http://billingsgazette.com/news/state-and-regional/montana/article_f72e6544-8af1-11df-9802-001cc4c002e0.html
http://missoulanews.bigskypress.com/IndyBlog/archives/2010/07/08/rep-barrett-calls-for-aid-in-dying-guidelines
女性性器切除について米国小児科学会AAPが部分的に承認したともとれるガイドラインを出したことで出ている批判に、AAPの当該倫理委委員長だったDiekema医師が「問題は戦略の違いに過ぎない。ある日突然それは間違っていると言われて、みんながやらなくなると考えるのはナイーブ」と。:この人、Ashley事件に関わっているうちに人権意識を根こそぎ売っぱらっちゃった……とか?
http://www.scienceline.org/2010/07/09/under-debate-female-circumcision/
日本語。富士経済から「精神神経疾患治療剤市場、18年には3割増」とのマーケティング調査が出ている。09年に4324億円だったものが、18年には 5589億円に拡大するのだとか。最大のマーケットは統合失調症治療剤で、次が抗不安薬、睡眠導入剤。「睡眠障害や不安障害などの潜在患者が多く」。:医療費削減の必要がしきりに言われて、治療やリハビリが必要な人からそれらを奪っていく動きと、その一方で、健康な人に「あなたも病気では? お医者さんに相談しましょう」と、せっせと暗示にかけては医療費がかかる方向に誘導しようという動きとの間をつないでいるものは?
https://www.cabrain.net/news/regist.do
ナイジェリアのLagos大学教育病院の職員が袋に70もの新生児の遺体を入れて捨てに行こうとしているところを逮捕された。埋葬費用を出せなかったり、どうしていいかわからない親たちが病院の外に子どもの遺体を捨てていくために、病院が人を雇って埋葬させようとしたのであって、何かの儀式に使おうとか、売買しようとか、そういうことではないというのだけど、警察の調査が入った。:な~んかイヤ~な、ウラの深そうな事件だ……。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/africa/10545760.stm
インドで、下位のカーストの男性との婚約を巡って家族からの激しい反対に遭っていた女性が遺体で発見され、母親が殺害容疑で逮捕された。家族は自殺だと主張している。女性は妊娠していたとのこと。
http://www.nytimes.com/2010/07/10/world/asia/10honor.html?_r=1&th&emc=th
ケニアのスラムでレイプが多発しているために、公共のトイレを使わないようにする女性が増えて、衛生問題から病気の発生が懸念されている。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/africa/10540379.stm
自閉症の子どもの遊び相手と日常生活スキルを教えるためのロボット先生。南カリフォルニア大学の研究で。
http://www.nytimes.com/2010/07/11/science/11robots.html?_r=1&th&emc=th
‘Stop the stoning’
The Times, July 8, 2010
今日は Times のニュースレターにざっと目を通しただけなので、これ1つだけ。
明日の補遺と一緒にしてもいいかとも思ったのだけど、
やっぱり非難の声が出たことそのものは、嬉しいニュースだったので。
それから、このニュースに、チラッと頭に浮かんだ問いは、
重症児へのホルモン大量投与による身長抑制および子宮と乳房の摘出が行われたのが
米国ではなく、例えば、イランとか北朝鮮だったとしたら、
そして同じように、本人のQOLのためだと説明されたとしたら
世論はあれほど支持しただろうか……?
【9日追記】
今日のTimesのニュースレターによると、
国際社会からの批判を浴びて、女性への投石処刑は取りやめられる模様。
【10日追記】
昨日のGuardianでは、この女性のケースはともかく、
イランでは投石処刑を予定されている男女15人もいるらしい。
以下の記事に写真があるのだけど、これ、ちょっと考えられない。
広場みたいなところで首まで土に埋めて、周りに大きな石塊をばらまき、
気が向いた人が頭めがけて投げてもいい……これでは社会規模の単なるリンチ。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jul/08/iran-death-stoning-adultery
http://www.nytimes.com/2010/07/07/business/global/07indiadrug.html?_r=1&th&emc=th
米国のメディケア改革で、高齢者と障害者の在宅機器へのアクセスが減り、なおかつ業者の利益が減って、倒産が相次ぐだろう、と。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/193754.php
姦淫の疑いで99回のむち打ち刑を受けた女性に、投石による死刑か。イランで。:イランで、というところで、もしかしたら以前から同様のニュースがあった可能性は? と考えてしまった。今だからトップニュースになる……なんてことは?
Death by stoning ordered for woman given 99 lashes for alleged adultery.
Times, July 7, 2010
不法移民の取り締まりを強化しようとするArizona州と、州の権限として認めまいとする連邦政府とが対立、連邦政府が提訴している。:日本のメディアは英語に弱いから、英語ニュースを本当に知らないのだという人もいるけれど、こういうニュースは英語で流れるのとほぼ同時に日本語でもちゃんと流れる。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jul/07/obama-administration-to-sue-arizona-migrant-laws
投票の結果、60%が合法化に反対した、とのこと。
障害者運動家のBaroness Campbell、
St Mary’s Univ.の生命倫理学のディレクター David Jones 教授を始め、
主として、合法化すれば弱者の命が危険にさらされる、と論じる人が多かった。
特に重要な発言として、
2005年に上院に提出された自殺幇助法案(Joffe議員提出)を検討した
委員会の委員長だったAnthony Ozimic議員の発言で、
ターミナルな状態の診断を月単位で正確に下すことは不可能であること、
また病気によって患者の意思決定能力が影響される可能性があることを
当時の委員会が指摘し、
法案での苦痛の定義が本人の主観的なものに過ぎないことを
提出者のJoffe議員自身も認めた、と。
Ozimic議員は現実に起こるすべり坂と概念上のすべり坂の
2つのタイプのすべり坂を挙げ、
オランダで要望も同意もなしに死なされているケースが多数あることが前者であり、
それにもかかわらず、それらの慣行が許容されてしまって
非合法な殺人としてまともに取り上げられず、それに憤る人がいないのは、
合法化によって、
ある状態の人々にとっては安楽死が利益である、
すなわち、それらの人々の状態は生きるに値せず、死んだ方が本人のためだという概念が
生み出され、共有されているからであると、
後者のすべり坂を説明する。
元GPで末期すい臓がん患者のAnn McPherson医師は
ビデオ・メッセージで合法化を訴えた。
去年、スタンスを反対から中立にシフトした英国看護学会(the Royal College of Nursing)の
会長 Peter Carter氏は、どうやら今後、合法化支持に向けて動く含みの発言。
英国医療委員会(BMC)の前会長も、
個人的な見解として合法化を支持する発言をした模様。
Ozimic氏によると、
7月早々に英国医師会は自殺幇助に関与しないよう会員に警告するガイダンスを出した、
また4日にも同会年次役員会において通過した動議では
緩和ケア他の患者支援によって自殺幇助の要望はほぼ完全になくせる、としている、とのこと。
British Royal Society of Medicine Rejects Motion to Support Assisted Suicide
LifeNews.com, July 5, 2010/07/07
Royal Society of Medicine rejects assisted suicide
The Christian Institute, July 6, 2010
後者の記事のまとめでは
先般カナダ医師会雑誌に報告されたベルギーの安楽死調査で明らかになった点として、
約半数が患者からの要望なしに行われた安楽死であること、
また面接を受けた看護師の内5分の1に当たる248人もが
安楽死に関与した経験があったこと、
そのうち約半数に当たる120人は
患者の「明確な要望」なしに患者を殺していたこと。
カナダ医師会雑誌に掲載のベルギーの安楽死調査については
5月19日のエントリーで一部を読んでいますが、
その際に私も、
なぜ「明確な要望」のないケースが「死の幇助」として扱われているのか
それは違法な殺人ではないのか、とOzimic議員と同じ疑問を呈しました。
オランダについては、以下に。
去年の安楽死・幇助自殺2300人のオランダで自殺幇助アドボケイトに10カ月の禁固刑(2009/5/3)
オランダで「70以上の高齢者には自殺幇助を」と学者・政治家ら(2010/2/10)
オランダで安楽死が増加し保健相が調査。緩和ケアの崩壊も(2010/6/21)
6月7日のケアラー(家族など無償の介護者)連盟の発足集会で読み上げられたもの。
わたくしたちの社会には、暮らしていくのに介護が必要な人がいます。障害を持つ人や病気やけがで療養中の人、支えが必要な高齢者などです。
そして、身体的・精神的・経済的な不安を抱え、将来の見通しを持てないまま、その人たちの介護をしている人がいます。
介護をしている人のなかには子どもや若者もいます。家庭や仕事に責任のある世代の人もいます。ゆとりある時間が持てるはずのない高齢者や、自分の身の回りを保つことで精いっぱいの超高齢者もいます。中には介護のためにやむなく仕事を辞めたり、学業をあきらめる介護者もいます。
介護者が自身の現在の生活や将来の人生を犠牲にしなければならないいような介護が、ほんとうによい介護なのでしょうか? 介護を必要としている人は、自分のために、介護者が人生を犠牲にしてくれることを望んでいるでしょうか。
だれもが「尊厳ある個人」として、その生き方を自己決定する「権利」を持っています。身体的・精神的。経済的な負担のすべてを介護者自身に背負わせてきた社会を変えなければなりません。
病気や障害ごとの縦割り介護を横につないで、介護をしている人、介護者を心配し何か役に立ちたいと考えている友人や隣人、介護者の抱える問題を社会的に解決しようという志をもつ市民、専門家が「ケアラー」として手をつなぐことは、現在の介護者の支援だけでなく、将来、介護者になるかもしれないすべての人々の未来に希望をもたらすはずです。
介護を必要としている人も介護者も、共に自分の人生の主人公になれる強制の社会をつくることを目指して、「ケアラー(家族など無償の介護者)連盟」をここに宣言します。
2010年6月7日
ケアラー連盟設立よびかけ人一同
以下のエントリーを思い出し、
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
遅ればせながら探してみたところ、
安楽死臓器提供を提唱したSavulescuの元論文はこちらに。
SHOULD WE ALLOW ORGAN DONATION EUTHANASIA? ALTERNATIVES FOR MAXIMIZING THE NUMBER AND QUALITY OF ORGAN FOR TRANSPLANTATION
Dominic Wilkinson and Julian Savulescu
Bioethics, May 3, 2010
また、全く同じとは思えませんが、
Oxford 大学のPractical Ethicsというサイトにも同じ趣旨の論文が掲載されていました。
こちらは全文読めます。
Organ Donation Euthanasia
By Dominic Wilkinson and Julian Savulescu
Practical Ethics, May 10, 2010
冒頭で
現在英国で臓器を待っている人が8000人いて
移植を受けられずに亡くなる人が毎年400人いることを挙げ、
人はドナーになるよりレシピエントになる確率の方が高いのだし、
「自分が他者にしてもらいたいことを他者に対して行え」との倫理の黄金律に従っても、
自分の臓器が不要となった時には提供を真剣に考えるべきである、と説いた後で、
その1つの重要な方法は臓器提供を決めて家族に意思を伝えておくことだとして、
以下の部分がゴチックで強調されています。
Donating your organs is one of the most important ways that we can help others. After all there are not many times when you can save the life of up to 9 other people at no personal cost. But most people who would like to donate their organs are not able to.
臓器提供は他者を助ける最も重要な方法の一つである。
どう考えたって、自分は何一つ損をすることなく、
最大9人までの他者の命を救うことができる機会など、そうあるものではないわけだし。
しかし、提供を望む人のほとんどが実はその意思をかなえられずにいる。
それは、多くの人が脳死を経ずに亡くなることと、
CDC(心臓死後提供)であっても心臓死を待つ間に臓器が痛むからだとして、
臓器を痛めずに、提供したいというドナーの意思をかなえるためにも、
本人意思であり、独立の委員会が承認すれば
臓器摘出安楽死を可能とするよう検討するべきだ、と提案。
次にゴチックになっている部分は以下。
Importantly, what we are proposing is to give people a choice about how they die and whether they can donate their organs. Organ donation euthanasia would only be available to patients having life support stopped on grounds of futility. It would only apply to patients who are going to die anyway. It would only apply to patients who have specifically asked for this option during life, when they were competent and understood what was being offered.
重要なのは、
我々が提唱しているのは、死に方と臓器提供の有無についての自己選択だということ。
生命維持サポートはもはや無益だという理由で
中止する患者にだけ、認めようと言っているのである。
どうせ死んでしまう患者にだけ適用しようというのだ。
生きている間に、意思決定能力があって提案されていることを理解できる人が
この選択肢を特に指定して望んだ時にだけ、適用しようというのである。
この人が“道徳”を説くと、ものすごい違和感がある――。
【Savulescuの当該論文関連エントリー】
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
【Savulescu関連エントリー】
不思議な“アシュリー療法”エッセイと、その著者たち 2
カフェインだって昔は違法薬物、とSavulescu
A療法擁護の2人ドーピング議論に
最相葉月の「いのち」に、あのSavulescu(2008/5/17)
【ベルギー関連エントリー】
ベルギーでは2002年の合法化以来2700人が幇助自殺(2009/4/4)
幇助自殺が急増し全死者数の2%にも(ベルギー)(2009/9/11)
23年間“植物状態”とされた男性が「叫んでいたのに」(2009/11/24)
ベルギーにおける安楽死、自殺幇助の実態調査(2010/5/19)
公開シンポジウム:「改定臓器移植法」施行を問う 主催:生命倫理会議
7月17日、「改定臓器移植法」が施 行されます。私たち生命倫理会議は、生命倫理の教育・研究に携わる大学教員からなる組織で、国会におけるこの法改定をめぐ る意見聴取・審議が行われていた昨年初夏、批判的な立場から3回の声明文発表と記者会見を行いました。また、本年5月、『いのちの選択――今、考えたい脳死・臓器移植』(岩波ブックレット)を出版し、さらに法改定と脳死・臓器移植その ものの問題性を世に問うてきました。しかし、いよいよ施行の時です。そこで、下記のような催事をもち、あらためて多くの皆さんと広く深く考えたいと思います。ご参加を心待ちにいたしております。
日時:7月11日(日)13時半開場、14時~17時
場所:専修大学神田校舎7号館731教室
http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/campus_info/kanda_campus/index.html
第一部:講演「法施行をめぐる現在」
川見 公子(臓器移植法を問い直す市民ネットワーク)
永瀬 哲也(バクバクの会・脳死に近い状態と診断された子どもの父親 )
第二部:シンポジウム「「いのち」はどこへ向かっているのか――改定臓器移植法と日本社会――」
シンポジスト
高草木 光一(生命倫理会議・慶応義塾大学)
堀 一人(大阪府立槻の木高校社会科)
光石 忠敬(弁護士)
山口 洋 (医師・順天堂大学〔循環器内科〕)
司会
田中 智彦(生命倫理会議・東京医科歯科大学)
総合司会
慎 蒼健(生命倫理会議・東京理科大学)
【「いのちの選択 - 今、考えたい脳死・臓器移植」を読んで書いたエントリー】
「いのちの選択」から「どうせ」を考える(2010/5/21)
「科学とテクノ」と「法」と「倫理」そして「問題の偽装」(2010/5/24)
Dignitasの創設者 Ludwig Minelliが
「終末期の決定は健康な人にも適用されるべき」
「ターミナルな病気の人を巡って自殺幇助を云々している
英国の議論は時代遅れ」
「例えば、非常に高齢の人の場合、
健康であっても生きることは何かと苦しくなります。
とても高齢で、家族も友人もいなくて、そういう人が死にたいと言っているとしたら、
どうして断れますか?」などと語り、
求められれば健康な人の自殺幇助も行う、と。
Dignitas ‘would offer assisted suicide to healthy’
July 2, 2010
またBBCだ……。
去年、放送メディアでは5年ぶりにMinelliのインタビューを放送したのもBBCだった。
自殺幇助に関するBBCの偏向報道については、
自殺幇助に関する偏向報道で、BBCチェアマンに大物議員が会談申し入れ(2010/2/23)
BBC「世論は慈悲殺を支持」の怪(2010/2/1)
「BBCは公金を使って安楽死を推進している」と議員らが批判(2010/2/5)
幇助合法化を訴えて自殺した健康な夫婦の続報を新たな記事のように書くBBCの怪(2010/4/1)
ドイツ最高裁が本人意思なら延命治療停止は合法との判断(2010/6/25)
ドイツの延命治療停止判断を自殺幇助とグズグズに書く NY Times(2010/6/29)
AP通信が、6月25日の記事(上記、同日のエントリーにリンクしています)で
自殺幇助を合法化したとの報道が誤りであったことを認め、訂正記事を出しました。
以下、全文です。
6月25日の死ぬ権利訴訟に関する記事で、
AP通信はドイツの最高裁が自殺幇助を合法化したと
誤って報道いたしました。
訴訟は、ターミナルな状態ではないものの、
経管栄養にて生かされている(kept alive)植物昏睡(vegetative coma)の女性に関するものでした。
最高裁は
その女性の娘に母親から栄養の管をはずすことができると告げた弁護士の
過失致死の有罪判決を覆したものでした。
女性は昏睡に陥る以前に、
このような状況下で生かされていたくないと言ったことがありました。
Correction: Germany right-to-die story
AP, July 2
この訂正は当たり前と思いますが、
ダメージは既に広く行われてしまいましたし、
訂正記事そのものにも、
「死ぬ権利訴訟」だとか「経管栄養で生かされている」など、
AP通信もBBCのように合法化アドボケイトなのか……と勘繰りたくなるような
微妙な価値判断を含んだ言いまわしが見られます。
さらに、やはり私が25日のエントリーで懸念した通りに
Kuellmerさんはターミナルな状態ではなかったようです。
それならば、
ターミナルだったと書いたところは訂正記事を出すべきでしょう。
(APはターミナルだったとは書いていませんが、
25日にリンクしたメディアの記事は書いていたし、
当時ネットにあふれていた情報からすれば他にもあったと推測します。)
NY Timesも、自殺幇助の議論とグズグズに記事を書いたことについて
ちゃんと総括すべきだと思うし、
いわゆる権威ある主流メディアの報道のいかがわしさについて
改めて考え込んでしまいます。
もしかして、世論を大きく揺さぶるインパクトを与えるためには、
事実や詳細は無用で、誤報であれ何であれ、くっきりしたイメージを流すことがカギ。
事実でないこと、敢えて誤解を招きそうなことを書いたって後で修正すれば済むし、
どうせ修正記事の方は多くの人の目には止まらないのだから……っていうところまで、
まさか、もう堕ちている……?
(Ashley事件で平気でそこまで堕ちたことをやった新聞は、実際にありました。)
自殺幇助をした元GPの不起訴、英国版 Dignitasを作ろうとした医師の免許差し止めの2件を受けて、またぞろ「法律の明確化」を巡る議論が起きている。こちらは、議論を概観するもの。
http://www.economist.com/node/16485582?story_id=16485582&fsrc=rss
こちらは、合法化したら本人の意思表示なしに医師が患者を殺す“すべり坂”が始まると、最近のオランダの調査を踏まえて警告する医師。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/7865305/Legal-assisted-suicide-creates-slippery-slope-to-doctors-killing-without-consent-expert-claims.html
そうかと思うと、すい臓がんの作家Ann McPhersonさん、スイスまで行かなくても自国の自分の家で自殺させてほしい、と。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/7865828/Teenage-Heath-Freak-author-says-assisted-suicide-can-be-celebration.html
スイスでも、去年から自殺幇助への監視または規制の強化が言われてきているが、特に最近のDignitasを巡る諸々で、そういう声に一層の高まり。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/europe/10461894.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/10461894.stm
【その他】
ツール・ド・フランスのドーピング検査に不正の疑い?
http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/europe/10484158.stm
NICEから脳卒中、認知症、血栓症予防ガイドライン。アルツハイマー協会もコメントしている。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/193539.php
英Times紙、有料化。購読登録で、オンラインのコンテンツ1日1ポンド。1週間2ポンド。:ニュースレターはちゃんと届いている(今日の補遺最後の1つはTimesのニュースレターから)ので、タイトルと最初の数行から何が何でも読みたいものがあれば1ポンドなら出してもいい。Katie事件の際には Timesがダントツで詳しかったし。でも、とりあえずGuardian とBBC、たまにMail, Telegraphというあたりで別に困らない。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/10480666.stm
100歳まで生きるかどうかが分かる遺伝子検査。
http://www.guardian.co.uk/science/2010/jul/01/genetic-test-living-to-100
英国の貧困層はそれ以外の層よりも10年も早死にしている。保健省とNHSに不平等の解消に手を打っていないとの批判。:100まで生きる遺伝子を持っていたとしても、環境の影響は大きい。
http://www.guardian.co.uk/society/2010/jul/02/poor-in-uk-dying-10-years-earlier-than-rich
英国政府の豚インフル・パンデミック騒ぎの際のワクチン大量購入に、独立の調査が行われ、おおむね正当化されたものの、製薬会社との契約にキャンセル条件が盛り込まれていなかったことが指摘され、今後の教訓に。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/10474155.stm
英国で、家の2階の子ども部屋のベッドで寝ていた双子の乳児がキツネに襲われて大けがをしている。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk/10468276.stm
離婚訴訟を担当する弁護士が、Facebookを浮気の証拠を探すツールにしている。
Divorce Lawyers dig the dirt on Facebook
The Times, July 2, 2010
http://www.nytimes.com/2010/07/01/opinion/01thu4.html?th&emc=th
米国小児科学会のメンタルヘルス・タスクフォースが、プライマリー・ケアの開業医に向けて子どものメンタルヘルスのスクリーニング・キット、 Addressing Mental Health Concerns in Primary Careを刊行。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/193402.php
安価な髄膜炎のワクチンがリスクの高いサブ・サハラ地域の4300万人の命を救う”game changer”となるだろう、とWHO。WHOとゲイツ財団の共同開発でつくられたワクチン。:そういえば昨日の朝日新聞に、子宮頸がんワクチンのプロモ座談会がなんと全面広告でデカデカと出ていた。企画・運営は「女性のための座談会事務局」。いかにも胡散臭いと思いつつ、そのままで検索してみたけど、やっぱりヒットしなかった。その”座談会”での医師の発言でも「ほとんどの場合免疫力で排除されるため、感染した人の1%足らずの人ががんを発症します」というのに、なぜこのワクチンだけに、こんなにも強力なプロモが行われて公費助成と集団接種の必要が説かれるのか、なぜ、このワクチンのプロモだけがこんなにお金持なのか、こんなにメディアを動員できるのか。みんな、気にならないかなぁ……。全額公費負担なら1人5万円。日本の社会保障とか医療って、そんなにお金じゃぶじゃぶ余ってましたっけ?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/193463.php
子どもの健康に有害と知りながら化学物質が添加された石油を売るために、英国企業Octelがイラクの高官にワイロを渡したとして、問題になっている。
http://www.guardian.co.uk/business/2010/jun/30/octel-petrol-iraq-lead
不況のあおりで米国政府がエイズ患者に薬を届けるプログラムが延滞気味になっている。
http://www.nytimes.com/2010/07/01/us/01aidsdrugs.html?_r=1&th&emc=th
年を取ると知的機能が低下するので、判断力も落ちると思われがちだけれど、「なんとなく本能的なカンで」の判断は全然若い人と比べて遜色ない、という調査結果。なんでも、アパートを選ぶ、という設定の調査とか。:知的機能とか認知能力を云々する人たちって、経験とか知恵というものを全く度外視していると思う。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/193396.php
マサチューセッツ州の学校が、生徒にコンドームを渡していた問題。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/193352.php
知的障害のある75歳の男性 Allan McFarlaneさんは
去年5月に癌の疑いが濃厚で、2週間以内に手術することになると告げられた。
しかし1年たっても腎臓にステントを挿入する手術も生体検査も待機状態のまま。
ついに先月、McFarlaneさんとガーディアンのFay Arroldさんは
その状況をメディアに訴えた。
Canberra Timesの報道は政治論争を巻き起こし、
即座に手術の予定が組まれた。
月曜日の手術では麻酔があまり効かず、
回復もしんどいものだったが、
21年間、Dicksonのお店でボランティアとして働き、
客から「Dicksonの市長」と呼ばれ親しまれてきた笑顔が、やっとMcFarlaneさんに戻ってきた。
退院後はArroldさんの自宅で療養している。
Arroldさんは1978年にMcFarlaneさんの父親が亡くなって以来
ずっとMcFarlaneさんのケアをしてきた人。
生検の結果は数週間後になるのだとか。
他にも、30日以内に手術が必要なカテゴリー1の緊急度と診断された
前立腺がんの患者さんが、なかなか受けられないので問い合わせたら
カテゴリー2a に格下げされていた、という話もあり、
選択的手術を始めとする治療の待機患者リストを
監査当局が調査することに。
英国のNHSに当たる、首都圏のACT Healthの方で
医師の決めたカテゴリーを勝手に捜査しているのでは、との疑いが浮上しているが、
一方には、自分の患者を待たせないために、
それほど深刻でない病状でもカテゴリー1として届ける医師も後を絶たないという指摘も。
Mayor gets his day in surgery, at last
The Canberra Times, July 1, 2010
記事全体としては、
医療が崩壊しつつあり、長い待機期間が当たり前になってしまった
オーストラリアの医療の一般的な問題として書かれてはいるのですが、
McFarlaneさんのケースで、
知的障害があるから1年も待たされて、なお放置されていたのか、
それとも障害とは無関係だったのかがはっきりしません。
しかし、手術時に麻酔が効かなかったという点も、
回復過程がラフだった(困難だった、辛かった)という記述も、
私は個人的に、ものすごく気がかりでした。
私自身、日本の総合病院の外科の直接体験として、
娘が重症児で「痛い」と言えないというだけで
本人は目でも音声でも必死に訴えていたし、
親も施設の医師や看護師も一緒に訴えていたにもかかわらず、
腸ねん転の手術の後、痛み止めの座薬を入れてもらえなかったことが
いまだに大きなトラウマとなっています。
また、英国では知的障害者のアドボケイトMencapの訴えで医療オンブズマンが調査に入り、
医療現場の無知、無理解によって、死ななくてもよかった知的障害者が
死に至ったケースが認められ、改善が勧告されました。
ウチの娘の体験と、非常に似通った事情のケースでした。
(詳細は以下のエントリーに。)
まさか、障害児・者だから「治療しなくてもいい」とか
「痛みがあろうと放っておいて苦しませておけばいい」という意識があるのだとしたら、
それは障害者差別というよりは、非人道的な残虐行為――。
【関連エントリー】
「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
(ウチの娘の体験については「Markのケース」のエントリー後半に)