尊厳死法で
医師から致死薬を受け取った人のうち3分の1はそれを飲まないまま
もともとの病気で死んでいるというのですが、

じゃぁ、その3分の1の人が処方された致死薬というのは
いったいどうなったのでしょうか。

その場合、一体誰の責任で回収・破棄されるのか。

医師が処方した後の致死薬のトラッキングについて
これまで私がニュースで読んだ限りではどこにも触れられていないのですが、

悪用される可能性は本当にないのでしょうか?

これ、人を殺せる薬が一般人の家に転がっているという話で、
それって、ものすごくアブナイ状況だと思うのですけど。
2009.03.06 / Top↑
イタリアの医師が9年前にクローニング技術で3人の子どもを誕生させた、と発表。

2人が男児、1人が女児で
3人とも元気で東欧で暮らしている、と。

この医師は94年に64歳の女性を体外受精で妊娠させて物議をかもした人物で、

脳腫瘍でこん睡状態に陥ったままの男性の妻を
生殖補助医療で妊娠させると2週間前にも発表したばかり。


2009.03.06 / Top↑
Peter Duff さん(80)と妻のPennyさん(70)は英国の裕福な夫婦。
共に末期がん患者である2人は金曜日にスイスのDignitasクリニックで
バルビツール系毒物を飲み自殺。

娘は両親の行為を「美しくすばらしいこと」と讃えるが
法律上の問題があるため詳細は語っていない。

MSの女性が将来Dignitasに行く場合の夫の介助をめぐって
法律の明確化を求めた裁判で
英国の最高裁は事実上罪に問わないとの判断を示したばかり。

英国の夫婦がそろってDignitasで自殺したのは2例目で
1例目は2003年のStokes夫妻。
Stokes夫妻は夫がてんかん患者で妻がMS。
いずれも末期の病気ではなかったが、
スイスの法律では自殺幇助に末期であることを条件付けていない。

なお、Times紙の取材によると、
英国の医療委員会(GMC)は近く全国の医師らに対して
終末期医療においては患者の意思を尊重することとしてガイドラインを出すとのこと。

延命治療拒否や中止を望む患者の意思が明確であるのに
それに反して治療を行った医師には資格剥奪の可能性も。



もう本当に「滑り坂」ずるずる……と思えてならないし、

ここでもまた、厳密に線引きした上で議論されるべきことが
なにもかもゴチャマゼで同じ土俵に上げられて、
それが「滑り坂」をさらに急傾斜させていると思えてならない。

GMCのガイドラインは
英国内での消極的安楽死の自己決定の話であり、
Dignitasで行われているのは積極的安楽死、または安楽死ですらない自殺幇助。

本人がDignitasに出かけて自殺する行為についての判断と
それを家族が手伝う行為についての判断も、また別問題のはずで

しかも、こちらは外国での幇助自殺なのだから、
話が錯綜しているのに、

余命が限られて耐えがたい苦痛がある人の自己決定と
そうではない人の「死の自己決定」も並べられて

こんなにも、なにもかもを一緒くたに持ち出して記事にして、

そこに「夫婦がそろってスイスで契約自殺」というタイトルと
「医師らへのガイドラインとタイミング重なる」という副題をくっつけるというのは、
報道する側の意識のあり方として、いかがなものか──。
2009.03.06 / Top↑