2ntブログ
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1.Terry Schiavoさんの脱水死
2.Bush 大統領による胎性幹細胞研究への助成禁止政策と、関連の議論
3.生殖補助医療の無軌道
4.Dignitasへの自殺ツーリズム
5.成人幹細胞研究における成功
6.Washington州での自殺幇助合法化
7.Obamaケアをめぐる議論(この問題は今後の10年の大きな課題にも)
8.米国人の中絶に対する姿勢の保守化。
9.バイオ植民地主義の成長(貧しい国の貧しい人たちが臓器や機能を搾取されている)
10.反ヒューマニズムの環境主義の台頭(優生思想と過激な人口統制への動き)



これを以下の Art Caplan の分析と比べてみると、
シャイボ事件の捉え方からして、まるっきり反対。
ただ楽観と悲観といって終われないものを感じる。



私個人的には、やっぱりSmithの方に賛同する。
彼が指摘している一連の動きは、それぞれ当ブログの書庫のネーミングに
そのままダブっていくような気がして、私にはとても分かりやすい。

医療制度の破綻と医療・介護費削減ニーズという7の問題は米国に限らず
Smithがいうように、各国で、今後10年間の最大の課題になるだろうし、

その解決策として導入されるのは、きっと
「無益な治療」や「死の自己決定権」といった便利な概念による
強制的・自発的(誘導があるにせよ)命の切捨て(1,4,6,10)と
科学とテクノの”簡単解決”・”予防がすべて”能力至上の文化(3,5,9)。

それらが経済のグローバリゼーション・ネオリベと重なり合って、
おそらくは9、10の動きが世界中に広がっていく……。

我ながら、悲観的だとは思うけど、やっぱり、そういうことなんじゃないのかなぁ……。
2010.01.09 / Top↑
ゲイツ財団の私設WHOといわれるワシントン大学のIHMEのDr. Murray(DALYの提唱者)らが報告書を取りまとめ、米国の医療は世界で37位、と。現在議会で議論されている改革案では不十分で、何が必要かというと、予防可能なリスク・ファクター、地域による健康格差、現行のパフォーマンスの分析などへの対応。:前に、IHMEが地域による健康格差を云々していた際には、社会的な要因がまるで度外視されていた。
http://www.healthmetricsandevaluation.org/resources/news/2010/without_key_elements_0110.html

食品製造会社が論争を避けるため、この業界で既に広く導入されているナノテク技術の利用実態を秘密にしている、との批判。安全性に問題がないにしても、知らされていないことが多すぎる。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8446704.stm

ハイテクによるイノベーションでデジタル経済が発展する可能性は大きいのに、政府は余計な口を出して邪魔するな、という声、米国で。:科学とテクノは国家を超えた権力となろうとしている? 
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8447649.stm

現在、半数以上の提供は腕からの採血で可能で安全だというのに、骨髄ドナーが見つからないために死んでいく米国人が多いので、1984年の臓器移植法を改正して、骨髄ドナーに例えば3000ドルの奨学金とか住宅購入助成金とか、金銭的なインセンティブの支払いを認めることにして、ドナーを増やそう……と、84年法が憲法違反だとする訴訟を連邦地裁に対して起こしたMinnesota大学の小児科医で移植プログラムのディレクター John Wagner教授。骨髄移植が必要な白人米国人の“10人に7人しか”ドナーを見つけられないのが現状、黒人ならもっと確率は低い。:「ドナーがいないから死んでいく」とか「臓器が足りないために死んでいく」という表現には、いつもながら抵抗がある。「病気で死んでいく」のだと思うのですが。
http://www.nytimes.com/2010/01/08/opinion/08wagner.html?th&emc=th
2010.01.09 / Top↑
インディアナ州で自殺幇助事件。逮捕されて保釈中なのは38歳の男性Robert Crowさん。台湾の事件以上に詳細が不明なのだけど、警察が通報で駆け付けたら銃で負傷した男性がいて、その人がその後、死亡。捜査の結果、この人が男性の自殺を幇助したとして逮捕された。
http://www.indianasnewscenter.com/news/local/80949177.html

健康のために「これしなさい、あれしなさい」とあっちこっちから言われて、「健康的な生活をしなければならぬ」が最も健康に悪いストレスになっている。健康ルールを全部守れる人なんかいないし、だいたい「パーフェクトな健康」なんて神話。たまに何かを食べすぎたって、何かの摂取量が足りなくたって、たいした問題じゃない。Moderation (なにごともほどほどで)でいいんだ、と女性の保健医療の専門家 Dr. Loveの新著。Is the goal to live forever? I would contend it’s not. It’s really to live as long as you can with the best quality of life you can.:こんな常識的なことを専門家が本に書かないといけないということ自体が、おかしい。to live as long as you can with the best quality of life you can の you can がいい。それぞれ、できる限りのQOLで、できる限りの長生き。
http://well.blogs.nytimes.com/2010/01/04/new-health-rule-quit-worrying-about-your-health/?em

加齢性骨減少を止める薬ができそうなんだか、できたんだか。:これでまた、年をとって骨の総量が減ることは、れっきとした病気として喧伝される。すでにサルコぺニアという名前が付いている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/175142.php

携帯電話の放射能がアルツハイマー病のリスクを下げる。:こういう研究に資金を提供するのはいったい誰?
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8443541.stm
2010.01.09 / Top↑
去年、自殺幇助合法化法案が議会に提出されていて
今月にも審議が行われるスコットランドで、

この法案は、
国は国民の生存権(? the right to life)を守らなければならないと謳っている
ヨーロッパ人権条約に違反しており、

議員には審議することはできない、と申し立てる書簡を
プロ・ライフの活動団体 Care Not Killing が議会の当該担当者(? Presiding Officer)に送った。

Bid to block assisted suicide bill
News Scotsman, January 3, 2010


私はヨーロッパ人権条約については何も知らないのですが、

「国には生存権を尊重する義務がある」という規定と
「個々人には死の自己決定権がある」との主張は
同時に成り立たないわけではないような気もするし、

すでにオランダ、ベルギー、ルクセンブルクが合法化していることを考えると、
ちょっと、この論理には無理があるのでは……?

          ―――――

実は、年末に09年の自殺幇助関連の動きをまとめた際に、
Scotlandのことをすっかり忘れていました。

英国のエントリーに入れると話が混乱しそうなので、
こちらの2009年を振り返る:英国以外の国の自殺幇助議論を追加訂正しました。


2010.01.09 / Top↑