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スコットランドの自殺幇助合法化法案は、党議拘束なしの議員それぞれの信条による自由投票で。法案を提出したMcDonald議員はパーキンソン病患者。
http://icrenfrewshire.icnetwork.co.uk/tm_headline=msps-vote-on-assisted-suicide-bill&method=full&objectid=25650950&siteid=63858-name_page.html

そのスコットランドの法案を支持するという、妻を長年介護してきた男性のインタビュー。:またぞろ、こういうニュースが増える。いろんなことを、ぐずぐずにしたままの。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8472038.stm

こんな話、知ってました? 日本の放射能発電で出た高放射能物質が80年代から90年代にかけて、加工のために英国の企業に送られていたというの? このたび日本に帰ってくることになり、すでに船に積みこまれたそうだ。こういう副産物の放射能物質を処理しているのは英国とフランスだけなんだとか。日本には大きな貯蔵施設があるんだとか。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8469249.stm
http://timesonline-emails.co.uk/go.asp?/bTNL001/mKOU9D2F/q2FLRD2F/uM9ZZ6/xQUILD2F

環境ホルモンBPA論争を巡るNYTの社説。
http://www.nytimes.com/2010/01/21/opinion/21thur2.html?th&emc=th

2011年にはMSの錠剤治療薬ができそう、と。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8470138.stm

ナーシング・ホームの高齢者にビタミンDのサプリを飲ませたら転倒が減るんじゃないかという実験。:そういう解決を探るのかぁ?? そういえば米国小児科学会も、子どもにビタミンDのサプリを飲ませろと公式に勧めていたっけな。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/176568.php

電子たばこの安全性は未確認らしい。なんで日本ではこんなに早く出回ったんだろう。出回っているから安全だと思っちゃった。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8467797.stm

豪で、ナースに一定の医療を担わせるクリニック構想に対して、医療のアメリカナイゼーションだという批判と懸念の声。:いずれ日本でも出てきそうな話?
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/concern-over-nurseled-gp-clinic/1730546.aspx?src=enews

豪の首都キャンベラで虐待を理由に家庭から施設に移される子どもが増えている。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/removals-of-children-on-the-rise/1730449.aspx?src=enews

Glaxoがマラリア治療を無料で提供する、と。製薬会社は株主のニーズと社会的責任のバランスを取らなければならん、と言って。:「いまさら・・・」というのと「それでもまだ、言及の順番は株主のニーズの方が先なのね・・・」というのと「あ、なるほど、マラリアですか・・・ゲイツ財団が力入れてるしね・・・」というのと。
http://www.guardian.co.uk/science/2010/jan/20/glaxo-malaria-drugs-public-domain
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8470087.stm

ビル・ゲイツがツイッターを始めた。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8469621.stm

家族支援が英国の次期選挙の争点の一つになりそう。:つまり社会的財の分配の問題が、どこの国でも、ということ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/8469735.stm
2010.01.21 / Top↑

昨日、殺人未遂(07年9月の事件)と殺人罪(11月の事件)で
終身刑(最低でも9年間)が言い渡されました。

上記リンクの記事にはなかった情報として、

・息子のThomasさんは自力呼吸ができ、栄養補給を停止する条件を満たしていなかったが
 母親は死なせてやるべきだという意見だった。

・ただし、前のパートナーも2人の弟たちも母親の意見には反対だった。

法廷で主張したのは
心に悪意を持って命を奪うのが殺人の定義。
心に愛を持ってしたことなのだから、私はこれを殺人だとは思わない」。

それに対してBrian Barker QC判事(the Common Serjeant of London)は

法は社会において我々すべてを保護するために作られています。
特に弱者を保護するために。

はっきりされておかなければならないのは、
法には慈悲殺という概念は存在しないということです。

その意図がいかに親切であったとしても、
それは、まだ殺人です。

陪審員の評決が読み上げられると、
傍聴席から「恥を知れ」という叫び声が何度か上がったとのこと。
それが被告に向けられたものなのか、判事に向けられたものなのかは不明。

‘Mercy killing ‘ mum guilty of murder
Barking & Dagenham Recorder 24, January 20, 2010


法には慈悲殺という概念は存在しない――。

よくぞ、明確に言い切ってくださいました。
ちょっと、「まだ殺人です」の「まだ」が気にはかかりますが、

この判事の言葉、公訴局長はよくよく聞いてほしい。

そして、意図さえ善意であって個人的な利得さえなければ、
家族や友人知人の自殺幇助を認めるようなガイドライン
春の最終決定までに、もう一度、慎重に考え直してもらいたい。


【22日追記】
たぶん出てくるとは思っていましたが、
この判決は厳しすぎる、母親は、息子のためを思って愛と共感でしたことなのに、
判事には慈悲というものがない、という声を以下に。


タイトルは「Francis Inglisは冷酷な殺人者か、それとも愛に満ちた母親か?」。

Daniel James事件を引き合いに出して、
息子をDignitasで死なせた両親を訴追することには公益にならないとDPPが判断したというのに
この母親を殺人罪にして、社会に何のメリットがあるというのか、と。

この記事に反論したいことはいっぱいあるのでエントリー立てようかと思ったのですが、
例によって何もかもいっしょくたで「なんて素晴らしい母の愛」のグズグズ議論で、
まともに読んでいると胸が悪くなりそうだし、英国世論がまたこういうので踊るのかと思うと
こっちが生きていく気力をなくしてしまいそうなので、当面、パス。

【同日の更なる追記】
やっぱり、1つだけ、どうにも、これだけは言わにゃ、おられん……。
自殺幇助と慈悲殺の境目とが、こんなふうにグズグズになるのだとしたら、
自殺幇助合法化議論における「自己決定権」は既に看板倒れ……露呈しましたね。
2010.01.21 / Top↑
昨日読んだ記事には出ていなかった病院の手紙の内容として

「残念ながら、主治医は、積極的な治療の中止が医学的にも理にかない、
倫理的にも責にかなって妥当なものだとの結論に至りました。

我々は息子さんの利益を最優先しなければならず、
人工呼吸器を続けないことが息子さんの最善の利益です。

辛い時期を迎えられたことをお気の毒に思っています」

また、AHSと病院サイドの弁護士は
「脳死」という言葉が医療界で“hot phrase”(物議を醸す表現)なので
法廷で使うのを避けたが、

Isaiah君の脳損傷は、
生きたとしても意味のある機能を果たせない状態で、
呼吸器なしには生きることができない、と。

なお、母親が法廷で証言したところによると、
病院側の説明は当初Isaiah君は3日と生きないし、
成長することもなければ排尿も身動きもできない、
脳死なので頭が縮んでくる、脳は“どろどろ”になる、というものだったが

その後3ポンド以上体重が増え、排尿しているし、
毎日目を開け、膝をお腹まで持ち上げたり四肢を動かしたりしている、と。

母親のRebeccaさんは取材に答えて
「この子にはできないだろうと言われたことを、みんなやっているんです。
毎日、何か新しくできるようになることがあります。
だからこそ私たちも闘えるんです」

父親の方は、ちょっとニュアンスが違っていて、
We’re just doing everything we can right now, to know we’ve done everything we can do. と
悔いを残さないようにやっている、とか

この裁判で脳死だと判定された場合には
We wouldn’t let this go on forever. 
諦める、とのニュアンス。

この事件、Albertaで起こっているだけに、
当ブログおなじみAlberta大学のWilson先生、Sobsey先生が登場するだろうと思っていたら、
やっぱりSobsey先生(the John Dossetor Health Ethics Centerのディレクター)のコメントがあって、

最近、訴訟が相次いでいることについて

医療テクノロジーの進歩で
乳児の死亡ケースの75%で生命維持装置の取り外しの決断が必要となっている。

ほとんどのケースで医療サイドと家族サイドが同意して
配慮を持って適切に行われているが、
インターネットで情報へのアクセスが容易になったり
これまでのようには医療職の権威に従わない人が増えてきたり、
同様の訴訟について聞いたりすることで
訴訟が起きてきているのでは、と。

「しかし、親としては、“お宅のお子さんは死ぬべきだと思う”と言われたら
本当にそれが正しい行為なのか、そりゃ、とことん確かめたいでしょう」

また、あやうく呼吸器をはずされるところだったという人が
障害のあるなしにかかわらず、価値ある人生を送っているというケースは
いくらでもある、と指摘し、

確かに治療が無益なケースもあるのだけれど
「もしも間違った決断をしてしまう可能性があるのだとしたら、
生命はとても大切なものだから、取り上げてしまうのはやめた方がいい。

本当のところ、こうしたケースで、
100%確信できることなどほとんどないのだから」

Disabled infant gets reprieve
The Edmonton Journal, January 20, 2010


この記事に引用されている病院側の弁護士の発言で
私にはものすご~く懸念される表現があります。

それは、function meaningfully in life 。
生きたとしても「人生において彼の脳は有意義に機能できない」。

では、どういう状態なら meaningfully で、どういう状態なら「 meaningfully でない」のか。

私は、この曖昧な表現には、
脳死状態と植物状態や重症障害の境目を曖昧にする詭弁として
これから使いまわされていくのではないかという危惧を覚えます。

というのも、Ashley事件でも、この言葉は使われたのです。

Diekema医師がAshleyの知的能力について説明する中で
「彼女は生涯、人と meaningfull な関わりをすることができない」と言っているのです。
(すぐには当該資料が探し出せませんが、見つけ次第リンクします)

(2月16日追記:リンクまだですが、07年1月4日のBBCインタビューです)

Ashleyと障害像がほとんど同じウチの娘もそうですが、
重症児の多くは、言葉がなくてもコミュニケーションは可能だし、
相手が「どうせ何も分からない」と決めつける人でなければ
人との間で豊かな関わりを持つことができます。(例えばこちら

もちろん、あなたや私と同じような分かりやすい関わり方ではないかもしれないけれども、
言葉がないから、知能が低いから、人と心を通わすことや意思疎通ができないというのは
重症児のことを知らない人の偏見に過ぎません。

重症児に対する偏見に満ちたDiekema医師が使った meaningfull と同じように
Isaiah君のケースで弁護士が言う「どうせ助かっても脳はmeaningfullには機能しない」が意味するものが
ただ「健常者と同じではない」ことを意味しているだけであるなら、
または、社会的生産性につながらなければ「意味がない」とされるのであるなら、
そして今後、そういう意味でこの表現が使いまわされることになれば、

線引きが「脳死かどうか」から「救命するに値する障害状態であるかどうか」へと
じわじわとズラされていくことにつながるのでは?

        -----

ところで Sobsey氏は、Ashley論争の最初から、ずっと継続して批判し続けている人です。

当初の論争時にToronto Starでのコメントが私はとても心に響いて、
この人は一味違うと思っていたら、やはりご自身が
重症障害のある息子さんをお持ちでした。

その後も、“Ashley療法”、成長抑制療法批判では
本当に鋭く素晴らしい指摘を次々に行ってくださっています。

発言を追いかけながら、ずっと大好きな人だったのですが、
先週の「成長抑制でAshleyの体重は減っていない」ポストに引き続き、
この事件での、素晴らしいコメント――。

私は、もう惚れてしまいそうです。


2010.01.21 / Top↑